親が亡くなって家を相続した場合、不動産の相続登記(名義変更)は法律で義務化されており、原則として相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に完了させる必要があります。
第76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
引用元:不動産登記法 | 第76条の2
相続登記を放置すると法律上の義務に違反するだけでなく、いざ家を売却したり担保に入れたりしようとしても名義が親のままでは進められません。
さらに、2024年以降は期限内に相続登記をしなければ10万円以下の過料(罰則)が科される可能性もあるため注意が必要です。
第164条(過料)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
引用元:不動産登記法 | 第164条
一方、相続登記の期限と相続税の申告期限(10か月以内)は別物なので、登記を後回しにしても相続税の納付期限が延びることはありません。
相続税は、相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、申告・納税が必要になります。
そのため、登記を後回しにしても相続税の納付期限が延びることはないのです。
こうした背景から、家の名義変更には早めの着手と確実な手続きが何より大切です。
この記事では、親が死亡したときの家の名義変更や、親から子への相続手続きをわかりやすく解説します。
死亡に伴う親から子への家の名義変更を進める前に確認すべき相続関係

親名義の家を相続するにあたり、最初に「誰が相続人になるのか」をきちんと整理しておく必要があります。
名義変更の前提となる相続関係を把握しておかなければ、後から「実は他に相続人がいた」と判明して手続きがやり直しになる可能性があります。
相続人の状況によって、名義変更に必要な合意形成の範囲や準備すべき書類が変わるため、まず相続人や遺言書の有無など全体像を確認しましょう。
具体的には次のポイントをチェックします。
- 自分以外に法定相続人がいるかどうか
- 遺言書があるかどうか
ここからは、それぞれのポイントで確認すべき点を詳しく解説します。
自分以外に法定相続人がいるかどうか
家を相続するにあたり、自分以外に相続人となる人がいるかどうか最初に確認しましょう。
相続人が自分一人ではなく複数いる場合、誰が家を引き継ぐかについて全員で話し合う必要が生じるためです。
法定相続人の範囲は民法で定められており、被相続人(親)の配偶者は常に相続人となり、子ども・親・兄弟姉妹が続く順位で配偶者とともに相続人になります。
第887条(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
引用元:民法 | 第887条
自分以外に相続人がいる場合は、後述するように相続人全員の合意形成や書類への署名・押印が欠かせません。
早めに相続人の範囲を確定させ、誰が家を相続するか方針を共有しておくことが重要です。
ここからは、想定される相続人の状況について見ていきましょう。
- 存命している配偶者がいる場合:配偶者(母)も法定相続人となり、家の相続権があります
- 子(兄弟)が複数いる場合:自分と兄弟姉妹全員が共同相続人となります
- 異母兄弟・異父兄弟がいる場合:父母の一方が異なる兄弟姉妹も相続人に含まれます
- 養子がいる場合:養子も実子と同様に相続人に含まれます
以下から、それぞれ詳しく解説します。
存命している配偶者がいる場合
親の配偶者(あなたの母など)が存命であれば、その配偶者も必ず法定相続人になります。
つまり相続人は「あなた+配偶者(母)」となり、配偶者にも家を相続する権利が発生します。
家を誰が引き継ぐか決める際には配偶者の意向も踏まえることが必要です。
たとえば、「子である自分が家を相続し名義を単独にする」場合には配偶者の同意を得ておくことが欠かせません。
法律上、配偶者と子が共に相続人の場合、法定相続分は配偶者・子がそれぞれ1/2です。
第900条(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
引用元:民法 | 第900条
いずれにせよ、配偶者を含め相続人全員で家をどう扱うか話し合っておくことが大切です。
子(兄弟)が複数いる場合
相続人が自分以外に複数(兄弟姉妹など)がいる場合、その家を誰が相続するか相続人全員で話し合って決める必要があります。
遺言書がない状態で相続人が複数いるケースでは、民法が定める法定相続分どおりに相続すると各人が持分を共有する形で家の名義を引き継ぐことになります。
共有状態では不動産の管理や処分が複雑になるため、可能であれば誰か1人が単独で相続することをおすすめします。
たとえば、長男である自分が家を相続する代わりに、他の兄弟には預貯金を多めに渡す・代償金を支払うといった形で調整し、早めに意見をまとめておくことが重要です。
その上で、全員の合意内容を遺産分割協議書にまとめておけば、相続登記の申請時にその家を単独名義にすることが可能になります。
異母兄弟・異父兄弟がいる場合
父または母が異なる兄弟姉妹がいる場合でも、血の繋がりがあれば法定相続人として扱われます。
親の再婚などにより腹違いの兄弟姉妹がいるケースでは、「自分に異母兄弟がいることを最近まで知らなかった」という事例も珍しくありません。
