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相続人の順位はどう決まる?遺産の分け方やケースごとにポイントを解説

2025.03.10

遺された遺産が多ければ多いほど、相続財産の割合が気になるものです。

近い将来、相続が発生する見込みがある方のなかには、「自分の相続順位と割合が気になる」という方も多いのではないでしょうか。

相続人の順位や財産の割合は基本的に民法で決められており、できる限り不公平感のないように設定されています。

この記事では、基本的な相続のパターンから代襲相続や遺留分、特別受益などイレギュラーなパターンに至るまで、相続順位の仕組みを詳しく解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

法定相続で決められている相続順位

遺言書がない場合は、基本的に法定相続のルールにのっとって財産分与されます。

そのため、亡くなった方の親族なら誰でも相続人になれるというわけではありません。

財産分与にてトラブルが発生しないように、相続人になれる人と相続人の順位はあらかじめ決められています。

以下では、相続人の順位の基本的な考え方を説明します。

配偶者は必ず相続人となる

民法においては、亡くなった方の配偶者は常に相続人になると決められています。

常に相続人として認定されるのは、正式な婚姻関係を結んでいる関係性のみで、事実婚の相手や内縁関係の間柄では相続人にはなれません。

長い間夫婦同然に生活していても、正式な婚姻手続きを済ませていなければ、相続人にはなれないということです。

しかし、遺言書があれば内縁関係や事実婚のパートナーにも財産を残すことができます。

財産を残したい特定の人がいる場合は、事前に遺言書を書いておかなければいけません。

配偶者がいない場合

配偶者が先に亡くなっている場合や最初からいない場合でも、基本的に配偶者がいる場合と考え方は同じです。

配偶者がいない場合は、相続順位が高い子どもが法定相続人です。

未婚で配偶者がいない場合は、父母が法定相続人となり、父母もすでにいない場合は祖父母が法定相続人となります。

祖父母もいない場合は、兄弟姉妹という順番です。

配偶者以外の法定相続順位は次項にて詳しく説明します。

法定相続人が誰もいない場合は、特別縁故者に財産が贈られるなどして最後は国庫に帰属します。

配偶者以外に定められた相続順位

基本的に法定相続人になれるのは「配偶者もしくは血縁関係にある人」に限定されています。

血縁関係にある人のなかで相続人になれる人は民法によって決められており、その順位は1〜3位までです。

順位が高い相続人が存在する場合は、順位が低い相続人にまで財産が回ってこない可能性があります。

以下では、法定相続人の順位について、詳細を説明します。

1位.子どもや孫の直系卑属

配偶者以外で相続人になれる順位の筆頭は子どもです。

配偶者と子ども2人の家族構成の場合の財産分与は配偶者が2分の1、子どもがそれぞれ4分の1という割合になります。

また、先妻もしくは先夫、内縁関係の人は相続人になることができませんが、子どもがいる場合は相続順位が1位になります。

養子でも相続順位は1位です。

もし、子どもがすでに亡くなっており、孫がいる場合は孫が代襲相続します。

孫が亡くなっており、ひ孫が存在する場合はひ孫が代襲相続します。

2位.父母や祖父母の直径尊属

子どもが最初から存在しない場合は、法定相続の第2順位である親が相続人です。

亡くなった方の父母がいない場合は、祖父母が相続人となります。

3位.兄弟や姉妹

子どもや親がいない場合は、第3順位の兄弟姉妹が相続人です。

兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合の法定相続人は甥や姪です。

第1順位の子どもがいない場合は孫やひ孫が代襲相続しますが、兄弟姉妹がいない場合に代襲相続をするのは甥や姪になります。

遺産相続における法定相続分とは?

法定相続分とは、民法によって決められている法定相続人の相続割合のことをいいます。

法定相続によって相続できる財産は、法定相続人の範囲と相続順位によってそれぞれです。

同じ順位の法定相続人が複数存在する場合は、みんなで相続財産を均等に分割します。

例外として、亡くなった方と父母が異なる兄弟姉妹は、父母が同じ兄弟姉妹に比べて、もらえる相続分は半分になります。

法定相続のルールを一覧表にまとめました。

相続人
法定相続人の相続財産の割合
     
  配偶者
子ども
直系尊属
兄弟姉妹
配偶者のみ
全額      
配偶者と子ども
2分の1 2分の1    
配偶者と直系尊属
3分の2   3分の1  
配偶者と兄弟姉妹
4分の3     4分の1
子どものみ
  全額    
直系尊属のみ
    全額  
兄弟姉妹のみ
      全額

基本的に遺言書にて財産分与が指定されている場合や、遺産分割協議にて財産分与に関する相続人全員の合意が得られている場合は、法定相続にしたがって財産分与する必要はありません。

一般的な法定相続の事例を2つ紹介します。

配偶者がいる場合の相続割合

基本的に配偶者はどのようなケースでも相続割合が発生します。

相続する近親者次第では、割合が4分の3にまで増加します。

ケース
法定相続分
配偶者と子どもがいる場合 配偶者が2分の1、残りの2分の1
子どもがおらず配偶者と親がいる場合 配偶者が3分の2、親が3分の1
子どもと親がおらず配偶者と兄弟姉妹のみの場合 配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

配偶者がいない場合の相続割合

配偶者がすでにおらず、子どももしくは子どもと親のみの場合は、基本的に子どもだけで財産を分けることになります。

ケース
法定相続分
子どものみ 子どもだけで均等に財産分与する
子どもと親がいる場合 子どもだけで均等に財産分与する。親は第2順位となるため、全ての財産は第1順位の子どもが相続する

子どもや兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合(代襲相続)

本来相続すべき人がすでに亡くなっている場合は、子どもや孫が代わりに相続人になるケースがあります。

このことを代襲相続といいます。

子どもがすでに亡くなっている場合は孫やひ孫、兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥や姪が代襲相続の該当者です。

代襲相続の順位

代襲相続人の順位は、本来相続人になるはずだった人と同じ順位があてがわれます。

被相続人の子どもが他界していて孫がいる場合は、孫の代襲相続順位は1位になります。

孫の相続順位は、親や兄弟よりも優先されるというわけです。

代襲相続が適用されるケース・されないケース

代襲相続が適用されるケースと、適用されないケースをそれぞれ紹介します。

すでに法定相続人が死亡している場合

法定相続人が亡くなっている場合は、代襲相続が適用されます。

代襲相続が適用されるためには、以下の条件をクリアしなければいけません。

  • 亡くなった法定相続人が被相続人の子ども、もしくは兄弟姉妹であること
  • 代襲相続人が亡くなった法定相続人の直系卑属であること
  • 代襲相続人が欠格事由や廃除によって相続権を失っていないこと

被相続人の子どもであり、その子どももしくは孫という関係性があれば基本的に代襲相続は可能です。

相続欠格とは、相続人が被相続人に対して重大な犯罪行為などを行った場合に、法律によって相続権を失うことをいいます。

廃除とは、被相続人が遺言によって特定の相続人の相続権を失わせることです。

相続人が 被相続人に対して虐待や侮辱行為を行った場合、または 被相続人の財産を使い込んだり、多額の借金を負わせたりするなどの重大な非行があった場合、被相続人は家庭裁判所に申し立てを行うことができます。

この申し立てが認められると、相続人は廃除として相続権を失うことになります。

養子の場合

血縁関係の親子だけでなく、条件を満たせば養子の子どもへの代襲相続ができます。

たとえば、養子縁組をした後に養子が子どもを産んだ場合、その子どもには代襲相続人の権利が発生します。

これは、養親と養子の間に法律上の親子関係(血族関係)が成立しているためです。

一方で、養子縁組が成立する前 に生まれた養子の子どもについては、養親との間に血族関係がないため、代襲相続人にはなれません。

なお、相続対策の一環として、孫を養子縁組した場合も代襲相続が発生します。

つまり、孫は孫の立場と養子の立場で相続権が発生するということです。

相続人が胎児の場合

民法によって「人は生まれた時点であらゆる権利を得る」と民法に定められていますが、「相続については胎児は既に生まれたものとみなす」という決まりが定められています。

そのため、胎児にも相続権が発生します。

子どもの出生のタイミングの違いで不公平が生じる可能性が考えられるため、相続の場合だけ別の規定が定められています。

これは、子どもの出生のタイミングによる不公平を防ぐ ために設けられた特別なルールです。

つまり、代襲相続において胎児は被相続人になり得るということです。

なお、胎児の相続権は生きて生まれてくることを前提にされています。

したがって死産だった場合は、相続権が発生しません。

生まれた後に死亡した場合は、被相続人の子どもとして相続権を有するものとして認められます。

相続人が1人もいない場合

代襲相続の対象となる人が 誰もいない場合、相続財産はそのままにすることはできません。

この場合は、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任したうえで財産が国庫へ帰属されます。

ただし、被相続人と特別な縁故関係にあった特別縁故者の申し出があった場合において、家庭裁判所の判断を経て、財産の一部または全てが特別縁故者へ分与されることがあります。

寄与分や特別受益、遺留分の考慮

法定相続分や遺言書による財産割合の指定のほかに、寄与分や特別受益、遺留分による相続財産の割合の変化も考慮する必要があります。

それぞれついて詳細を説明しています。

寄与分

寄与分は、相続財産の維持と増加に特別の寄与があった相続人に対して、貢献度ごとに認められるものです。

相続人の間の公平性を鑑みて、基本的な相続割合を修正するための制度として施行されました。

寄与分が認められると、認められた人の相続分が増加する代わりに、ほかの相続人の割合は減少します。

寄与分が認められるか否かは、特別の寄与分が認められるかという点がポイントです。

特別の寄与分は、次の4点にて判断されます。

  • 無償性
  • 継続性
  • 専従性
  • 関係性から考えて期待分を超えていること

夫婦や親子、兄弟姉妹など近しい血縁の場合は、助け合うのが当然という相互扶養義務があるため、寄与分が認められるケースは少なくなります。

特別受益

特別受益は、相続人が被相続人から婚姻や養子縁組の際、もしくは生活を支えるための贈与や遺贈を受け取った場合のことをいいます。

あらかじめ何らかの支援を受けている相続人は、ほかの相続人との公平性を維持するために遺産の割合が調整されるという制度です。

生前贈与などの利益を享受した相続人の相続割合は、法定相続分に特別受益を加えた価値を基本に、法定相続分が算出されます。

寄与分の修正と特別受益の再計算によって決定される相続割合は、相続人の間で行われる遺産分割協議にて合意を得なければいけません。

仮に合意が得られない場合は、家庭裁判所の調停や審判にて決定されます。

遺留分

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保証されている遺産取得分です。

最低限の遺産割合の取得を主張できる制度ともいえます。

遺産を誰にどの程度の割合相続させるかは、遺言書にて指定できますが、ある特定の人に多くの遺産が相続されることが指定されている場合は、遺留分を侵害したとして申し立てができます。

配偶者と子ども、孫などがおらず直系尊属のみが相続人になる場合は、相続財産全体の3分の1が遺留分です。

それ以外の人(兄弟姉妹を除く)が相続人となる場合は、相続財産全体の2分の1が遺留分となります。

相続に関するご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターまで

基本的な法定相続の割合についてはそれほど難しくありませんが、本記事で紹介したようなイレギュラーなパターンや寄与分・遺留分など、どのように対応したら良いのかわからず悩んでしまうことも少なくありません。

特に遺留分や寄与分は自分から申し立てする必要があり、何も知らずにいると損をしてしまう可能性もあります。

また、相続人同士で意見が対立して遺産分割協議に発展すると、スムーズな解決が難しくなることも考えられます。

相続についてお悩みの方、または今後大きな相続が発生する可能性がある方は、ぜひ静鉄不動産にご相談ください。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、数多くの相続のご相談に対応してきた実績があります。

専門的な知識と豊富な経験を活かし、ご相談者さまにとって最善の提案をさせていただきます。

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借地権付き建物は相続できる!手続き方法やトラブルにならないための注意点を解説

2025.01.28

借地に建つ家を相続することになり「どのような流れで手続きをすれば良いのか」「何に気を付ければ良いのか」とお困りの方もいるのではないでしょうか。

借地に建つ家も法的に相続は可能です。通常の相続と違う点は借地権も一緒に引き継ぐことですが、借地権があることによって疑問点やトラブルが増える傾向にあります。

事前に借地権の相続について知識を得ておくと、不要なトラブルを避けられるでしょう。

この記事では、借地権付き建物を相続する際の手続きの流れや注意するべきポイントを解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

借地権とは

借地権とは、建物を建てる目的で賃貸料を払って土地を借りる権利のことです。

契約を交わせば、他人から借りた土地に自分の家を建てて住むことが可能です。

その結果、「土地は借地で家は持ち家」という形になります。

借りている土地全てに借地権が発生するのではなく、以下の条件に当てはまるものが借地権とみなされます。

  • 建物を建てて活用している借地
  • 土地の賃貸料を払っている借地

建物を建てずに駐車場や資材置き場として借りている土地は借地権とはみなされません。

また、お互いの合意のもと無償で土地を借りている場合は借地権は発生しませんが、「地上権」が設定されている土地は例外です。

地上権とは一般的な借地権よりも借主の権利が強い契約ですが、地上権が設定されていることはほとんどないでしょう。

自分が相続する借地権の内容がよくわからない方は、専門家に見てもらうことをおすすめします。

借地権の種類

借地権には種類があります。

以下では、一般的によく使われる2種類の借地権を解説します。

普通借地権

借地権の契約が終了しても更新ができるのが普通借地権です。

権利の存続期間は最低30年となっており、それ以下の短い期間の設定はできません。

存続期間の終了後は初回の更新時に20年で更新され、それ以降は10年ごとになります。

借主が更新を希望すれば、貸主は正当な理由がない限り更新を拒否することはできません。

更新をせずに契約を終える場合には、借主所有の借地にある建物を貸主に買い取ってもらう「建物買取請求権」が認められます。

借主の意志によって建物買取請求権が発生し、貸主にこれを拒む権利はありません。

借主に有利なのが普通借地権の特徴です。

定期借地権

定期借地権とは、権利の存続期間が終了すると契約更新ができない借地権です。

存続期間は50年以上と長く設定されます。

普通借地権のように建物買取請求権は認められず、存続期間が終了したら建物を取り壊し更地にして返す必要があります。

契約が満了したことによる立ち退きのため、立ち退き料の要求はできません。

普通借地権とは反対に、貸主にとって有利な条件といえます。

建物のリフォームや建て替えを行う際には、存続期間の残りを考えて行いましょう。

契約の更新はできませんが、貸主と借主の同意があれば新しく再契約を結びなおすことは可能です。

借地権付き建物は相続が可能

借地権と借地に建つ借主所有の建物は、どちらも相続の対象となります。

建物は故人の所有物なので、相続財産だとわかりやすいでしょう。

一方、土地は借り物のため故人の所有物ではありませんが、借地権という権利は故人の所有財産とみなされます。

そのため、借地権も相続の対象となり、名義人が亡くなった後も継続して借地の利用が可能です。

借地権と建物は地主の許可なしで相続できる

借地権と借地権付き建物を相続するには地主の許可は不要です。

相続で借主が変わるのを拒否する権利は地主にはありません。

建物は名義変更の手続きが必要ですが、借地権の名義変更や契約書の更新は不要とされています。

そのため、地主との間で特別な手続きは必要ありません。

法定代理人以外への名義変更は地主の許可がいる

遺言書によって法定相続人以外の人が財産を譲り受けることを遺贈といいます。

遺贈で借地権を引き継ぐ場合には地主の許可が必要であり、何かしらの理由で拒否されれば名義変更はできません。

地主が承諾してくれない場合は弁護士に相談したり、家庭裁判所へ申立てを行ったりすることで遺贈が認められるケースもあります。

引き継ぐ人が法定相続人であれば許可は不要なので、混同しないようにしましょう。

【5ステップ】借地権付き建物を相続する手続き

借地権付き建物を相続するには、以下の流れで手続きを進めます。

  1. 借地権の契約内容を確認する
  2. 遺産分割協議をする
  3. 相続することを地主に知らせる
  4. 必要書類を集める
  5. 法務局へ相続登記の申請をする

