田舎の土地を相続するかどうかは、慎重に判断したい問題です。
土地は財産である一方、使う予定がない場合でも固定資産税や管理の手間がかかり続けるため、相続後に負担を感じるケースもあります。
また、田舎の土地は買い手が見つかりにくい、活用方法が限られる、共有名義になると処分しにくいなど、都市部の不動産とは異なる注意点があります。
そのため、相続する前に「自分たちで管理できるか」「売却や活用の見込みはあるか」「他の相続財産とのバランスはどうか」を整理しておくことが大切です。
本記事では、田舎の土地を相続するメリット・デメリット、相続すべきか判断するポイント、土地を手放す方法について解説します。
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田舎の土地を相続するメリット

田舎の土地は、必ずしも負担だけになるとは限りません。
条件が合えば、費用を抑えて土地を取得できたり、売却や賃貸によって活用できたりする可能性があります。
田舎の土地を相続する主なメリットは、次の通りです。
- 購入費をかけずに土地を取得できる
- 売却できれば現金化できる
- 貸せる土地なら収入につながる
- 家族にとって大切な土地を残せる
以下からは、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
購入費をかけずに土地を取得できる
相続なら土地の購入費はかからず、不動産取得税も原則としてかかりません。
登録免許税は必要ですが、売買より初期費用を抑えやすい点が利点です。
相続によって土地の所有権を取得した方は、原則として、その土地を相続によって取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく登記しない場合、10万円以下の過料を科されるおそれがあります。
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相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になりました。
正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
遺産分割(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります。
引用元:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
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売却できれば現金化できる
相続した田舎の土地は、買い手が見つかれば売って現金にでき、相続人で分けやすくなります。
「道路に面した土地」や「住宅、農業、事業に使いやすい土地」は売れる場合が多いです。
場所、周辺環境、道路との接し方、土地の種類、建物の有無で売れやすさが変わります。
農地は農地法に基づく許可や届出などの手続きが必要になる場合があるため、売れる土地か、必要な手続きは何かを先に確認しましょう。
貸せる土地なら収入につながる
土地は、駐車場や資材置き場、農地、倉庫用地として貸せれば、賃料収入を得られる場合があります。
ただし、借り手がいるか、必要な手続きに問題がないか、管理の負担に合う収入かを先に確かめましょう。
契約前には、期間、管理方法、費用の分け方、土地を返してもらう条件を明確にしてください。
家族にとって大切な土地を残せる
実家や先祖代々の土地は、思い出や将来の利用を考えて残す方法もあります。
ただし、税金、草刈り、建物の手入れにかかる費用も確認してください。
共有地全体の売却や、共有物の形状・効用を大きく変える変更には、原則として共有者全員の同意が必要です。
一方、草刈りなどの保存行為は各共有者が単独で行うことができ、共有物の管理に関する事項は、原則として共有持分の価格の過半数で決定します。
家族にとって大切な土地として受け継ぐ場合でも、誰が引き継いで管理し、費用を負担するのかを家族で事前に決めておきましょう。
田舎の土地を相続するデメリット

田舎の土地を相続する主なデメリットは、次の通りです。
- 固定資産税や管理費などの維持費がかかる
- 草刈り・見回りなどの管理負担が発生する
- 古い建物は倒壊・修繕のリスクがある
- 家族の意見が割れると管理・手続きが進みにくい
- 買い手が見つからず売却・処分に困ることがある
ここからは、相続後に問題になりやすいことについて詳しく見ていきましょう。
