相続した土地をすぐに売却したいと思っても、実際には「相続登記」「相続人同士の話し合い」「税金」「境界の確認」など、先に整えておくべきことがあります。
特に、土地は預貯金のように簡単に分けられるものではありません。
手続きを急ぐあまり確認不足のまま売却を進めてしまうと、相続人同士のトラブルや税金面での損、買主との契約トラブルにつながるおそれがあるのです。
この記事では、相続した土地をすぐ売却するために必要な準備や、売却するメリット、注意点について解説します。
私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、相続登記をはじめ、相続した土地の売却前に必要となる名義変更や権利関係の確認をサポートしています。
売却価格や税金、境界などについては、必要に応じて不動産会社・税理士・土地家屋調査士などと連携しながら進めることが大切です。
相続登記や売却前の名義変更で不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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相続した土地はすぐ売却できる?

相続した土地は売却できます。
ただし、次のように「相続したからすぐ売れる」というわけではありません。
- 相続登記が済んでいないと売却できない
- 相続人全員の合意がないと売却できない
- 土地の状態によっては売却前の確認が必要になる
ここからは、相続した土地を売却する上で気をつけたい、それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。
相続登記が済んでいないと売却できない
相続登記とは、亡くなった方の名義になっている土地を相続人の名義に変更する手続きです。
相続した土地を売却するには、原則として相続登記を済ませておく必要があります。
登記簿上の名義が亡くなった方のままだと、買主に対して「この土地を売る権利がある人である」と示すことができません。
そのため、売買契約や所有権移転の手続きを進めることが難しくなります。
また、相続登記は義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から、3年以内に手続きを行う必要があります。
第76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
引用元:不動産登記法 | 第76条の2
正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になる可能性もあります。
第164条(過料)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
引用元:不動産登記法 | 第164条
土地の売却を急いでいる場合でも、相続登記を省略して売却することは基本的にできません。
まずは必要な戸籍や書類を集め、司法書士などの専門家に相談しながら、相続登記を進めることが大切です。
相続人全員の合意がないと売却できない
相続人が複数いる場合、土地全体を売却するには、原則として相続人全員の合意が必要です。
第251条(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
引用元:民法 | 第251条
亡くなった方の土地は、遺産分割が終わるまでは相続人全員で共有している状態になります。
そのため、一部の相続人だけが「売りたい」と考えていても、他の相続人が反対している場合は、土地全体を自由に売却することはできません。
売却を進める前には、次の内容を相続人同士で決めておく必要があります。
- 誰が土地を相続するのか
- 土地を売却するのか、残すのか
- 売却代金をどのように分けるのか
- 売却に必要な手続きや費用を誰が負担するのか
話し合いで決まった内容は、遺産分割協議書として書面に残しておくことが大切です。
口約束のまま進めると、あとから「聞いていない」「その条件では納得できない」といったトラブルにつながることがあります。
相続人が多い場合や、連絡が取りにくい相続人がいる場合は、手続きに時間がかかることもあります。
早く売却したいときほど、相続人の確認と合意形成を早めに進めましょう。
土地の状態によっては売却前の確認が必要になる
相続登記や相続人の合意が済んでいても、土地の状態によってはすぐに売却できないことがあります。
たとえば、境界がはっきりしていない土地、抵当権が残っている土地、古い建物が残っている土地などは、買主にとって不安材料になりやすいです。
そのため、売り出す前に調査や整理が必要になる場合があります。
売却前に確認したい主なポイントは、次の通りです。
| 確認する項目 | 注意したい内容 |
|---|---|
| 境界 | 隣地との境目が不明確だと、売却後にトラブルになる可能性がある |
| 接道 | 建築基準法上の道路に一定以上接していない土地は、建物の建築や再建築が難しい場合がある |