手順ごとに詳しく解説します。

1.借地権の契約内容を確認する

まずは借地権の契約書を探します。

どのような契約内容になっているかの確認が必要です。

まれにお互いの口約束だけで土地を貸しているケースもありますが、通常は書面で契約書を残します。

見つからない場合は地主に連絡を取り、お願いすれば契約書を見せてもらえるでしょう。

しかし、地主の名前も連絡先も一切わからないこともあるかもしれません。

そのようなときは、借地の登記簿謄本を取れば地主の名前や住所が記載されています。

契約書が見つかったら次の箇所に注目して内容を確認していきます。

  • 更新のできる普通借地権と更新のできない定期借地権のどちらになっているか
  • 権利の存続期間の残りは何年か
  • 地代はいくらか

このあたりの内容がわかれば、今後建物をリフォームして使っていくか、相続をするかしないかなどの判断材料になります。

2.遺産分割協議をする

遺言書がなく、法定相続人が複数いる場合は遺産分割協議が必要です。

法定相続通りに遺産を分けるなら遺産分割協議は不要ですが、建物や借地権は相続人のなかの誰か1人が引き継ぐケースが多く見られます。

誰か1人が引き継ぐときには、相続人全員の同意を得て遺産分割協議書を作成しなければなりません。

遺産分割協議書は自分でも作成が可能ですが、専門家に頼むのが一般的です。

後々のトラブルを防ぐためのものなので、自分で作成をして重要な事項の記載が漏れてしまっては意味がありません。

記載するべき内容に漏れがないかを専門家に確認しながら進めましょう。

借地権と建物は複数の相続人で共有名義にもできますが、全員の意見が一致しないと契約更新や売却ができないため、おすすめできません。

3.相続することを地主に知らせる

誰が相続するのかが決まったら地主に相続することを伝えます。

地主へは口頭で伝えるだけで十分です。

借地権は名義変更を行う必要がないため、新しい契約書を作成する必要もなく、特別な手続きも求められません。

ただし、例外として借地権の登記(名義の登録)がされているケースがあります。

この場合は借地権も名義変更を行わなければなりませんが、借地権が登記されているケースはかなり少ないです。

一方で法定相続人以外が引き継ぐケースでは、地主に名義変更の承諾を得る必要があります。

口頭での承諾も可能ですが、できれば書面で残しておくのがおすすめです。

4.必要書類を集める

借地権の手続きは不要ですが、建物は名義変更の手続きを行わなければなりません。

手続きを行うには相続のパターンに合わせて、以下の書類が必要です。

相続方法 必要書類
遺産分割協議による相続 ・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・法定相続人の戸籍謄本(抄本)
・法定相続人の印鑑証明書
・固定資産課税明細書
・不動産を相続する人の住民票
・遺産分割協議書
法定相続 ・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・法定相続人の戸籍謄本(抄本)
・法定相続人の住民票
・固定資産課税明細書
遺言書による相続 ・遺言書
・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・不動産を相続する人の戸籍謄本(抄本)
・不動産を相続する人の住民票
・固定資産課税証明書

相続関係が複雑な場合や法定相続人以外の人が引き継ぐ場合は、別の書類が必要になることもあるため法務局へ確認しましょう。

参考記事:相続不動産の登記に必要な書類とは?ケース別の書類一覧や注意点を解説

5.法務局へ相続登記の申請をする

相続する家などの建物は、所有者の名義変更をするための相続登記という手続きが必要です。

以前は相続登記をしないケースもありましたが、現在は義務化されており、相続が発生してから3年以内に行わなければなりません。

申請書と集めた必要書類を持参して法務局へ申請を行います。

申請書は用紙をどこかでもらうのではなく自分で用意して、法務局のホームページに載っている記載例を参考にしながら作成します。

ただし、自分で行うと何度もやり直しになるケースが多く、難しい作業なので専門家に依頼すると良いでしょう。

申請は建物がある地域を管轄する法務局へ行うため、遠方の場合は郵送でのやり取りとなります。

借地に建つ家を相続する際の注意点

借地権付き建物を相続する際には知っておくべき注意点があります。

知らずに損失を被ったり契約違反を犯してしまったりしないよう、事前に知識を身に付けておきましょう。

建て替えや売却には地主の許可がいる

相続したときにはすでに家が古く、増改築や建て替えを考えることも多いです。

建て替えは地主の許可が必要であり、無断で行うと契約違反を指摘される可能性もあります。

増改築についても制限が設けられているケースがあるため、事前に契約書の確認が必要です。

雨漏りの修理など、生活に支障をきたさないための改修は増改築とはみなされず、許可がなくても行えます。

ただし、地主に誤解を与えないように事前に知らせておくほうが良いでしょう。

また、借地権は売却をすることが可能ですが、地主の許可を得てから行わなければなりません。

何かしらの理由で建て替えや売却の許可が得られない場合には、裁判所に申立てを行えます。

名義変更の承諾料を払う義務はない

借地権を相続する際に、名義変更の承諾料を要求されても支払う義務はありません。

法律上では支払いの義務はないため、両者間の個人的な取り決めとなります。

もし慣例として払うのであれば、相場に合った金額かどうかを確認してから払いましょう。

一般的には借地権価格の10%程度が相場です。

法定相続人以外の人が借地権を引き継ぐことを遺贈といいますが、この場合は承諾料が必要となります。

地主が通常の相続とそれ以外の遺贈を混同して請求してくることもあるため注意しましょう。

地代の値上げや立ち退きに応じる必要はない

相続で借主が変わる際に地代を値上げされたり、立ち退きを言い渡されたりするケースもあります。

しかし、このような要求に応じる義務はありません。

故人が交わした契約をそのまま相続人が引き継ぐことになるため、相続をきっかけに一方的な契約内容の変更は不可能です。

もし契約時から長い年数が過ぎ、地代が現在の相場に比べて安すぎるようなら、両者の合意のもと地代を見直しても良いでしょう。

ただし、地主側からの強制力はないため、合意できない地代の値上げや立ち退きには応じる必要はありません。

借主以外の名義で家を建てない

借地には借地権をもつ名義人以外の名義で建物を建ててはいけません。

たとえば、将来家を子どもに相続させることを考えて、家を子どもの名義で建てようと考えるケースもあるでしょう。

しかし、借地権が親の名義であれば、子どもの名義で家を借地に建てるのは転貸しとみなされ、契約違反となります。

もし子どもの名義で家を建てたいのであれば、先に借地権の名義を子どもに変えてから家を建てる必要があります。

地主の同意が得られれば子どもの名義でも家を建てられますが、その際は後々のトラブル防止のため、書面で承諾内容を残しておくことが重要です。

原則として借地権と借地上の建物は同一名義でなければなりません。

借地権付き建物の相続に関するよくある質問

ここまで、借地権付き建物を相続する際の手続きの流れや注意するべきポイントについて解説してきました。

以下では、借地権付き建物を相続する際によくある質問に回答します。

借地権付き建物は相続放棄できる?

借地権付き建物を相続放棄することは可能です。

家も借地権も不要であれば相続放棄をすることによって、管理の手間や費用がかからず負担から開放されます。

ただし、相続放棄には以下の2つの注意点があります。

  • 手続きは相続が発生したと知ってから3ヶ月以内に行う
  • 相続放棄すると全ての財産を放棄しなければならない

相続放棄は期限を過ぎるとできなくなってしまうため、早急に手続きが必要です。

手続きを行うと全ての財産も放棄することになり、「借地権付き建物だけを選んで放棄する」という選択はできません。

手続きが完了したら取り消しはできないため、慎重に決める必要があります。

ほかに預貯金などの財産が残っていないのなら、相続放棄を選ぶのも良いでしょう。

ほかの財産を引き継ぎたい場合は、一度全てを相続した後に借地権付き建物を手放す方法を取る必要があります。

借地権に相続税はかかる?

借地権も相続税の対象です。

相続税は借地権も含め他の不動産や金融資産など、全ての相続財産の総額に対して課税されます。

ただし、総額が3,600万円を超えなければ相続税はかかりません。

非課税になる金額は法定相続人の数によって異なり、次の計算式で決まります。

3,000万円+600万円 × 法定相続人の数

法定相続人が2人なら「3,000万円+600万円 × 2人=4,200万円」の式で算出し、4,200万円を超えなければ相続税はゼロです。

借地権の評価額は自己所有の土地に比べて価格が低いため、所有の土地よりも納税額は低くなります。

普通借地権なら国税庁が公表している路線価(1平方メートル当たりの価額)の、3割~9割程度で評価額が定められています。

借地権を途中で解約することはできる?

原則として借地権を存続期間の途中で解約することはできません。

どちらかの一方的な都合で解約が成立してしまうと、もう一方の権利が守られなくなってしまうからです。

誰も借地権付き建物を使う予定がなければ、借地権と建物の売却を検討するのもおすすめです。

残りの存続期間が長いと買い手が付きやすいのですが、残りの期間が短いと売却は難しくなります。

売却ができなければ契約終了まで待つことになりますが、地主に一度途中解約の相談をしてみるのも良いでしょう。

一方的な都合での解約は認められませんが、両者の合意のもとであれば問題ありません。

地主もほかのことに土地を活用したいと考えている場合もあるため、そのようなタイミングであれば喜んで解約に応じてくれるでしょう。

地主が底地を売却したら自分の借地権はどうなる?

自分の借りている借地を地主が第三者に売却を行うこともあります。

このような場合でも借地権の契約は無効とはならず、契約内容もそのまま第三者に引き継がれるため、何も変わることなく使用できます。

地主が変わったことがきっかけで地代の値上げや立ち退きを要求されるケースもありますが、正当な理由なく応じる必要はありません。

今までの契約内容を一方的に変えることはできず、借主の権利は守られます。

借地権付き建物の相続でお悩みなら静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

借地権付き建物の相続は地主とのトラブルの可能性が否定できません。

ほとんどの方は専門的な知識がないため戸惑うことも多いでしょう。

また、手続きや調査などに莫大な時間と手間がかかります。

自分でできるところまでを行うのは賢明な方法ですが、最終的には専門家に任せるのが安心です。

専門家であれば法律に詳しく見落としがちな点にも気付いてくれるため、手続きにミスが起こるのを防げます。

静鉄不動産と相続サポートセンターでは、司法書士・税理士・弁護士の各専門家と連携して最善のサポートが可能です。

大事な相続で後悔が残らないよう、一人ひとりに合ったご提案をいたします。

相続全般に関するお悩みから相続後の不動産の活用方法まで、幅広く対応できます。

相続が発生した方も、これから発生する可能性がある方も、お気軽に静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへご相談ください。

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相続した土地を名義変更したい!期限や費用、しないとどうなるかを解説

2025.01.28

土地の相続が発生すると名義変更が必要になります。

しかし、土地の名義変更を行う機会はそうそうないため「どのように手続きを進めるのか」「まずは何から始めれば良いのか」など、わからないことだらけで困っている方も多いのではないでしょうか。

名義変更には期限があり、期限内に行わない場合にはさまざまな問題が発生します。

この記事では、手続きの流れや費用、名義変更の際によくある質問を紹介します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

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土地を相続したら名義変更を行う義務がある

土地や家などの全ての不動産は、相続したら名義変更を行わなければなりません。

以前は相続の際に名義変更を行わないケースも見られましたが、2024年4月1日以降は名義変更が義務化されました。

義務化される以前に相続した不動産についても、名義変更を行わなければなりません。

その理由として、名義が変更されないまま放置された持ち主不明の土地や家を増やさないためです。

名義変更をしなくても良いという選択肢はないため、相続した不動産は必ず名義変更を行いましょう。

参考記事:相続登記の義務化についてわかりやすく解説!罰則や放置するリスクとは?