固定資産税や管理費などの維持費がかかる
土地を所有している限り、利用していない土地であっても、原則として固定資産税がかかります。
税額が大きくない土地でも、毎年支払いが続くため、長期間持ち続けると家計の負担になりがちです。
また、土地に住宅が建っている場合は、一定の要件を満たすことで固定資産税の負担が軽くなることがあります。
しかし、空き家の管理状態が悪化し、市区町村から「特定空家等」または「管理不全空家等」として勧告を受けると、土地が住宅用地に対する固定資産税等の軽減措置の対象外となる場合があります。
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<特定空家等(※1)に対する措置>
市区町村長から勧告を受けた特定空家の敷地について、住宅用地特例の適用対象から除外
(略)
<管理不全空家等(※2)に対する措置>
市区町村長から勧告を受けた管理不全空家の敷地についても、住宅用地特例の適用対象から除外
引用元:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」
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さらに税金以外で、草刈り代、建物の修繕費、火災保険料、現地までの交通費などがかかる場合もあります。
田舎の土地を相続する際は、「固定資産税だけなら払える」と考えるのではなく、管理にかかる費用も含めて判断することが大切です。
草刈り・見回りなどの管理負担が発生する
使わない田舎の土地でも、雑草、はみ出した木、害虫、不法投棄を防ぐ管理が欠かせません。
遠方なら見回りが負担となり、自分で草刈りや清掃ができなければ業者代もかかります。
相続前に、見回る担当者、管理方法、費用を払う方を決めておきましょう。
古い建物は倒壊・修繕のリスクがある
古い家や倉庫、塀がある土地は、建物も管理しなければなりません。
放置すると、屋根や壁が落ちたり、塀が倒れたりする危険があります。
人や周りの物に被害が出れば、所有者が責任を負うこともあります。
相続前に建物の状態を調べ、修理費と解体費を見積もってから判断しましょう。
家族の意見が割れると管理・手続きが進みにくい
田舎の土地は現金のように分けにくく、売るか残すかで相続人の意見が割れやすいです。
共有名義にすると、売却や方針変更に合意が要り、手続きも複雑になります。
近くに住む方だけが草刈りや見回りを担うと、費用や手間の差から不満が生まれます。
売却代金で分けるか、誰が土地を受け継ぐかを決め、管理費や解体費の負担も早めに話し合いましょう。
買い手が見つからず売却・処分に困ることがある
田舎の土地は、駅や道路から遠い、建物を建てにくい、境界が不明、古い建物や木が残るなどの理由で、売れにくいことがあります。
農地では特別な手続きが必要な場合があり、売れなければ税金や管理費の支払いが続くことになります。
相続するかどうかを判断する段階では、売却できる可能性を確認し、相続放棄を検討し、相続後は、売却・寄付・相続土地国庫帰属制度などの方法を検討しましょう。
田舎の土地を相続する際に確認すべきこと一覧

田舎の土地を相続するかどうかは、「なんとなく残したい」「使わないから放棄したい」といった感覚だけでは決められません。
相続放棄を検討する場合や相続後に売却・保有・相続土地国庫帰属制度の利用を検討する場合など、どの方法を考える場合でも、まずは土地の状況を整理することが大切です。
田舎の土地を相続する際に確認すべきことは、次の表の通りです。
| 確認すること | 何を見るか | 確認しないと起こりやすいこと |
|---|---|---|
| 所在地 | ・土地がどこにあるか ・自宅からどれくらい離れているか | 遠方で管理に通えず、草刈りや現地確認が負担になる |
| 名義 | 登記上の名義人が誰になっているか | 亡くなった方や以前の所有者の名義のままだと、相続人が増えて手続きが複雑になる |
| 境界 | ・隣地との境目がはっきりしているか ・測量図や境界関係の資料があるか | 境界が曖昧だと、売却や手放す手続きの際に隣地所有者との話し合いが起こり、手続きが止まりやすくなる |
| 接道 | ・土地が道路に接しているか ・車が入れるか ・建物を建てられる条件を満たしているか | ・建物を建てにくくなる ・買い手が見つかりにくくなる |
| 建物の有無 | 古い家、倉庫、空き家、塀などが残っているか | ・解体費 ・修繕費 ・老朽化による近隣トラブル ・管理責任問題 |