後になって「異母兄弟の存在を知らずに名義変更を進めてしまった」といったトラブルにならないよう、戸籍をたどって異母兄弟・異父兄弟の有無を早めに確認しておくことが大切です。
もし相続人に異母兄弟が含まれる場合は、その人物の現在の住所を戸籍の附票などで調べ、連絡を取って遺産分割協議に参加してもらう必要があります(会ったことがないからといって無視することはできません)。
連絡先が分からない場合でも、専門家に相談すれば所在調査や連絡の仲介をしてもらえます。
いずれにせよ、異母兄弟を含む全員の同意がなければ名義変更は進められない点に注意しましょう。
養子がいる場合
養子も法律上は実子と同じ第1順位の法定相続人になります。
血の繋がりがなくても相続人として扱われるため、親が生前に養子縁組をしていた場合はその養子も家の相続権を持つことになります。
家族構成を正確に把握し、養子を含めた相続人全員で話し合える状況を整えておくことが重要です。
特に亡くなった親に実子がおらず養子だけがいるようなケースでは、養子が単独で家を相続する可能性が高くなります。
また、養子が2人以上いる場合でも相続分は原則平等に扱われます(実子がいる場合、相続税の控除計算上は養子の人数に一定の制限がありますが、法律上の権利は同等です)。
いずれにしても、名義変更の前提として養子を含む相続人全員の合意形成が必要になる点は他の場合と変わりません。
遺言書があるかどうか
遺言書の有無も相続手続きに影響します。
親が遺言書で「この家は○○(子の名前)に相続させる」と指定している場合、基本的にはその指示に従って家の名義変更手続きを進めます。
遺言書がある場合には法定相続とは異なる結果になることも多く、相続人間の話し合いより遺言の内容が優先される点に注意が必要です。
ただし、遺言書によって家を特定の子に相続させると書かれていても、他の相続人には遺留分(一定の最低限取り分)が認められています。
他の兄弟姉妹などが遺留分を侵害されたと感じた場合、遺留分侵害額請求によって金銭補償を求められる可能性があります。
そのため、遺言内容を実現する際も他の相続人の理解を得ながら進めることが大切です。
なお、遺言書にはいくつか種類があります。
公正証書遺言(公証人が作成したもの)であれば家庭裁判所の検認手続き(内容を確認する手続き)が不要で、すぐに遺言書の指示通り相続登記を申請できます。
一方、自筆証書遺言(本人が書いた遺言書)が見つかった場合は、開封せずに家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません。
なお、自筆遺言書と秘密証書遺言書は、家庭裁判所で手続きの上で開封する必要があります。
誤って開封してしまうと、5万円以下の過料が科されるおそれがあるため注意しましょう。
検認とは相続人全員に遺言の存在を知らせた上でその内容を確認する手続きです。
検認を経ないと自筆の遺言書は法的にすぐ使えません(ただし、法務局の遺言書保管制度を利用して預けられた自筆遺言書であれば検認は不要です)。
このように、遺言書があるかどうか、ある場合は種類によって進め方が異なるため、必ず相続開始後に遺言書の有無を確認しましょう。
死亡に伴う親から子への家の名義変更を行う流れ

ここからは、親の死亡から家の名義を書き換える相続登記が完了するまでの一連の手続きの流れを順を追って解説します。
何をどの段階で行うべきか把握しておくこと、名義変更の段取りが立てやすくなります。
一般的な手順は以下のとおりです。
- STEP1:親の死亡を証明する書類をそろえる
- STEP2:戸籍を集めて法定相続人を確定する
- STEP3:家の登記情報と固定資産評価額を確認する
- STEP4:遺言書の有無を確認する
- STEP5:遺産分割協議を行う
- STEP6:相続登記に必要な書類を集める
- STEP7:法務局で相続登記を申請する
- STEP8:名義変更後の手続きをする
以下から、それぞれ詳しく解説します。
STEP1:親の死亡を証明する書類をそろえる
相続登記の手続きを始めるにあたり、まず親が亡くなった事実を証明するための書類を用意しましょう。
具体的には、親の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)や除籍謄本を取得し、死亡の記載があるものを準備します。
戸籍には被相続人が死亡した日付が記録されるため、公的な死亡証明として機能します。
また、市区町村役場で被相続人の住民票の除票も取得しましょう。
住民票の除票とは、死亡によって住民登録が除かれたことを示す書類で、最終住所や死亡年月日が記載されています。
住民票の除票は、後の相続登記で登記簿上の住所と被相続人本人を結び付ける証拠として重要です。
なお、登記事項証明書には住所が記載されますが、戸籍には住所がありません。
そこで、死亡時の住所は住民票の除票で補い、登記名義人と被相続人が同一であることを証明します。
STEP2:戸籍を集めて法定相続人を確定する
次に、相続人調査のため被相続人(親)の戸籍を徹底的に集めます。
親が生まれてから亡くなるまでに所属していたすべての戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など)を漏れなく取り寄せ、結婚や離婚・子どもの有無など家族関係の変遷を確認します。