| 抵当権 | 借入れの担保になっている場合は、決済時までに抹消手続きが必要になることがある |
| 共有持分 | 土地全体を売却する場合は、他の共有者の同意が必要になる |
| 古家・空き家 | 解体するのか、そのまま売るのかを検討する必要がある |
| 越境 | 塀や樹木、配管などが隣地にはみ出していると、買主との交渉に影響する |
| 借地権・地役権 | 他人の権利が関係している場合、売却条件の確認が必要 |
こうした問題がある土地は、売却自体が不可能というわけではありません。
ただし、そのまま手続きを進めると、売却条件の調整が必要になったり、契約前後のトラブルにつながったりすることがあります。
特に空き家付きの土地を売却する場合は、建物を残すのか、解体して更地にするのかによって売却方法が変わります。
また、一定の条件を満たす場合には税金面の特例を使える可能性もあるため、売却前に税理士などに確認しておくと安心です。
相続した土地の売却を検討している場合は、まず登記事項証明書などで名義や権利関係を確認し、必要に応じて司法書士や不動産会社、税理士などに相談しながら準備を進めましょう。
相続した土地をすぐ売却するために必要な手続き

相続した土地を売却するには、不動産会社への相談だけでなく、相続登記や権利関係の整理も必要になります。
相続登記は司法書士、税金は税理士、相続人同士で争いがある場合は弁護士など、内容に応じて相談先を分けることが大切です。
相続した土地をすぐ売却するための主な手続きは、次の通りです。
- 売却前の確認事項を整理する
- 相続登記を完了させる
- 必要書類をそろえる
- 相続登記と並行して売却準備を進める
- 売却にかかる税金や費用を確認する
- 売買契約前に権利関係や必要書類を確認する
- 決済日に所有権移転登記を行う
ここからは、相続した土地を売却するために必要な手続きについて詳しく見ていきましょう。
私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続登記や必要書類の整理を中心に、相続した土地の売却前に必要な手続きをサポートしています。
税金や売却条件については、必要に応じて税理士や不動産会社などと連携しながら進めることができます。
相続登記や売却前の名義変更で何から進めるべきか迷う場合は、お気軽にご相談ください。
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1.売却前の確認事項を整理する
土地を売却する前に、まずは「その土地を本当に売れる状態にできるか」を確認しましょう。
売却前に特に確認したい点は、次の通りです。
- 相続登記が完了しているか
- 相続人全員の同意が取れているか
- 相続税の申告が必要か
- 空き家付きの土地か
- 登記上の権利関係に問題がないか
以下からは、それぞれの確認項目について詳しく見ていきましょう。
相続登記が完了しているか
相続した土地を売却するには、原則として亡くなった方名義の土地について、相続人への所有権移転登記、つまり相続登記をしておく必要があります。
登記簿上の所有者が亡くなった方のままだと、買主に対して「この土地を売る権利がある人である」と示すことができません。
そのため、売買契約や所有権移転登記の手続きが進められないことがあります。
売却を急いでいる場合でも、相続登記を省略して進めることは基本的にできません。
早めに必要書類を集め、司法書士に相談しながら手続きを進めましょう。
相続人全員の同意が取れているか
相続人が複数いる場合、土地全体を売却するには、原則として相続人全員の同意が必要です。
遺産分割が終わるまでは、相続した土地は相続人全員で共有している状態になります。
そのため、一部の相続人だけが売却を希望していても、他の相続人が反対している場合は、土地全体を自由に売ることはできません。
売却前には、次の内容を話し合いましょう。
- 土地を誰が相続するのか
- 売却する場合、誰が売主になるのか
- 売却代金をどのように分けるのか
- 測量費、解体費、税金などの費用を誰が負担するのか
話し合いで決まった内容は、遺産分割協議書として書面に残すことが大切です。
口頭での合意だけでは、あとから「聞いていない」「その分け方には納得できない」といったトラブルになる可能性があります。
相続人が多い場合や、連絡が取りにくい相続人がいる場合は、合意形成に時間がかかることもあります。
すぐ売却したいときほど、早めに相続人の確認と話し合いを始めましょう。
相続税の申告が必要か
相続した財産の金額によっては、相続税の申告が必要になることがあります。
相続税がかかるかどうかは、土地だけでなく預貯金、有価証券、建物、生命保険金など、相続財産全体をもとに判断します。
相続税の申告・納税は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことが必要です。
第27条(相続税の申告書)
第二十七条 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