| 固定資産税と管理費 | ・固定資産税 ・草刈り代 ・交通費 ・火災保険料 ・修繕費 など | ・使っていない土地でも毎年費用がかかり、長く持ち続けるほど負担になる |
| 他の相続財産 | ・預貯金 ・借金 ・株式 ・保険 ・ほかの不動産 など | ・土地だけを見て相続放棄を判断すると、受け取れる財産まで手放すことになる |
田舎の土地を相続するかは、使い道、売れる見込み、管理のしやすさ、維持費、家族の意見で判断しましょう。
登記が終わっていない土地や、境界が不明な土地、古い建物が残る土地は、後から手続きや費用が増えるおそれがあります。
まず土地の名義と状態を調べ、専門家にも相談しながら家族で方針を決めましょう。
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田舎の土地を相続するか迷ったときの見極めポイント

田舎の土地を相続するか迷ったときは、「土地に価値があるか」だけで判断しないことが大切です。
土地を使う予定があるか、売却や賃貸ができそうか、管理を続けられるか、家族で意見をそろえられるかを確認する必要があります。
田舎の土地を相続するかどうかを見極めるポイントは、次の通りです。
| 判断すること | 確認する内容 | 相続を前向きに考えやすい場合 | 売却・放棄・手放す方法を考えたほうがよい場合 |
|---|---|---|---|
| 自分や家族が使う予定があるか | 住む、建物を建てる、畑にする、駐車場にするなど、現実的な使い道があるか | 自分や家族が使う予定があり、管理する人や費用を負担する人も決まっている場合 | 誰も使う予定がなく、将来の利用予定もない場合 |
| 買い手や借り手が見つかる土地か | 売却や賃貸の需要があるか(不動産会社など専門業者に確かめる) | 売れる見込みや貸せる見込みがあり、現金化や収入が期待できる場合 | 売れにくい、貸しにくい、価格を下げても買い手が見つかりにくい場合 |
| 管理に通える距離か | 草刈り、見回り、修繕、近隣対応に行ける距離か | 自分や家族が通える距離にあり、定期的に管理できる場合 | 遠方で管理に通えず、管理を委託する費用も負担になる場合 |
| 金融資産で維持費をまかなえるか | 固定資産税、草刈り代、交通費、修繕費などを支払えるか | 数年単位で持ち続けても、家計への負担が大きくない場合 | 預貯金が少なく、固定資産税や管理費によって家計が圧迫される場合 |
| 家族で意見をそろえられるか | 売る、残す、貸す、誰が管理するかを話し合えるか | 名義人、管理する方、費用負担の考え方がまとまっている場合 | 売りたい方、残したい方、関わりたくない方で意見が割れている場合 |
使い道と管理する方が決まっている土地は、相続を考えやすいです。
使う予定や売却、賃貸の見込みがなければ、税金や管理の負担が続き、共有名義では話し合いが進まないおそれがあります。
預貯金や借金も調べ、相続放棄では土地以外も受け取れない点を踏まえて、相続、売却、賃貸、手放す方法を家族で決めましょう。
田舎の土地を相続しない方法・相続後に手放す方法

田舎の土地を相続しない方法や、相続後に手放す主な方法は、次の通りです。
- 相続放棄
- 仲介売却
- 買取
- 寄付
- 隣地所有者への譲渡
- 空き家バンク
- 相続土地国庫帰属制度
ここからは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
相続放棄
相続放棄は、家庭裁判所で手続きを行い、土地や預貯金などの権利と、借金などの義務を原則として一切引き継がない制度です。
土地だけを選んで放棄することはできず、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。
相続放棄の注意点は次の通りです。
- 原則として、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きを行う必要がある
- 土地だけを選んで放棄することはできない
- 相続放棄によって、次順位の親族が新たに相続人となることがある
- 相続放棄をした時点で土地や建物を現に占有していた場合は、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存する義務を負う
放棄後は次の順位の親族が相続人になる場合があります。
また、放棄の時点で土地や建物を現に占有していた方は、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで保存義務を負うため、財産全体と管理状況を早めに確認しましょう。
