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ビルの相続はどう進める?流れやトラブルを避けるための注意点を解説

2025.05.07

ビルのように価格(評価額)が高い不動産を相続する場合、支払う相続税も高くなりがちです。

税金が高いビルの相続だからこそ、節税対策は欠かせません。

いざ相続となった時に焦ることにならないよう、あらかじめ相続税の計算方法や節税方法を把握しておくと安心です。

この記事では、ビルを相続したときの対応の仕方・相続税の基本的な仕組み・税金対策・注意点などを詳しく解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

ビルを相続したら?最初に考えたいビルの取り扱い

ビルを相続したら、まず何から考えればいいのか戸惑う方も多いでしょう。

最初に確認すべきポイントは、次の2つです。

  • 売却して現金にしてしまう
  • 手入れをしてより収益化できるようにする

ここからは、それぞれの選択肢について詳しく説明していきます。

売却して現金にしてしまう

ビルを相続したときにまず考えるべきことは、「売る」か「持ち続ける」かの2つに分かれます。

売却までのステップは、次のようになっています。

  • 相続人と方法の決定
  • 所有者名義の決定
  • 業者の選定
  • 売却代金の分配

以下からは、こうした売却を進める際の基本的な流れと注意点について、順を追って説明していきます。

相続人と方法の決定

まずは、誰がビルを相続するのか、どのような形で相続するのかを家族・親族間で決めます。

相続の方法には、以下のような3つのパターンがあります。

分割方法
内容
換価分割
ビルを売ったお金を相続人で分ける方法
代償分割
1人がビルを相続して、ほかの相続人に代わりにお金を払う方法
共同分割
複数人でビルを共有名義にする方法

ここでは、ビルを売ってそのお金を分ける「換価分割」を前提に説明を進めます。

所有者名義の決定

ビルを売るためには、売る方の名義に変更する必要があります。

この手続きが「相続登記」です。

登記とは「この不動産は誰のものか」を公に登録することをいいます。

登記をしないと、売却もできません。

業者の選定

ビルを売却するには、不動産会社に仲介を依頼する必要があります。

このときは、相続や税金の知識がある不動産会社を選ぶのがおすすめです。

どれくらいの物件を扱った実績があるか(販売の仲介実績)を確認すると、参考になります。

数社と話をして、サービス内容や費用、広報方法(チラシ、ネット掲載など)を確認しましょう。

そのうえで、「媒介契約」という、販売をお願いする契約を結びます。

契約の形によっては、1社だけでなく複数の会社と契約できる場合もあります。

契約後は、業者が買い手を探すための活動を進めてくれるので、途中経過を確認しながら成約を待ちましょう。

売却代金の分配

無事に売却が決まってお金が入ってきたら、そのお金を相続人で分けることになります。

分け方は、事前に話し合って決めた「遺産分割協議」のとおりに行います。

あとから「言った・言わない」でトラブルにならないように、誰がいくら受け取ったかを示す記録や書類を残しておくことが安心につながります。

手入れをしてより収益化できるようにする

「ビルを売らずに自分で持ち続けたい」「安定した収入源にしたい」と考える方もいるでしょう。

その場合は、まず「固定資産税評価額」という、毎年の税金を計算するもとになる価格を確認する必要があります。

固定資産税評価額は、各自治体から毎年送られてくる納税通知書などで確認できます。

固定資産税は、ビルを所有し続ける限り毎年必ず支払う必要がある税金です。

この税金を払い続けられる経済力がないと、持ち続けることが難しくなるため、まずはそこを確認しましょう。

もし税金が払える見込みがあるなら、ビルに手を加えて(リフォームなど)テナントを入れ、家賃収入で利益を得ることもできます。

さらに踏み込めば、不動産コンサルタントに相談して、用途変更や建物の改装などを行い、新しいテナントビルとして再生することも可能です。

収益化のために法人(会社)を設立し、その会社を通してビルを管理するという方法もあります。

これは「資産管理会社」と呼ばれる仕組みで、節税やリスク分散に効果的な場合もあります。

ビルの相続は金額が大きくなる分、早めの判断が重要です。

あらかじめ方向性が決まっていれば、生前贈与や資産管理会社の設立など、選べる選択肢が広がり、ビルから安定した収入を得ながら節税対策もできるようになります。

ビルの相続税を算出する時の4つのステップ

ビルの相続税は、次の4つのステップに分けて計算されます。

  • ステップ1.土地の評価額を算出する
  • ステップ2.建物の固定資産税を調査する
  • ステップ3.課税総額の計算する
  • ステップ4.相続税額の計算する