引用元:相続税法 | 第27条
また、相続税を納めた方が相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに相続した土地を売却する場合、譲渡所得税の負担を軽くできる特例を使える可能性があります。
特例の適用を受けるための要件
(1) 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
(2) その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
(3) その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
引用元: 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
こうした特例を使えるかどうかで、最終的な手取り額が変わることがあります。
売却価格だけを見て判断するのではなく、次の点も確認しましょう。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 相続税の申告が必要か | 相続財産全体の金額を確認する |
| 納税資金が確保できるか | 土地の売却代金を納税に充てる場合は、申告・納税期限までに現金化できるか確認する |
| 譲渡所得税・住民税がかかるか | 土地を売って利益が出る場合、税金がかかることがあるため注意する |
| 使える特例があるか | 取得費加算の特例などを使える可能性がある |
税金の判断は複雑になりやすいため、売却前に税理士に相談しておくと安心です。
空き家付きの土地か
空き家付きの土地を売却するときに確認したい点は、次の通りです。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 建物の状態 | 老朽化が進んでいる場合、買主が不安を感じることがある |
| 解体すべきか | 更地にしたほうが売りやすい場合もあるものの、解体費用がかかる |
| 固定資産税への影響 | 更地にすると固定資産税等の住宅用地特例が外れ、税負担が増えることがある |
| 残置物の有無 | 家具や荷物が残っている場合は、処分方法を決める必要がある |
| 税金の特例 | 一定の条件を満たすと、譲渡所得から控除を受けられる可能性がある |
空き家を放置すると、建物の劣化、近隣への迷惑、管理費用の増加につながることがあります。
売却を考えている場合は、建物付きで売却するのか、解体して売却するのかは、不動産会社や税理士などにも確認しながら検討しましょう。
登記上の権利関係に問題がないか
土地の権利関係に問題があると、売却に時間がかかることがあります。
売却前には、登記事項証明書や公図、測量図、固定資産税関係の書類などを確認し、問題がないか整理しましょう。
特に確認したい内容は、次の通りです。
| 確認すること | 注意点 |
|---|---|
| 所有者・共有者 | 誰の名義になっているか、共有者がいるかを確認する |
| 抵当権 | 住宅ローンなどの担保が残っている場合、決済時までに抹消手続きが必要 |
| 境界 | 隣地との境目が不明確だと、売却後のトラブルにつながりやすい |
| 接道 | 道路との接し方によって、建物の建築や再建築に影響する |
| 越境 | 塀、樹木、配管などが隣地にはみ出していないか確認する |
権利関係や土地の状態に問題がある場合でも、整理や調整によって売却に向けた準備を進められることがあります。
ただし、買主への説明や契約条件の調整が必要になるため、登記上の権利関係は司法書士に、土地の価格や売却条件は不動産会社に確認しておくことが大切です。
2.相続登記を完了させる
売却前の確認ができたら、相続登記を進めます。
買主へ所有権を移す前提として、まず相続人側の名義を整えましょう。
相続登記では、主に次の内容を確認してみてください。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 相続人の範囲 | 誰が相続人になるのかを戸籍で確認する |
| 遺言書の有無 | 遺言書がある場合は、その内容に沿って手続きを進める |
| 遺産分割協議の内容 | 相続人全員で土地の取得者を決める |
| 登記する名義人 | 売却予定の場合、誰を売主にするかも考えて決める |
相続登記を後回しにすると、売却の話が進んでから書類不足や相続人の確認漏れが見つかることがあります。
売却を急ぐ場合は、最初に進めたい手続きです。
3.必要書類をそろえる
相続した土地を売却するには、相続登記用の書類と売却用の書類をそろえる必要があります。
必要書類はケースによって異なるものの、一般的には次のような書類を準備します。
| 書類の種類 | 主な内容・注意点 |
|---|---|
| 被相続人の戸籍関係書類 | 出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本など |
