相続放棄申述書の書き方徹底解説!「関わりたくない」という理由のときも使える!

相続

相続放棄をする場合、家庭裁判所に正式な書類「相続放棄申述書」を提出して手続きを進める必要があります。

相続放棄申述書とは、相続人が「相続財産を一切受け継ぎません」と家庭裁判所に申し出るための正式書類です。

相続放棄申述書を提出すると、家庭裁判所で相続放棄の審査が開始され、適法であれば申述が受理されます。

なお、相続放棄は法律上「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に行わなければならず、この期間内に申述書と必要書類を家庭裁判所に提出しないと相続放棄は認められません。

第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用元:民法 | 第915条

この記事では、相続放棄申述書の具体的な記載項目や、「もう関わりたくない」という理由で相続放棄をする場合の書き方のポイントについて、分かりやすく解説します。

相続放棄申述書には決まった書き方がある

 

相続放棄をする成年の相続人は、家庭裁判所所定の様式「相続の放棄の申述書(成人用)」を用いて申述しなければなりません。

書式自体は一見シンプルなものの、戸籍に記載された氏名・続柄等との表記の違いによる誤記入や、チェック欄の記入漏れが起きやすい書類でもあります。

たとえば、漢字の表記や続柄の書き方など、戸籍謄本に合わせて正確に記載する必要があります。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、申述書の記載内容と添付書類の整合性を確認し、不備なく手続きが進むようサポートしています。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

相続放棄申述書の記載内容

相続放棄申述書には、主に次のような項目を記入することになります。

  • 提出先の家庭裁判所の名称
  • 申述人の記名・押印
  • 添付書類の有無
  • 申述人・法定代理人等・被相続人
  • 申述の趣旨
  • 申述の理由
  • 放棄の理由
  • 相続財産の概略
  • 代筆と委任状

それぞれの項目について、以下から詳しく説明します。

提出先の家庭裁判所の名称

申述書を提出する家庭裁判所の名称を記入します。

提出先の家庭裁判所は、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

申述人(相続放棄する人)の現在の住所地ではない点に注意してください。

たとえば、被相続人の本籍地や住民票の所在地が遠方の場合でも、亡くなった方の最後の住所地を担当する家庭裁判所に提出する必要があります。

家庭裁判所の管轄は裁判所の公式サイトで調べることができるので、事前に確認しましょう。

申述人の記名・押印

申述人(相続放棄をする人)の氏名を記入し、氏名の横に実印または認印で押印します。

氏名は戸籍謄本に記載されているとおりに正確に書きましょう。

漢字や記号の表記は戸籍の表記に合わせ、旧字体・俗字体の違いにも注意です。

なお、本人が署名押印できない場合は、後述の「代筆と委任状」の項目を参照してください。

添付書類の有無

申述書には相続放棄の申述に際して添付する書類の有無を記載する欄があります。

具体的には、「戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)」など、必要な書類の名称があらかじめ列挙されており、添付するものにチェックを入れる方式です。また、添付する書類の合計通数を記入する欄もあります。