ここからは、それぞれの計算の意味や考え方を詳しく見ていきましょう。

ステップ1.土地の評価額を算出する

ビルの土地の相続税を出すときは、「その土地の値段はいくらなのか」をまず知る必要があります。

ただし、ここでいう「値段」とは、不動産屋が売買で使う金額(時価)ではなく、「相続税評価額」と呼ばれる国のルールに沿った計算によるものです。

その評価額の計算には「路線価」という考え方が使われます。

これは、道路に面した1平方メートルあたりの土地の価格で、毎年国税庁のホームページで公表されるもの。

計算の仕方は、以下の通りです。

路線価 × 土地の面積(平方メートル)

また、ビルの土地にテナント(お店や会社)が入っている場合は、「借地権割合」という別のルールも加味して計算する必要があります。

さらに、土地の形や使い方によって、評価額に調整(補正)をかける場合もあるのです。

なお、路線価が設定されていない地域については「倍率方式」といって、以下のように、土地の評価額にあらかじめ決められた数字(倍率)をかけて求めます。

ステップ2.建物の固定資産税を調査する

ビルの建物本体の相続税評価額は、「固定資産税評価額」という金額をそのまま使います。

これは、毎年市区町村から送られてくる「固定資産税の納税通知書」に記載されており、その金額を確認すれば問題ありません。

この評価額は、建物を新築したときの価格の50~70%程度で計算されることが多いです。

ビルが自宅ではなく、店舗や事務所として貸している状態であれば、評価額はさらに低くなります。

これは、自由に使えないという理由から、評価が減額されるためです。

具体的には、「貸家」と見なされた建物は、相続税評価額が一律で30%引きになります。

ステップ3.課税総額の計算

ここでは、「課税される相続財産の合計金額」がいくらになるのかを出します。

相続税の対象となる財産は、土地や建物だけではありません。

銀行の預金や現金、生命保険の死亡保険金なども対象になります。

特に、死亡保険金などは「みなし相続財産」と呼ばれ、見落としがちなので注意が必要です。

次に、「基礎控除」という、税金がかからない分を差し引きます。

基礎控除の計算方法は、次の通りです。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数

たとえば、配偶者と子ども2人の合計3人で8,000万円の財産を相続する場合、以下のようになります。

  • 基礎控除額:3,000万円 + 600万円×3人=4,800万円
  • 課税対象の金額:8,000万円 − 4,800万円=3,200万円

このように、控除後に残った3,200万円が「課税遺産総額」となり、課税遺産総額に対して相続税がかかってくることになるのです。

反対に、財産の合計が基礎控除の金額を下回れば、相続税はかかりません。

ステップ4.相続税額の計算

ここでは、実際に「いくら相続税を払うのか」を計算していきます。

まずは、法定相続分を元に、相続人がどれだけの財産をもらうことになるのかを割り出します。

たとえば、配偶者と子ども2人のケースだと、以下の通りです。

  • 配偶者:1/2
  • 子ども:それぞれ1/4ずつ

今回の課税遺産総額が3,200万円だとすると、それぞれの受取額は以下のようになります。

  • 配偶者:1,600万円
  • 子ども:800万円ずつ

次に、下記の税率表にあてはめて、それぞれの税額を計算します。

取得金額
税率
控除額
1,000万円以下
10% 0円
3,000万円以下
15% 50万円
5,000万円以下
20% 200万円
1億円以下
30% 700万円
2億円以下
40% 1,700万円
3億円以下
45% 2,700万円
6億円以下
50% 4,200万円
6億円超
55% 7,200万円

税率表を、先の計算結果に適用すると次のようになります。

  • 配偶者:1,600万円 × 15% − 50万円=190万円
  • 子ども:800万円 × 10%=80万円
  • 子ども:800万円 × 10%=80万円
  • 合計税額:350万円

最後に、実際の相続割合で再配分すると、正式な相続税額が確定します。

配偶者には「配偶者の税額軽減制度」という特例があるため、以下のようになります。

  • 配偶者:350万円 × 1/2=175万円 → 0円(1億6,000万円以内の相続であれば全額非課税)
  • 子ども:それぞれ87万5,000円ずつ相続税を支払う