| 相続人の戸籍謄本 | 相続人であることを確認するための書類 |
| 相続人の住民票 | 新たに名義人になる人の住所を確認する書類 |
| 遺言書または遺産分割協議書 | 誰が土地を取得するかを示す書類 |
| 印鑑証明書 | 遺産分割協議書や契約書で必要になることがある |
| 登記事項証明書 | 土地の権利関係を確認する書類 |
| 固定資産評価証明書 | 登録免許税の計算などに使う |
| 公図・測量図 | 土地の形や面積、境界の確認に使う |
| 固定資産税関係書類 | 税金の精算や土地情報の確認に使う |
書類は市区町村役場、法務局、税務関係の窓口など、取得先が複数に分かれます。
遠方の役所から取り寄せが必要になることもあるため、早めに準備を始めましょう。
4.相続登記と並行して売却準備を進める
売却を予定している場合は、相続登記や必要書類の準備と並行して、不動産会社に査定を依頼することもあります。
査定では、土地の広さや形、道路との接し方、周辺環境、建物の有無、境界の状態などをもとに、どのくらいの価格で売却できそうかを確認します。
相続した土地の査定では、次の点もあわせて見てもらいましょう。
| 査定時に確認したいこと | 内容 |
|---|---|
| 売却予想価格 | どのくらいの価格で売れそうかを確認する |
| 売却にかかる期間 | すぐ売却できる可能性があるか、時間がかかりそうかを確認する |
| 測量が必要か | 境界確認や測量が必要かを確認する |
| 解体が必要か | 古家がある場合、解体したほうがよいかを検討する |
| 売却方法 | 更地売却、古家付き売却、不動産会社による買取などの選択肢を比較する |
査定額や売却条件は不動産会社によって異なるため、必要に応じて複数社に確認するとよいでしょう。
複数の査定結果を比較しながら、価格だけでなく売却までの流れや必要費用も含めて検討することが大切です。
5.売却にかかる税金や費用を確認する
土地を売却するときは売却価格だけでなく、最終的に手元にいくら残るかを確認することが大切です。
土地を売って利益が出ると、譲渡所得税や住民税がかかることがあります。
また、不動産会社に支払う仲介手数料、測量費、解体費、登記費用なども差し引く必要があります。
手取り額を考えるときは、次の費用を確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡所得税・住民税 | 譲渡所得が発生した場合にかかる税金 |
| 仲介手数料 | 不動産会社に売却を依頼した場合にかかる |
| 登記費用 | 相続登記や抵当権抹消などで必要になることがある |
| 測量費 | 境界確認や測量が必要な場合にかかる |
| 解体費 | 古家を取り壊して売る場合にかかる |
| 残置物処分費 | 家財や荷物を処分する場合にかかる |
また、相続税を納めた方が一定期間内に土地を売却する場合や、空き家付きの土地を売却する場合には、税金の特例を使える可能性があります。
特例を使えるかどうかで、手取り額が変わることもあります。
売却前に税理士へ相談し、税金や特例の適用可否を確認しておきましょう。
6.売買契約前に権利関係や必要書類を確認する
買主が見つかったら、売買契約を締結します。
売買契約では、引き渡し日や境界の扱い、古家や残置物の扱い、契約不適合責任の範囲などを確認します。
また、登記手続きに必要な書類も、契約前後で確認しておくことが大切です。
相続した土地の売買契約で特に確認したい項目は、次の通りです。
| 契約で確認すること | 内容 |
|---|---|
| 売買代金 | 合意した売却価格が正しく記載されているか確認する |
| 手付金 | 金額や支払い時期を確認する |
| 引き渡し日 | いつ土地を引き渡すのかを決める |
| 境界の扱い | 境界確定を行うのか、現況で引き渡すのかを確認する |
| 古家・残置物 | 建物や荷物を残すのか、撤去するのかを決める |
| 契約不適合責任の範囲 | 売却後に契約内容と異なる問題が見つかった場合の責任範囲を確認する |
| 固定資産税等の精算 | 売主と買主でどのように負担するかを決める |
相続人が複数いる場合は、契約当事者や署名押印の方法にも注意が必要です。
契約内容をよく確認し、契約内容そのものに不安がある場合は弁護士へ、登記や権利関係に不安がある場合は司法書士へ相談してから進めましょう。
7.決済日に所有権移転登記を行う
売買契約を結んだあとは、決済日に土地の引き渡しと代金の受け取りを行います。
決済日には、売買代金の授受とあわせて、買主への所有権移転登記を行います。司法書士は、登記に必要な書類がそろっているかを確認し、登記申請を進めます。
抵当権が残っている場合は、抵当権抹消登記の手続きもあわせて行いましょう。
引き渡し時に確認する主な内容は、次の通りです。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 残代金の受け取り | 売買代金の残額が支払われる |