戸籍は本籍地の市区町村で取得できるものの、親が転籍(本籍を変更)している場合は過去の本籍地ごとに請求が必要です。
この作業により、法定相続人が誰かを確定させることができます。
相続人を正確に確定しておかないと、後で「知らない相続人が見つかった」となって遺産分割協議をやり直す羽目になるリスクが高まります。
兄弟姉妹や認知された子などが絡む場合は戸籍が多数に及ぶこともありますが、相続人調査は相続手続きの基盤となる重要な工程のため、地道に進めましょう。
なお、法務局で「法定相続情報一覧図」という書類を発行してもらえば、戸籍の代わりに相続関係を証明する書面として利用できます(一覧図の取得には戸籍一式の提出が必要ですが、一度取得すれば金融機関手続き等でも使い回せて便利です)。
また、被相続人だけでなく相続人全員の現在の戸籍謄本も用意します。
特に兄弟姉妹が相続人の場合など、戸籍を確認することで本当に相続人資格があるか(代襲相続が発生していないか等)証明する必要があるためです。
STEP3:家の登記情報と固定資産評価額を確認する
相続する家について、登記簿の情報(登記事項証明書)と固定資産評価額を確認します。
まず法務局で家(土地・建物)の登記事項証明書を取得し、現在の所有者名義や権利関係を調べます。
登記事項証明書を見れば、家が本当に亡くなった親の単独名義か、それとも親と他の人の共有名義になっていないか、あるいは金融機関の抵当権(担保)が設定されていないかといった点が明らかになるからです。
また、市区町村役場でその家の固定資産評価証明書(固定資産税評価額の証明書)を取得し、評価額も確認しましょう。
固定資産評価額は相続登記の際に納める登録免許税(税金)を計算する基準になります。
相続登記の登録免許税は評価額の0.4%と定められているため、評価証明書に記載の金額によって税額が決まります。
評価証明書は家屋ごと・土地ごとに発行され、各市区町村の資産税課で取得できます。
なお、登記事項証明書に記載の所在地と日常使っている住所表記が異なる場合がある点に注意しましょう。
たとえば、住居表示実施地域では、登記簿上は「○○市大字△△123番地」のような地番表記ですが、普段の住所は「○○市△△町1-2-3」のように異なる場合があります。
評価証明書の物件所在地も日常の住所(住居表示)で記載されることがあるため、登記簿の地番と評価証明書の住所が同じ場所を指すか必ず照合してください。
STEP4:遺言書の有無を確認する
相続人・財産の状況を確認したら、親が遺言書を残していないか最終チェックします。
もしまだ遺言書の所在を確認していない場合は、自宅の金庫や預貯金口座の書類と一緒に保管されていないか探したり、公証役場に遺言公正証書の有無を問い合わせたりしましょう。
遺言書が見つからなかった場合、または遺言に家の記載がない場合は相続人全員で誰が家を相続するか、話し合いが必要です。
遺言書が見つかった場合は、その内容に従って相続手続きを進めます(詳しくは前述「遺言書がある場合」の項目を参照)。
公正証書遺言であればそのまま家の相続登記申請に使えます。
一方、自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所での検認が必要です。
検認が終わったら、遺言書に従い家を相続する人が決まるため、基本的には遺産分割協議は不要となります。
STEP5:遺産分割協議を行う
遺言書がなく相続人が複数いる場合、家を誰が引き継ぐか相続人全員で話し合う(遺産分割協議をする)ことになります。
遺産分割協議とは、被相続人が残した財産について相続人全員で分け方を決める話し合いです。
特に不動産の場合、法定相続分のままだと相続人全員の共有名義になってしまうため、家については「誰が相続するか」を協議で明確に決めることが望ましいです。
協議がまとまれば、法律上、取得割合は必ずしも法定相続分に従う必要はなく自由に決められます。
たとえば、「家は長男が相続し、次男・長女にはその代わりに金融資産を多めに配分する」といった取り決めも可能です。
話し合いがまとまったら、合意内容を文書に整理した「遺産分割協議書」を作成します。
協議書には相続人全員(成年後見人等がいれば代理人も含む)が実印で署名押印し、各人の印鑑証明書を添付します。
協議書は後日の相続登記申請時に提出する際に重要です。
協議書に全員の実印が押されていることと印鑑証明書の添付によって、「相続人全員の真正な合意」であることを法務局に証明するわけです。
万一、相続人同士の話し合いで家の承継者について意見が折り合わない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることになります。
調停では調停委員(第三者)が仲介し、合意点を見出せるようサポートしてくれます。
それでも調停が不成立となった場合は、自動的に家庭裁判所の審判手続き(裁判官による決定)に移行し、最終的には裁判所が家の帰属を決めることになります。
調停が成立した場合は調停調書という書面が作成され、それをもとに相続登記を申請できます。
話し合いに時間がかかると相続登記の法定期限(3年以内)に間に合わなくなる恐れもあるため、早めに合意形成を図ることが大切です。
STEP6:相続登記に必要な書類を集める
遺産分割協議書がまとまったら、いよいよ相続登記の申請書類の一式をそろえます。
