自分で相続放棄したい方のなかには「どうやって手続きを進めるのだろう」「必要な書類は何があるのだろう」と、何から始めたら良いのかわからず困っている方も多いのではないでしょうか。
相続や相続放棄の手続きは、人生の中でもそう経験することではないため、戸惑ってしまうのも無理はありません。
この記事では、相続放棄を自分で進めるための基本的な流れを紹介しています。
自分で対応できるケースと、専門家へ依頼した方が良いケースや注意点なども紹介しているので、迷ったときはぜひ記事内容をご確認ください。
まずは、相続放棄を検討したほうが良いケースを3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
遺産よりも明らかに借金が多い場合は、相続放棄したほうが良いです。
相続放棄をしてしまえば、借金を背負う必要がなくなります。
借金がある状態で単純承認してしまうと、遺産で相殺できない分のマイナスを丸ごと背負うことになってしまいます。
特に税金や保険料などの負債は免責が認められないため、否が応でも支払わなければいけません。
田舎の実家や山林、バブル期に原野商法で買ってしまった山奥の土地など、相続しても自分で管理できない場合は、相続放棄したほうが良いといえます。
相続してしまうと、遺産は自分で管理しなければいけません。
売るに売れない山林や山奥の土地を相続してしまうと、固定資産税だけを延々と払い続けることになってしまいます。
相続放棄は個別でなく、全ての資産を全て放棄することになるため、マイナスとなり得る資産とプラスの資産とのバランスを熟慮のうえ、最善の判断を下すことをおすすめします。
相続争いが予想される場合は相続放棄も選択肢に入れたほうが良い場合もあります。
特に遺産分割をめぐってトラブルが発生すると、協議が長期化し、膨大な時間が必要になることも少なくありません。
遺産分割協議では、全員の合意が必要です。
1人でも反対すると遺産分割が決定できません。
また、家庭裁判所にて遺産分割調停の後、相続開始から数年経過したにもかかわらずトラブルが続いてしまうケースもあります。
相続放棄してしまえば、遺産分割協議に時間を取られることもなく、代襲相続で子どもや孫に心配をかけることもありません。
相続放棄をする際には、自分で行える場合もありますが、一部のケースでは専門家に依頼したほうが良いこともあります。
以下では、自分で相続放棄に対応できるケースと、専門家へ依頼したほうが良いケースをそれぞれ紹介します。
相続放棄の手続きを自力で終えられそうなケースは、次のとおりです。
シンプルな相続放棄なら、決定的な判断ミスをしてしまう可能性は低いです。
手続きにおいても、専門的な法律の知識や他の相続人との調整も必要ありません。
時間をかけて自分で手続きを進めても、大きな問題なく手続きを完了できます。
相続放棄を専門家へ依頼したほうが良いケースは、次のとおりです。
相続放棄の手続きには3か月の期限が設けられています。
仕事などで書類の収集に手が回らない場合は、期限を過ぎてしまう可能性が高いです。
期限の延長を申し出る場合は、申述期間の延長を申し出る必要があります。
財産の調査など、何かと手間がかかることが多いため、仕事で日々忙しくしている方は専門家へ依頼した方が良いでしょう。
自分で相続放棄するときの手順は、以下のとおりです。
7つのステップを詳しく解説します。
まずは、相続放棄をするべきか検討するために被相続人の財産調査を行う必要があります。
相続放棄は取り消しができません。
「相続放棄をしたものの、実は負債よりもプラスの遺産の方が多かった」ということがないように財産調査は慎重に行う必要があります。
基本的に相続財産は預貯金と土地や建物などの不動産の2つに分られます。
預貯金の存在は金融機関からの通帳で確認し、不動産は固定資産税の通知書や名寄帳などで確認しましょう。
財産調査に不安がある場合は、専門家へ依頼する方法もあります。
次に、相続放棄に必要な費用を確認します。
自分で相続放棄をするときに必要な費用は3,000円〜5,000円とそれほど高額ではありません。
主な内訳は、必要な書類を取り寄せるための費用や手続きの際の郵送代・印紙代です。
相続放棄の申述では、次の申立添付書類が必要です。
住民票の除表は被相続人が住んでいた市区町村の役場で取得する必要がありますが、戸籍謄本は近くの市区町村役場でも取得可能です。
例外として、被相続人と申述人の続柄次第では、追加で戸籍謄本が必要になることもあります。
この場合、戸籍謄本は本籍がある市区町村役場で取得しなければいけません。
家庭裁判所へ提出する相続放棄申述書を作成します。