相続した土地の名義変更には期限がある

名義変更の期限は、土地の所有者が亡くなり自分に相続が発生したと知った日から、3年以内と定められています。

名義変更が義務化された2024年4月1日以前に発生した相続の場合は、2024年4月1日から3年間が期限です。

3年というと長く余裕があるように感じますが、相続の状況が複雑だと調査に時間がかかり、想像以上に月日を要します。

自分の相続状況は複雑ではないと気軽に考えていても、いざ手続きを始めたら予想外なことが次から次へと出てきたケースもあります。

名義変更は後回しにせず、早めに取りかかるようにしましょう。

相続後に名義変更をしないとどうなるのか

土地を相続したのに名義変更をしないまま放置すると、次のようなデメリットが起こります。

  • 罰則が課せられる
  • 土地の売却や賃貸ができない
  • 次の世代の相続に支障が出る
  • 他の相続人の法定相続分を差し押さえられる

相続する方の今後に関わってくることなので、どのような内容なのかを詳しく知っておきましょう。

4つのデメリットについて詳しく解説します。

罰則が課せられる

名義変更をする際には、3年という期限は必ず守る必要があります。

期限内に名義変更を行わないと、ペナルティとして10万円以下の過料が課せられます。

3年以内に行えない正当な理由があれば過料は免除されますが、そのようなケースはほぼないと思ったほうが良いでしょう。

正当な理由と認められる可能性があるのは、所有者が亡くなったのを知らなかったり、相続人が重病で手続きができなかったりする場合です。

しかし、これらのケースでも必ず認められるとは限らず、裁判所の判断次第となります。

手続きを確実に期限内に終わらせるなら、専門家に依頼するのが安心です。

土地の売却や賃貸ができない

名義が故人のままでは、土地を売却したり賃貸に出したりすることができません。

売却も賃貸も名義人の同意で行いますが、名義人がすでに亡くなっている状態では同意を得るのは不可能です。

相続と同時に売るケースなら、故人から買い手に直接名義変更を行えば良いと思う方もいらっしゃいますが、それは認められません。

故人から相続人へ名義変更を行った後に、初めて相続人の所有物とみなされ売却が可能になるのです。

相続と同時の売却であっても、故人から相続人へ、相続人から買い手へと段階を踏んで名義変更が必要になります。

相続人への名義変更を行わなければ売却や賃貸での活用はできないため、必ず名義変更を行いましょう。

次の世代の相続に支障が出る

相続人が名義変更をしないまま亡くなってしまうと、次の代の相続が発生します。

次の代で土地の名義変更をしようとしても、名義が先々代のままになっているため、相続が複雑化して手続きが難しくなるでしょう。

たとえば、父の土地を相続する人が長男と次男の2人だけであっても、名義変更をしないまま長男が亡くなれば、次の代で相続人が増えてしまいます。

次の代の相続人とは長男の妻や子どもたちです。

本来なら長男と次男の2人で相続するはずだったものが、元々の相続人である次男のほかに、長男の妻と子どもたちも加わり複雑になります。

人数が増えれば意見がまとまらず相続人の間で揉め事に発展する可能性も高まります。

相続手続きが複雑化することと、相続人が増えトラブルが起きやすくなることを考えると、名義変更は確実に済ませておくことが大切です。

ほかの相続人の法定相続分を差し押さえられる

法定相続人が子どもたちだけである場合、法律上は相続財産は平等に分けることになります。

しかし、預貯金と違い土地や家などの不動産は、相続人のなかの1人が受け継ぐケースが多いでしょう。

相続人同士の話し合いで土地を受け継ぐ人が決まっても、名義変更をしないままでいると法律上は相続人全員の所有物とみなされます。

たとえば、相続人が3人いればそれぞれが3分の1ずつ所有権をもっている状態です。

もし、相続人の1人に滞納した負債があれば、債権者はその相続人の3分の1の土地所有権を差し押さえることが可能です。

このように名義変更を行わずに放置しておくと、予期しないリスクが発生するおそれがあります。

リスク回避のためには早急な手続きの完了が必要です。

相続した土地を名義変更する流れ

土地を相続したら、次の手順で名義変更を行います。

  1. 遺言書の確認
  2. 財産と相続人の調査
  3. 遺産分割協議
  4. 必要書類の取得
  5. 法務局への申請

具体的にどのような手続きを行うのか詳しく解説します。

STEP1:遺言書の確認

相続が発生したらまずは、遺言書があるか確認します。

遺言書には法的な効力があり有効期限がないため、後から見つかると遺産分割をやり直さなければなりません。

後からのやり直しはトラブルが起きやすく手間もかかるため、遺言書の確認は確実に行いましょう。

また、親族に遺言書が託されていない場合でも、故人が遺言書を遺しているケースがあります。

自宅内を探してみて見つからないようであれば、公証役場や法務局で遺言書が保管されていないかを調べてみましょう。

公正証書で遺言書を作成していれば公証役場に原本が保管されており、検索システムで遺言書の有無が確認できます。

また、法務局では自筆遺言書の保管を行っています。

モニターでの確認であれば全国どこの法務局のものでも閲覧が可能です。

STEP2:財産と相続人の調査

次に、故人の遺した全ての財産と法定相続人の調査を行います。

財産は預貯金や不動産のほかに、有価証券や貴金属、土地の借地権などさまざまなものが含まれます。

それに加えて、相続人についての調査も欠かせません。

故人の戸籍を死亡から出生までさかのぼって調査する必要があります。

財産が多いほど調査は膨大になり、故人の戸籍に記載されている人物が多いほど調査は難航します。

どの人物が法定相続人に当てはまるのかを見分けるにも知識が必要なため、相続関係が複雑な場合は専門家に依頼すると良いでしょう。

財産や相続人については、漏れなく確実に調査を進めることが重要です。

STEP3:遺産分割協議

財産と相続人の調査が終わったら、相続人の間で遺産分割協議を行います。

遺産分割協議とは、誰がどの財産を譲り受けるのか、土地は誰の所有名義にするのかを相続人の間で話し合うことです。

法定相続通りに遺産分割する場合は不要ですが、相続割合を変える場合には遺産分割協議書を作成する必要があります。

土地を相続する場合は、共有名義にせず、1人の相続人が引き継ぐケースが多いです。

このようなケースでは後々のトラブルを防ぐために遺産分割協議書を作成します。

相続人全員の合意のもと作成・保管することで、言った言わないの揉め事を回避できます。

大切な書類となるため、作成の際はミスのないように行いましょう。

STEP4:必要書類の取得

名義変更を行うためには、書類の準備が必要です。

相続のパターンによって必要な書類が異なるため、下記の表を参考にしてください。

相続方法 必要書類
遺産分割協議による相続 ・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・法定相続人の戸籍謄本(抄本)
・法定相続人の印鑑証明書
・固定資産課税明細書
・不動産を相続する人の住民票
・遺産分割協議書
法定相続 ・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・法定相続人の戸籍謄本(抄本)
・法定相続人の住民票
・固定資産課税明細書
遺言書による相続 ・遺言書
・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・不動産を相続する人の戸籍謄本(抄本)
・不動産を相続する人の住民票
・固定資産課税証明書

上記の書類はあくまでも一般的に必要な書類なので、相続状況によっては別の書類が必要になるケースもあります。

STEP5:法務局への申請

必要書類が全てそろったら申請書を添付して法務局へ提出します。

申請書は法務局のホームページで相続パターン別の記載例を参考にしながら作成していくため、不慣れな方には難しい作業になるでしょう。

自分で作成する場合は記載事項に不備が出て、何度もやり直しになるケースが珍しくありません。

すぐには終わらないことを想定して期間に余裕をもって申請し、根気強く法務局とやり取りを行います。

土地の名義変更にかかる費用

土地を名義変更するには、以下の費用がかかります。

  • 必要書類を取得する費用
  • 登録免許税
  • 司法書士に支払う報酬

それぞれの費用がどれくらいかかるのかを解説します。

必要書類を取得する費用

土地の名義変更を行うには、法務局へ提出する必要書類の取得が欠かせません。

書類を取得するには1通ごとに料金がかかります。

自治体によって料金は異なりますが、下記の表を目安にしてください。

書類名 料金
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) 450円 / 1通
除籍謄本(除籍全部事項証明書) 750円 / 1通
改製原戸籍謄本 750円 / 1通
戸籍の附票 300円 / 1通
住民票の除籍 200円~ / 1通
住民票 300円~ / 1通
固定資産課税証明書(固定資産評価証明書) 200円~ / 1通
印鑑証明書 300円~ / 1通

相続のやり方によって必要な書類の種類は変わり、相続人の数で必要な枚数も異なります。

全てそろえると、数千~1万円程かかるでしょう。

登録免許税

登録免許税とは、不動産の名義変更をする際に国に納める税金のことで、土地の名義を変えるたびに必ずかかる費用です。

登録免許税は土地の固定資産評価額の0.4%が税額と定められています。

固定資産評価額は毎年4月頃に行政から送られてくる納税通知書で確認が可能です。

見つからない場合には役所で固定資産税評価証明書を取得すれば確認ができます。

もし固定資産評価額が1,000万円であれば、登録免許税は「1,000万円 × 0.4%=4万円」で4万円となります。

司法書士に支払う報酬

土地の名義変更は司法書士に依頼するのが一般的なため、司法書士に支払う報酬がかかります。

相続の内容により料金に大きな差がありますが、5~15万円程度が相場です。

これだけ大きな差が出るのには以下の理由があります。

  • 相続する土地などが多く依頼する手続きが増える
  • 相続関係が複雑で相続人の調査に手間がかかる
  • 遺産分割協議書の作成が必要になる
  • 事務所ごとに料金設定が異なる

相続の状況が複雑だったり依頼内容が増えたりすると料金が高くなる傾向にあります。

正確な費用は実際に見積りを出してみないとわからないため、料金を把握するためにも一度見積りを出してもらうのが良いでしょう。

無料で相談や見積りを受け付けている事務所もあります。

土地の名義変更は司法書士に依頼するのがおすすめ

土地の名義変更を失敗なく行うには、専門家である司法書士に依頼をしましょう。

司法書士は土地や家などの不動産登記(名義変更)のプロです。

名義変更は相続に関連して行われるケースも多いため、相続にも詳しいのが特徴です。

財産や相続人の調査など、不慣れな方では難しい調査も依頼できます。

遺産分割協議書の作成も、法律に詳しくなければ記載事項に漏れが出る可能性がありますが、プロに任せれば安心です。

最初から最後までを自分で行おうとすると、膨大な時間と手間がかかります。

時間が余っている方でない限りは自分で行うのは難しいでしょう。

司法書士に依頼すれば調査から申請までを全て任せることができ、見落としやミスの心配もなくなります。

相続による土地の名義変更は大きな手続きとなるため、失敗のないように司法書士に依頼するのがおすすめです。

相続した土地の名義変更に関するよくある質問

ここまで、相続した土地を名義変更する流れや費用などについて解説してきました。

以下では、土地の名義変更を行う際によくある質問を紹介します。

相続した土地の名義変更は自分でもできる?

土地の名義変更は自分で行うことも可能ですが、現実的には難しいケースも多いです。

膨大な時間を手続きに費やすことができる方は限られています。

また、名義変更には法律の専門知識が必要となるため、法律に詳しくない方が手続きを行うのはミスを招く可能性があり危険です。

自分で十分に行ったはずの相続人の調査でも、専門家に見せると見落としが発覚するケースもあります。

相続が複雑になるほど専門知識が必要で間違いが起きやすくなるため、無理して自分で全て行うのはおすすめできません。

もし自分で行うのであれば、無料相談で専門家と相続の状況を確認し、自分の手に負えるものなのかを判断してから行うのが良いでしょう。

参考記事:不動産の相続登記を自分でやる方法と注意点|必要書類や費用も解説

遠方にある土地の名義変更はどうすれば良い?

名義変更の申請は、土地を管轄する地域の法務局へ行わなければなりません。

そのため、土地が遠方にあると何度も足を運ぶのは難しいといえます。

申請の手続きは、郵送でのやり取りやオンライン申請が可能です。

オンライン申請は便利ですが、専用ソフトのインストールや電子証明書が必要なため、パソコン操作が苦手な方にはハードルが高いケースも考えられます。

遠方にある土地の名義変更を行う必要がある場合は、司法書士に依頼することで、オンライン申請を通じて手続きをスムーズに進めることができます。

兄が土地を相続する場合、自分も名義変更をする義務がある?

名義変更の義務があるのは相続する本人のみとなります。

相続人が兄であればほかの方に手続きを行う義務は生じませんが、法定相続人である兄弟の協力も必要になるでしょう。

必要書類の取得や実印の押印などが求められるケースがあります。

遺産分割協議書の作成にはほかの法定相続人の同意が欠かせないため、積極的に協力する必要があります。

土地の名義変更(相続登記)のご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

相続による土地の名義変更は人生で多く経験することではないため、初めてのことでスムーズにいかないのは当然です。

相続人の未来に関わる大切な手続きは、静鉄不動産と相続サポートセンターにお任せください。

名義変更のプロである司法書士はもちろんのこと、トラブル対処には弁護士、相続税対策には税理士と、各専門家と連携を取ってサポートいたします。

相続の状況が変わっても、新たに別の専門家を探して依頼をし直す心配はありません。

さらに、相続が済んだ後の土地の活用方法なども、ご希望に沿った形でご提案いたします。

まだ依頼をするかどうか決めかねている方も、相談は無料なのでお気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化についてわかりやすく解説!罰則や放置するリスクとは?

2025.01.28

2024年4月1日より相続登記の義務化がスタートしました。

しかし、相続登記の義務化と聞いてもいまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか。

以前は義務ではなかった相続登記は、制度施行を境に義務化されました。義務を怠ると過料が課せられる可能性もあります。

この記事では、相続登記の義務化についてわかりやすく解説します。

相続登記をしていない物件に心当たりがある方、もしくは今後相続登記が見込まれる方はぜひご確認ください。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続登記義務化の背景と概要

2024年4月1日に相続登記が義務化されました。

そもそもなぜ相続登記が義務化されるようになったのでしょうか。

相続登記義務化の理由

相続登記義務化の大きな理由は、所有者不明土地の問題があります。

所有者不明土地とは、登記簿を調べても所有者がすぐにわからない土地、もしくは所有者に連絡がつかない土地のことです。

このような土地は、公共事業や開発の妨げになるだけでなく、長期間放置されることでゴミの不法投棄や不法占拠といった問題を引き起こすおそれがあります。

相続登記がされないままだと、登記簿の名義人は亡くなった人のままです。

相続登記を行わずにそのままにしていると、相続人に連絡が取れなくなり、やがて所有者不明の土地として手がつけられなくなります。

このような問題を未然に防ぐために、相続登記が義務化されました。

過去の相続分も義務化の対象

相続登記の義務は、2024年4月1日の施行日以前に発生している相続にもさかのぼって適用されます。

そのため、過去の相続登記未完了の不動産も相続登記の対象です。

未登記の物件が増え続けてしまうと、登記制度そのものの信頼性が揺らいでしまうことになりかねません。

不動産登記制度の信頼性を高め不動産取引の安全性を確保するためにも、過去の相続分まで義務化の対象とされました。

未登記には10万円以下の過料が課される

相続登記の申請期限は相続が発生したことを知った日から3年以内です。

正当な理由もなく、期限内に登記をしなかった場合は法務局から催告されます。

正当な理由については法務局の登記官が個別事情を確認して判断しますが、一般的な理由として挙げられるのは次のとおりです。

  • 相続人の数が多すぎて書類の収集や相続人の把握に時間がかかっている
  • 遺言の有効性について係争中
  • 相続人が重病
  • 経済的に困窮している

催告に応じない場合は、10万円以下の過料が課せられます。

相続登記が放置されてしまう理由

相続登記はこれまで義務ではなかったため、リスクはあるものの、相続登記をしないまま放置をすることも可能でした。

なぜ相続放棄が放置されてしまうのか。

それには次の4つの理由があります。

  • 手続きが面倒
  • 費用がかかる
  • 相続人全員と連絡を取らなければいけない
  • かつては罰則が何もなかった

それぞれ理由を具体的に見ていきましょう。

手続きが面倒

相続登記が放置されてきた一番の理由は、相続登記の手続きが面倒なことが挙げられます。

登記は不動産の権利関係を明らかにする大切な制度です。

したがって、登記の内容を変更するための手続きは法律で細かく決められています。

必要書類から申請書の書き方まで、その手続きは細かく大変です。

戸籍謄本を収集するために、いくつもの役所を回る必要もあります。

必要書類をきっちりそろえて正確な申請書を作成するのは、そう簡単なことではありません。

費用がかかる

相続登記には、登録免許税を始めとして各種証明書の発行手数料や司法書士など専門家へ依頼した場合の報酬など、さまざまな費用がかかります。

登録免許税の費用は、次の計算式によって算出されます。

登録免許税=不動産の固定資産税評価額×税率0.4%

戸籍謄本の取得にも1通ごとに費用がかかり、専門家への報酬も安くはありません。

資産価値のある不動産なら費用をかけて相続登記する意味もありますが、売却が難しい不動産の場合、費用をかけてまで相続登記をする必要性を感じないケースもあります。

費用と手間の割に得られる対価が少ないことも、相続登記が放置されてきた原因の一つです。

相続人全員と連絡を取らなければいけない

遺産分割協議で不動産の取得者を決める場合は、相続人全員の合意が必要です。

1人から合意を得るための労力があまりにもかかりすぎる場合において、相続登記は放置されてきました。

相続人が近親者で2人〜3人程度ならそれほど苦労はありませんが、相続人の数が多く長らく疎遠になっている場合は、相続人全員と連絡をとるだけでも一苦労です。

相続人の間で手続きに協力してくれない人がいる場合、期限内の手続き完了は簡単なことではありません。

かつては罰則が何もなかった

複雑かつ面倒な相続手続きでも、罰則があれば放置されることはなかったかもしれません。

以前は相続登記を放置していても罰則がありませんでした。

また、所有不明土地の問題もそれほど重要視されていなかったため、義務とされていませんでしたが、土地の再利用が困難になる社会問題が顕在化するにあたって、義務化の法整備が進められました。