申述書を提出するときはチェックを入れた書類一式をしっかりそろえて添付し、漏れがないか必ず確認しましょう。

戸籍謄本や住民票除票など、どの書類を何通添付するかは相続人の立場によって異なります(詳細は後述の「必要な添付書類を用意する」で説明します)。

申述人・法定代理人等・被相続人

申述人(相続放棄する人)、法定代理人(いる場合)および被相続人(亡くなった方)の以下の情報を記載することになります。

  • それぞれの氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 本籍
  • 続柄

重要なのは、戸籍謄本や住民票に記載されているとおりに正確に書くことです。

たとえば被相続人の氏名・生年月日・本籍地は、被相続人の除籍謄本(死亡の記載がある戸籍)から転記します。

法定代理人がいる場合(申述人が未成年者や成年被後見人の場合など)は、その代理人の情報も記入します。

誤字や省略があると補正を求められる可能性があるため、役所の証明書類を見ながら丁寧に書き写しましょう。

申述の趣旨

申述の趣旨欄には、あらかじめ「相続の放棄をする」旨が印字されています。

申述は「相続放棄を申し述べます」という申述の内容そのものを示す部分で、申述人が特に何かを書き加える必要はありません。

用紙によっては太枠内に「相続の放棄をする」等と既に記載されています。

そのため、この欄は空欄のままで構いません(消してしまったり書き換えたりしないよう注意してください)。

申述の理由

申述の理由欄は、相続放棄をするに至った事情を整理して記載する部分です。

具体的には「自分が相続の開始があったことを知った日(=相続の開始を知った日)」を問う欄になっています。

申述書では、次の1~4の選択肢の中から当てはまるものを選ぶことになります。

選択肢 内容・記入方法
1.被相続人の死亡の時 被相続人が亡くなったその時に、相続の開始を知った場合に選びます。
2.被相続人の死亡の通知を受けた時 他の人から死亡の知らせを受けて、相続の開始を知った場合に選びます。
3.その他(具体的日時を記入) 上記以外の経緯で相続の開始を知った場合に、その日時を具体的に記入します。
4.その他(具体的事情を記入) 特別な事情がある場合に、その事情を括弧内に具体的に記入します。

選択肢の番号は申述書の書式によって表現が多少異なる場合があるものの、一般的な書式では以上のような区分です。

4の「その他」を選んだ場合は、その後に続く括弧内に具体的な事情を記入します。

申述の理由欄は後述する家庭裁判所からの照会書(質問状)の内容とも関連するため、事実関係を正直に記載しましょう。

放棄の理由

放棄の理由欄では、相続放棄をする理由としてあらかじめ用意されている選択肢1~6の中から該当するものを○で囲むことになります。

書式には典型的な放棄理由が番号付きで示されており、具体的には次の表のとおりです。

選択肢 内容・記入方法
1.被相続人から生前に贈与を受けている 被相続人から生前に十分な財産的支援や贈与を受けており、改めて遺産を受け取る必要がない場合に選びます。
2.生活が安定している 申述人自身の生活が経済的に安定しており、遺産を特に必要としていない場合に選びます。
3.遺産が少ない 被相続人の遺産額が極めて少なく、相続しても実質的なメリットがない場合に選びます。
4.遺産を分散させたくない 遺産を他の相続人に集中させたい、または遺産分割による煩わしさを避けたい等の事情がある場合に選びます。
5.債務超過のため 被相続人の遺産よりも負債(借金)の方が多く、相続するとマイナスになると判断される場合に選びます。
6.その他 上記1~5のいずれにも当てはまらない場合に選び、括弧内に簡潔に具体的な理由を記入します(例:「疎遠であったため関与したくない」など)。

上記1~5の定型理由のうち一つでも当てはまるものがあれば、それを選択するだけで構いません。

もしどれも直接は当てはまらない場合は6の「その他」を選び、理由を一言程度で簡潔に書くことになります。

詳しい事情説明は、後日の照会書で改めて質問されることもあるため、この申述書の段階では長々と書く必要はありません。

たとえば「相続人間で揉めたくないため」「故人と長年疎遠だったため」など、端的な理由で問題ありません。

相続財産の概略

相続財産の概略欄には、被相続人が死亡時に所有していた主な財産の種類とその概略を記入します。

書式には「土地」「建物」「現預金」「有価証券」などの項目が設けられている場合があります。

概略欄では、正確な評価額や詳細までは求められていません。

申述時点で把握している範囲で、「土地(〇〇市〇〇町所在、田・山林等)」「建物(〇〇市〇〇町〇番地所在、木造住宅等)」「預貯金(〇〇銀行、概額〇〇万円)」といった具合に、財産の種類と大まかな内容を記します。