書式は家庭裁判所の窓口で配布されていますが、ダウンロードしてプリントアウトできれば、わざわざ家庭裁判所まで出向く必要はありません。
複数の相続人が相続放棄するときは、人数分の相続放棄申述書が必要です。
申述人1人あたり、収入印紙が800円必要になるので、忘れないようにしましょう。
全ての書類が準備できたら管轄の家庭裁判所にて相続放棄を申し出ます。
相続放棄の申出後およそ2週間程度で家庭裁判所から「相続放棄の照会書」が郵送されます。
照会書は、相続放棄の意思を最終確認するためのものです。
回答書に記載のうえ、返送して受理されると相続放棄の確認が完了します。
回答書の内容は人によって異なりますが、基本的には「相続放棄の意思」と「相続放棄に至った背景」などが確認されます。
照会書の回答を元に、家庭裁判所による相続放棄申述の審査が完了して、相続放棄が認められると家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送付されます。
相続放棄したことを債権者などに証明する必要がある場合は、相続放棄申述受理証明書を取得します。
相続放棄申述受理証明書は相続放棄の事実を公的に証明するための書類です。
相続放棄申述受理通知書を証明書として使うこともできます。
相続放棄の手続きにおいて、必要な書類を一覧表にまとめました。
配偶者や子どもが相続放棄する際に必要な書類はそれほど複雑ではありませんが、相続の順位が下がるほど必要書類は多くなり、わかりにくくなります。
代襲相続人の相続放棄になると必要書類の数がかなり多くなるため、忙しい方は専門家への依頼を検討したほうが良いでしょう。
相続放棄の手続きに必要な書類は、以下のとおりです。
相続放棄をする人 |
必要書類 |
---|---|
配偶者 | 被相続人の住民票の除表・戸籍附票 配偶者の戸籍謄本 被相続人の死亡を証明する戸籍謄本 |
子またはその代襲相続人 | 被相続人の住民票の除表・戸籍附票 子・代襲相続人の戸籍謄本 被相続人の死亡を証明する戸籍謄本 代襲相続人が相続放棄する場合は、本来の相続人の死亡を証明する戸籍謄本 |
父母・祖父母など直系尊属 | 被相続人の住民票の除表・戸籍附票 相続放棄をしたい人の戸籍謄本 被相続人の出生から死亡時までの全ての戸籍謄本 被相続人の子が死亡している場合は、子の出生から死亡時までの戸籍謄本 被相続人の直系尊属に死亡している人がいる場合は、直系尊属の死亡を証明できる戸籍謄本 |
兄弟姉妹またはその代襲相続人 | 被相続人の住民票の除表・戸籍附票 相続放棄をしたい人の戸籍謄本 被相続人の出生から死亡時までの全ての戸籍謄本 被相続人の子、または代襲相続人が死亡している場合は、子(代襲者)の出生から死亡時までの戸籍謄本 直系尊属の死亡を証明できる戸籍謄本 代襲相続人の場合は、本来の相続人が死亡していることを証明できる戸籍謄本 |
相続放棄では、自分で相続放棄の手続きを進める場合と専門家へ依頼する場合があります。
それぞれのケースで必要な費用を紹介します。
自分で相続手続きを進める際に必要になる基本的な費用は、次のとおりです。
申述書に添付する印紙代 |
800円分の収入印紙(一人分) |
---|---|
連絡用の郵便切手 |
500円程度(家庭裁判所しだい) |
被相続人の住民票除票・戸籍附票 |
300円程度(市区町村による) |
被相続人が死亡したことを証明できる戸籍謄本 |
750円 |
相続放棄を誰が申述するかによって、必要となる書類の枚数が異なります。
専門家に相続放棄を依頼する場合、弁護士と司法書士では報酬費用に差があります。
それぞれの士業ごとに、必要な費用相場を紹介します。
相続における司法書士の対応範囲は主に相続登記ですが、相続放棄も対応可能です。
司法書士へ依頼する場合は、期限内の3か月か、3か月を過ぎた後なのかによって費用が異なります。
司法書士へ依頼するときの費用を一覧表にまとめました。
相談料 |
0円〜5,000円 |
---|---|
書類作成費用 |
3,000円〜6,000円(書類取得費用込み) |
代理手数料(期限内) |
2万円〜3万円 |
代理手数料(期限を過ぎている場合) |
3万円〜5万円 |
弁護士は相続に関する手続きを代行してくれるほかに、相続放棄に関わるトラブルへの対応もできます。
ただし、司法書士に比べて弁護士への報酬はやや割高です。
報酬の費用相場は以下のとおりです。
相談料 |
0円〜1万円 |
---|---|
書類作成費用 |
5,000円〜1万円程度(書類取得費用込み) |
代理手数料(期限内) |
5万円〜10万円 |
相続放棄の際に知っておくべき注意点は、以下の4つです。
それぞれ詳しく紹介します。