仲介売却
仲介売却は、不動産会社に買い手を探してもらい、相続した土地を現金に換える方法です。
道路に面し、住宅などに使いやすく、地域に需要があれば、市場価格に近い金額で売れる場合があります。
ただし、立地、土地の種類、境界、建物の有無で売れやすさが変わり、農地では手続きも要るため、地域に詳しい不動産会社へ相談しましょう。
買取
買取は、不動産会社などに土地を直接売る方法で、早く現金化しやすいです。
管理を早く終えたい場合にも向きますが、仲介より安くなることがあります。
複数社に査定を頼み、価格、引き渡し時期、残置物の撤去や測量・解体の要否を比べましょう。
寄付
寄付とは、自治体や法人、団体などに土地を無償で譲る方法です。
公共施設や道路、公園、地域活動などに活用できる土地であれば、受け入れてもらえる可能性があります。
ただし、寄付は「無償なら必ず受け取ってもらえる」というものではありません。
受け取る側にとっても、土地を管理する費用や責任が発生するため、利用価値が低い土地や管理が難しい土地は、断られることがあります。
寄付を検討する場合は、土地の所在地、面積、境界、接道、建物の有無、権利関係などを整理したうえで、受け入れ先に相談する必要があります。
特に自治体への寄付は、一定の基準を満たさなければ受け入れられないことが多いため、早い段階で確認しておきましょう。
隣地所有者への譲渡
隣の土地の持ち主に売るか、無償で譲る方法もあります。
一般の買い手が見つからなくても、敷地の拡張、駐車場、家庭菜園、進入路に役立つなら交渉が進む場合があります。
売買か贈与か、価格、境界、測量、登記費用を決め、農地であるなら必要な手続きも確認しましょう。
空き家バンク
空き家バンクとは、自治体などが運営する空き家や空き地の情報提供制度です。
相続した土地や建物を登録することで、移住希望者や地域で不動産を探している人に見てもらえる可能性があります。
特に、古い家が残っていても住居として使える場合や、移住・二拠点生活・地域活動などの需要がある地域では、空き家バンクがきっかけで買い手や借り手が見つかることがあります。
ただし、空き家バンクに登録したからといって、必ず売却や賃貸が成立するわけではありません。
建物の状態が悪い、場所が不便、価格が相場に合っていないなどの場合は、問い合わせが少ないこともあります。
空き家バンクを利用する場合は、登録条件、必要書類、自治体のサポート範囲、不動産会社の関与の有無を確認しておきましょう。
相続土地国庫帰属制度
相続土地国庫帰属制度とは、相続または相続人への遺贈によって取得した土地を、一定の条件のもとで国へ引き渡す制度です。
ただし、どのような土地でも国に引き取ってもらえるわけではありません。
建物がある土地、担保権や使用・収益を目的とする権利が設定されている土地、境界や所有権の範囲に争いがある土地などは、相続土地国庫帰属制度の承認申請ができません。
また、一定の勾配や高さがあり、通常の管理に過分な費用・労力を要する崖がある土地や、除去に過分な費用・労力を要する埋設物がある土地などは、審査の結果、国庫への帰属が承認されない場合があります。
申請時には審査手数料がかかり、国への帰属が承認された場合は、土地の管理にかかる費用として負担金を納める必要があります。
そのため、「費用をかけずに土地を手放せる制度」ではない点に注意が必要です。
田舎の土地の相続は、土地だけで決めず相続全体で考えよう!

田舎の土地を相続するか手放すかは、価格だけでは決められません。
相続人、ほかの財産や借金、税金や管理費、建物の状態、家族の意見、売却や賃貸の見込みをまとめて確認する必要があります。
土地だけで決めると、管理できない、話し合いがまとまらない、ほかの財産まで受け取れないといった問題が起こるため、財産全体を調べたうえで家族で話し合いましょう。
静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、田舎の土地を含む相続について、専門士業と連携し、不動産の状況整理や相続登記、売却・活用に関する相談をサポートしています。
土地の用途がまだ決まっていない段階でも、相続全体を整理すると、自分たちに合った対応ができるようになります。
田舎の土地を相続すべきか迷っている方は、相続前の備えや相続後の手続きを後回しにせず、早めに専門家へ相談しながら進めましょう。
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