もし債務(借金)があることが分かっている場合も、「債務(住宅ローン残高あり、おおよそ〇〇万円)」等と記載しましょう。

ただし把握できていない財産があっても、無理に全てを書き出す必要はありません。

申述時点で判明している情報を整理して書けば足ります。

代筆と委任状

相続放棄申述書は原則として申述人本人が自署して作成します。

しかし、やむを得ない事情で本人が書けない場合に限り、代筆が認められるケースもあります。

たとえば、申述人が高齢で手が不自由な場合や、視覚障害がある場合などです。

代筆をする場合には、家庭裁判所に対し代筆の理由を明らかにし、必要に応じて委任状などの提出が求められます。

また、申述人が認知症などで相続放棄の意味を理解できない状態にある場合は、成年後見人を家庭裁判所で選任し、その後見人が代理して申述する必要があります。

いずれの場合も、本人の意思確認と署名・押印が原則であるため、代理人や代筆者が関与する際は慎重な手続きが求められます。

本人が書類を作成・提出することが難しい場合は、事前に家庭裁判所へ相談しましょう。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、申述人本人による記入や判断が難しい場合には、成年後見制度の利用や申述方法自体の整理も含め、司法書士・弁護士と連携して家庭裁判所対応も含めた全体の流れを調整しています。

必要に応じて専門家の力を借りながら、手続きが止まらないよう進めることが大切です。

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「関わりたくない」という理由で相続放棄申述書を作る際の書き方のポイント

 

相続放棄をする理由が「とにかく遺産にもう関わりたくないから」という場合、どのように申述書の理由欄に書けば良いか悩む方もいるでしょう。

結論からいえば、理由欄には率直に「関わりたくない」と書いて問題ありません。

家庭裁判所が相続放棄申述を却下するのは期限切れ(3か月を過ぎた場合)や書類の形式不備などであり、理由の内容そのものが原因で却下されることは基本的にないからです。

以下、「関わりたくない」という事情で申述書を書く際に押さえておきたいポイントをまとめました。

  • はっきり「もう関わりたくないから」と記載してよい
  • 理由欄は限られているため、理由は短くてもよい

それぞれのポイントについて、以下から詳しく解説します。

はっきり「もう関わりたくないから」と記載してよい

相続放棄の申述書の理由欄に書いた内容が直接、相続放棄の可否に影響することはありません。

冒頭で述べたとおり、家庭裁判所が相続放棄を受理しない主なケースは、申述期間(3か月以内)を過ぎてしまった場合か、書類に重大な不備がある場合です。

理由の内容が「関わりたくないから」であっても、それ自体で不受理になることはないので、安心してください。

極端な言い方をすれば、「亡くなった親とは折り合いが悪かったので関与したくない」といった個人的事情でも構わないのです。

実際、家庭裁判所から送られてくる照会書(後述)でも、「相続放棄をする意思は変わりませんか」といった確認がある程度で、詳細な動機について厳しく問われることは多くありません。

「もう遺産には一切関わりたくないため相続放棄します」といった簡単な表現でも、要件さえ満たしていれば却下理由にはなりません。

理由欄は限られているため、理由は短くてもよい

相続放棄申述書の理由を書く欄は、用紙上の小さい範囲しかありません。

数行程度しか記入できないため、無理に長文にせず簡潔にまとめましょう。

たとえば、「長年疎遠であったため関わりたくない」「家庭の事情で相続手続きに関与できないため放棄したい」など、数行以内に収まる説明で全く問題ありません。

むしろ、欄からはみ出すような長い説明を書いてしまうと読みづらくなり、家庭裁判所から後日詳しい事情を聞かれる際に説明がぶれてしまう恐れもあります。

理由欄はあくまで形式的なものなので、簡潔さを心がけましょう。

「関わりたくない」だけではなく「~~だから、関わりたくない」と書くべき

ただ「関わりたくない」という一言だけを書くよりは、「〇〇だから関わりたくない」というように背景を一言添えることをおすすめします。

たとえば、「生前から折り合いが悪かったため関わりたくない」「長年連絡を取っておらず事情が分からないため関わりたくない」など、感情の理由に簡単な背景説明をプラスするイメージです。

このように書くことで、書面を読んだ裁判所の担当者にも状況が伝わりやすくなります。

単に「関わりたくない」の一言だけだと、なぜ関わりたくないのかが全く読み取れません。

一言理由を補足するだけで、理解度が格段に上がります。

結果的に、裁判所側で状況を把握しやすくなり、照会書で追加確認が入りにくくなる可能性があります。

相続放棄申述書の入手~提出、その後の流れ

 