義務化にあたって、相続手続きも簡略化が進んでいます。

相続登記を放置するリスク

かつては相続登記が義務化されていなかったため、放置が可能でした。

しかし、当然相続放棄を放置することによるリスクもあります。

具体的には次のような4つのリスクが考えられます。

  • 不動産が売却できない
  • 融資が受けられない
  • 将来相続登記が複雑化して手がつけられなくなる可能性がある
  • 不動産の差し押さえに合う可能性がある

それぞれ具体的に見ていきましょう。

不動産が売却できない

相続登記が完了しなければ、登記簿上の所有者は亡くなった方のままです。

不動産の売買や担保の提供を行う際には、所有者と登記簿上の所有者が一致していることが必須です。

そのため、相続登記を行わない限り、手続きを進めることはできません。

「当分の間、売るつもりはないから」とそのまま放置しておくと、いざ売却しようとしてもほかの相続人と連絡をとることさえもできず協力を得られない状況に陥る可能性があります。

その結果、不動産の取引や処分ができず、問題が複雑化するリスクが高まります。

融資が受けられない

不動産を担保に融資を受ける際には、貸付と同時に抵当権の設定が必要です。

抵当権の設定は、融資元である抵当権者と登記簿上の所有者が共同で申請しなければいけません。

このときに登記が未完了だと、不動産を担保にして融資を受けることができなくなります。

将来相続登記が複雑化して手がつけられなくなる可能性がある

相続登記をせずに長い間そのままにしておくと、相続人の数が増えて権利関係が複雑になってしまう可能性があります。

相続登記をしないと1人が3人、3人が9人という具合に世代が進めば進むほど相続人の数が増え続けていくことになります。

あまりに時間が経ちすぎて権利関係が複雑になりすぎると、相続人全員が合意したうえで相続登記を行うことは事実上かなり難しいです。

不動産の差し押さえに合う可能性がある

相続人の中に債務者がいる場合において、債権者は債務者名義の財産があれば差押えを行います。

しかし、債務者である相続人と名義が異なる不動産は差押えできません。

この場合は債権を守るために、債権者は相続人に変わって登記を行い、名義変更することが認められています。

ほかの相続人の債務不履行によって、いきなり不動産を差し押さえられてしまう可能性がある、というわけです。

相続人に債務者がいると、いきなり差押されることがあるため、早めの相続登記にて不動産名義の変更を済ませておく必要があります。

相続登記が間に合わない場合の救済措置|相続人申告登記

音信不通の相続人がいる場合や、遺産分割協議がまとまらない場合など、さまざまな事情で相続登記を期限内に完了できないことがあります。

どうしても期限に間に合わない方のために、2024年4月から相続人申告登記の申し出の制度がスタートしました。

相続人申告登記を利用して、相続の開始と相続人であることの申し出を行うと、ひとまず相続登記義務を遂行したと見なされます。

書面だけでなくオンラインでの申請も可能で、通常の相続登記に必要とされる押印や電子署名も求められません。

ただし、相続人申告登記は、相続人であることを名乗り出ているだけの状態です。

正式に相続の話し合いがまとまった後は、改めて相続登記の手続きが必要です。

参考記事:相続登記義務化によって簡素化された手続きとは?知っておきたいポイントや流れを解説

相続登記に必要な書類と費用

法定分割・遺産分割・遺言書がある場合の相続について、必要な書類を一覧表にまとめました。

項目 法定相続 遺産分割 遺言
亡くなった人の戸籍謄本 ○ 出生から死亡まで ○ 出生から死亡まで △ 死亡時の戸籍のみで良い場合もある
亡くなった人の住民票の除票
相続人の戸籍謄本 △ 不動産を取得した人だけ必要
相続人の住民票 △ 不動産を取得した人だけ必要 △ 不動産を取得した人だけ必要
相続人の印鑑証明 × ×
固定資産税評価証明書
遺言書 × ×
遺産分割協議書 × ×

どの相続登記を申請するかによって、必要書類が変わるため注意が必要です。

相続登記に必要な費用は、次の3つに分けられます。

  • 必要書類の取得費用
  • 登録免許税
  • 司法書士の報酬

主な必要書類の取得費用は、次のとおりです。

書類名 料金(1通あたり)
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) 450円
除籍謄本(除籍全部事項証明書) 750円
改製原戸籍謄本 750円
戸籍の附票の写し 300円
(除)住民票の写し 200~300円程度 ※自治体により異なる
固定資産評価証明書 200~400円程度 ※自治体により異なる

登録免許税は不動産の評価額によって決まります。

登録免許税を算出するための計算式は、次のとおりです。

登録免許税=不動産の固定資産税評価額×税率0.4%

自分で手続きを進めるのが難しい場合は、司法書士へ手続き代行を依頼することもできます。

司法書士へ依頼した場合の費用相場は5〜10万円です。

報酬は事務所ごとに自由に決められることが多いですが、一般的には基本報酬を決めたうえで、相続人の数や不動産の件数によって報酬が加算されるパターンが多く見られます。

参考記事:相続不動産の登記に必要な書類とは?ケース別の書類一覧や注意点を解説

相続登記の義務化に関するよくある質問

ここまで、相続登記の基本的な知識や相続登記を放置するリスクについて紹介してきました。

最後に、相続登記の義務化について、よくある質問を5つピックアップしました。

相続登記は誰でもできる?

基本的に法務局へ相続登記を申請するときは、不動産を引き継ぐ相続人が行います。

委任状があれば本人以外の人が登記申請を行うことも可能です。

相続登記を司法書士に依頼したときの費用はいくら?

地域や事務所ごとの違いはありますが、5〜15万円の間が相場です。

自分で手続きを済ませると大幅に費用を抑えることができますが、相続登記の手続きにはかなりの時間と労力が必要です。

参考記事:不動産の相続登記を自分でやる方法と注意点|必要書類や費用も解説

手続きの内容を確認したうえで、時間がかかりそうなら司法書士への依頼を検討するのも選択肢の一つです。

過料を支払って未登記のまま放置しても良い?

過料は相続登記の義務を違反したことに対するペナルティです。

過料を払ったからといって、相続登記の義務が免除されるわけではありません。

その後も相続登記の義務は続くため、放置しても良いということにはなりません。

登記の状況を調べるにはどうしたら良い?

不動産登記の状況は登記簿謄本を確認するとわかります。

登記事項証明書に現在の上記が記されています。

1通あたりの取得費用は600円です。

物件の情報があるとわかりやすいため、土地なら地番、家屋なら家屋番号がわかると良いです。

そのほか、インターネット上で登記情報を取得できる登記情報提供サービスもあります。

相続放棄をすると登記の義務はなくなりますか?

相続放棄をすると相続人ではなくなるため、相続登記の義務はなくなります。

相続放棄をした後は次の相続人に相続登記の義務が移行します。

次の相続人は相続の事実を知り得た日から3年以内が相続登記の期限です。

次の相続人のことを考えると、相続放棄した事実を早めに知らせておいたほうが後々のトラブルを防げます。

相続登記のご依頼は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

相続登記は2024年4月1日から義務化され、未登記のまま放置することはできなくなりました。

義務化の背景は、放置される土地や家屋の防止と、登記制度の形骸化を防ぐためといわれています。

過去の物件も対象とされているため、対応を後回しにすることは難しい状況です。

「忙しくて相続登記に時間を割けない」「手続きが複雑でどこから始めれば良いかわからない」とお悩みの方は、ぜひ静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターまでご相談ください。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、税理士や司法書士をはじめとする相続の専門家が連携し、ノンストップで相続手続きをサポートできる体制を整えています。

相続登記だけでなく、その後の不動産の活用や売却までお任せいただけます。

スムーズに相続登記を進めたい方は、まずはお問い合わせください。

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相続登記義務化によって簡素化された手続きとは?知っておきたいポイントや流れを解説

2025.01.28

相続登記の義務化によって、期限内に相続登記をしない場合はペナルティが課されるようになりました。

それに伴い、相続登記に関する手続きの簡素化も進められています。しかし、相続登記の簡素化が行われたといっても、具体的に何が変わったのかわからない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、相続登記の義務化と簡素化について詳しく解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続登記の義務化とは

2024年4月1日から相続登記は義務化されました。

まずは、相続登記義務化の概要について解説します。

参考記事:相続登記の義務化についてわかりやすく解説!罰則や放置するリスクとは?

相続登記義務化の背景

相続登記が義務化される前までは、期限や罰則が設けられておらず、相続登記の判断は本人に委ねられていました。

法律上、相続登記をしなくても強制されることはありませんが、登記をしないと第三者に対して権利を主張できないため、実質的には行っておくべき手続きとされていました。

しかし、手続きには手間も費用もかかるため、そのままにされている不動産も数多く存在していたのが実情です。

相続登記をしていない不動産は相続人全員の共有財産となります。

共有財産をそのままにしておくと、相続人が亡くなる度に相続人が増えていき、共有名義の人数はどんどん増えていきます。

空き家問題の原因ともいうべき権利関係の複雑さを解消するために、相続登記は義務化されることになりました。

過去に発生した相続物件にも適用

義務化の対象となる物件は、義務化がスタートした2024年4月1日以降に相続が発生した物件にとどまりません。

2024年4月1日よりも前に相続した不動産で、相続登記が完了していない物件も対象です。

過去に相続した物件の相続登記の期限は、次のとおりです。

  • 不動産の取得を知った日から3年以内、または遺産分割協議の成立日から3年以内
  • 相続登記の施行日から3年以内(2027年3月31日まで)

過去に相続した未登記の不動産をお持ちの方は、期限内に対応を済ませる必要があります。

未登記には10万円以下の過料請求

正当な理由もなく、決められた期間の間に登記をしないと法律に基づいて10万円以下の過料が課されます。

なお、期限までに相続登記が完了できない正当な理由の具体例は、次のとおりです。

  • 相続人の数が多く、戸籍関係書類の収集や相続人の把握に時間がかかる場合
  • 遺産の範囲や遺言の有効性を確認中、まだ不動産の帰属主体が明らかでない場合
  • 相続登記の申請義務者に重病などの事情がある場合
  • 相続登記の申請義務者がDV被害者で、避難を余儀なくされている場合
  • 相続登記の申請義務者が経済的に困窮しており、相続登記の費用を負担する能力がない場合

期限内の手続きが難しい場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

相続登記の義務化に伴う簡素化の概要

相続登記の義務化に伴い、相続登記の手続きの簡素化も進められています。

簡素化された3つの手続きについて解説します。

相続人申告登記の新設|令和6年4月1日施行

相続登記の義務化と同じ時期に相続人申告登記制度が施行されました。

相続人申告登記制度は、遺産分割協議が長引きそうな場合に、自分が不動産の登記名義人であることをとりあえず法務局に申告しておくことで、過料が課されることを回避できる制度です。

相続人申告登記を行えば、相続から3年以内に登記申請が完了しなくても過料の対象にはなりません。

相続人申告登記の制度ができる前は、法定相続による登記申請をするしか方法がありませんでした。

法定相続による登記申請を行った場合は、遺産分割協議が終わった後に2回目の登記申請が必要になり、登録免許税が2回分かかってしまいます。

相続人申告登記の場合は申請費用はかからず、法定相続による登記申請よりも必要書類は少なめです。

期日までに遺産分割協議を終えて自分が正式な相続人となった場合は、改めて相続登記を完了させます。

所有不動産記録証明制度の創設|令和8年4月までに施行

所有不動産記録証明制度とは、ある人が所有している不動産を全国的に一括して調べることができる制度です。

2026年の2月から段階的に施行され、8月には完全に施行されます。

従来は、不動産の所有者を特定するために、一つ一つの登記簿謄本を取り寄せる必要がありましたが、所有不動産記録証明制度を利用すれば、その人の名前と住所だけで、所有している不動産を一覧で確認できるようになりました。

住所変更登記の簡素化(公的機関との連携強化)|令和8年4月までに施行

住所変更登記とは、不動産の名義人の住所が変わるときに、変更内容を登記簿に反映させる手続きのことです。

従来は手続きが煩雑で時間がかかっていましたが、相続登記の義務化に合わせて、手続きの簡素化が進められています。

具体的な住所変更登記の簡素化の内容は、次のとおりです。

  • オンライン申請
  • 必要書類の簡素化
  • 登記官による職権登記

多くの法務局では、住所変更登記のオンライン申請ができるようになりました。

また、特定の条件を満たす場合は、登記官が職権にて住所変更を行うことができます。

【簡素化版】相続登記の手続きの流れ

相続登記の簡素化を利用した手続きの流れを6つのステップに分けて説明します。

1.戸籍の広域交付制度を使った相続人の調査をする

戸籍の広域交付制度を利用すると、自分が住んでいる地域の市町村役場で、被相続人の全ての戸籍謄本を取得することができます。

この制度により、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を簡単に収集することが可能です。

ただし、兄弟などほかの相続人の戸籍謄本は、この広域交付制度の対象外です。

そのため、ほかの相続人の戸籍謄本を集める場合は、本人に直接依頼するか、委任状をもらい本人が登録されている市町村役場で請求する必要があります。

2.所有不動産記録証明制度にて不動産の調査を進める

法務局にて所有不動産記録証明制度を使って、被相続人の氏名と住所をもとに、被相続人が所有していた不動産を調べます。

死亡時の住所だけでなく、以前の住所でも請求しなければなりません。

3.遺産分割の話し合いを行う

必要に応じて、相続人の間で遺産分割協議を行ったうえで、誰が不動産を取得するか、話し合いを行います。

遺産分割協議がまとまった後は、遺産分割協議書を作成して全員の署名のもと、実印を押印します。

4.相続登記に必要な書類を準備する

遺産分割協議にて話がまとまり、遺産分割協議書まで作成できたら登記申請書とそのほかの添付書類も準備します。

遺産分割協議によって相続人が不動産を取得する場合の必要書類は、次のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本または除籍謄本、原戸籍謄本
  • 他の相続人の現在の戸籍謄本
  • 被相続人の登記記録上の住所と最後の住所のつながりを証明する住民票の除票、戸籍の附票
  • 不動産を相続する人の住民票または戸籍の附票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 納税通知書のコピーまたは不動産評価証明書のコピー

5.法務局へ書類を提出する

不動産の所在地を管轄する法務局に書類を提出します。

書類の申請は、直接窓口へ持ち込む方法の他に郵送にて申請する方法や、登記・供託オンライン申請システムからオンライン申請する方法があります。

6.期限に間に合いそうもない時は相続人申告登記を申請する

話し合いがまとまらない場合や、相続人調査に時間がかかってしまい期限内に相続登記が申請できない場合は、相続人申告登記を申請します。

相続人申告登記は複数の相続人によって、共同で申告することも可能です。

また、それぞれが単独で申告することもできます。

申告に必要な書類は、次のとおりです。

  • 相続人申告登記の申請書
  • 被相続人と申告した人の相続関係を証明できる戸籍謄本
  • 申告した人の住民票

相続人申告登記を経て、不動産の相続人が正式に決まった後は改めて相続登記を申請することになります。

相続登記に必要な書類

相続登記の必要書類は、相続の状況や遺産の内容、相続人の範囲、遺言書の有無などによって異なります。

一般的に必要な書類は、次のとおりです。

  • 相続登記を行う不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 被相続人の最後の戸籍(除籍)謄本(死亡の記載があるもの)
  • 被相続人の住民票(除票)
  • 不動産を取得する者の戸籍謄本
  • 不動産を取得する者の住民票
  • 固定資産評価証明書

