「自分で相続不動産の登記を済ませたい」と考えている方のなかには、何から手をつけたら良いのかわからずに困っている方も多いのではないでしょうか。
何から始めたら良いのかわからない方は、まず必要書類からそろえてみましょう。
相続登記の手続きを進める際には、書類をそろえる手続きが一番時間がかかるので、先に済ませておくことをおすすめします。自力で対応できない場合は専門家へ依頼することもできるため、まずは自力で挑戦してみるのも良い選択肢です。
この記事では、相続登記に必要な書類の説明と注意点について、詳しく説明します。自分で相続登記を進めたい方は、ぜひ記事内容をご確認ください。
相続登記に必要な書類は決まっていますが、イレギュラーなパターンでは追加書類が必要になる場合があります。
以下のケースごとに必要な書類をまとめました。
それぞれのケースで必要な書類を紹介します。
遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って相続登記の申請をします。
必要書類は、次のとおりです。
遺言による相続登記は、遺言で指定された人が相続人です。
遺言者が亡くなったことを証明できれば、出生から死亡までに至る全ての戸籍謄本をそろえる必要はありません。
このケースでは、不動産を取得しないほかの法定相続人の戸籍謄本を用意する必要がないため、ほかの相続方法に比べると比較的手続きは簡単です。
遺言書がなく法定相続人が複数人存在する場合は、「遺産分割協議によって誰がどの財産を取得するのか」を話し合いのうえで決めることができます。
話し合いで不動産を取得する人が決まった後に相続登記へ進みます。
遺産分割協議で必要な書類は、次のとおりです。
遺産分割協議の場合、遺言書による相続よりも必要書類が多くなります。
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得しなければいけません。
また、法定相続人全員の戸籍謄本や遺産分割協議書、法定相続人全員の印鑑証明書も必要です。
遺言書がなく、遺産分割協議がまとまらなかった場合は、法定相続人の配分に基づいて相続登記の申請を行います。
必要書類は、次のとおりです。
法定相続分による相続登記に必要な書類は、相続登記に最低限必要な書類と同じです。
比較的書類は集めやすいでしょう。
ケースごとに必要な書類を紹介しましたが、それぞれの書類がどのようなものなのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで、それぞれの書類の内容や取得方法などを解説します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本には、被相続人の両親や兄弟姉妹、結婚と離婚歴、転籍、養子縁組を含めた子どもの有無などの個人情報が一通り記載されている書類です。
一通りの戸籍謄本を取得することによって、法定相続人を特定できます。
戸籍謄本の取得によって、親族でも知らない婚姻外の子供や養子の存在が発覚し、相続が複雑になるケースもあります。
法定相続人全員の戸籍謄本は、法定相続人が生きていることを証明するために必要です。
戸籍謄本と被相続人の除籍謄本は2024年3月より、戸籍の本籍地が遠くにある場合でも最寄りの市区町村窓口でまとめて申請できるようになりました。
今まではわざわざ本籍地の管轄である市区町村役場にいくか、郵送で取り寄せる必要がありましたが、新制度の施行によって、負担はかなり減っています。
住民票の除票は、被相続人が戸籍に記録されている人物であり、相続登記の対象となる不動産の登記名義人と同一であることを証明するために必要です。
被相続人の住民票の除票は最後に住民登録があった市区町村管轄の役場で取得できます。
取得方法は、窓口と郵送のどちらにも対応しています。
なお、法定相続人の住民票も同様の手続きで取得可能です。
固定資産評価証明書は不動産の所在地を管轄している市区町村役場、または市税事務所で取得できます。
窓口のほかに郵送にも対応しています。
固定資産評価証明書の請求には登記名義人の死亡の記載がある戸籍謄本と、請求している人との関係性を示す戸籍謄本のコピーの添付をしなければいけません。
不動産の評価額は毎年送付される固定資産納税通知書にも記載されているので、通知書が手元にある場合は、あえて固定資産評価証明書を取得する必要はありません。
登記申請書は、相続した不動産の名義変更を法務局に申請するときに必要な書類です。
登記申請書は所定の紙が用意されていないため、自分で作成しなければいけません。
ただし、法務局のWEBサイトに雛形が用意されているので、ダウンロードして記載すれば簡単に作成できます。
なお、相続のパターンによって書き方が異なるため、自分のケースに合った申請書を選ぶようにしましょう。
遺言書による相続手続きを進めるには、遺言書が必要です。
遺言書には、以下の3つの種類があります。
3つの遺言書のうち、自筆証書遺言と秘密証書遺言は裁判所にて検認を受けた後に遺言書が本物なのか確認する必要があります。