相続放棄申述書を入手してから提出し、さらにその後の手続きが完了するまでの大まかな流れを説明します。

相続放棄の手続きは、主に以下のようなステップで進みます。

  • 相続放棄申述書を入手する
  • 相続放棄申述書を書く
  • 必要な添付書類を用意する
  • 相続放棄申述書を提出する【注意点あり】
  • 相続放棄の照会書を返送する
  • 相続放棄申述受理通知書を受け取る
  • 相続放棄申述受理証明書の取得

以下から、それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続放棄申述書を入手する

相続放棄申述書の入手方法は、次の表のように2通りあります。

入手方法 内容・ポイント
家庭裁判所で直接もらう方法 ・被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所の窓口で、相続放棄の申述書用紙を無料でもらえる
・分からない点はその場で職員に質問することもできる
インターネットからダウンロードする方法 ・裁判所の公式サイトで、相続放棄申述書の書式がPDFおよびWord形式で公開されている
・自宅のプリンタでA4用紙に印刷して利用可能
・「相続放棄申述書(書式)」をダウンロードし、必要部数を印刷する

いずれの場合も、最新の書式を使いましょう。

特にダウンロードする場合は、その時点で裁判所サイトに掲載されている最新版を利用してください。

2023年時点の書式には、上で説明したようなチェック欄や記載欄が設けられています。

用紙はA4判2ページにわたるため、印刷漏れがないよう注意しましょう。

相続放棄申述書を書く

相続放棄申述書を入手したら、前述の各項目について実際に記入していくことになります。

記入は手書きで行うのが一般的ですが、パソコン等で作成したものを提出しても構わないとされています。

記入にあたっては、あらかじめ次の点を整理しておくとスムーズです。

申述書に書き込む前に整理しておくと良い事項

事前に以下の表にある情報を整理しておくことで、申述書の記載漏れや迷いを減らすことができます。

準備項目 内容・ポイント
相続開始日と熟慮期間(3か月)の起算点 ・被相続人が亡くなった日、または自分がその事実を知った日付を正確に確認すると、提出期限(○年○月○日まで)が明確になる
・期限内に判断が難しい場合は、期間伸長の申立ても検討する
相続財産の大まかな情報 ・被相続人の財産内容を把握します。特に負債の有無や不動産の有無を確認し、「相続財産の概略」欄に記載する内容を整理する
・「債務超過のため」など、放棄理由の選択にも関係するため必要
被相続人との交流状況の経緯 ・被相続人との生前の関係を簡単に振り返る(例:長年疎遠、別居して音信不通、介護に携わっていたなど)
・照会書で理由を問われた際に、的確に説明できるよう整理しておくと安心
家庭裁判所へ提出する書類一式のリスト ・申述書と一緒に提出する添付書類のチェックリストを作成する
・被相続人の除票・戸籍、申述人の戸籍など、必要書類を漏れなく確認する
・どの書類を何通用意したかをリスト化しておくと、添付書類欄の記入もスムーズ