相続登記の必要書類一覧(遺産分割協議ありの場合)は以下のようになります。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
- 相続人(新所有者)の住民票
- 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書(年度最新版)
- 相続関係説明図(任意だが添付推奨)
- 相続登記申請書
書類が出そろったら不備がないか最終チェックしましょう。
特に戸籍の漏れや署名押印の不備、日付の矛盾などがあると申請が受理されません。
不安な場合は法務局の窓口で事前相談するか、司法書士に書類一式を点検してもらうと安心です。
STEP7:法務局で相続登記を申請する
必要書類がすべて整ったら、いよいよ法務局に相続登記の申請を行います。
家の所在地を管轄する法務局の窓口へ書類一式を提出し、相続登記の申請書に登録免許税(収入印紙)を貼付します。
相続登記の登録免許税は先述のとおり不動産評価額の0.4%で、たとえば固定資産評価額が1,000万円なら4万円の税金を収める形です。
申請方法は、窓口持参のほか郵送申請やオンライン申請にも対応しています。
遠方の場合や忙しい場合は郵送で送付することも可能です。
オンライン申請は事前に電子証明書の取得や専用ソフトのインストールが必要なため、ハードルはやや高めです。
法務局に申請書類が受理されると、登記官による審査が行われます。
特段問題がなければ申請から登記完了まで通常1〜2週間程度です。
登記が完了すると、家の所有者名義が正式に親から子へ書き換えられます。
完了後、申請時に希望していれば新しい登記簿謄本(登記事項証明書)の取得が可能です。
オンライン申請の場合はPDFで受け取ることもできます。
登記完了時には、従来の「権利証」に代わり登記識別情報通知が発行されます。
登記識別情報通知は今後その不動産を売却したりする際に本人確認として使う大切な情報のため、通知書を受け取ったら大切に保管してください。
STEP8:名義変更後の手続きをする
家の相続登記が完了し、名義が正式に子であるあなたに移ったら、不動産に関連する各種名義変更や手続きを進めましょう。
まず、市町村役場で固定資産税の納税通知書の送付先変更を届け出ます。
相続登記の完了後でも、自分の名義に確実に切り替わるよう早めに届出をしておくと安心です。
次に、家に関する公共料金やライフラインの名義変更を行います。
電気・ガス・水道・電話・インターネットなどの契約が親の名義になっている場合は、新しい所有者(利用者)であるあなたの名義に変更しましょう。
死亡による名義変更は戸籍や登記簿の写しが不要なこともあります。
さらに、火災保険や地震保険などの契約も忘れずに名義変更を行います。
所有者が変わったまま放置すると、万一のときに保険金が支払われないおそれがあるためです。
住宅ローンが残っている場合は、金融機関と今後の返済方法を確認します。
団体信用生命保険によって完済された場合は、抵当権抹消手続きを行いましょう。
このように、相続登記の完了後も各種手続きを漏れなく済ませておくことで、新しい名義で安心して家を管理・利用できるようになります。
死亡に伴う親から子への家の名義変更にかかる費用

家の名義変更に際して必要となる、次の費用も事前に把握しておきましょう。
- 登録免許税
- 司法書士への依頼
以下から、それぞれ詳しく解説します。
登録免許税
相続登記の際には、登録免許税という税金を支払う必要があります。
登録免許税は登記申請時にかかる手数料のようなもので、相続による不動産取得の場合は不動産の固定資産評価額に対して一律0.4%の税率が課されます。
たとえば、固定資産評価額が2,000万円の家なら、登録免許税は以下の通りです。
2,000万円×0.4%=8万円
土地と建物がある場合はそれぞれの評価額に0.4%を掛け、合計した額を収入印紙で納めます。
評価額は毎年見直され、市町村から送付される固定資産税納税通知書などで確認できます(評価額=課税標準額が記載されています)。
なお、登録免許税の最低額は1件につき1,000円と決められており、評価額が極端に低い場合でも1,000円は納めなければなりません。
司法書士への依頼
戸籍収集から書類作成・申請まで負担が大きいと感じたら、司法書士に依頼しましょう。
司法書士に相続登記を依頼した場合の報酬(手数料)は、物件の数や相続人の人数、難易度によって幅があるものの、おおむね数万円〜十数万円程度が相場となります。
一般的な家屋と土地1筆の相続登記で、特段問題がなければ5万〜10万円前後(+消費税)という事務所が多いようです。
複雑な事案(相続人が多い、未登記物件がある等)では報酬が加算される場合もあります。
司法書士に依頼すれば、戸籍収集や書類作成、法務局への申請手続きを代行してもらえるのがメリットです。
なお、司法書士報酬とは別に実費として先述の登録免許税や戸籍取得費用などがかかります。
こうした費用は依頼者負担(後日精算)となるため、見積りの際に含まれているか確認してください。
死亡に伴う親から子への家の名義変更時に困りがちなこと

実際に名義変更の手続きを進める中で、つまずきやすいポイントとして次があります。
- 相続人の一人と連絡が取れない
- 相続放棄した人がいる
- 話し合いで合意できない