一方、公正証書遺言は公証役場で作成されるため、有効性がすでに証明されており、検認手続きは必要ありません。
遺産分割協議にて相続の内容を決定したことを明らかにする場合は、遺産分割協議書が必要です。
全員が合意したことを明らかにするために、遺産分割協議書にそれぞれが署名して実印を押印します。
最後に印鑑証明書を添付することによって、証明が完成します。
遺産分割協議を経て相続登記を行う場合は、遺産分割協議書に押印された印鑑が実印であることを証明するために、法定相続人全員の印鑑証明書が必要です。
印鑑証明書を添付することで、法定相続人が自分の意思で遺産分割協議書に押印したことを証明できます。
印鑑証明書は住んでいる地域の市町村役場にて取得します。
この場合、書類の有効期限は定められていないため、発行後3ヶ月を過ぎている印鑑証明書でも問題ありません。
相続登記に必要な書類を集めるにあたって、注意したいポイントを3つ紹介します。
それぞれ詳しく解説します。
相続登記の手続きには亡くなった人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本が必要です。
必要な戸籍謄本の中には、除籍謄本や改製原戸籍も含まれます。
転籍や結婚や離婚によって何度も本籍地が変わっている場合は注意が必要です。
必要な全ての戸籍謄本がそろわない限りは、相続登記を進められません。
亡くなった人の登記簿上の住所と死亡した時点での住所が違う場合は、住所の関連を示す書類が必要です。
亡くなった人の住民票の附票に、前の住所として登記簿に記載されている住所が載っていればそのままでも良いのですが、住所を転々としている場合は戸籍の除票と附票、改正原附票の取得する必要があります。
戸籍の附票は広域交付制度の対象外になっているため、本籍地の市区町村窓口で取得しなければいけません。
相続登記をする前に、登記簿謄本を取得してあらかじめ登記簿上の住所を確認しておきましょう。
余計な手間を減らすことができます。
自筆遺言書をもとに相続登記の手続きを進める場合は、家庭裁判所で遺言の検認を受ける必要があります。
検認とは、遺言書の内容を明らかにして偽造や変造を防止するための手続きです。
家庭裁判所にて法定相続人立会いのもとで遺言書を開封します。
家庭裁判所でも検認を受けていない遺言書は登記ができないので、注意しましょう。
公正証書遺言と法務局の遺言書保管制度を利用した自筆遺言書では、検認は不要です。
法務局へ相続登記を申請する際の必要書類の綴じ方には一定のルールがあります。
厳密に定められたものではなく、ルールに沿っていないからといって受付が拒否されることはありません。
念のため知っておくと良い豆知識として確認してみてください。
申請書を作成したらA4用紙で印刷して、添付情報を一緒に左とじにします。
綴じ方の一般的な順番は、次のとおりです。
原本の返却を望む場合はコピーを作成して原本と一緒に提出します。
提出の際はコピーに「原本に相違はありません」と記載して、申請人または代理人の名前を記入して完了です。
申請する時に相続関係図を提出すると、戸籍謄本の原本を返してもらうことができます。
相続関係図とは、家系図のようなもので被相続人と法定相続人の関係性を表したものです。
相続登記の必要書類を集める作業は一筋縄ではいきません。
基本的に集めなければいけない書類が多いうえにイレギュラーなパターンもあるため、想像以上の時間がかかってしまいます。
平日の受付時間内に自ら役所へ出向いて書類集めをしなければいけないこともあって、仕事や子育てなど忙しい世帯では対応するのは難しいでしょう。
「時間もないし、何から進めたら良いのかわからない」という方は、最初から司法書士へ依頼するのも一つの選択肢です。
司法書士へ書類取得を始めとする相続登記全般の仕事を依頼するときの必要書類は、次のとおりです。
専門家へ相談すると、法定相続人調査や必要書類の収集と作成、相続手続きの代行まで一通り任せることも可能です。
不動産の相続登記は、2024年4月1日より義務化されました。
手続きが大変なこともあって、未登記のまま放置されている不動産も数多くありましたが、今後は法律の定めによって、そのままにしておくことは許されなくなっています。
相続登記の必要書類は、種類の多さやケースごとに必要書類がことなるイレギュラーパターンの多さなど、自分で対処するとなると一筋縄ではいきません。
時間もかかることから、日々忙しくしている世帯では自力で対応するのは難しいです。
静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続不動産の売買だけでなく、相続に関するご相談も数多く承っています。
通常の相続登記からイレギュラーなパターンまで、数多くの手続きの実績があります。
相続手続きでお困りのことがあれば何でもご相談ください。
専門家の知見によって適切に柔軟に対処させていただきます。
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