| 所有権移転登記 | 買主へ名義を移す手続きを行う |
| 抵当権抹消 | 担保権が残っている場合は抹消する |
| 鍵や書類の引き渡し | 建物がある場合は鍵、関係書類などを渡す |
| 固定資産税等の精算 | 売主・買主間で日割り精算することがある |
| 売却代金の分配 | 相続人間で分ける場合は、遺産分割協議書に沿って分配する |
当日に必要書類が不足していると、決済が延期になることがあります。
売却をスムーズに完了させるためにも、事前に不動産会社や司法書士と必要書類を確認しましょう。
相続した土地の早期売却を検討したほうがよいケース

相続した土地は、必ずしもすぐに売らなければならないわけではありません。
しかし、持ち続けることで税金や管理費がかかり続けたり、建物の老朽化によって売りにくくなったりする場合は、早めに売却を検討したほうがよいケースもあります。
早めの売却を検討したほうがよいのは、次のようなケースです。
- 管理費・固定資産税の負担が重い場合
- 空き家の老朽化により管理負担が大きい場合
- 利用予定がない場合
- すぐに現金が必要な場合
ここからは、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
管理費・固定資産税の負担が重い場合
相続した土地を使っていなくても、所有している限り固定資産税などの費用はかかります。
たとえば、以下の表のような費用です。
| 負担の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 固定資産税 | 土地や建物を所有している限り、毎年かかる税金 |
| 管理費 | 草刈り、清掃、見回りなどにかかる費用 |
| 修繕費 | 古い建物や塀などを直すための費用 |
| 交通費・委託費 | 遠方の土地を確認したり、管理会社へ依頼したりする費用 |
特に、土地から家賃収入などが出ていない場合、毎年の固定資産税や管理費はそのまま負担になります。
「使っていないのに費用だけがかかっている」と感じる場合は、不動産会社などに相談し、売却によって負担を減らせるか確認してみましょう。
空き家の老朽化により管理負担が大きい場合
相続した土地に空き家が建っている場合は、建物の状態にも注意が必要です。
空き家は、人が住まなくなると換気や修繕がされず、劣化が進みやすくなります。
雨漏り、シロアリ、外壁の破損、庭木の繁茂・越境などが起こると、修繕費や管理の手間が増えるだけでなく、近隣トラブルにつながるおそれもあります。
老朽化した空き家がある土地では、売却時に次のような判断が必要です。
| 検討すること | 内容 |
|---|---|
| 建物付きで売るか | 解体費をかけずに売れる可能性があるが、買主が限られる場合がある |
| 解体して更地にするか | 買主が利用しやすくなる場合があるが、解体費用がかかる |
| 修繕して売るか | 建物として使える状態なら選択肢になるが、費用対効果の確認が必要 |
| 税金の特例を使えるか | 一定の条件を満たす場合、税負担を軽くできる可能性がある (譲渡所得から最高3,000万円まで控除でき、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は最高2,000万円まで)
|
空き家の状態が悪くなるほど買主が不安を感じやすくなり、売却価格や売却期間にも影響します。
使う予定がない空き家付きの土地は、建物がさらに傷む前に売却方針を決めることが大切です。
利用予定がない場合
相続した土地を自分で使う予定がなく、貸す予定もない場合は、早めに売却を検討しましょう。
土地は、所有しているだけで固定資産税や管理の負担が発生します。
また、相続人が複数いる場合、時間が経つほど次の相続が発生し、関係者が増えかねません。
そうなると、いざ売却しようとしても、全員の同意を取るだけで時間がかかる場合があります。
利用予定がない土地では、次の点を確認しましょう。
- 将来的に自分や家族が使う可能性があるか
- 賃貸や駐車場などで活用できる可能性があるか
- 固定資産税や管理費に見合う価値があるか
- 周辺で土地の需要があるか
- 相続人全員が売却に前向きか
活用の見込みが薄い土地は、不動産会社に査定を依頼し、売却した場合の条件や費用を確認しておくと判断しやすくなります。
すぐに現金が必要な場合
相続税の納付、他の相続人への代償金の支払い、借入金の返済、遺品整理や解体費用などで現金が必要な場合も、土地の売却を検討しましょう。
土地は現金と違い、すぐに分けたり支払いに使ったりすることができません。
そのため、納税期限や支払期限が迫っている場合は、売却までにかかる期間を逆算して早めに動く必要があります。
現金化を急ぐ場合に確認したい点は、次の通りです。
| 確認すること | 内容・注意点 |
|---|---|
| いつまでに現金が必要か | 相続税の納付や支払いの期限を確認する |
| いくら必要か | 納税額、代償金、整理費用などを整理する |