- 権利証や登記情報が見つからない
- 相続人に認知症の人がいる
- 相続人が海外に住んでいる
- 親名義の住宅ローン・抵当権が残っている
- 敷地に通行権などの地役権が設定されている
- 家が親と他の人との共有名義になっている
- 建物だけ親名義で土地が別人名義になっている
- 家の敷地が農地扱いになっている
- 相続する家が未登記・古い名義のまま
- 火災などで家がほぼ残っていない
- 名義変更を放置してしまう
以下から、それぞれ詳しく解説します。
相続人の一人と連絡が取れない
相続人の中に連絡が取れない方がいると、遺産分割協議を進めることができず名義変更の手続きが止まってしまいます。
このような場合は、まず戸籍の附票(住所履歴の記載された書類)を取り寄せて所在を調べることが効果的です。
戸籍の附票から現在の住民票上の住所が判明すれば、その住所宛てに手紙を書いたり電話帳で連絡先を探したりしてアプローチします。
それでも所在がつかめない場合や、手段が尽きても協力が得られない場合は、司法書士や弁護士など専門家に相談しましょう。
司法書士は所在調査や必要書類の収集についてアドバイスしてくれ、弁護士であれば最終的に法的手段(失踪宣告など)も視野に入れて対応を検討してくれます。
専門家に依頼しても物理的に所在が判明しない場合は、家庭裁判所に申し立てを行い不在者財産管理人という代理人を選任してもらう方法があります。
不在者財産管理人は行方不明の相続人の代わりに財産管理や手続きを行う人で、選任された管理人がいればその人を交えて遺産分割協議を成立させることが可能です。
不在者財産管理人の選任には裁判所の許可と時間が必要になりますが、相続人の一人と全く連絡が取れない場合の最終手段として覚えておきましょう。
相続放棄した人がいる
家族の中に「自分は相続放棄する」と表明している人がいる場合、その人の扱いに注意が必要です。
相続放棄は口頭で宣言しただけでは法律上効力がなく、家庭裁判所への正式な申述が受理されて初めて成立する手続きです。
したがって、手続きが完了していない状態では、その人は依然として法定相続人に含まれたまま扱われます。
相続放棄が家庭裁判所で受理されるとその人は初めから相続人ではなかったものとみなされ、遺産分割協議や相続登記に関与する必要はありません。
問題は、家の名義変更手続きを進める際に相続放棄の有無を誤って把握するケースです。
たとえば、兄が「放棄するつもりだ」と言っていたので最初から協議に入れなかったところ、実は正式な放棄手続きがなされておらず相続人のままだった、というようなケースが起こりえます。
この場合、協議書にその兄の署名押印がないと無効になってしまい、法務局から補正(やり直し)を求められることになります。
こうした事態を避けるため、相続放棄をした人がいる場合は本当に放棄が成立しているか確認しましょう。
具体的には、家庭裁判所から発行される相続放棄申述受理通知書という書面を見せてもらうのが確実です。
すると、正式に受理されたことが確認できます。
話し合いで合意できない
相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で家を誰が相続するかについて意見が一致しない状況が続くと、名義変更に必要な全員の合意が整わず、手続きが進められません。
こうした場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、第三者を交えて解決を図る方法があります。
遺産分割調停では、調停委員会(調停委員2名+裁判官1名)が仲介役となり、各相続人の主張を整理しながら合意点を探ります。
家の分割方法について当事者だけでは難しい妥協案も、調停委員の提案によって解決の糸口が見えることがあるのです。
調停は非公開の場で話し合えるため、感情的になりにくい利点です。
ただし、一人でも合意しない相続人がいれば調停は成立しないため、全員が納得できる着地点を見つけることが重要です。
調停によって話し合いがまとまれば、調停調書が作成されます。
調停調書は確定判決と同じ効力を持ち、家の相続登記申請時には遺産分割協議書の代わりに提出できる書類です。
仮に調停でも合意できなかった場合は、調停不成立となり、そのまま審判手続きに移行します。
審判では家庭裁判所が法律や公平の観点から家の帰属を決定し、その内容に従って名義変更を行うことになります。
いずれにせよ、話し合いで解決が難しいと感じたら早めに家庭裁判所の手続きを検討しましょう。
権利証や登記情報が見つからない
相続する家の権利証(登記済証)や過去の登記関係書類が見当たらなくても、支障なく相続登記を進めることができます。
権利証とは、不動産の所有者が登記名義人であることを証明する書類です。
相続による名義変更の場合、登記名義人であった親は既に亡くなっているため権利証の提出は不要です。
権利証の代わりに、戸籍や遺産分割協議書によって新所有者への相続を証明する形になるからです。
もし「親の権利証が見当たらないけど大丈夫だろうか?」と不安になった場合は、法務局で登記簿を確認することで解決します。
権利証がなくても登記情報で代替できるため、紛失の説明や再発行の手続きは不要です(権利証の再発行制度はありません)。
ただし、権利証とは別に親の不動産契約書やローン契約書などが見当たらない場合は取得経緯や担保内容が把握しづらくなることがあります。