申述書に書き込む際は、消せるボールペンは使わず、黒のインクまたはボールペンで丁寧に記入しましょう。

万一間違えた場合は、二重線を引いて訂正印を押す必要があります。

必要な添付書類を用意する

相続放棄申述書には、被相続人と相続放棄をする人(申述人)の関係性を証明するための添付書類が必要です。

具体的に何を添付するかは、申述人と被相続人との続柄(関係)によって異なります。

以下に、主なケースごとに必要となる一般的な書類の例を挙げます。

相続人の立場 必要書類 内容・取得先
共通して必要な書類(全員共通) 被相続人の住民票除票または戸籍附票 ・亡くなった方の最後の住所地を証明する書類
・市区町村役場で取得する
申述人(放棄する方)の戸籍謄本 ・相続放棄をする方が相続人であることを証明する戸籍
・現在の本籍地の市区町村役場で取得する
配偶者(被相続人の配偶者) 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本) 被相続人の死亡事実と配偶者関係を確認できる戸籍
子または孫など(第一順位の相続人) 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本 被相続人の死亡事実と親子関係を確認できる戸籍
(孫など代襲相続人の場合)被代襲者(親)の死亡の記載がある戸籍謄本 申述人の親が既に亡くなっていること(代襲相続)を証明する戸籍
父母・祖父母など(第二順位の相続人) 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本 被相続人に子がいないことを確認するため、出生から死亡までの連続した戸籍が必要
被相続人の子・代襲者で死亡している方の出生から死亡までの戸籍謄本 被相続人の子や孫が既に亡くなっていることを確認
被相続人の直系尊属(親・祖父母)で先に亡くなっている方の死亡の記載がある戸籍謄本 申述人より先に死亡している直系尊属の死亡確認のために必要
兄弟姉妹または甥・姪など(第三順位の相続人) 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本 被相続人に子がいないことを確認するための全戸籍
被相続人の子および代襲者で死亡している方の出生から死亡までの戸籍謄本 子・孫がいない(死亡している)ことの確認用
被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本 被相続人の親が既に亡くなっていることを証明
(甥・姪など代襲相続人の場合)被代襲者(兄弟姉妹)の死亡の記載がある戸籍謄本 本来の相続人である兄弟姉妹が死亡していることを証明する戸籍

実際には、先に他の相続人が相続放棄している場合などには提出を省略できる書類もあります。

また、法定相続情報証明制度を利用して「法定相続情報一覧図の写し」で代替できるケースもあります。

具体的に自分の場合に何が必要か分からない場合は、家庭裁判所に問い合わせるか専門家に相談しましょう。

必要書類は、市区町村役場で取得することになります。

戸籍謄本などの取得には1通あたり数百円の手数料がかかるため、あらかじめ用意しましょう。

また、被相続人の本籍地が遠方の場合は、郵送請求や代理人による取得(委任状が必要)も検討します。

申述書に添付する戸籍類は原本を提出しますが、提出後に原本還付を受けたい場合は、写しを取って請求すれば戻してもらえることもあります。

相続放棄申述書を提出する【注意点あり】

相続放棄申述書と必要書類が整ったら、管轄の家庭裁判所に提出します。

提出方法は、家庭裁判所の窓口に持参するか郵送する方法のどちらでも構いません。

提出先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となるため、誤送付に注意してください。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、提出前に全体を確認し、手続きが滞らない形で進めています。

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提出にあたって特に注意すべき点は次のとおりです。

  • 相続放棄申述書には提出期限がある!
  • 相続放棄申述書にはお金がかかる!

ここからは、上記のポイントを一つずつ確認しましょう。

相続放棄申述書には提出期限がある!

相続放棄申述書は、相続の開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所へ提出しなければなりません。

この3か月の期間は「熟慮期間」とも呼ばれ、民法で厳格に定められた期限です。

たとえば、被相続人が亡くなった日(またはその死亡事実を知った日)が1月1日であれば、4月1日までに家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する必要があります。

万一、この期限を過ぎてしまうと、原則として相続放棄はできません。

ただし、例外的に「相続財産が全くないと信じていたが、後から負債が見つかった」等の正当な理由がある場合には、負債等の存在を知ってから3か月以内であれば相続放棄が受理される可能性もあります。

また、どうしても3か月では判断できない場合には、家庭裁判所に期間延長(伸長)の申立てを行うことで期間を延ばすことも可能です。

提出期限ギリギリになると、書類不備があった際に訂正が間に合わなくなるリスクもあります。

できるだけ余裕をもって提出しましょう。

期限内に裁判所へ届いていれば良いため、期限管理は裁判所に到達する日を基準に考え、余裕をもって発送しましょう。

相続放棄申述書にはお金がかかる!

相続放棄の申述には、以下表のように費用がかかります。

費用項目 金額の目安 内容・注意点
収入印紙 800円(相続人1人につき) 相続放棄申述書に貼付します。家庭裁判所の窓口または郵便局で購入可能です。
郵便切手代 数百円程度(例:84円×5枚+10円×2枚=計440円) 家庭裁判所とのやり取り(照会書の送付・返送)に使用します。必要な金額や組み合わせは裁判所ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
添付書類の取得手数料 戸籍謄本:1通450円程度 ほか 戸籍謄本や住民票除票など、必要書類を市区町村役場で取得する際の費用です。取得した分だけ実費がかかります。