このように、相続税の負担は状況により大きく変わります。

配偶者がいる場合は、税額軽減制度の活用が重要なのです。

ビルの相続で活用できる節税対策

ビルを相続すると、建物や土地の評価額が高いため、相続税が思った以上に高くなることがあります。

そうした場合でも、以下のような制度を使えば、相続税を減らすことが可能です。

  • 小規模宅地等の特例
  • 相続時精算課税制度の活用
  • 生前贈与を使って特定の人にビルを相続してもらう

以下からは、それぞれの節税制度を詳しく説明します。

小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」は、亡くなった人が事業で使っていた土地(ビルの敷地など)を家族が相続する場合に、その土地の評価額を最大80%まで減らすことができる制度です。

具体例を見てみましょう。

土地5,000万円・建物など3,000万円を相続する場合

まず、以下の表は、計算の考え方です。

すべてテナントとして貸し出していた場合
評価額が50%減額される(事業用土地として)
半分を自宅、半分を貸しテナントとしていた場合
自宅の部分は「特定居住用宅地」として80%減額
テナント部分は「貸付事業用宅地」として50%減額

それぞれの評価額の計算結果は、次のようになります。

すべて貸していた場合:5,000万円 −(5,000万円 × 50%)= 2,500万円

自宅半分・賃貸半分だった場合: ・自宅部分:2,500万円 −(2,500万円 × 80%)= 500万円
・賃貸部分:2,500万円 −(2,500万円 × 50%)= 1,250万円  → 合計:500万円 + 1,250万円=1,750万円
※このとき、建物などの評価額である3,000万円を加えると、全体の相続財産の評価額は4,750万円になります。
基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 相続人の数)が4,800万円を超えていないため、このケースでは相続税は発生しません。

なお、「小規模宅地等の特例」は、事業を継続する意思があることや、一定の要件を満たす必要があります。

事前に専門家に相談することが重要です。

相続時精算課税制度の活用

「相続時精算課税制度」とは、生きているうちに不動産などを贈与するときに、最大2,500万円までは贈与税がかからないという特別な制度です。

この制度を使えば、将来値上がりしそうなビルを早めに子どもに贈与することで、将来の相続税を減らすことが可能です。

ポイントは、相続税の評価は贈与した時点の価格で固定されるという点です。

つまり、価値が上がる前に渡しておけば、それ以上の分には税金がかからないことになります。

ただし、注意点が以下の通りになっています。

  • 2,500万円を超えた部分には、一律20%の贈与税がかかる
  • 一度この制度を選ぶと、通常の暦年贈与には戻れない
  • 小規模宅地等の特例は併用できなくなる

相続時精算課税制度は、贈与された財産はすべて「相続時に合算」して税額が再計算されます。

生前に得したように見えても、相続時の計算次第で納税額が増える可能性もあるため、必ず税理士などと相談してください。

生前贈与を使って特定の人にビルを相続してもらう

相続時精算課税制度を使えない場合でも、「暦年贈与」という方法を使って、少しずつビルの権利を渡すことができます。

暦年贈与は、毎年110万円までの贈与には税金がかからないという「贈与税の基礎控除」を活用する方法です。

不動産のように大きな財産でも、権利(持ち分)を少しずつ分けて贈与していくことが可能です。

たとえば、1/10ずつ贈与していけば、10年で全部を渡しきるようなこともできます。

ただし、暦年贈与は、「亡くなる3年以内に贈与されたもの」は相続財産として計算されるというルールがあるため、早いうちから計画的に行う必要があります。

また、不動産の持ち分を複数人で持つ場合には、売却や賃貸に関して全員の同意が必要になることがあるため、実務上の管理リスクも考慮すべきです。

ビルを相続する時の注意点

ビルを相続するときには、建物そのものの状態だけでなく、中に入っているお店や会社(テナント)との関係や、ビルを持つことによって発生する責任など、事前に確認すべきことが次のようにあります。