遺産分割協議をした場合は、次の書類も必要です。

  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 収入印紙
  • 登録免許税印紙納付台紙
  • 相続関係説明図

相続登記の申請先は、不動産を管轄する法務局です。

登記申請書の書式は「法務局のホームページ」からダウンロードできます。

複数枚になる場合は各ページに割印が必要です。

参考記事:相続不動産の登記に必要な書類とは?ケース別の書類一覧や注意点を解説

相続登記の負担を減らすなら司法書士への依頼がおすすめ

「忙しくて相続登記の手続きができない」という方は専門家である司法書士への依頼がおすすめです。

司法書士へ依頼するメリットと報酬の相場について詳細を説明します。

参考記事:不動産の相続登記を自分でやる方法と注意点|必要書類や費用も解説

司法書士に依頼するメリット

相続登記をスムーズかつ確実に進めるために頼りになるのが、登記の専門家である司法書士です。

以下では、司法書士に相続登記を依頼するメリットを3つ紹介します。

必要な書類の収集や作成を全て任せられる

相続登記には、戸籍謄本、固定資産評価証明書など、さまざまな書類が必要です。

必要書類は種類が多いだけでなく、さまざまな機関から取得しなければなりません。

司法書士なら相続登記に関する豊富な知識と経験をもとに、必要な書類を漏れなく、かつ効率的に収集してくれます。

また、遺産分割協議書の作成も司法書士に依頼すると、専門的な知識に基づいた適切な書類を作成してもらうことができます。

期限内に確実に登記申請ができる

司法書士は、相続登記に関する豊富な知識と経験を持ち、複雑な手続きを熟知しています。

必要な書類の準備から法務局への提出まで、スムーズかつ迅速に対応できるため、期限内の手続き完了は十分に期待できます。

登記だけでなく相続に関する手続き全般をサポートしてもらえる

司法書士は相続登記だけでなく、遺産分割協議書の作成や遺産分割協議のサポートなど、相続に関するあらゆる手続きをサポートしてくれます。

たとえば、複雑になりがちな遺産分割協議のとりまとめについても専門家の立場から適切なアドバイスが可能です。

司法書士に相談することで手続きをスムーズに進められるだけでなく、安心感も得られるでしょう。

司法書士に依頼した場合の費用相場

相続登記を司法書士に依頼した場合の報酬の相場は、5万円~15万円程度です。

依頼する範囲や司法書士事務所によって異なりますが、一般的には10万円前後が相場です。

報酬は所有権移転登記や遺産分割協議書作成、相続関係説明図作成、相続人調査など、項目ごとに金額が定められています。

司法書士事務所によって料金が決まっているので、依頼する前に料金体系を確認しておきましょう。

相続登記義務化による手続きの簡素化についてよくある質問

ここまで、相続登記の義務化や簡素化の概要について解説してきました。

以下では、相続登記の義務化と手続きの簡素化に関するよくある質問を3つ紹介します。

遺産分割協議がどうしてもまとまらない場合はどうしたら良い?

遺産分割協議がどうしてもまとまらない場合は、専門家の力を借りるしかありません。

協議が長引きそうな場合や意見の対立が深刻な場合は、司法書士や弁護士に依頼することで、公平で的確なアドバイスを受けられます。

期限に間に合いそうもなければ、相続人申告登記にて申告期限を延長することもできます。

相続登記はいつまでに終わらせたら良い?

2024年4月の相続登記義務化によって、相続を知った日から3年以内の完了が義務付けられるようになりました。

したがって、相続登記は3年以内に完了させなければいけません。

ただし、特別な事情があれば、期日を延期することもできます。

相続登記をしないとどうなる?

正当な理由もなく期限内に相続登記を完了しない場合は、10万円以下の過料が課せられる可能性があります。

そのほかには、登記が完了しないことによって不動産の売却や贈与が困難になるなど、さまざまな不都合が生じることも考えられます。

相続登記に関するご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターまで

相続登記の手続きは、これまで複雑で時間のかかるものでした。

しかし、相続登記の義務化に伴い、手続きの簡素化が進み、以前よりも手続きしやすくなっています。

たとえば、煩雑だった書類の収集も、現在では一つの市町村役場でほとんどがそろうようになりました。

また、期限内に相続登記が完了しない場合には、仮申請として相続人申告登記を利用することも可能になっています。

しかし、簡素化されたとはいえ、相続登記自体が依然として複雑な手続きであることに変わりはありません。

「何から始めればいいのかわからない」「手続きが不安」という方は、ぜひ静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターにお問い合わせください。

経験豊富な専門家が迅速かつ確実に相続登記をサポートし、スムーズな手続き完了をお手伝いします。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

相続の疑問、専門家がまとめてお答えします

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不動産の相続登記を自分でやる方法と注意点|必要書類や費用も解説

2025.01.06

不動産を相続したら相続登記を行う義務があります。

「手続きを専門家に依頼せず、自分で行いたい」と考えている方もいるでしょう。

しかし、相続登記は人生で何度も経験することではないため、初めてで何から手をつければ良いかわからないのが現状ではないでしょうか。

相続登記にはいくつかの手順が必要です。

この記事では、相続登記を自分で行う場合に必要な書類や費用、手順などを初めての方にもわかりやすく解説します。気を付けるべき注意点も紹介するのでぜひ参考にしてください。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

不動産の相続登記は自分でも可能だが、注意点もある

不動産の相続登記は司法書士に依頼せずに自分でもできます。

自分で行えば司法書士に支払う報酬がかからないため、大幅に費用を減らせます。

ただし、不動産の相続登記は気軽な気持ちでできるものではないため、時間と手間をかける覚悟が必要です。

ほとんどの方は登記に関する専門的な知識は持ち合わせていないでしょう。

知識がなければ時間がかかるのは当然で、書類に不備が出て何度も公的機関とやり取りを繰り返さなければなりません。

問題なくスムーズに進めているつもりでも、自分では気付かない点が抜け落ちてしまう危険性もあります。

相続登記を自分で行うには時間と手間のほかにも、知識が必要だと心得ておきましょう。

不動産の相続登記を自分で行う手順6ステップ

相続登記を自分で行うには、次の手順で進めます。

  • ステップ1:相続する不動産を把握する
  • ステップ2:法定相続人の調査と決定をする
  • ステップ3:必要に応じて遺産分割協議書を作成する
  • ステップ4:申請書を作成する
  • ステップ5:必要書類をそろえる
  • ステップ6:法務局へ申請する

具体的にどのようなことをするのか手順ごとに詳しく解説します。

ステップ1:相続する不動産を把握する

まずは相続する不動産全てを漏れがないように調査しましょう。

後から把握していなかった不動産が出てくると申告漏れにつながり、改めて相続手続きをやり直さなければなりません。

亡くなった方の所有不動産を調べるには以下の3つの方法があります。

  • 固定資産税の納税通知書
  • 権利証などの登記資料
  • 名寄帳(なよせちょう)

不動産を所有していると、毎年4月ごろに行政から固定資産税の納税通知書が届きます。

納税通知書には税金が課せられている不動産が記載されるため、通知書で確認する方法が多く使われます。

しかし、注意が必要なのは、課税対象外の不動産は納税通知書に記載されない点です。

たとえば、公共のために利用されている個人所有の土地や、評価額が30万円未満の土地などは課税対象外となり、通知書には反映されません。

そのため、納税通知書で全てを把握するのは難しいでしょう。

一つの方法だけで判断せずに、権利証などの登記資料が保管されていないか自宅を探してみることをおすすめします。

もし見つからない場合は、役所の資産税課で「名寄帳」を発行してもらうのが有効です。

名寄帳は同じ市区町村の不動産が一覧でまとめられていて、非課税の不動産も記載がされています。

把握漏れがないように二重三重に調査を行うことが重要です。

ステップ2:法定相続人の調査と決定をする

法定相続人の調査は、亡くなった方の死亡から出生までの戸籍をさかのぼってたどれば可能です。

まずは故人の最新の戸籍謄本を役所で取得し、その謄本に書かれている情報を元に前本籍地の戸籍謄本も取得します。

次に前本籍地の戸籍謄本の情報からさらにさかのぼって前々本籍地の謄本を取得します。

この作業を出生にたどり着くまで繰り返し、故人と同じ戸籍謄本に記載されている関係者がいたら、その人やその親族は法定相続人になる可能性のある人たちです。

関係者を調べることで法定相続人となる人を探し出せます。

調査の結果、相続関係が複雑だった場合は法定相続人の相関図を作るのがおすすめです。

全ての法定相続人がそろったら、誰が不動産を相続するのかを話し合いで決めます。

ステップ3:必要に応じて遺産分割協議書を作成する

法定通りの相続ではなく相続割合を変える場合には、遺産分割協議書の作成が必要です。

不動産の相続は共有名義にせず、誰か1人が引き継ぐケースも珍しくありません。

1人だけが引き継ぐときには遺産分割協議書がないと相続登記が行えないため、作成が必須となります。

ただし、次の2パターンであれば遺産分割協議書の作成は不要です。

  • 法定相続通りの共有取得にする
  • 遺言書に従って1人の取得にする

後々のトラブルにつながらないよう、必要な内容は全て遺産分割協議書に記載します。

自分で作成するのが不安な場合は専門家への依頼を検討しましょう。

ステップ4:申請書を作成する

相続の内容が決まったら、法務局に提出するための申請書を作成します。

申請書は決まった用紙をどこかでもらうのではなく、自分でA4用紙を用意して白紙の状態から作成します。

どのような様式で作成するかは法務局のホームページで確認可能です。

法定相続・遺産分割・遺言書での相続と、それぞれのパターンによって書き方が異なります。

パソコンでの入力と手書きの作成、どちらでもかまいません。

手書きで作成する場合には、水に強くて消えない油性インクのペンを使うことをおすすめします。

記入事項の訂正をするときは訂正印を押して「◯字削除・◯字加筆」と記載するなどの訂正方法が決まっています。

また、紙で作成する方法以外に、オンラインでの申請書作成も可能です。

法務局が提供する「申請用総合ソフト」をパソコンにインストールすれば、オンラインで申請書を作成し、そのまま提出できます。

オンライン申請は紙を使用せずスムーズに手続きが進められるため、パソコン操作に抵抗がない方には便利な選択肢です。

ステップ5:必要書類をそろえる

法務局へ提出する書類を取得します。

主に故人と法定相続人の戸籍謄本などが必要です。

相続パターンによって必要書類が異なるため、次項の「不動産の相続登記に必要な書類」で詳しく解説します。

故人の転籍がほとんどなく、法定相続人が妻と子だけのシンプルなケースだと、比較的簡単に取得できるでしょう。

故人に子がおらず、法定相続人が兄弟や甥・姪になるケースでは、取得する書類が複雑になり難易度が高くなります。

ステップ6:法務局へ申請する

全ての書類がそろったら法務局へ申請します。

申請先の法務局は、相続する不動産を管轄する地域の法務局です。

どこの法務局が管轄かはホームページで確認できます。

遠方の場合は郵送でのやり取りが可能ですが、同梱する返送用切手の額などを先に確認してから送りましょう。

直接法務局へ行く場合は、予約なしでは受け付けてくれない法務局もあるため、事前に予約が必要かの確認をします。

相続登記に不慣れな方だと申請をしても書類に不備があり、一度では通らないケースがほとんどです。

何度も足を運ぶつもりで根気強く対応しましょう。

不動産の相続登記に必要な書類

相続登記の必要書類は相続のパターンによって異なります。

3つのパターン別に一覧にしたので参考にしてください。

法定相続による相続 ・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・法定相続人の戸籍謄本(抄本)
・法定相続人の住民票
・固定資産課税明細書
遺言書による相続 ・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・法定相続人の戸籍謄本(抄本)
・法定相続人の印鑑証明書
・固定資産課税明細書
・不動産を相続する人の住民票
・遺産分割協議書
遺言書による相続 ・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・法定相続人の戸籍謄本(抄本)
・法定相続人の印鑑証明書
・固定資産課税明細書
・不動産を相続する人の住民票
・遺言書

細かい状況によっては表に含まれない書類が必要になるケースもあるため、提出前に管轄の法務局に最終確認を行いましょう。

不動産の相続登記を自分で行う場合の費用

自分で相続登記を行う場合にかかる費用は以下の2つです。

  • 必要書類を取得する費用
  • 登録免許税

実際にいくらかかるのかを次項で解説します。

必要書類を取得する費用

相続登記では必要書類の取得費用が必ずかかります。

費用は以下の通りですが、各自治体によって一部異なります。

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) 450円 / 1通
除籍謄本(除籍全部事項証明書) 750円 / 1通
改製原戸籍謄本 750円 / 1通
戸籍の附票 300円 / 1通
住民票の除籍 200円 / 1通
住民票 300円 / 1通
固定資産課税証明書(固定資産評価証明書) 200円 / 1通
印鑑証明書 300円 / 1通