収入印紙は家庭裁判所の窓口や郵便局等で購入できます。

郵送提出の場合、申述書に貼り付けておきましょう。

不足があると照会書などが届かなくなってしまうため、指定どおりの金額を忘れずに同封してください。

切手は余った分があれば手続き完了時に返却されます。

相続放棄の照会書を返送する

相続放棄申述書を無事提出すると、後日(通常提出後1~2週間ほどで)家庭裁判所から照会書(照会事項回答書)という書面が申述人宛に郵送されてきます。

照会書は、家庭裁判所が相続放棄の意思や経緯について申述人に確認するための質問票のようなものです。

相続放棄の手続きは照会書に回答して返送し、裁判所が受理決定を下すことで完了します。

したがって、照会書に回答して返送するまでが一連の手続きと考えてください。

照会書には主に次の表のような質問が含まれています。

質問内容 意図・回答のポイント
「相続放棄をしようとする理由は何ですか?」 ・相続放棄を決意した経緯や理由を確認する質問
・申述書の「放棄の理由」欄に書いた内容を踏まえ、もう少し具体的に説明する
「相続放棄をする意思は今も変わりありませんか?」 ・本当に相続放棄して良いのかを再確認する質問
・放棄の意思が確固たるものであることを明確に伝える
「相続の開始があったことを知ったのはいつですか?」 ・相続開始を知った日付の確認を目的とした質問
・申述書の「申述の理由」欄で選択した内容と一致する日付を回答し、申述が期限内(3か月以内)に行われたことを確認する
「相続放棄をすると相続財産を一切受け取れなくなりますが理解していますか?」 ・相続放棄の法律的な効果を理解しているかを確認する質問
・放棄すると最初から相続人でなかったものとみなされ、財産も債務も一切引き継がないことへの理解を問われます。

照会書の質問内容自体は形式的なものが多く、正直に回答すれば難しいものではありません。

記入は黒のペンで行い、質問ごとの回答欄に丁寧に書きましょう。

不明点があれば家庭裁判所に電話で問い合わせても構いません。

照会書への回答は、期限内に家庭裁判所へ返送する必要があります。

同封の返信用封筒や切手の案内がある場合は、指示に従って期日までに郵送してください。

なお、照会書に回答しないまま放置すると、相続放棄が認められなかったり、申述を取り下げたものとみなされるおそれがありますので注意が必要です。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、照会書を受け取った後、お客様が落ち着いて回答できるよう内容整理のお手伝いもしています。

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相続放棄の理由を照会書に記す際の表現例

照会書でも「相続放棄をしようとした理由」について質問されることがあります。

感情的な表現や長すぎる説明は不要で、要点を整理して伝えましょう。

以下は回答例の一部です。

事情の内容 回答例 解説・使い方
生前から長期間交流がなく、財産状況を把握できなかった事情 「被相続人とは◯年以上音信不通で、遺産について全く把握できなかったため」 被相続人と疎遠であったことを理由にする場合の表現例
債務超過と推測される情報を外部から得た事情 「債務が遺産を上回る可能性が高いと聞いたため」 被相続人に借金が多いと判断した場合の簡潔な書き方
自身の生活状況から相続対応が困難であった事情 「自身も生活に余裕がなく、遺産を管理処理することが難しかったため」 自分の経済的・生活的事情で相続に対応できない場合の表現例
特定のトラブルを避けるため、法的関与を望まなかった事情 「相続人間で揉め事を避けたいと考え、法的に関与しないことにしたため」 家族間の紛争やトラブル回避を目的に相続放棄した場合の書き方