| どのくらいで売れそうか | 査定額だけでなく、売却にかかる期間も確認する |
| 手取りはいくらになるか | 税金や仲介手数料、測量費、解体費などを差し引いて考える |
| 税金の特例を使えるか | 売却時期によって使える特例が変わる場合がある |
急いで売却する場合でも、価格だけで判断すると、税金や費用を差し引いたあとに思ったほど手元に残らないことがあります。
必要な現金の額と期限を整理し、不動産会社や税理士などに相談しながら、無理のない売却計画を立てましょう。
相続登記が未了の場合は、司法書士にも早めに相談することが大切です。
相続した土地の売却を急がないほうがよいケース

相続した土地は、早く売却すればよいとは限りません。
状況を整理しないまま売却を進めると、相続人同士のトラブルや税務上の不利益、買主との契約トラブルにつながるおそれがあります。
焦って売らないほうがよい代表的なケースは、次の通りです。
- 相続人の意見がまとまっていない場合
- 税務上の特例を確認する必要がある場合
- 相続登記が未了の場合
- 登記上の権利関係や境界に不明点がある場合
ここからは、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
相続人の意見がまとまっていない場合
相続人の意見がまとまっていない場合は、無理に売却を進めないことをおすすめします。
相続した土地は、遺産分割が終わるまでは相続人全員で共有している状態になります。
そのため、一部の相続人だけが売却を希望していても、他の相続人が反対している場合は土地全体を自由に売却することはできません。
売却前には、少なくとも次の内容を相続人同士で話し合っておく必要があります。
| 話し合う内容 | 確認すること |
|---|---|
| 土地を誰が取得するか | 相続人のうち、誰の名義にするかを決める |
| 売却するかどうか | 土地を売るのか、残すのかを確認する |
| 売却代金の分け方 | 売却後のお金をどのように分けるかを決める |
| 費用の負担 | 測量費、解体費、登記費用、税金などを誰が負担するかを決める |
合意が不十分なまま売却を進めると、契約直前になって反対意見が出たり、売却代金の分配でもめたりすることがあります。
まずは遺産分割協議を行い、決まった内容を遺産分割協議書として書面に残しましょう。
税務上の特例を確認する必要がある場合
相続した土地を売却する場合、一定の条件を満たすと税金の負担を軽くできる特例を使えることがあります。
特例の適用を受けるための要件
(1) 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
(2) その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
(3) その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
引用元: 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
ただし、こうした特例には次の表のように期限や条件があります。
確認しないまま売却してしまうと、本来使えたはずの特例を使えず、手取り額が少なくなることがあります。
| 確認したい特例 | 注意点 |
|---|---|
| 取得費加算の特例 | 相続税を納めた方が、一定期間内に相続財産を譲渡する場合に関係する |
| 空き家の特別控除 | 相続した空き家やその敷地を売る場合に関係する |
| 小規模宅地等の特例 | 相続税の計算で土地の評価額を下げられる可能性がある |
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者が相続する場合、相続税の負担に関係することがある |
小規模宅地等の特例は、売却時の譲渡所得税を直接軽くする制度ではないため、相続税の申告内容とあわせて確認が必要です。
また、税務上の特例は相続財産の分け方や売却時期によって使えるかどうかが変わります。
売却価格だけで判断せず、税理士に相談しながら、税務上の特例や税負担を確認してから売却を進めましょう。
相続登記が未了の場合
相続登記が終わっていない土地は、売却前に相続人名義へ所有権移転登記を行う必要があります。
第76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
引用元:不動産登記法 | 第76条の2
登記簿上の名義が亡くなった方のままだと、買主に対して「この土地を売る権利がある人である」と示すことができません。
そのため、売買契約や所有権移転登記の手続きが途中で止まる可能性があります。
特に、相続人が複数いる場合は、誰が土地を取得するのかを決めたうえで、相続登記を行う必要があります。
相続人の確認や戸籍の収集に時間がかかることもあるため、売却を急ぐ場合ほど早めに動くことが大切です。
相続登記などが未整理のまま買主を探しても、最後の段階で手続きが進まなくなることがあります。