  • テナントとの契約を再確認する
  • 賃貸人としての義務を確認する
  • 耐震性など建物のチェックをする

以下からは、ビルを相続するときに確認しておくべき3つの注意点についてそれぞれ詳しく説明します。

テナントとの契約を再確認する

ビルを相続すると、そのビルに入っているお店や会社(テナント)との契約関係もそのまま引き継ぐことになります。

だからこそ、相続前にテナントとの契約内容をしっかり確認しておくことが重要です。

たとえば、以下のような点がポイントです。

  • 賃貸契約の期間
  • 賃料の金額や支払い方法
  • 更新に関する取り決め
  • 修繕が必要になったときの負担の分け方
  • 共益費の負担割合

また、契約がもうすぐ終わりそうな場合は、更新するかどうかの確認や、賃料などの条件を見直す話し合いも必要です。

近隣の相場より明らかに安すぎる賃料設定になっていないかなど、再確認することで、将来の経営判断にもつながります。

賃貸人としての義務を確認する

ビルを相続すると、その時点で貸し主(賃貸人)としての責任や義務もすべて引き継ぐことになります。

こうした責任や義務を知らずにいると、あとで思わぬトラブルや費用が発生することもあるのです。

具体的に、ビル貸し主としての責任や義務とは次のような内容です。

  • ビルの清掃や修理など、維持管理(メンテナンス)を行う義務
  • 共用部分の安全確保や防災設備の整備
  • 管理費や固定資産税などの支払い
  • もしビルを建てたときに借金が残っていれば、その返済義務も相続される

特に、ほかに相続人がいる場合は、費用の負担や借金の返し方で揉めやすいため、誰がどこまで負担するのかを事前に明確に決めておくことが大切です。

相続をきっかけに家族や親族間で関係がこじれるケースも珍しくないので、相続人全員で話し合いをしておくと良いでしょう。

耐震性など建物のチェックをする

ビルを相続する際には、その建物が地震などに耐えられる構造になっているか(耐震性)や、建物の傷み具合を確認することも重要です。

特に注意したいのは、以下の点です。

  • 建物が建てられた年(築年数)
  • これまでどんな修繕をしてきたか(修繕履歴)
  • 必要に応じた耐震診断の実施

もし耐震性が不十分だった場合は、入居者の安全に関わるだけでなく、地震保険への加入や入居希望者からの信用にも影響します。

また、建物が古くなっていてあちこち壊れていたりすると、大規模な改修工事が必要になる可能性もあるため、専門家の意見を取り入れて、現状を正確に把握しておくことが大切です。

耐震基準は1981年(昭和56年)に大きく改正されています。

1981年以前に建てられた建物は、「旧耐震基準」と呼ばれ、地震に対して弱いとされています。

昭和56年以前のビルを相続する場合は、必ず耐震診断を検討しましょう。

ビル相続の相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

今回は、ビルの相続に関する注意点や節税の方法、税金の計算の流れなどを解説しました。

ビルは、普通の住宅に比べて金額が大きく、相続税の額や管理の負担も重くなるケースが多いため、できるだけ早い段階で対策を考えることが大切です。

おおまかな相続税の計算方法を知っておけば、「このくらい税金がかかりそうだな」という予測も立てられます。

そのうえで、生前贈与など節税効果のある方法を活用して、できるだけ無理のない形で相続を進めることが理想です。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、これまで多くの相続相談を受けてきた実績があります。

その経験をもとに、それぞれの家庭の状況に合わせた最適な提案をしてくれます。

ビルのような大型の相続物件にも対応していますので、不安な点や「これって大丈夫かな?」と感じたことがあれば、電話やメールで気軽にご相談ください。

初回相談は無料で受け付けています。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

相続の疑問、専門家がまとめてお答えします

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相続した別荘はどうするべき?知っておきたいポイントや節税方法を解説

2025.05.07

相続した別荘をどうするかは、「売却する」か「所有し続ける」かの2択です。

ただし、どちらを選んでも、手間や費用、税金の問題がついて回ります。

たとえば、所有すれば維持費や管理の負担がかかり、売却すれば準備や諸経費が発生します。

どちらを選ぶにせよ、判断材料や制度を事前に理解しておくことが大切です。

この記事では、相続した別荘の取り扱い方法について、「売却」「所有」の判断ポイントや活用例、などをわかりやすく解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続した別荘の取り扱いは「売却」か「所有」のみ

別荘を相続した場合、その後どうするかの選択肢は「売却する」か「所有し続ける」かの2つだけです。

それぞれ、次のように考え方にポイントがあります。

  • 売却と所有の見極めポイント
  • 別荘を所有し続ける場合の活用方法

以下からはそれぞれ、どんなメリットやデメリットがあるのかを整理しながら見ていきましょう。

売却と所有の見極めポイント

別荘を売るか持ち続けるかを判断するうえで、大事なポイントは次の3つです。

  • 維持費:固定資産税・修繕費・水道光熱費など、どれくらいかかってるのか
  • 利用頻度:どれくらい実際に使う予定があるか
  • 将来の利用計画:今後どんな使い方をするつもりか