照会書はあくまで内部手続きの確認のため、適切に回答すれば概ね問題なく受理されます。

明確で簡潔な回答を心がけましょう。

相続放棄申述受理通知書を受け取る

家庭裁判所に照会書の回答を返送し、特に問題がなければ、やがて「相続放棄申述受理通知書」という書面が郵送されてきます。

相続放棄申述受理通知書は、家庭裁判所が正式に相続放棄を受理した(相続放棄の手続きが完了した)ことを通知する書類です。

相続放棄申述受理通知書には、〇月〇日付であなたの相続放棄申述を受理した旨が記載されています。

以後、被相続人の財産や負債について法的責任を問われることはありません。

受理通知書は大切に保管しておきましょう。

基本的には自分用の記録ですが、まれに金融機関などから相続放棄したことの証明を求められた際に提示を求められることがあります。

ただし通常は、後述の「受理証明書」を取得して提示する場面の方が多いです。

もし申述書や照会書に不備があり相続放棄が認められない場合は、家庭裁判所から「却下通知」等が届くことになります。

そのような通知が来た場合は、至急家庭裁判所や専門家に対応を相談してください。

相続放棄申述受理証明書の取得

相続放棄が受理された後、必要に応じて「相続放棄申述受理証明書」を家庭裁判所から発行してもらうことができます。

たとえば、次のような場合に求められることがあります。

使用場面 内容・目的
不動産の相続登記をする場合 他の相続人が不動産の名義変更(相続登記)を行う際、相続放棄をした人が登記手続から除外されていることを証明するため、受理証明書の提出を求められることがある
被相続人の借金を債権者から請求された場合 ・相続放棄後に金融機関や貸金業者などから返済を求められた場合、受理証明書を提示することで正式に相続放棄した事実を証明できる
・口頭で伝えることも可能ですが、書面がある方が確実
銀行や保険会社での相続手続を行う場合 他の相続人が故人の預金払戻しや保険金請求を行う際、相続放棄した人が法的に相続人から外れていることを示すため、金融機関から証明書の提出を求められることがある

相続放棄申述受理証明書を取得するには、家庭裁判所に対し「相続放棄申述受理証明申請書」を提出します。

具体的な申請手続きは、次のとおりです。

項目 内容
申請先 相続放棄を受理した家庭裁判所(=申述を行った家庭裁判所)に申請する
申請方法 ・窓口または郵送で申請可能
・申請書は家庭裁判所の窓口で入手できるほか、各地の裁判所HPからダウンロードできる場合もある
申請手数料 ・収入印紙150円分を申請書に貼付(1通あたり150円)
・複数通ほしい場合は、通数分の印紙が必要
郵送申請の場合 ・申請書・収入印紙に加えて、返信用封筒と切手を同封する
・返信先の住所氏名を記入し、所定の切手を貼っておけば、証明書が郵送で届く
窓口申請の場合 ・家庭裁判所に直接行き、申述受理通知書・本人確認書類(運転免許証など)・認印を持参する
・多くの裁判所では即日交付してもらえる場合がある

受理証明書は公的な証明文書のため、しっかり発行を受けておけば後々安心です。

特に不動産登記では必須になることが多いため、相続放棄が受理されたら早めに取得しましょう。

「もう関わりたくないから」を理由に相続放棄してOK!正しい書き方で申述書を出そう

 

「もう遺産には関わりたくない」という理由であっても、相続放棄は正当な手段として認められます。

大切なのは、期限内に必要書類を揃えて申述書を正しく記入・提出することです。

特に「関わりたくない」という気持ちが理由の場合でも、申述書の理由欄に簡潔に事情を書き添えれば問題なく受理されます。

申述書提出後は、家庭裁判所からの照会書に回答し、正式に相続放棄が成立します。

相続放棄の手続きを確実に進めるためには、早めの準備と計画が重要です。

また、放棄するか迷っている段階でも、期限が迫っている場合は一旦申述書を出しておくという選択肢もあります。

もし相続放棄の判断に迷いがあったり、書類の書き方に少しでも不安を感じたりした場合は、一人で抱え込まず専門家に相談することも大切です。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産・法律・税務それぞれの視点からお客様の状況を整理し、相続全体を見渡した上で必要な対応策を一緒に考えていきます。

静岡という地域で長年培ってきた実績と、司法書士・税理士・弁護士との連携体制により、相続放棄を含めた適切な判断を冷静に進められる環境を整えています。

相続に直面したとき、「何から手を付ければいいのか分からない」と感じたら、ぜひ当センターを窓口としてご活用ください。

状況を一つ一つ整理し、安心して手続きを進めるお手伝いをさせていただきます。

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記事監修者
司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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