相続は、多くの方が経験する可能性が高い事柄の一つです。
しかし、いざ相続をすることになったらさまざまな専門知識が必要となるため、「自分にできるのだろうか」と不安を抱える方も少なくありません。
そのようなときに頼りになるのが司法書士です。
司法書士は、相続登記や遺産分割協議書の作成のほかに、相続手続きに関する幅広い業務をサポートしてくれます。
この記事では、司法書士へ依頼できる相続の内容や司法書士の選び方などを詳しく説明します。
司法書士と弁護士、税理士の相続における取扱範囲の違いを一覧表にまとめました。
対応業務内容 |
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司法書士 |
・不動産登記 ・相続登記 ・遺産分割協議書の作成 ・相続放棄 ・限定承認の申述 ・預貯金や株式の名義変更 |
弁護士 |
・遺産分割の交渉 ・調停 ・裁判 ・遺留分侵害額請求 ・相続放棄 ・限定承認の申述 ・遺言書の作成 ・執行 |
税理士 |
・相続税の申告 ・納税 ・相続税の節税対策 ・遺産評価 |
基本的に司法書士は不動産登記の専門家として、相続登記全般に関わります。
遺産分割協議書の作成や申述書など、書類作成の業務に対応可能です。
弁護士は、司法書士が携わる登記関連の手続きも対応できますが、専門分野はトラブルの際の仲介です。
法律に深く関わる遺言書の作成や執行にも対応できます。
税理士が対応できる範囲は、主に相続税の申告と納税、節税対策など、税務関係が主になります。
司法書士へ依頼できる内容は、相続登記のほかに、相続人の特定や財産の調査、遺言書作成のサポートなど多岐にわたります。
具体的に司法書士に相続相談できる内容は、以下のとおりです。
5つの相談内容の詳細を説明します。
司法書士は、相続手続きにおける相続人の特定業務に携わります。
相続人を確定させることは、遺産分割協議や相続登記を進めるうえで重要なステップです。
司法書士は相続業務の委任を受けると、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍などを集めて、法定相続人を調査したうえで確定します。
戸籍謄本は、市区町村役場に請求する必要があり、場合によっては広範囲にわたる調査が必要になることもあります。
司法書士は、戸籍の分析や相続関係図の作成に慣れているため、イレギュラーなケースでも正確に相続人を特定することが可能です。
正確な手続きによって、遺産分割協議を円滑に進め、後の相続トラブルを未然に防ぐことができます。
相続人が多い場合や遠方に住んでいる相続人がいる場合など、相続人調査は大きな負担となることがあります。
しかし、司法書士に依頼すれば、相続人の特定にかかる手間を大幅に軽減し、相続手続きをスムーズに進めることが可能です。
司法書士は相続手続きにおいて、相続財産の調査と承認方法の選択をサポートします。
相続財産調査は、遺産分割や相続税申告を行う際に欠かせない手続きです。
司法書士の相続財産調査では、最初に不動産登記簿謄本や預貯金残高証明書、有価証券の取引履歴などを調査して、相続財産の全体像を把握します。
負債の調査は、信用情報機関への照会や債権者からの通知をもとに、細かく調査します。
相続財産の調査が完了次第、相続人は以下のいずれかの方法で相続方法を選択しなければいけません。
単純承認 |
全ての財産と負債を相続する方法 |
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相続放棄 |
全ての財産と負債を放棄する方法 |
限定承認 |
相続によって得たプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を清算する方法 |
司法書士は、それぞれの相続人の状況や希望を考慮しつつ、最適な相続方法を選択できるようにアドバイスします。
相続方法の選択の中でも、相続放棄や限定承認は3か月という短い期限内に手続きを行う必要があるため、専門的な知識が必要です。
司法書士による適切な財産調査と方法選択によって、相続人は大きな損をすることなく、スムーズに相続手続きを進めることができます。
司法書士は、相続手続きにおける不動産の相続登記の専門家です。
相続登記とは、被相続人名義の不動産を相続人の名義に書き換える手続きのことをいいます。
相続登記は、不動産の権利関係を明らかにするために欠かせません。
相続登記は義務化されており、不動産を相続することになったら必ず行う手続きです。
登記をせずにそのままにしていると、不動産を売却したり、担保に入れたりする際に、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