たとえば、あまり使う予定がないのに、管理費や税金だけがかかり続けるような別荘であれば、思い切って売却した方が経済的に得になることが多いです。

ただし、売却にも手間や費用はかかります。

不動産会社を探したり、売却のための登記や書類準備、税金の支払いなどが必要です。

一方、維持費を払いつつ所有し続ければ、自由に使えるという利点もあります。

こうした3つの要素を総合的に考えて、「今の自分にとって一番メリットが大きいのはどちらか」を判断しましょう。

別荘を所有し続ける場合の活用方法

相続した別荘を手放さずに所有し続ける場合、主に次のような使い方があります。

  • セカンドハウスとして、家族や自分のために使う
  • ゲストハウスとして、観光客に貸し出す

セカンドハウスとは、自宅とは別に持つ「もうひとつの家」のことです。

週末や長期休暇のときに、自然の中でリフレッシュできる場所として使えます。

一方で、ゲストハウスとして貸し出す場合は、民泊サービス(インターネット上の宿泊予約サイトなど)に登録して、宿泊施設として活用することになるでしょう。

ただし、こうした法には次のような注意点があります。

  • 建物の清掃・設備管理などをこまめに行う必要がある
  • 住宅宿泊事業法や自治体の条例に沿った届出が必要
  • 宿泊者のトラブルや近隣住民との関係にも配慮が必要

また、人に貸す場合は、建物の使用が激しくなるため、維持費(ランニングコスト)は高くなることが多いです。

セカンドハウスとして使うよりも、修繕費やクリーニング費用が多くなる点も踏まえておく必要があります。

【例外】寄付や譲渡で手放す

別荘を手放す方法として、売却以外にも「寄付」や「譲渡」があります。

寄付とは、お金をもらわずに無償で誰かにあげることです。

譲渡は、無償または低価格で第三者へ不動産を渡すことを意味します。

寄付が成立する可能性があるのは、以下のようなケースです。

  • 土地に公益性がある場合(公共施設や地域施設の建設予定がある)
  • 自治体が将来的にその土地の利用を検討している場合

しかし、ほとんどの自治体は「別荘の寄付」を受け入れていません。

その理由は、以下の通りです。

  • 寄付を受けた土地でも、管理や修繕の責任が自治体に発生するから
  • 固定資産税を徴収できなくなるため、財政的にマイナスになるから

したがって、基本的には売却か自己所有による運用が現実的な選択肢だと考えておくべきです。

相続した別荘を売却する際に知っておきたいこと

相続した別荘を売却しようと思ったとき、「簡単に売れそうにない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

実際に、別荘の売却は一般的な家と比べて難しいケースが多く、以下のようなさまざまな注意点や準備について知っておきたいところです。

  • 別荘の売却は難しい
  • 別荘を高値で売却する際のポイント
  • 別荘をスムーズに売却するためのポイント

それぞれ、具体的に何に気をつければ良いのかを詳しく見ていきましょう。

別荘の売却は難しい

別荘は、一般的な一戸建てやマンションと違い、買い手を見つけるのが難しい物件です。

なぜ難しいのかというと、次のような理由が重なっているからです。

  • そもそも別荘を欲しいと思う人が少ない
  • 観光地や山の中など「交通の便が悪い場所」にあることが多い
  • 建物や敷地の管理にお金がかかる
  • 固定資産税(土地や建物に毎年かかる税金)が高めに設定されている
  • 地域によっては「別荘税」という特別な税金まである