相続財産を一部でも処分したり使用したりすると、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
そのため、相続放棄を検討する際、相続財産の処分や使用は慎重に行わなければいけません。
被相続人の預金を引き出して使用したり、不動産を売却したりする行為は、単純承認とみなされるリスクがあります。
相続放棄を検討する場合は、相続財産には一切手を付けず、慎重に検討を進めます。
相続放棄には、「相続の開始を知った時点から3か月以内」という期限が設けられています。
3か月を過ぎてしまうと、原則として相続放棄は認められなくなります。
3か月の期限は、相続人が相続財産の状況を把握し、相続するか放棄するかを判断するために設けられている期間です。
相続財産の調査に時間がかかる場合や、予期せぬ負債の発覚など、期限内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に期間延長の申立てを行うことができます。
延長が認められるかどうかは裁判所の判断次第です。
期限までに対応するのが難しい場合は、専門家への依頼をおすすめします。
相続放棄によって影響を受けるほかの相続人や債権者などの法的安定性の保護の観点から、一度相続放棄の手続きが完了すると、原則として撤回や取消しができません。
しかし、詐欺や脅迫によって相続放棄をさせられた場合や、未成年者が法定代理人の同意なく相続放棄をした場合など例外的に相続放棄の取消しが認められるケースがあります。
相続放棄の取り消しが認められるケースでは、相続放棄の意思表示に重大な瑕疵があったとして、民法の規定に基づき取消しを主張できます。
ただし、取消しを求めるには、証拠を集めて家庭裁判所に申立てを行う必要があり、認められるハードルは決して低くはありません。
相続放棄は、慎重に判断のうえ決断することをおすすめします。
相続放棄は、被相続人が死亡して相続が開始した後に行う手続きです。
相続が発生する前、つまり被相続人が生きている間は、相続人はまだ相続権を持っていません。
したがって、被相続人の生前は相続放棄の手続きができないというわけです。
相続放棄は、あくまで相続が開始した後に、相続人が自身の相続権を放棄する手続きです。
被相続人が生きているうちに、相続に関する整理をしたいときは、遺言書をうまく活用して遺産に関する取扱を決めておく方法があります。
ここまで、相続放棄を自分で進めるための基本的な流れや注意点などを紹介しました。
以下では、相続放棄の手続きを自分でする際によくある質問に6つ回答します。
相続放棄の受付場所は家庭裁判所です。
家庭裁判所へ相続放棄申述書を提出し、手続きを経て受理されれば相続放棄が成立します。
相続権は被相続人の死後に発生する権利です。
したがって、相続放棄は相続発生前、つまり被相続人が存命の間は申し出ることができません。
相続放棄の期限は3か月です。
原則として3か月をすぎた後の相続放棄は認められません。
ただし、例外として「財産調査が間に合わない」「他の相続人と連絡が取れない」などの諸事情によって相続放棄の手続きが間に合わない場合は、家庭裁判所に「相続放棄の期間伸長の申立て」をすることで延長が認められることがあります。
相続放棄の申出は郵便でも対応可能です。
郵送で書類を提出するときは、書類が確実に届いたか確認できるように、簡易書留やレターパックなど追跡できる方法を選ぶことをおすすめします。
相続放棄ができない、もしくは取り消しになるケースを5つピックアップしました。
原則として、以下のケースに当てはまると相続放棄ができなくなるため注意しましょう。
生命保険金は受取人の財産と見なされるため、相続財産には含まれません。
したがって、相続放棄をしても生命保険の受取人が相続人なら、生命保険金を受け取ることができます。
ただし、生命保険金の受取人が被相続人になっている場合や、解約返戻金などは相続財産と見なされます。
相続放棄の手続きは何かと手間がかかりますが、シンプルな内容なら自分で手続きを終えることもできます。
時間に余裕がある方は、自分で手続きを進めてみるのも選択肢の一つです。
一方で、遺産が多い、相続人が複雑、期限までに手続きが終えられそうもないなど、自分で相続放棄の手続きを進めるのが難しい場合は無理せずに専門家へ依頼したほうが安心です。
相続放棄の悩みをお持ちの方は「静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター」へご相談ください。
静鉄グループの力を知識をもって、相続放棄の手続きを全面的にサポートさせていただきます。
初回は無料で相談できますので。気になることがあればフリーダイヤルまたはメールにて、お気軽にお問い合わせください。