結果的に売却が遅れる原因になるため、まずは司法書士に相談し、相続登記や登記上の権利関係を確認しておきましょう。
登記上の権利関係や境界に不明点がある場合
境界や権利関係に不明点がある土地は、焦って売るよりも、先に問題点を整理しておくことが大切です。
売却後に問題が発覚すると、契約解除や損害賠償などのトラブルにつながるおそれもあります。
確認したいポイントとしては、次が挙げられます。
- 地中埋設物・土壌汚染などの可能性がある
- 古い建物がある
- 買主への事情説明が必要
以下からは、特に注意したい点について詳しく見ていきましょう。
地中埋設物・土壌汚染などの可能性がある
地中埋設物や土壌汚染などは、見た目だけではわかりにくい問題です。
たとえば、土地の中に古い基礎、廃材、井戸、浄化槽などが残っていたり、過去の利用状況によって土壌汚染の可能性があったりする場合があります。
こうした問題を確認しないまま売却すると、引き渡し後に買主から責任を問われることがあります。
特に、以前に工場や作業場として使われていた土地、古い建物が長く建っていた土地、過去の利用状況がはっきりしない土地では注意が必要です。
不安がある場合は、売却前に不動産会社や調査会社などへ相談し、必要に応じて調査を検討しましょう。
調査結果や把握している内容は、買主に正しく説明できるよう整理しておくことが大切です。
古い建物がある
相続した土地に古い建物が残っている場合は、建物の状態を確認してから売却を進めましょう。
古い建物には、雨漏り、シロアリ被害、建物の傾き、給排水設備の不具合、外壁や屋根の劣化などが隠れていることがあります。
売主が把握している不具合を伝えないまま売却すると、あとから買主とのトラブルになる可能性があります。
古い建物付きの土地を売却する場合は、次の点を確認しておくと安心です。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 建物の状態 | 雨漏り、シロアリ、傾き、設備不良などがないか確認する |
| 解体すべきか | 建物付きで売却するか、更地にして売却するかを検討する |
| 残置物の有無 | 家具や荷物が残っている場合は、処分方法を決める |
| 税金への影響 | 空き家の特例などを使える可能性があるか確認する |
| 買主への説明 | わかっている不具合は事前に伝える |
建物を残して売却するのか、解体して売却するのかによって、売却条件や税金の扱いが変わることがあります。
自己判断で急いで売却するよりも、事前に不動産会社や税理士、司法書士などへ相談し、方針を整理することが大切です。
買主への事情説明が必要
相続した土地を売却するときは、売主が把握している事情を買主にきちんと説明する必要があります。
たとえば、境界がはっきりしない、越境物がある、古い建物に不具合がある、過去に近隣トラブルがあったなど、買主の判断に影響する内容は、事前に伝えておくことが大切です。
特に相続した土地では、売主自身がその土地や建物を利用していなかったため、詳しい状況を把握できていないこともあります。
その場合は、わからないことを隠すのではなく、「確認できていること」と「不明なこと」を分けて整理しましょう。
買主への説明が必要になりやすい内容は、次の表の通りです。
| 説明が必要になりやすい内容 | 例 |
|---|---|
| 境界・越境 | 境界標がない、塀や樹木が隣地にはみ出しているなど |
| 建物の不具合 | 雨漏り、シロアリ、設備故障、建物の傾きなど |
| 権利関係 | 抵当権、共有持分、借地権、地役権、賃借権など |
| 土地の状態 | 地中埋設物、土壌汚染、過去の利用状況など |
| 近隣関係 | 通行、排水、騒音、境界に関する過去のやり取りなど |
説明不足のまま契約すると、売却後に買主から「聞いていなかった」と言われる可能性があります。
物件状況報告書や重要事項説明書に正しく反映できるよう、不動産会社と一緒に確認しましょう。
相続した土地の売却前には相続登記や権利関係を確認しよう

相続した土地を売却するときは、売却活動だけでなく、相続登記や権利関係の確認も必要です。
相続した土地を早く売却したい場合でも、手続きを急ぎすぎるとあとから税金や契約内容で不利益が出ることがあります。
大切なのは、単に早く売ることではなく、相続登記や権利関係、税金、契約内容を確認しながら、トラブルを避けて進めることです。
私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、相続した土地の売却前に必要となる相続登記や権利関係の確認をサポートしています。
また、税金や売却価格、境界に関する確認が必要な場合は、税理士・不動産会社・土地家屋調査士などと連携しながら進めることが可能です。
相続登記や売却前の権利関係の整理でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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