このような理由から、たとえ購入価格を安くしても、月々の維持費や管理費が重くのしかかり、買い手にとっては負担が大きくなってしまいます。

特に通年で使用しない場合、誰かに掃除や点検をお願いする必要もあり、温泉地にある別荘では「温泉使用料」まで別途かかることもあります。

こうした理由から、別荘の売却は普通の家よりも時間がかかりやすく、結果として「売れにくい」といわれるのが現実です。

居住用のような特別措置はない

別荘は税金の面でも、普通の住まい(マイホーム)と比べて不利な点があります。

たとえば、住むための家を売るときは、利益が出ても最大で3,000万円まで税金がかからない「特別控除」という制度があります。

また、もし家を売って損をした場合でも、その損失を給与所得などの収入と相殺して、払った税金を一部戻してもらえる「損益通算」という仕組みも使えるのです。

しかし、別荘にはこうした優遇制度は一切ありません。

たとえ売却で損をしても、その損失を税金の計算に使うことはできないうえに、利益が出た場合はそのまま課税されてしまいます。

つまり、税金面でも「住む家」と「別荘」はまったく違う扱いになっていて、それもまた売却のハードルを高くしている一因なのです。

別荘を高値で売却する際のポイント

別荘を少しでも高く売却したい場合は、以下の2つの考え方が重要です。

  • 別荘地と空き家の買取に強い専門業者を選ぶ
  • 実績と口コミを確認する

買取業者を利用する場合は、見極めが大切です。

しかし、専門性が高い不動産の知識を持ち合わせていなければ、見極めポイントを探し出すのも難しいでしょう。

以下からは、別荘を高値で売りたい時に、買取業者を利用する際の見極めポイントを2つ紹介します。

別荘地と空き家の買取に強い専門業者を選ぶ

不動産会社であればどこでも別荘を取り扱える、というわけではありません。

別荘は一般住宅と事情が異なるため、別荘や空き家の取引に慣れている専門業者を選ぶ必要があります。

そうした業者なら、買い取った後の活用(リフォームして民泊にする、別荘オーナーへ再販するなど)にノウハウがあるため、適正価格での買取が期待できるのです。

一方、一般的な不動産を幅広く取り扱う業者では、別荘の取扱い経験が少なく、買取を断られたり、相場よりも低い査定額を提示されたりするリスクがあります。

実績と口コミを確認する

業者選びの際は、必ず以下の点を確認してください。

  • ホームページに「実際の買取実績」が掲載されているか
  • 口コミや評価が一定数あり、評価内容が具体的か
  • 査定金額の根拠をきちんと説明してくれるか

特に「契約直前で価格を下げてくる」ような悪質業者も一部存在するため、査定額の根拠を聞いて納得できる業者を選ぶことが重要です。

別荘をスムーズに売却するためのポイント

別荘をスムーズに売却するには、ただ売り出すだけでなく、事前の準備や環境整備が欠かせません。

売却を進めるうえで大切な具体的な対応ポイントとして、以下3つが挙げられます。

  • 買い手が見つかるまで管理とメンテナンスを続ける
  • 更地での売却も考えておく
  • 妥協できる最低限の売値を決めておく

それぞれの内容について、以下から詳しく解説していきます。

買い手が見つかるまで管理とメンテナンスを続ける

売却が決まるまでの間、別荘の見た目や状態は重要です。

買い手が内見に訪れた際、清潔でしっかり管理されている物件の方が圧倒的に印象が良く、成約につながりやすくなります。

そのため、水回り・外壁・庭木など、手入れを怠らず維持しておくことが望ましいです。

別荘を丸ごと改装するつもりで物件を探している買い手もいますが、それでも水回りや設備インフラの整備、建物の基礎など、基本的な部分はチェックしてくるため、対応は必須なのです。

更地での売却も考えておく

もし別荘の建物が古くて劣化が激しい場合は、思い切って取り壊して更地にすることも選択肢です。

買い手によっては、建物付きよりも、更地のほうが自由に設計・建築できる分、魅力的に映ることがあります。

ただし、建物の状態や立地条件によっては、建物を残したほうが良いケースもあるため、専門家に相談のうえで判断しましょう。

妥協できる最低限の売値を決めておく

スムーズに売却を進めるためには、あらかじめ「ここまでなら値下げしてもいい」と思える最低金額を設定しておくことが大切です。

このラインが決まっていないと、価格交渉で迷いが出てしまい、結果としてチャンスを逃す可能性もあります。

明確な基準を設けておけば、売却のタイミングも逃さず、後悔のない判断ができます。

別荘を相続したくない場合は相続放棄を選ぶ

「どうせ使わないし、売却も難しそうなら、いっそ相続したくない」という場合には、相続放棄という選択肢もあります。

ただし、以下の点に注意が必要です。

注意点
詳細
別荘だけを選んで放棄することはできない
相続放棄をすると、現金や預貯金などのプラスの財産もすべて放棄することになる
放棄しても、しばらくは管理責任が残る
裁判所が「相続財産清算人」を選ぶまでは、あなたに管理義務が発生することもある
放棄するには、家庭裁判所への申立てが必要
状況により手続きや費用(予納金)が発生する