名義変更自体は可能なものの、今後のために重要書類は遺品整理の際に確認しておくと安心です。
万一、家自体が法務局に未登記で登記簿が存在しない場合(古い建物で登記されていない、または登記記録が失われている)は、まず建物表題登記(物理的な建物の登記)を行う必要があります。
土地家屋調査士という別の専門家の管轄になり、建物の所在や構造を登録した後に相続登記手続きを進めることになります。
相続人に認知症の人がいる
相続人の中に認知症など判断能力が不十分な人がいる場合、そのままでは適法に遺産分割協議を成立させることができません。
相続手続きでは各相続人が自己の判断で合意し署名押印する必要がありますが、認知症の方は法律行為の意思表示ができない可能性があるためです。
このような場合は、家庭裁判所に申立てて成年後見人を選任し、その後見人が認知症の相続人に代わって遺産分割協議や相続登記の手続きを行います。
後見人には親族が就任したり、専門職(弁護士・司法書士等)が選ばれたりすることもあります。
成年後見人が選任されたら、後見人が他の相続人と協議を行い合意を形成するのが一般的な流れです。
ただし、後見人は被後見人(認知症の相続人)の利益を代弁する立場のため、遺産分割の内容によっては家庭裁判所の許可が必要になる場合があります(例:被後見人の取り分が法定相続分を下回るような協議)。
許可が下り、適切に協議書が作成されれば、協議書に基づいて相続登記を進めることができます。
手間と時間がかかるため早めの対応が望ましいです。
ぜひ、専門家への相談も検討してみてください。
相続人が海外に住んでいる
相続人の中に海外在住者がいる場合も、手続き上いくつか注意点があります。
基本的には国外にいる相続人も日本国内の相続人と同じ立場で遺産分割協議や名義変更に参加してもらわなければなりません。
しかし、印鑑証明書や住民票といった日本国内の書類を用意できないため、代わりに在外公館(日本大使館・領事館)の発行する書類を使って本人確認を行います。
署名証明書は、その人が目の前で書いたサインが本人のものであることを領事が証明する書類です。
遺産分割協議書にその相続人のサインと署名証明書を添付すれば、日本の実印+印鑑証明と同等の効力を認めてもらえます。
署名証明を得るには日本の在外公館に予約訪問し、現地でパスポート等を提示の上、所定の書類にサインが必要です。
相続人が複数国にまたがっている場合、それぞれの国の日本大使館・領事館で同様の手続きを踏んでもらうことになります。
時間と手間がかかるため、海外在住の相続人には早めに署名証明の取得を依頼しましょう。
また、相続登記申請自体は日本国内で行う必要があります。
海外在住者が直接オンライン申請することも不可能ではないものの、日本のマイナンバーカード等がないと難しいため、多くは日本にいる共同相続人に委任する形を取ります。
この場合、委任状にも署名証明書を付けてもらえば代理申請が可能です。
親名義の住宅ローン・抵当権が残っている
親の家に住宅ローンの残債があり、金融機関の抵当権(担保権)が設定されたまま相続が発生するケースです。
抵当権とは家や土地を担保にお金を貸す際に設定される権利で、ローンを完済しない限り不動産に消えずに残ります。
相続が起きたからといって抵当権が自動的に外れるわけではないため、名義を子に書き換える際にも抵当権付きの状態で相続登記を行うことになります。
まず、ローン債務そのものは相続人が引き継ぐのが原則です(団体信用生命保険によって返済が免除される場合を除く)。
相続人が引き続き返済を続ける場合、金融機関へ連絡して今後の返済方法や名義変更について相談する必要があります。
銀行によっては相続登記が終わったタイミングで抵当権者(銀行)宛の住所氏名変更登記を求めてくることもあります。
また、連帯保証人の変更など手続きが発生することも覚えておきましょう。
一方、相続を機にローンを一括返済してしまう場合は、金融機関から抵当権抹消書類(解除証書や署名届など)を受け取り、相続登記とは別に抵当権抹消登記の申請を行います。
抵当権抹消登記は登録免許税が不動産1件につき1,000円かかりますが、自分で手続きも可能です。
相続登記と同時でも、後日落ち着いてから行うこともできます。
重要なのは、抵当権が残っている状態では家を自由に売却処分できない点です。
買主が抵当権付きの不動産を嫌がり、二次相続が発生すると権利関係がさらに複雑になります。
したがって、可能であれば相続を機にローンを完済し、抵当権を抹消しておくことが望ましいです。
難しい場合でも、金融機関と密に連絡を取り適切な対応策(たとえば借り換えや保証人変更等)を講じることが大切です。
敷地に通行権などの地役権が設定されている
相続の対象となる家の敷地(土地)に、他人のための地役権(通行地役権・上下水道管の埋設権など)が設定されていることがあります。
地役権とは他人の土地を一定の目的で使用できる権利で、たとえば隣接地の住人が通行するための道になっている場合などが典型例です。
地役権は土地の所有者が変わっても存続するため、親から子に土地を相続して名義を書き換えた後も、地役権が消えることはありません。
ただし、新しく土地を取得した相続人にとっては「どの範囲まで自由に使える土地なのか」を正しく理解しておく必要があります。
たとえば、敷地内に他人が通行する権利がある場合、勝手に塀を建てて通路を塞ぐことはできません。