1通ごとの費用なので、故人が転籍を繰り返していれば戸籍謄本の数もその分だけ増えます。

また、兄弟や甥・姪などが相続する場合には、必要枚数が多い傾向にあります。

登録免許税

登録免許税とは、不動産登記をする際に国に納める税金です。

相続や譲渡で不動産の名義を変える際にかかります。

税額は固定資産評価額の0.4%と決められており、たとえば評価額が1,000万円の土地を登記する場合の税額は4万円です。

「1,000万円 × 0.4%=4万円」の計算式で算出できます。

評価額は役所で固定資産評価証明書を取得すれば記載されています。

不動産の相続登記を自分で行うときの注意点

経験したことのない不慣れな手続きでは、自分では気付きにくい見落としがちな点があります。

やり直しが難しいケースもあるため、間違いのないよう手続きをしなければなりません。

自分で相続登記を行う際の注意点を解説します。

不動産の相続登記には期限がある

相続登記には、必ず終わらせなければならない期限が設けられています。

不動産の所有者が亡くなり、自分が法定相続人であると知った日から3年以内に手続きを完了する必要があります。

以前は相続登記が義務化されておらず、手続きをせずに放置されるケースも多く見られました。

しかし、2024年4月1日以降は相続登記が義務化され、これに伴い期限も厳格化されています。

それ以前に相続が発生した不動産についても、2024年4月1日から起算して3年以内に相続登記を行うことが求められます。

「忙しいから」と後回しにしていると、書類の準備や手続きに想定以上の時間がかかり、期限内に間に合わなくなる可能性があります。

期限を守らなかった場合、罰則として10万円以下の過料が科されることもあるため注意が必要です。

登記漏れが起きる可能性がある

相続する不動産の調査が不十分だと、登記漏れが発生するリスクがあります。

特に注意が必要なのは、土地が1箇所に見えても、登記が2筆以上に分かれている場合です。

このようなケースでは、見落としが起こりやすいため、細心の注意を払う必要があります。

また、戸建て住宅の場合、所有している不動産は「土地と建物だけ」と思いがちですが、前面の道路を近隣住民と共有しているケースも少なくありません。

このような共有不動産は、固定資産税の納税通知書には記載されないため、見落としやすいポイントです。

不動産の登記漏れは、何年も経過した後で気づくことが多く、その場合、再度一から手続きをやり直さなければならないこともあります。

時間も手間も大きな負担となるため、最初の段階でしっかりと調査することが重要です。

法定相続人の調査で漏れが起きる可能性がある

法定相続人の調査も漏れが起きやすい部分なので、注意が必要です。

せっかく自分で戸籍謄本を調べても、知識がなければ誰が法定相続人になるのか判断ができません。

また、本来法定相続人になるはずだった人が相続前に亡くなっている場合の「代襲相続」では、より詳しい知識が必要になります。

特に、法定相続人が兄弟や甥・姪などのケースでは相続関係が複雑になり、調査の範囲を通常よりも広げなければなりません。

故人に異母兄弟がいないかなども調べることとなり、膨大な労力が必要です。

ほかの法定相続人の存在が明らかになっても、連絡を取るのは容易ではありません。

中途半端な知識で調査を進めると、重要な法定相続人を見落としてしまうリスクがあります。

必要に応じて専門家に相談し、正確で漏れのない調査を心がけましょう。

相続登記を専門家に任せたほうが良いケース

ここまで、自分で相続登記を行う方法を解説しましたが、状況によっては専門家に任せたほうが良いケースもあります。

相続登記やそれに関連する業務は、司法書士や弁護士に依頼することが可能です。

自分で手続きを進めるのが難しい場合や時間が取れない場合などは無理をせず、専門家の力を借りるのがおすすめです。

専門家に依頼したほうが良いケースを5つ紹介します。

手続きに膨大な時間を割けない

仕事や介護、子育てなどで手続きに十分な時間が取れない方は、専門家に依頼するのがおすすめです。

相続登記は自分でもできますが、想定以上の膨大な時間がかかります。

不動産や法定相続人の調査を進めるだけでも、何週間、場合によっては何ヶ月もかかることがあります。

全て準備を終えて法務局へ申請をした後も、必要書類の不足や申請書の間違いなどで、何度も法務局とやり取りをしなければなりません。

時間が余っているくらいの方でなければ、相続登記は難しいのが現実です。

自分で手続きを始めてはみたものの、途中で限界を感じて司法書士に依頼する方も少なくありません。

平日に会社を頻繁に休めない

必要書類を取得するための役所や申請先の法務局は、平日の日中に営業をしています。

平日の日中に時間が多く取れる方でなければ、スムーズに手続きを進めるのは難しいケースが多いです。

手続きが数回で終わるケースはほとんどないため、何度も会社を休んだり早退をしたりしなければなりません。

自治体によっては週に一度の時間外営業や、月に一度の休日営業をしている役所もあります。

しかし、手続きのチャンスが少ないため、かなりの期間を費やす覚悟が必要です。

頻繁に休みを取れない場合は、専門家に依頼すると良いでしょう。

相続する不動産が遠方にある

相続登記は相続する不動産を管轄している法務局へ申請を行います。

自分の居住地が東京でも、不動産が沖縄にあれば沖縄の法務局へ申請を行わなければなりません。

遠方だと何度も足を運ぶのは難しいケースも多いです。

郵送やオンラインでも手続きは可能ですが、対面で顔を合わせずやり取りをするぶん、内容がわかりにくいというデメリットがあります。

また、オンラインは専用ソフトのインストールや電子証明書が必要なため、一般の方にはハードルが高いといえます。

司法書士に依頼すれば遠方の法務局でもオンライン申請できる環境が整っているため、迅速に手続きが可能です。

登記されていない不動産を相続する

以前は相続登記が義務化されていなかったため、先代の相続で登記をしないままになっている不動産もあります。

たとえば、祖父が亡くなった後に父が相続登記を行わず、次の法定相続人に未登記の不動産が引き継がれるようなケースです。

このようなケースを「数次相続」といい、通常の相続登記よりも複雑になります。

より多くの書類が必要になり、専門知識がないと難しい手続きです。

引き継ぐ不動産が登記されていないとわかったら、司法書士に依頼をしましょう。

法定相続人の間で揉めている

法定相続人の間で意見が対立しトラブルが生じると、話し合いが難航し、相続手続きがなかなか進まなくなることがあります。

こうした状況が続くと、法定相続人同士の関係が悪化し、最悪の場合、修復が難しくなることも考えられます。

特に、感情的な対立がエスカレートすると、冷静な話し合いがさらに困難になるため、早めの対応が重要です。

もし「揉めそうだ」と感じたら、早い段階で弁護士に相談するのが賢明です。

弁護士が間に入ることで、法定相続人同士の直接的な衝突を避けられるため、争いがエスカレートするのを防ぐことができます。

相続登記のご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

ここまで、自分で相続登記を行う手順や注意点を解説しました。

自分で全て手続きすれば専門家へ支払う報酬が不要なため費用の節約になります。

ただし、自分で行うには膨大な時間と知識が必要なため、難しい部分は専門家に頼るのがおすすめです。

「相続登記を専門家に任せたほうが良いケース」に当てはまる方は、専門家への依頼を検討してみましょう。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続に関する手続きがノンストップでできるよう、さまざまな専門家が在籍しています。

相続登記は司法書士へ、相続人同士のトラブルは弁護士へと、状況によって適した専門家が対応します。

相続登記はご自身の未来に関わる大切な手続きです。

「どうすれば良いかわからない」という場合も、最適な方法をご提案いたします。

相続登記のご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

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相続したマンションの評価額を調べるには?相続不動産の取扱や税金など必要な費用も紹介

2025.01.06

マンションを相続することになった方は、「相続税はいくらになるんだろう」「できれば節税したいけど、どうすれば良いのかわからない」など、疑問や不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

相続はそう何度も経験することではないため、わからないことだらけで不安になってしまうのも無理はありません。

この記事では、相続したマンションの相続評価額の算出方法や、相続手続きの流れについて詳細を説明しています。

不動産の相続について不安がある方は、ぜひ記事内容をご確認ください。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

マンションの相続には相続登記が必要

マンションを始め、不動産を相続するときは相続登記が必要です。

相続登記とは、不動産の名義を相続人に変更する手続きのことを指します。

法定相続人は相続する権利を持っていますが、名義変更を完了しなければいつまで経っても所有権の移転は完了しません。

その結果、名義変更が済んでいないマンションは、売却や担保への設定、賃貸などの活用が一切できなくなります。

また、相続登記を放置してしまうと、所有者不明の物件となり、空き家問題の一因となるおそれがあります。

2024年の4月から相続登記は義務化されたので、何もせずにそのままにしておくことはできません。

マンションを相続するときの基本的な流れ

マンションを相続するときの基本的な流れは、次のとおりです。

  1. 遺言書の確認をする
  2. 法定相続人を特定する
  3. 必要に応じて遺産分割協議を行う
  4. 名義変更手続きを行う
  5. 相続税の申告をする

それぞれの手続きについて、詳細を説明します。

遺言書の確認をする

まずは被相続人が遺言書を残していないか確認しましょう。

無用な争いに巻き込まれたくないために、被相続人が遺言書を書いたことを内緒にしている場合があります。

たとえば、遺言書が保管されていそうな場所である本棚や引き出し、金庫などをしっかりと確認してください。

公正証書遺言は見つけ次第開封しても問題はありませんが、自筆遺言書と秘密証書遺言書は家庭裁判所で開封しなければいけません。

勝手に開封してしまうと遺言書が無効になってしまうため、注意が必要です。

法定相続人を特定する

法定相続人の特定は、戸籍謄本や住民票など公的書類を収集して故人の家族構成を確認するところから始まります。

法定相続人とは、法律で定められた遺産を相続できる権利を持つ人のことです。

配偶者は常に相続人となりますが、それ以外の家族には以下のように順位が定められています。

第一順位 被相続人の子
第二順位 直系尊属(父母など)
第三順位 兄弟姉妹

配偶者は優先的に相続人となり、子どもや被相続人の父母、兄弟姉妹などの順位にしたがって相続人が決められます。

必要に応じて遺産分割協議を行う

預貯金など簡単に分割できるものはそのまま分配できますが、マンションのように分割しにくいものは相続方法を話し合う必要があります。

遺産分割協議は法定相続人全員で行うことが原則です。

もし相続人が遠方に住んでいるなどの特別な事情がある場合は、メールや電話を利用して協議を進めることも可能です。

主な4つの分割方法は、以下のとおりです。

現物分割 マンションは姉、預貯金は弟、といった具合に遺産ごとに分割する方法
代償分割 一人がマンションを相続する代わりに、ほかの法定相続人にマンションの相続分と同じ金額を払う方法
換価分割 マンションを売却して現金を法定相続人で分割する方法
共有分割 マンションを共有名義にして複数人で所有する方法

名義変更手続きを行う

名義変更とは、いわゆる相続登記のことです。

不動産は、相続登記を経て初めて自分の所有物となります。

以前は相続登記の申請は義務ではありませんでしたが、2024年4月1日の法改正により義務化されました。

これまで「手間や費用がかかる」という理由で放置されることも多かった相続登記ですが、現在では手続きを怠ると10万円以下の罰金が科される可能性があります。

相続手続きの一環として、相続登記は必ず完了させるようにしましょう。

相続税の申告をする

相続すると同時に相続税の支払い義務も発生します。

相続税は被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に申告しなければなりません。

申告の際には、マイナンバーの写しや法定相続人全員の印鑑証明書などの必要書類をそろえて税務署に提出します。

なお、相続税の支払い期限は申告期限と同じです。

現金で一括納付が基本となっているため、申告を済ませた後も「これで安心」と油断せず、納付の準備を進めましょう。

期限までに現金での納付が難しい場合は、延納と物納も可能です。

マンションの相続評価額を算出する計算方法

マンションの相続税評価額は建物と土地に分けて算出されます。

以下では、建物と土地の相続税評価額の計算方法を紹介します。

建物の相続税評価額の計算方法

マンション建物部分の相続税評価額は固定資産税評価額と同じ金額です。

したがって、計算方法は次のようになります。

固定資産税評価額×1.0

占有部分の固定資産税評価額には、共用部分を住戸ごとに配分した価額も含まれています。

固定資産税評価額は市町村から毎年送付される固定資産税の課税明細書に記載されているので、確認しておきましょう。

万が一紛失した場合は、市町村役場にて固定資産評価証明書を交付してもらったうえで、評価額を確認できます。

土地・敷地の相続税評価額の計算方法

マンションの土地部分の相続税評価額は、マンションの敷地全体の評価額を持分割合で配分した金額です。

持分割合は売買契約書や登記簿に記載されているので、チェックしておきましょう。

マンションの敷地全体の相続税評価額の算出方法は基本的に路線価を基に算出されます。

計算式は、次のとおりです。

路線価×マンションの敷地全体の面積

相続税路線価は毎年7月に発表されるため、相続の予定がある人はあらかじめチェックしておくとマンションの相続税評価額の目安がつきやすいです。

また、郊外といった路線価が設定されていない地域の場合は、倍率方式にて土地の評価額を算出できます。

そのほか、中低層マンションで敷地面積が広いマンションの場合は「地積規模の大きな宅地の評価」によって、利用価値に見合った評価額を算出できる仕組みもあります。

マンションの相続税に関する特例

マンションの相続税には節税に関する以下の特例が設けられています。

  • 小規模住宅地の特例
  • 配偶者控除による特例

それぞれの特例について、詳細を説明します。

小規模住宅地の特例

相続人と被相続人が同居していたなどの適用要件を満たすと、小規模住宅地の特例によって、最大で80%マンション土地部分の相続税評価額が減額できます。

小規模住宅地は、被相続人が自宅として利用していた居住用マンションだけでなく、賃貸マンションでも適用可能です。

土地の用途に対する面積の上限と減額の割合を一覧表にまとめてみました。

土地の用途 事業内容 面積の上限(㎡) 減額の割合
被相続人の自宅 330 80%
被相続人の個人事業 貸付事業以外 400 80%
貸付事業 200 50%
被相続人がオーナーの同族企業へ貸し出し 貸付事業以外で法定相続人が事業を引き継いだ場合 400 80%
上記以外の場合 200 50%

土地の用途に合わせて適用要件が異なるので、該当しそうな場合はチェックしてみましょう。

配偶者控除による特例

相続税の配偶者控除は、配偶者が相続した財産のうち1億6,000万円まで相続税が非課税になる制度です。

配偶者控除を利用すると、多くのケースで相続税は発生しません。

配偶者控除の適用要件は、次のとおりです。

  • 戸籍上の配偶者
  • 遺産を隠していない
  • 期限内に相続税を申告している

マンション相続時に発生する税金と費用

マンションを相続するときに必要な税金は登録免許税と相続税です。

それぞれの税金と諸費用について、詳細を説明します。

登録免許税

不動産登記の際にかかる税金が登録免許税です。

不動産の所有者名義変更のことを不動産登記と言い、相続時には必ず不動産登記の手続きが必要になります。

登録免許税の計算式は、次のとおりです。

固定資産剤評価額×0.4%

相続税

相続時の主な税金は相続税です。

不動産や金融資産など全ての合計した財産に対して課税されます。

相続税には基礎控除を始めとして、前述の小規模住宅地の特例や配偶者控除による特例が用意されており、控除の範囲内であれば相続税は発生しません。

相続税の基礎控除の計算式は、次のとおりです。

3,000万円+(相続人の数×600万円)

諸経費

税金のほかには、必要書類の取得費用、司法書士へ依頼する場合は報酬も必要です。

必要書類の取得費用を一覧表にまとめてみました。

戸籍謄本 450円 / 1通
除籍謄本 750円 / 1通
改製原戸籍謄本 750円 / 1通
戸籍の附票の写し 300円 / 1通
住民票の写し 200~300円 / 1通
印鑑証明書 200~300円 / 1通
固定資産課税証明書 200~300円 / 1通

一部自治体ごとに取得費用が異なる書類もありますが、おおよそ3,000円〜4,000円程度と考えておくと良いでしょう。

司法書士へ依頼した場合の報酬目安は、おおよそ5万円〜15万円程度が相場です。

依頼内容や地域によっても大きな違いがあるため、最低額と最高額に大きな開きがあります。

マンションを相続した後の選択肢

マンションを相続した後の物件の取り扱いは主に次の3とおりです。

  • そのまま住む
  • 売る
  • 貸す

それぞれの取り扱い方法について、詳細を説明します。

そのまま住む

そのまま住み続ける、もしくはどこかから引っ越してきて住む、という選択肢です。

慣れ親しんだ土地で暮らし続けるため、環境の変化による戸惑いや違和感が少ないのが大きなメリットです。

また、売却や賃貸に比べて必要な手続きが少なく、比較的スムーズに進められます。

一方で、固定資産税など税負担が増える点には注意が必要です。

売る

住むこと自体が難しく、そのうえ管理も難しいとなると売却してしまうのも一つの選択肢です。

マンションを所有している状態では、管理費や固定資産税がかかり続けます。

現金化したい方にとって、売却は一つの良い選択肢といえます。

一方で予想よりも低い価格での売却になってしまったり、譲渡所得税がかかったりする可能性もあるので注意が必要です。

貸す

手持ちの物件で継続して利益を得たい場合は、賃貸物件として貸す方法もあります。

賃貸経営がうまくいけば継続的な収益を得られます。

仮に賃貸運用がうまくいかない場合でも所有権が自分にあるため、賃貸運用を諦めて居住用へ転換するのもそれほど大変ではありません。

修繕やリフォーム費用、不動産管理など諸費用はかかりますが、立地がよければ十分に元を取れる可能性があります。

ただし、賃貸を考える場合、自分で手続きを進めるのは無理があるため、信頼できる不動産会社を探しましょう。

相続したマンションを売却するときのポイント

相続したマンションを売却する際には、押さえておきたいポイントがあります。

  • 査定は複数社からとる
  • 部屋に荷物をおいたままにしておかない
  • ハウスクリーニングを実施する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