相続放棄には、「負担から解放される」代わりに「ほかの財産も受け取れない」というトレードオフがあります。

慎重に判断し、必要なら司法書士や弁護士に相談しましょう。

相続した別荘にかかる相続税

別荘を相続したときも、普通の家と同じように「土地」と「建物」それぞれに相続税がかかります。

相続した別荘にかかる相続税について、知っておきたいポイントは以下2つです。

  • 土地の相続税評価
  • 建物の相続税評価額は固定資産税と同じ

ここからは、別荘の土地と建物の相続税評価額の算出方法や確認方法を詳しく見ていきましょう。

土地の相続税評価

土地にかかる相続税を計算するためには、以下を行う必要があります。

  • 地目をチェックする
  • 路線価地域か倍率地域かを確認する

計算方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。

どちらで計算するかは、土地の場所によって変わります。

さらに、まず計算の前には「地目(ちもく)」という土地の種類を確認しましょう。

以下から、それぞれについて詳しく説明します。

地目をチェックする

土地の評価額を計算する前に、その土地がどのように使われていたかを示す「地目(ちもく)」を確認しておく必要があります。

地目は、被相続人が亡くなった時点での状況で判断され、次のような種類があります。

  • 宅地:住宅が建っている土地
  • 田・畑:農作物を育てる土地
  • 山林・原野:山や自然のままの土地

こうした地目は「登記簿謄本」という法的な土地情報の書類で確認することができます。

路線価地域か倍率地域かを確認する

土地の評価方法を決めるために、まずその場所が「路線価地域」なのか「倍率地域」なのかを確認します。

それぞれ、以下のような評価方法を持つものです。

評価方法
詳細
路線価方式
道路ごとに国が定めた価格(=路線価)をもとに計算
倍率方式
・路線価が設定されていない場所
・市町村の評価額に倍率をかけて計算

確認方法は、国税庁のホームページにある「路線価図」と「評価倍率表」を調べること。

地名が見つからなければ、それは倍率地域です。

計算式は、以下のようになります。

  • 路線価方式: 路線価 × 土地の面積 = 評価額
  • 倍率方式: 固定資産税評価額 × 倍率 = 評価額

建物の相続税評価額は固定資産税と同じ

別荘の建物部分の評価額は、「固定資産税」の評価額と同じです。

固定資産税は、普通の家と同じ扱いで計算されます。

新しいか古いか、築年数に応じて価格が決まります。

評価額は、毎年市区町村から送られてくる「納税通知書」に書かれているものです。

ほか、より正確に知りたい場合は「固定資産評価証明書」を取得しましょう。

証明書は、役所の窓口に行かなくても郵送でも取り寄せが可能です。

申請方法は、お住まいの自治体のホームページで確認できます。

別荘評価額を下げる方法

相続する際の「別荘の価値(=評価額)」を下げて、相続税を少なくするための方法は、次の通りです。

  • 傾斜地なら造成費を差し引くことができる
  • 評価額が実勢価格よりも高い場合は時価を評価額にできる

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

傾斜地なら造成費を差し引くことができる

別荘地に建っている土地が傾いている(傾斜地)場合、実際に建物を建てるためには平らに整えるための工事(造成工事)が必要です。

たとえば、斜面になっている土地に家を建てたい場合、まず重機で土をならして平らにする「造成」という作業を行う必要があります。

造成の費用は土地の使いやすさに影響し、評価額を下げる材料となります。

造成に関するポイントは、次の通りです。

  • 造成費用は実際に工事をしていなくても、評価額から差し引いてもらえる可能性がある
  • 金額は国税庁のホームページなどで目安を確認できる

ただし、「この土地が傾斜地に当たるのかどうか」の判断や評価方法はとても専門的なので、「もしかしたら傾いているかも?」と思った時点で、税理士や不動産の専門家に相談するのが安心です。