土地の上に建物を建てる際も、地役権部分を避けるかときに地役権者の承諾を得る必要もあります。
相続人がこうした負担(制約)に気付かず名義変更を進めてしまうと、後で計画が頓挫する恐れもあります。
対策としては、事前に登記簿や権利証などで地役権の内容を把握することです。
登記事項証明書の権利部には地役権が設定されている旨が記載されています。
どこを通行する権利なのか、期限や条件はあるのかなどを確認しましょう。
不明点があれば司法書士や土地家屋調査士に相談し、権利関係を整理してもらうと安心です。
家が親と他の人との共有名義になっている
登記簿を確認した際、家や敷地が親と他の人物の共有名義になっているケースもあります。
たとえば、父と母がそれぞれ1/2ずつ持分登記している場合や、親と祖父が共有している場合などです。
この場合、相続の対象となるのは亡くなった親の持分のみで、他の共有者の持分には影響しません。
たとえば、父と母が共有名義で家を所有していて父が亡くなった場合、父の持分(1/2など)が相続財産となり、母の持分(残り1/2)はそのまま母のものです。
結果として、相続後は母と子が共有する形になります。
共有状態になると、家の売却や建て替えなどの際に共有者全員の同意が必要になります。
単独名義の不動産に比べて意思決定が複雑になるため、可能であれば共有状態を解消しておくことが望ましいでしょう。
解消方法としては、以下の手段があります。
- 相続の段階で母が持分を放棄し、子がすべて取得する(代償金を支払う)
- 一旦共有状態で相続登記を行い、後に子が母の持分を買い取る
ただし、代償金の支払いには贈与税が発生する可能性もあるため、専門家に相談のうえで慎重に進める必要があります。
いずれにせよ、親が共有者であった不動産を相続する場合は、他の共有者の権利がそのまま残る点を理解しておきましょう。
相続登記では親の持分部分だけを名義変更し、他の共有者と今後の管理方針を話し合っておくことが大切です。
建物だけ親名義で土地が別人名義になっている
家の建物は親名義だが、その敷地である土地が別の人の名義になっている場合があります。
たとえば、「建物は父の名義だが、土地は祖父の名義のまま」「建物は親の所有だが、土地は他人から借りている(借地権)」といったケースです。
建物と土地はそれぞれ独立した不動産であり、相続や権利関係も別々に扱われます。
建物は親の相続登記によって子に名義変更できますが、土地が親名義でない場合は相続の対象になりません。
土地が祖父名義で祖父もすでに亡くなっている場合は、祖父→父への相続登記が未了の状態です。
このときは、今回の父から子への相続登記の前に、祖父から父への登記をさかのぼって行う必要があります。
手間はかかりますが、名義を整理するために避けられない手続きです。
一方、土地が他人の所有で親が借地権を持っていた場合、その借地権も相続の対象になります。
子は借地権付き建物を相続し、引き続き地主に地代を支払って土地を利用します。
この場合は、地主に相続があったことを知らせ、借地契約の名義変更などの対応を行いましょう。
借主が親から子に変わるため、今後の契約関係を明確にしておくことが大切です。
放置すると、将来的に土地の権利関係が複雑化し、最悪の場合は建物の移転や除却を求められるおそれもあります。
家の敷地が農地扱いになっている
相続した家の敷地が、市街化調整区域など農地法上の「農地」に該当する場合は、通常の宅地とは異なる手続きが必要です。
農地は農地法によって売買や権利移動に制限があり、相続による所有者変更でも農業委員会への届出が義務付けられています。
相続人は、相続発生からおおむね10か月以内に管轄の農業委員会へ届出を行う必要があります。
第3条の3(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)
第三条の三 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
引用元:農地法 | 第3条の3
届出を怠ると、10万円以下の過料が科される場合があります。
第69条
第六十九条 第三条の三の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。
引用元:農地法 | 第69条
また、家が建っていて実際には宅地として利用されている場合でも、登記簿上や課税明細上の地目が「田」「畑」などの農地になっていることがあります。
このような場合も届出は必要ですが、実態が宅地であれば農地転用許可は不要です(既に許可を得て建てられているケースが多いため)。
ただし、相続後に売却や他用途に転用する場合は、改めて農地転用許可(農地→宅地)を取得する必要があります。
そのため、まず登記簿や課税明細で敷地の地目を確認し、農地であれば相続登記とは別に農業委員会への届出を行いましょう。
届出は市町村の農業委員会窓口で、所定の用紙に必要事項を記入するだけで完了します。
農地関連の手続きは相続登記とは別制度のため忘れやすく、また対応する専門家も異なります。
農地が関係する場合は、事前に農業委員会や行政書士に相談して進めるのが確実です。
相続する家が未登記・古い名義のまま
相続した家が法務局に未登記だった場合や、親より前の世代(祖父母など)の名義のまま放置されていた場合、通常より手続きが煩雑になります。