司法書士が相続登記を行う際には、必要な書類の収集や作成、法務局への申請手続きの代行をします。
具体的な業務は、以下のとおりです。
必要書類の収集と作成 |
・被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍の収集 ・相続人の戸籍謄本、住民票の収集 ・遺産分割協議書の作成 ・不動産の固定資産評価証明書の作成 |
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登記申請書類の作成 |
法務局へ提出する登記申請書の作成 |
法務局への申請手続き |
作成した書類を法務局に提出して、登記申請を完了させる |
司法書士に依頼すると、難しい相続登記の手続きでも、スムーズで正確な手続きが期待できます。
相続登記のほかに、遺産分割協議書の作成や相続放棄の手続きなども併せて依頼することもできるので、忙しい人は相続に関するさまざまな問題をまとめてお願いするのも選択肢の一つです。
司法書士は、遺言書の手続きにおいてもサポートができます。
遺言書は被相続人の意思を明らかにしたもので、相続トラブルを防ぐための大事な書類です。
司法書士による、遺言書の作成から執行に関するサポート内容を一覧表にまとめました。
遺言書作成の相談・アドバイス |
・遺言者の希望を反映した、法的効力のある遺言書作成をサポート ・自筆証書遺言、公正証書遺言など、遺言の種類と内容のアドバイス ・法律や税務を考慮した遺言書作成サポート |
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遺言書原案の作成 |
・遺言者の意思を反映した、遺言書の原案作成 ・不動産の表示など、専門的な知識が必要な項目の明記 |
公正証書遺言作成のサポート |
公証人との打ち合わせや必要書類の準備など、作成全般のサポート ※証人として立ち会いもできる |
遺言書の保管 |
作成した遺言書の保管 |
遺言書の検認手続き |
遺言者が亡くなった後に、遺言書を有効化するための検認手続きをサポート |
遺言執行者への就任 |
遺言書を有効化するための手続きを代行することもできる |
司法書士は、遺言書作成に関する専門知識を一通り持っていることから、遺言者の状況や希望に合わせた遺言書作成サポートにも対応可能です。
遺言書作成を検討している方にとって、司法書士は良い相談相手となってくれるでしょう。
司法書士は、生前時の相続対策の相談・サポートにも対応しています。
相続の生前対策では、将来の相続に備えて、生前に財産の管理や処分、相続人の意向などを整理します。
司法書士がサポートできる具体的な生前対策は、次のとおりです。
司法書士は生前対策を通じて相続財産の適切な管理と承継をサポートしつつ、相続トラブルを未然に防ぐことを目指します。
司法書士はさまざまな相続手続きに対応できますが、ほかの士業の独占業務には対応できません。
司法書士ができない相続相談は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
司法書士は、相続人同士のトラブルや争いごとの仲介を行うことはできません。
司法書士が紛争性のある事案へ介入することは、弁護士法で禁止されています。
たとえば、遺産分割協議で相続人同士の意見が対立している場合や、遺留分侵害額請求などで揉めている場合、司法書士は当事者間の仲介や代理人として介入することはできません。
ただし、弁護士と連携してトラブル解決に向けたアドバイスや情報提供を行うことは可能です。
税務に関する業務は税理士の独占業務とされているため、司法書士が相続税の申告に携わることはできません。
相続税の申告書の作成、税務署への提出、税務相談などは、税理士だけが対応できる専門業務です。
ただし、相続税の申告に必要な書類の収集や相続財産評価に関するアドバイスなど、税理士と連携して相続税申告をサポートすることは可能です。
相続登記の専門家である司法書士に相続手続きを依頼するメリットは、以下のとおりです。
3つのメリットを詳しく解説します。
司法書士は相続登記の専門家です。
司法書士へ依頼すると、登記申請書の作成だけでなく、相続人の調査や法務局への申請手続きまで代行してもらえます。
シンプルな相続なら自分で対応できるケースもありますが、相続人の順位が低い場合や代襲相続が発生している場合は、戸籍謄本を集めるだけでも一苦労です。
抜けのない完璧な手続きで、スムーズに終わらせたい場合は、司法書士へ依頼したほうが良いでしょう。
司法書士へ依頼すると報酬が発生しますが、弁護士や税理士に比べると報酬を安く抑えられます。
司法書士は、相続登記や遺産分割協議書の作成など、相続手続きの中でも特に専門性の高い業務を担っているものの、これらの業務は、相続手続きの中でも比較的費用を抑えられる分野です。