査定は複数社からとる

マンションを売却する際は、物件の市場価格を調べる必要があります。

市場価格の調査には、不動産会社による査定を利用します。

ただし、不動産の査定には統一されたルールがないため、不動産会社ごとに査定額が異なることが一般的です。

1社だけの査定で判断してしまうと、全体的な相場感を掴むのは難しいといえます。

全体の相場を把握するには複数社へ査定を出して、査定結果から平均を算出する方法が確実です。

正確な市場価格を把握して適正価格で売却するようにしましょう。

部屋に荷物をおいたままにしておかない

売却予定のマンションは、物が何もない状態にしておくのが理想的です。

日用品はもちろんのこと、家具やベランダにある植木なども全て片付けておきます。

荷物が部屋にあると購入を検討している方は生活のイメージがしやすくなりますが、場合によっては納得いくまで内覧ができず、マイナスの印象を抱かせてしまうこともあります。

家具の状態やベランダの手入れ具合によっては部屋全体のイメージを悪くさせてしまうかもしれません。

総合的に考えると、荷物はない方が部屋をより良い状態で見せることができます。

ハウスクリーニングを実施する

マンションを売却する際には、家具や余計な荷物を片付けるだけでは不十分です。

ハウスクリーニングを行い、物件全体を掃除することが大切です。

専門業者によるハウスクリーニングは部屋全体を見違えるほどきれいに仕上げてくれます。

特にマンションの水回りは、購入を検討する人が念入りにチェックするポイントの一つです。

マンションに良い印象を持ってもらうためにも、ハウスクリーニングへ依頼することをおすすめします。

ハウスクリーニングの費用はおおよそ8,000円〜15,000円程度で、1日もあれば作業完了します。

【注意】相続放棄をするとほかの財産も相続できない

遺されたマンションを相続すると負債まで引き継いでしまう場合があります。

そのような場合には、相続放棄を選択することも可能です。

ただし、相続放棄をすると、負債を背負うことはなくなりますが、ほかの遺産まで相続できなくなるため注意が必要です。

たとえば、マンションにローンが残っている場合は、ほかの財産と相殺できる可能性がないか十分に検討したうえで判断することが重要です。

マンションの負債だけに焦点を当てて判断すると、結果的に損をしてしまう場合もあるため、全体の状況をよく見極めて決断しましょう。

マンションの相続は経験豊富な静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターまで

マンションの相続評価額は建物は固定資産税評価額がそのまま適用されますが、土地部分は路線価方式と倍率方式にて算出されます。

双方とも自分で確認できるため、不動産を相続する予定がある方は、事前にチェックしておくと良いでしょう。

また、マンションの相続はほかの不動産と同様に一連の手続きを行い、相続登記まで完了させなければいけません。

細かな相続手続きに時間を割いていられないという方は、専門家へ依頼するのがおすすめです。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、マンションの相続登記をはじめ、管理や売却など、幅広い不動産相続案件に対応してきた豊富な実績があります。

特にマンション売却においては、過去5年間で400戸以上の中古マンションの流通実績を誇り、多くのお客様から信頼をいただいております。

「相続をスムーズに進めたい」「手間をかけずに売却したい」とお考えの方は、ぜひ静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターにご相談ください。

専門知識と豊富なノウハウを活かし、お客様一人ひとりに最適なプランをご提案します。

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実家を相続したらどうする?活用方法や手続きの流れ、相続税対策を解説

2025.01.06

「実家を相続することになったけど何から手続きすれば良いかわからない」「空き家になった実家をどう活用すれば良いのだろう」と、実家の相続ではこのようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

実家を相続するにはいくつかの手続きと相続税対策が必要です。正しい知識がなければ損をしてしまうこともあります。

この記事では、実家の相続に関する手続きの流れや相続税対策、有効な活用方法を紹介します。

最後まで読んでご自身の相続に役立ててください。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続した実家をどう活用するか?6つの選択肢

誰も住まなくなった実家にはいくつかの活用方法があります。

どのような方法があるのか、6つの選択肢を見ていきましょう。

相続人が住む

まず考えられる選択肢として、相続人が実家に住む方法です。

元々実家に住んでいる場合はこの方法を取る方が多いでしょう。

遠方に実家がある方でも、相続を機に移り住むケースもあります。

立地や築年数の問題もありますが、立地に不満がなければ建て替えやリフォームをして住むのも良いでしょう。

売却する

もし今後誰も住む予定がなければ売却するのも一つの方法です。

売却すれば維持費は一切不要になり、管理の手間も省けます。

空き家を維持するには固定資産税や修繕費など、金銭的な負担のほかにも定期的に手入れを行う手間もかかります。

誰も住んでいない家は傷みやすいため、窓を開けて風を通したり、カビや害虫の予防を行ったりしなければなりません。

実家が遠方だと何度も足を運ぶための時間や交通費も負担になります。

売却をする決心がすぐにつかない場合は、管理をしばらく不動産会社などに任せるのも選択肢の一つです。

賃貸住宅として貸す

法定相続人のうちの誰かが住む予定があれば、売却をせずに賃貸住宅として他人に貸し出す方法もあります。

賃貸として貸し出せば賃貸収入が入るため、実家の維持費がまかなえる可能性も出てきます。

ただし、実家が比較的新しくきれいな状態ならそのまま貸し出せますが、リフォームが必要になるケースも多いです。

実家を賃貸にするためにかかるリフォーム代は、数百万円と高額になる傾向があります。

もしリフォームに300万円がかかり、家賃が5万円にしかならないとしたら、リフォーム代を回収するのに最低でも5年かかります。

立地や家の造りによって家賃の相場は大きく変わりますが、実家が賃貸をするのに向いているか知るためには不動産会社に相談するのがおすすめです。

更地にして活用する

実家の建物が古くそのまま活用できない場合は、一度更地にしてから活用するのもおすすめです。

更地にすると活用の幅が広がり、以下のような活用ができます。

  • 駐車場経営をする
  • 賃貸アパートや貸店舗を建てて経営する
  • 更地のまま土地を人に貸し出す
  • トランクルームを設置して貸し出す
  • 資材置き場として貸し出す

いくつか例をあげましたが、これ以外にも多くの活用方法があります。

土地の運用に慣れている不動産会社なら、その土地に合った活用方法を提案してくれます。

「実家に住む予定はないけど、土地は持っておきたい」という方は、更地にして活用することを検討するのも一つの方法です。

相続放棄をする

相続する財産がほとんど価値がない不動産だけの場合は、相続放棄も検討します。

もし相続した実家を使う予定があるなら相続すれば良いですが、使う予定がないのなら安易に相続するのはリスクが伴います。

特に、田舎の山奥などの資産価値が低い土地や、買い手が付きにくい不動産には注意が必要です。

「とりあえず相続したけど、使い道がなく維持費がかかるため売却したい」と思っても、立地や資産価値によっては買い手が見つからず、何年経っても売れないケースも珍しくありません。

そこで、相続時に不要と判断ができるなら相続放棄も視野に入れるのが良いでしょう。

ただし、注意点として、相続放棄をすると対象となる不動産だけでなく、ほかの全ての財産(現金や有価証券など)も放棄することになります。

そのため、ほかに価値のある財産がある場合は慎重な判断が必要です。

また、相続放棄は相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に行わなければなりません。

国に帰属する制度を使って手放す

不要な土地を国に引き渡す「相続土地国庫帰属制度」を利用する方法もあります。

財産を全て放棄する相続放棄と違い、相続土地国庫帰属制度は一度全てを相続した後に不要な土地を国に帰属する手続きです。

「ほかの財産は引き継ぎたいけど、土地だけ手放したい」という場合には、この制度が適しています。

売りに出してもなかなか買い手が付かない土地でも、国に帰属することが可能です。

ただし、国に引き取ってもらうにはいくつかの条件をクリアしなければなりません。

たとえば、実家の相続では建物が建っているケースがほとんどですが、解体して更地にする必要があります。

このほかにも条件があるため、法律に詳しい専門家に相談しながら進めると良いでしょう。

実家を相続する際に必要な手続き

実家を相続するときには正しい手続きを行わなければなりません。

手続きは以下の流れで行います。

  1. 遺言書を確認する
  2. 法定相続人・相続財産の調査をする
  3. 相続放棄を検討する
  4. 遺産分割協議(相続財産がマイナスの場合)
  5. 相続登記をする
  6. 相続税の申告をする

順を追って詳しく解説します。

1.遺言書を確認する

相続が発生したら最初に遺言書がないかを確認します。

遺言書は公正証書で親族に預けたり、法務局で自筆証書遺言の保管がされていたりします。

事前に親族に遺言書を託されていない場合でも、自筆の遺言書が自宅から出てくるケースも多いです。

自筆の遺言書を見つけたらその場で開封せずに、家庭裁判所の検認を受けなければなりません。

検認とは、遺言書の偽造や変造を防止して内容を明確にするためのものです。

勝手に開封してしまうと5万円以下の過料が課せられます。

ただし、遺言書が公正証書になっていたり、法務局に保管されていたりする場合には検認の手続きは必要ありません。

2.法定相続人・相続財産の調査をする

次に、法定相続人が誰であるか、また相続財産がどのくらいあるのかを調査を進めます。

調査が正しくできていないと後から新たな法定相続人が発覚したり、財産の相続に漏れが生じたりします。

後から新たな法定相続人が現れれば、財産分与をもう一度最初からやり直すことになりかねません。

また、相続財産に関しても、正確な調査ができない場合は申告漏れにつながり、再び手続きが必要になります。

相続状況が複雑なほど詳しい知識が必要になり、どちらの調査も見落としが発生しやすくなります。

心配な場合は専門家に依頼するのが安心です。

後からトラブルにならないためにも、調査は漏れのないよう正確に行いましょう。

3.相続放棄を検討する(相続財産がマイナスの場合)

財産調査の結果、負債が財産を上回ることが判明した場合は、相続放棄を検討する必要があります。

故人が残した負債は、法定相続人が支払う義務を負うことになります。

相続では、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含めて全て引き継ぐ仕組みです。

なお、「限定承認」という方法を選べば、プラスの財産の範囲内で負債を支払い、残った財産があればそれを相続することが可能です。

負債がどれくらいあるのか把握できない場合には、限定承認を選ぶことでリスクを抑えることができます。

4.遺産分割協議

法定相続人の間で話し合い、誰がどの財産を引き継ぐのか相続割合を決めることを「遺産分割協議」といいます。

法律に基づいた割合でそのまま遺産を分割する場合は遺産分割協議が不要なこともありますが、たとえば法定相続人の1人が実家を単独で相続する場合には、遺産分割協議書を作成する必要があります。

特に実家を共有名義にせず、1人が相続するケースはよく見られるため、遺産分割協議が必要なケースも多いです。

遺産分割協議書の作成は自分でも可能ですが、大事な内容は漏れなく記載しないと後々のトラブルになるため注意が必要です。

法律に慣れた専門家なら見落としがちな点もアドバイスをしてくれるので、トラブル防止のために専門家への依頼をおすすめします。

5.相続登記をする

実家の相続には相続登記の手続きが必要です。

相続登記とは、前所有者の名義から相続人に名義変更をすることです。

戸籍謄本や住民票などの必要書類をそろえて、法務局へ申請を行います。

以前は義務化されていなかったため、相続登記を行わないままになっている実家もありましたが、2024年4月1日より義務化されています。

そのため、相続が発生したことがわかってから3年以内に相続登記を行わなければなりません。

状況にもよりますが、想像以上に手間と時間がかかる手続きなので早めに取りかかりましょう。

自分でも申請は可能ですが、専門知識が必要なため司法書士に依頼するのが一般的です。

6.相続税の申告をする

相続税の申告と納税は故人が亡くなったと知った日から、10ヶ月以内に行わなければなりません。

そのためには法定相続人調査と財産調査を行い、遺産分割協議を申告期限前に終わらせておく必要があります。

申告時に遺産分割が済んでいない財産は、税額を軽減できる特例が受けられません。

また、10ヶ月を過ぎると罰則として加算税や延滞税が課せられます。

余分な負担を減らすためにも申告と納税は期限内に終わらせましょう。

実家を相続するときにかかる費用

実家などの不動産を相続する際には、不動産の価値に応じた費用が発生します。

以下では、どのような費用がいくらかかるのかを解説します。

相続税

相続税は相続する財産の合計額に対して課税されます。

一般的なものを例にあげると、次のようなものが課税対象です。

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 宝石や美術品

相続税を計算する際には控除額が決められており、「3,000万円+600万円 × 法定相続人の数」で計算が可能です。

法定相続人が3人なら「3,000万円+600万円 × 3人=4,800万円」で、控除額は4,800万円となります。

法定相続人が3人のケースでは、相続財産が4,800万円以下の場合には相続税はかかりません。

相続財産から控除額を引いた金額が取得金額となり、取得金額に対して相続税が課税されます。

財産が5,000万円なら「5,000万円ー4,800万円=200万円」で200万円が課税対象です。

取得金額によって課税される税率は異なります。

以下の表を参考にして税額の計算に役立ててください。

取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円

登録免許税

登録免許税とは、不動産の相続登記(名義変更)をする際に発生する税金です。

税額は不動産の評価額の0.4%となります。

評価額が1,000万円の実家なら「1,000万円 × 0.4%=4万円」の計算で、登録免許税は4万円です。

実家の評価額は毎年4月頃に送られてくる固定資産税通知書に記載されています。

通知書が見当たらない場合は、役所で取得できる固定資産評価証明書で確認ができます。

相続した実家の相続税対策

実家の相続でかかる税金は特例措置が適用されれば税額を下げられます。

3つの相続税対策を紹介するので、ご自身の相続が特例を受けられるケースに当てはまるかを確認してみましょう。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、故人が住居や事業のために使っていた土地を相続する際に、相続税評価額を軽減できる特例です。

故人が実家を住居として使用していた場合は80%の軽減率、賃貸の事業で使用していた場合は、貸付事業用宅地とされ、50%(貸付事業用宅地以外は80%)の軽減率となっています。

また、特例を受けられる実家の面積も住宅なら330㎡までと上限が決まっています。(賃貸事業用宅地の場合は200㎡、賃貸事業以外の宅地の場合は400㎡)

しかし、全ての相続人がこの特例を受けられる訳ではなく、対象者と満たすべき要件が国税庁の『No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)』に以下表の様に定められています。

自身が該当するかどうかを確認してみましょう。

※注釈については国税庁の『No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)』の上記表下にある注釈を確認ください。