未登記の家屋については、まず土地家屋調査士による建物表題登記を行って登記簿を作成した上で、改めて相続登記を進めます。
一方、古い名義のままというのは、前回相続時に名義変更されず先代名義が残ってしまっているケースです。
この場合、今回の相続人だけでなく過去の相続関係までさかのぼって相続人を特定し、その全員の合意を得る必要が生じます。
たとえば、祖父名義のまま父がその家に住んでいたケースでは、まず祖父から父への相続登記を行い、その後父から子への相続登記をする流れになります。
祖父の相続人(あなたの父含む兄弟姉妹など)が他にいれば、その人たちとも遺産分割協議を行わなければなりません。
時が経っていれば、相続人の中には既に亡くなっている方もいて、さらにその相続へと連鎖的に手続き範囲が広がることもあります。
このように手続きに時間と労力がかかるため、未登記・旧名義の不動産の相続登記手続きは、ほとんどの場合司法書士など専門家に依頼するケースが多いです。
専門家であれば、戸籍の読み解きや利害関係者との連絡調整も代行してくれます。
特に先代名義が絡む場合は、不動産を取得しない遠縁の相続人にも協議書に署名捺印してもらう必要があるため、専門家のサポートなしに個人で行うのは大変です。
「名義人が自分の親ではなかった」という場合は、早めに信頼できる司法書士事務所などに相談し、段取りを組んでもらうことをおすすめします。
火災などで家がほぼ残っていない
相続の対象となる家屋が、火災や地震などで損壊し、事実上住めない状態になっている場合も考えられます。
建物がほぼ焼失・倒壊している場合、そのまま所有権移転の相続登記をすることも可能ですが、状況によっては相続登記の前に建物滅失登記を行う方が適切です。
建物滅失登記とは、建物が取り壊されたり滅失した際に登記簿を閉鎖する手続きです。
相続時点で建物がほとんど残っていない場合、実体のない建物の相続登記を行う意味は乏しく、先に滅失登記をする方が合理的です。
滅失登記を行えば登記簿が閉鎖され、以後は固定資産税も課税されません。
再建の予定がなく更地にするのであれば、相続登記を飛ばして滅失登記する方が手続きが簡素です。
一方、建物が半壊程度で再建や補修を検討している場合は、とりあえず相続登記をしておいて問題ありません。
ただし、被害状況によっては固定資産税の減免措置などを受けられる可能性があるため、市町村に相談しましょう。
また、火災保険に加入していた場合は、名義変更前でも保険金の請求が可能です。
ただし、支払い時に相続人へ受取人変更が必要な場合があるため、保険会社へ確認してください。
名義変更に加え、こうした支援制度の活用も検討しましょう。
名義変更を放置してしまう
相続登記(名義変更)を長期間放置すると、さまざまな問題が生じます。
まず、年月が経つ間に相続人の数がどんどん増えて権利関係が複雑になる可能性があります。
相続登記をしないまま次の世代の相続が発生すると、前の相続と合わせて関係者が雪だるま式に増えていき、遺産分割協議をまとめることが困難です。
また、名義変更を怠っていると思わぬ不利益を被ることもあります。
たとえば、名義人が亡くなったままだと、その人宛てに権利関係の通知が届いたり、空き家対策の行政指導が及びにくく適切な管理が困難になったりします。
さらに2024年4月1日以降は相続登記が義務化されたため、正当な理由なく放置すれば過料の制裁を受けるリスクもあります。
第164条(過料)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
引用元:不動産登記法 | 第164条
加えて、将来家を売却したいと思った時に名義が先代のままだと、買主との契約以前に相続手続きを完了させねばならず、売却のタイミングを逃す恐れもあります。
買い手から見ても「登記名義人と売主が違う」物件は敬遠されます。
以上の観点から、名義変更(相続登記)はできるだけ早い段階で完了させておくことが重要です。
死亡に伴う親から子への家の名義変更は、早めの準備と正確な手続きが大切!

親が亡くなった後の家の名義変更(相続登記)は、期限内に確実に終わらせることが大切な手続きです。
3年という申請期限は意外と短く、戸籍集めや相続人間の調整などに思いのほか時間を要する場合もあります。
「そのうちやろう」と先延ばしにせず、早めに準備に着手しましょう。
本記事で解説してきたように、まずは相続関係を整理し、必要書類を集め、順を追って手続きを進めれば、特別な知識がなくても名義変更自体は十分に完了させることが可能です。
もちろん途中で困ったことがあれば、専門家に助けてもらうべきです。
名義変更が無事終われば、法律上もあなたが正式な所有者となり、今後は安心して家を守っていくことができます。
親から受け継いだ大事な我が家ですから、早めの対応と正確な手続きでスムーズに名義を引き継ぎ、新しい生活を安心して送れるようにしましょう。
私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、「遺産相続おまかせパック」という相続手続きのすべてをおまかせいただけるサービスを提供しております。
必要なときには、このように遠慮なく専門家に相談しつつ、計画的に進めてみてください。
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