一方、弁護士は遺産分割の交渉や裁判など、税理士は相続税申告など、より専門性の高い業務を担うため、費用が高くなる傾向があります。
司法書士は相続に関連する金融商品を勧奨する目的がないため、中立的な立場から相続のアドバイスができます。
銀行や不動産業者、保険代理店などでも相続相談会が開催されることもありますが、いずれも相続に関連する金融商品の勧奨という目的があります。
金融商品を勧める目的があるため、中立な第三者としてのアドバイスは難しいでしょう。
司法書士が金融商品の勧奨をする必要がないのは、報酬を受け取る前提があるためです。
無料相談にはつい目を惹かれてしまいますが、適切なアドバイスと手続きを求める場合は、報酬が発生する士業へ依頼することをおすすめします。
相続の手続きを司法書士へ依頼したときの費用相場の目安を一覧表にまとめました。
項目 |
内容 |
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相談料 | ・初回無料が多い ・2回目以降は30分あたり、5,000〜10,000円 |
書類作成費用 | ・遺産分割協議書作成:3~10万円程度 ・相続関係説明図作成:1~3万円程度 ・相続財産目録作成:2~5万円程度 |
相続登記費用 | 登録免許税、戸籍謄本等の収集費用、司法書士の報酬込みで5〜15万円 |
相続放棄・限定承認の申述費用 | 3~5万円程度 |
その他の諸経費 | 必要書類の収集:1通あたり1,000〜3,000円 |
おおよその目安は5〜15万円程度です。
遺産分割協議書など、書類の作成を依頼するとその分だけ費用が割り増しになります。
相続相談は司法書士に依頼するのがおすすめだということをお伝えしてきましたが、相続に強い司法書士はどのようにして探し出せば良いのでしょうか。
相続に強い司法書士の探し方は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
司法書士へ相談する場合、初回は無料としている事務所が多いです。
無料相談の際に、司法書士の資質をある程度見極めることができます。
基本的なチェックポイントは、次のとおりです。
相続に関する専門知識はもちろん欠かせませんが、スムーズに手続きを進めるうえで、対応力や人柄も大事なチェックポイントです。
相続に強い司法書士を見つけるなら、経験者からの紹介は有効な方法です。
実際に相続を経験した人は、司法書士の専門知識だけでなく、実務能力や対応力についても評価しているため、信頼できる情報を得やすいのがメリットです。
紹介者の体験に基づいた情報は判断材料として有効ですが、主観が入る可能性もあるため、最終的には自分自身でしっかりと確認することが大切です。
インターネット上で確認できる口コミや評判も大事な判断材料となります。
口コミサイトや公式Webサイトに掲載されているお客さまの声は、リアルな評価がなされているものが多く、判断材料として有益です。
口コミや評判を確認するときは、担当者へ向けられた個人的な感情が強い内容は除外します。
感情が多く入った評判は正当な評価にならないためです。
冷静に専門性や対応力、費用などに言及されている口コミや評判は大事な判断材料となります。
相続に強い司法書士を探すうえで、明朗会計であるかをチェックすることは大切です。
報酬費用のトラブルは、依頼者と司法書士の信頼関係に響くだけでなく、精神的な負担にもつながります。
費用の明確さをチェックするには、次のポイントを確認します。
以上の3点を押さえておけば、安心して相続手続きを任せられる司法書士を見つけ出せます。
相続手続きは司法書士だけでなく、弁護士や税理士など、ほかの士業の力が必要になるケースがあります。
司法書士の専門分野は相続登記や遺産分割協議書の作成などですが、遺産分割の交渉や訴訟は弁護士、相続税の申告は税理士の独占業務です。
司法書士が対応できない事案が起きたとしても、弁護士や税理士と連携していれば、相続に関連する問題をワンストップで解決できるようになります。
司法書士は相続に関するさまざまな手続きを代行することができます。
基本的に、相続手続きを専門家へ依頼する場合は、司法書士へ依頼するとスムーズに進みやすいです。
また、連携力のある司法書士へ依頼すると、専門外のイレギュラーな案件にも柔軟に対応してくれるでしょう。
静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、お客様一人ひとりに合った相続対策を考え、さまざまな悩みをワンストップで解決できる組織力を持っています。
まだ相続が発生していない方からすでに相続が発生している方まで、メールやフリーダイヤルにて相談に対応していますので、お気軽にお問い合わせください。