相続財産を売却したときの取得費の加算特例

相続で得た財産を一定期間内に売却した場合には、相続税額の一部を取得費として加算して譲渡益を減らすことが可能です。

譲渡益は売却額から取得費を引いたもので、譲渡益に対して税金がかかるため、取得費を増やすことで税額が下げられます。

特例が適用される要件は、次のとおりです。

  • 相続や遺言書によって譲られた財産である
  • その財産の取得時に相続税がかかっている
  • その財産を相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡している

譲り受けた不動産が高値で売れた際に、税額が高くなるのを防げます。

空き家の3000万円特別控除

相続後に空き家になっている実家を売却すると、3,000万円までを特別控除できます。

売却したときの譲渡益から3,000万円を引けるため、売ったときの利益が3,000万円以下なら所得税はかかりません。

以下の要件に全て当てはまると控除が可能です。

  • 昭和56年5月31日以前に建てられた家である
  • マンションのように一棟の建物内が2つ以上に別れた区分所有建物登記がされていない
  • 相続開始の直前に故人以外は住んでいなかった
  • 令和9年12月31日までに売却している

ただし、3,000万円の特別控除は、取得費の加算特例とは併用ができません。

実家の相続でやってはいけない注意点

実家を相続する際にやってはいけないことがあります。

知らずに失敗したということにならないよう注意が必要です。

解体すると後悔するケースがある

実家を解体して更地にするのは慎重に検討しましょう。

更地にしてしまうと住宅用地の特例を受けられなくなり、固定資産税が上がってしまいます。

固定資産税が最大6倍になるともいわれていますが、実際は3~4倍程度上がるケースが多いようです。

また、建築基準法により一度建物を取り壊してしまうと建物の面積の制限を受け、同じ広さの家を建てられない場合もあります。

昔は建築ができたとしても、現在の建築基準法では再建自体が認められない土地も存在します。

再建不可の土地と認定されてしまうと住宅用地としての価値を失い、売却も難しくなるため注意しましょう。

放置すると特定空き家に指定される

空き家のメンテナンスを怠り、倒壊の恐れや景観を損なうなどの害がある物件は、自治体から特定空き家に指定されます。

特定空き家に指定されると住宅が建っていても更地と同様の扱いになり、固定資産税が最大6倍にまで上がってしまいます。

空き家を維持するには周囲に迷惑をかけないよう定期的なメンテナンスが必要です。

自治体から勧告を受けた後も改善を行わず放置を続ければ、強制的に取り壊しが入る可能性もあります。

共有名義はトラブルになりやすい

法定相続どおりに遺産分割をする場合は、実家を法定相続人全員の共有名義にすることもあるでしょう。

しかし、共有名義は後々のトラブルにつながりやすいため注意が必要です。

土地の貸し出しや売却には法定相続人全員の同意が必要になり、自分の意志だけでは進められません。

自分の所有分だけを売る方法もありますが、このケースで買い手を見つけるのは難しいことです。

次の世代の相続時にも新たな法定相続人が増えてしまい、さらに厄介な事態になりかねません。

誰も住まない実家は手放すべき?判断基準とは

空き家を持ち続けるのにも固定資産税やメンテナンス費用などの維持費がかかります。

手放すべきか迷うようなら、以下の判断基準を参考にしてください。

  • 将来誰も住む予定がない
  • 立地などが悪く活用方法がない
  • 実家が遠方にあり管理ができない
  • 特定空き家に指定された
  • 売却しないと遺産分割が進まない

これらの条件に当てはまるなら売却も検討してみましょう。

大きな決断になるため決めかねる場合は、処分以外の方法も含めて不動産会社に相談するのがおすすめです。

実家の相続のことなら静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

実家の相続には手続き・相続税対策・今後の活用など、行うことや決めることが多くあります。

相続の状況によっては複雑でご自身の手には負えないこともあるでしょう。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは司法書士・税理士・弁護士と連携を取り、相続に関するお悩みをノンストップで解決します。

実家の管理・運用・処分についても静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへお任せください。

相続人の方のご希望に沿えるよう、最善の方法をご提案いたします。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

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相続不動産の登記に必要な書類とは?ケース別の書類一覧や注意点を解説

2025.01.06

「自分で相続不動産の登記を済ませたい」と考えている方のなかには、何から手をつけたら良いのかわからずに困っている方も多いのではないでしょうか。

何から始めたら良いのかわからない方は、まず必要書類からそろえてみましょう。

相続登記の手続きを進める際には、書類をそろえる手続きが一番時間がかかるので、先に済ませておくことをおすすめします。自力で対応できない場合は専門家へ依頼することもできるため、まずは自力で挑戦してみるのも良い選択肢です。

この記事では、相続登記に必要な書類の説明と注意点について、詳しく説明します。自分で相続登記を進めたい方は、ぜひ記事内容をご確認ください。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

【ケース別】相続不動産を登記する際に必要な書類一覧

相続登記に必要な書類は決まっていますが、イレギュラーなパターンでは追加書類が必要になる場合があります。

以下のケースごとに必要な書類をまとめました。

  • 遺言書に基づく相続登記
  • 遺産分割協議による相続登記
  • 法定相続割合に基づく相続登記

それぞれのケースで必要な書類を紹介します。

遺言書に基づく相続登記で必要な書類

遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って相続登記の申請をします。

必要書類は、次のとおりです。

  • 戸籍謄本(除籍謄本)
  • 住民票(除票)
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書
  • 遺言書

遺言による相続登記は、遺言で指定された人が相続人です。

遺言者が亡くなったことを証明できれば、出生から死亡までに至る全ての戸籍謄本をそろえる必要はありません。

このケースでは、不動産を取得しないほかの法定相続人の戸籍謄本を用意する必要がないため、ほかの相続方法に比べると比較的手続きは簡単です。

遺産分割協議による相続登記で必要な書類

遺言書がなく法定相続人が複数人存在する場合は、「遺産分割協議によって誰がどの財産を取得するのか」を話し合いのうえで決めることができます。

話し合いで不動産を取得する人が決まった後に相続登記へ進みます。

遺産分割協議で必要な書類は、次のとおりです。

  • 戸籍謄本(除籍謄本)
  • 住民票(除票)
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 相続関係説明図

遺産分割協議の場合、遺言書による相続よりも必要書類が多くなります。

被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得しなければいけません。

また、法定相続人全員の戸籍謄本や遺産分割協議書、法定相続人全員の印鑑証明書も必要です。

法定相続割合に基づく相続登記で必要な書類

遺言書がなく、遺産分割協議がまとまらなかった場合は、法定相続人の配分に基づいて相続登記の申請を行います。

必要書類は、次のとおりです。

  • 戸籍謄本(除籍謄本)
  • 住民票(除票)
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書
  • 相続関係説明図

法定相続分による相続登記に必要な書類は、相続登記に最低限必要な書類と同じです。

比較的書類は集めやすいでしょう。

不動産の相続登記に必要な書類

ケースごとに必要な書類を紹介しましたが、それぞれの書類がどのようなものなのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで、それぞれの書類の内容や取得方法などを解説します。

被相続人と相続人の戸籍謄本(除籍謄本)

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本には、被相続人の両親や兄弟姉妹、結婚と離婚歴、転籍、養子縁組を含めた子どもの有無などの個人情報が一通り記載されている書類です。

一通りの戸籍謄本を取得することによって、法定相続人を特定できます。

戸籍謄本の取得によって、親族でも知らない婚姻外の子供や養子の存在が発覚し、相続が複雑になるケースもあります。

法定相続人全員の戸籍謄本は、法定相続人が生きていることを証明するために必要です。

戸籍謄本と被相続人の除籍謄本は2024年3月より、戸籍の本籍地が遠くにある場合でも最寄りの市区町村窓口でまとめて申請できるようになりました。

今まではわざわざ本籍地の管轄である市区町村役場にいくか、郵送で取り寄せる必要がありましたが、新制度の施行によって、負担はかなり減っています。

被相続人と法定相続人の住民票(除票)

住民票の除票は、被相続人が戸籍に記録されている人物であり、相続登記の対象となる不動産の登記名義人と同一であることを証明するために必要です。

被相続人の住民票の除票は最後に住民登録があった市区町村管轄の役場で取得できます。

取得方法は、窓口と郵送のどちらにも対応しています。

なお、法定相続人の住民票も同様の手続きで取得可能です。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書は不動産の所在地を管轄している市区町村役場、または市税事務所で取得できます。

窓口のほかに郵送にも対応しています。

固定資産評価証明書の請求には登記名義人の死亡の記載がある戸籍謄本と、請求している人との関係性を示す戸籍謄本のコピーの添付をしなければいけません。

不動産の評価額は毎年送付される固定資産納税通知書にも記載されているので、通知書が手元にある場合は、あえて固定資産評価証明書を取得する必要はありません。

登記申請書

登記申請書は、相続した不動産の名義変更を法務局に申請するときに必要な書類です。

登記申請書は所定の紙が用意されていないため、自分で作成しなければいけません。

ただし、法務局のWEBサイトに雛形が用意されているので、ダウンロードして記載すれば簡単に作成できます。

なお、相続のパターンによって書き方が異なるため、自分のケースに合った申請書を選ぶようにしましょう。

遺言書

遺言書による相続手続きを進めるには、遺言書が必要です。

遺言書には、以下の3つの種類があります。

  • 公正証書遺言
  • 自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言

3つの遺言書のうち、自筆証書遺言と秘密証書遺言は裁判所にて検認を受けた後に遺言書が本物なのか確認する必要があります。

一方、公正証書遺言は公証役場で作成されるため、有効性がすでに証明されており、検認手続きは必要ありません。

遺産分割協議書(遺産分割協議の場合)

遺産分割協議にて相続の内容を決定したことを明らかにする場合は、遺産分割協議書が必要です。

全員が合意したことを明らかにするために、遺産分割協議書にそれぞれが署名して実印を押印します。

最後に印鑑証明書を添付することによって、証明が完成します。

印鑑証明書(遺産分割協議の場合)

遺産分割協議を経て相続登記を行う場合は、遺産分割協議書に押印された印鑑が実印であることを証明するために、法定相続人全員の印鑑証明書が必要です。

印鑑証明書を添付することで、法定相続人が自分の意思で遺産分割協議書に押印したことを証明できます。

印鑑証明書は住んでいる地域の市町村役場にて取得します。

この場合、書類の有効期限は定められていないため、発行後3ヶ月を過ぎている印鑑証明書でも問題ありません。

不動産の相続登記の書類に関する注意点

相続登記に必要な書類を集めるにあたって、注意したいポイントを3つ紹介します。

  • 戸籍謄本がそろっているか確認する
  • 登記簿の住所と死亡したときの住所の違いに注意する
  • 自筆の遺言書の検認を行う

それぞれ詳しく解説します。

戸籍謄本が全てそろっているか確認する

相続登記の手続きには亡くなった人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本が必要です。

必要な戸籍謄本の中には、除籍謄本や改製原戸籍も含まれます。

転籍や結婚や離婚によって何度も本籍地が変わっている場合は注意が必要です。

必要な全ての戸籍謄本がそろわない限りは、相続登記を進められません。

登記簿の住所と死亡したときの住所の違いに注意する

亡くなった人の登記簿上の住所と死亡した時点での住所が違う場合は、住所の関連を示す書類が必要です。

亡くなった人の住民票の附票に、前の住所として登記簿に記載されている住所が載っていればそのままでも良いのですが、住所を転々としている場合は戸籍の除票と附票、改正原附票の取得する必要があります。

戸籍の附票は広域交付制度の対象外になっているため、本籍地の市区町村窓口で取得しなければいけません。

相続登記をする前に、登記簿謄本を取得してあらかじめ登記簿上の住所を確認しておきましょう。

余計な手間を減らすことができます。

自筆の遺言書の検認を行う

自筆遺言書をもとに相続登記の手続きを進める場合は、家庭裁判所で遺言の検認を受ける必要があります。

検認とは、遺言書の内容を明らかにして偽造や変造を防止するための手続きです。

家庭裁判所にて法定相続人立会いのもとで遺言書を開封します。

家庭裁判所でも検認を受けていない遺言書は登記ができないので、注意しましょう。

公正証書遺言と法務局の遺言書保管制度を利用した自筆遺言書では、検認は不要です。

不動産の相続登記の添付書類の綴じ方

法務局へ相続登記を申請する際の必要書類の綴じ方には一定のルールがあります。

厳密に定められたものではなく、ルールに沿っていないからといって受付が拒否されることはありません。

念のため知っておくと良い豆知識として確認してみてください。

申請書を作成したらA4用紙で印刷して、添付情報を一緒に左とじにします。

綴じ方の一般的な順番は、次のとおりです。

  1. 相続登記の申請書
  2. 収入印紙の貼付台紙
  3. 相続関係説明図
  4. 遺産分割協議書(原本還付用のコピー)
  5. 印鑑証明書(原本還付用のコピー)
  6. 被相続人の住民票の除票と戸籍の附票(原本還付用のコピー)
  7. 不動産を取得する法定相続人の住民票(原本還付用のコピー)
  8. 相続登記の委任状(※代理人が申請する場合)
  9. 固定資産評価証明書のコピー、固定資産納税通知書の評価額記載ページのコピー

原本の返却を望む場合はコピーを作成して原本と一緒に提出します。

提出の際はコピーに「原本に相違はありません」と記載して、申請人または代理人の名前を記入して完了です。

申請する時に相続関係図を提出すると、戸籍謄本の原本を返してもらうことができます。

相続関係図とは、家系図のようなもので被相続人と法定相続人の関係性を表したものです。

不動産の相続登記の書類取得は専門家に依頼することも可能

相続登記の必要書類を集める作業は一筋縄ではいきません。

基本的に集めなければいけない書類が多いうえにイレギュラーなパターンもあるため、想像以上の時間がかかってしまいます。

平日の受付時間内に自ら役所へ出向いて書類集めをしなければいけないこともあって、仕事や子育てなど忙しい世帯では対応するのは難しいでしょう。

「時間もないし、何から進めたら良いのかわからない」という方は、最初から司法書士へ依頼するのも一つの選択肢です。

司法書士へ書類取得を始めとする相続登記全般の仕事を依頼するときの必要書類は、次のとおりです。

  • 遺言書(ある場合のみ)
  • 法定相続人全員の印鑑証明書
  • 法定相続人全員の実印
  • 相続する人の本人確認書類のコピー

専門家へ相談すると、法定相続人調査や必要書類の収集と作成、相続手続きの代行まで一通り任せることも可能です。

相続登記は専門家集団の静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターまで

不動産の相続登記は、2024年4月1日より義務化されました。

手続きが大変なこともあって、未登記のまま放置されている不動産も数多くありましたが、今後は法律の定めによって、そのままにしておくことは許されなくなっています。

相続登記の必要書類は、種類の多さやケースごとに必要書類がことなるイレギュラーパターンの多さなど、自分で対処するとなると一筋縄ではいきません。

時間もかかることから、日々忙しくしている世帯では自力で対応するのは難しいです。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続不動産の売買だけでなく、相続に関するご相談も数多く承っています。

通常の相続登記からイレギュラーなパターンまで、数多くの手続きの実績があります。

相続手続きでお困りのことがあれば何でもご相談ください。

専門家の知見によって適切に柔軟に対処させていただきます。

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