造成費を差し引けるかどうかの判断は、土地の傾きの角度や地形に応じて違います。

市町村が公開している「評価の基準」や過去の評価事例なども、専門家はチェックしてくれます。

評価額が実勢価格よりも高い場合は時価を評価額にできる

土地や建物の価格には、「実勢価格(市場で実際に売買される価格)」と「評価額(税金を計算するために決められた価格)」があります。

一般的には、相続税の評価額は実勢価格のおよそ80%とされています。

しかし、別荘地の場合、実勢価格が大きく下がっていても、評価額が変わらないままになっているケースが多くあります。

こうした場合、「実際に売ったらもっと安いはずなのに、相続税だけ高くなる」ということが起きます。

このような価格のズレ(価格の歪み)がある場合は、実勢価格を評価額として使える可能性があります。

実勢価格を評価額として使うには、「不動産鑑定士」による正式な評価書や、周辺の売買事例などが必要になります。

自分だけで判断せず、必ず専門家のサポートを受けましょう。

別荘の相続に関するよくある質問

ここまで、別荘を所有するのか売却するのかの判断ポイントや相続税の算出方法などについて解説しました。

別荘を相続したあとに「所有するべきか」「売ったほうがいいか」などの悩みを解決するための、よくある質問として、次が挙げられます。

  • 相続した別荘の所有と売却はどこで判断する?
  • 別荘を賃貸に出すことはできる?
  • 別荘を相続した後は保険に加入したほうが良い?
  • 別荘を相続すると相続税はどのくらいかかる?

ここからは、別荘の相続に関してよくある4つの質問にお答えしていきます。

相続した別荘の所有と売却はどこで判断する?

別荘を残すか手放すかを考えるときは、以下の3つのポイントが判断材料になります。

  • セカンドハウスやゲストハウスとして使い道があるか(家族や親戚が使うか)
  • 維持費用の捻出や管理の手間を継続できるか(金銭負担や手間に耐えられるか)
  • 買い手がつくほどの資産価値があるか(利益を生み出せるか)

使う予定がなければ、売却も選択肢になります。

とはいえ、売ってくれる相手が見つからないこともあるため、そのときはしばらくは所有を続けることも一つの方法です。

別荘を賃貸に出すことはできる?

はい、使っていない別荘を「貸す」ことで収入を得ることもできます。

たとえば、以下のような貸し方があります。

貸し方
詳細
戸建賃貸経営
普通の一軒家として、1年以上の契約で貸す方法
貸別荘経営
1か月や1シーズンなど、短期間だけ貸し出す方法
旅館業・民泊経営
・1泊ごとの貸し出し
・この場合は「旅館業の許可」が必要

旅館業の許可を取るには、消防や衛生の基準を満たすことが必要です。

建物の構造によっては、改装が必要なこともあります。

別荘を相続した後は保険に加入したほうが良い?

はい、相続した別荘が火災や自然災害、盗難などで損害を受けたときのために、火災保険や家財保険に加入しておくのが安全です。

たとえ普段住んでいない建物でも、「住む予定がある」場合には一般の住宅として扱われ、普通の火災保険に入れます。

ただし、保険会社によっては「空き家」とみなされることもあります。

その場合は「一般物件用の火災保険」になるので、契約前に保険会社に確認しましょう。

別荘を相続すると相続税はどのくらいかかる?

相続税の計算は、次のように行います。

  • 土地と建物の評価額を足す
  • 基礎控除(一定額を差し引ける制度)を引く
  • 残った金額に税率をかける

ただし、実際の税額は土地の場所、建物の古さ、ほかの財産との合計などによって大きく変わります。

国税庁のホームページには「相続税の計算シミュレーター」があります。

ある程度の目安を知るには便利ですが、正式な計算は税理士などの専門家に依頼するのが確実です。

別荘の相続は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへご相談ください

今回は、別荘を相続したときに「価値を下げて節税する方法」「所有・売却の判断」「貸す・保険・税金」といった内容を紹介しました。

別荘の相続は、通常の家と違って売りにくかったり、税金の優遇措置が使えなかったりと、難しい点がいくつかあります。

どうしたら良いか迷うときは、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターに相談してみてください。

相続や売却のサポートに慣れた専門家が対応し、弁護士・税理士・不動産会社などとのネットワークをご利用いただけます。

初回相談は無料で、電話やメールでもご相談可能です。

イレギュラーな状況でも、これまでの経験と実績をもとに、柔軟な解決策を提案いたします。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

相続の疑問、専門家がまとめてお答えします

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相続の費用まとめ|手続き別の金額や報酬相場、専門家へ依頼したほうが良いケースを紹介

2025.05.07

相続の手続きをすることになったとき、「いったいどれくらいお金がかかるのか?」と不安になる方は多いと思います。

実際、相続にかかる費用は、自分で手続きするか、それとも専門家に依頼するかで大きく異なります。

たとえば、自分で戸籍などの必要書類を集めて相続登記などを行う場合、2,000〜3,000円程度で済むこともあるのです。

一方、司法書士や税理士、弁護士などの専門家に依頼した場合は、内容に応じて5〜20万円以上かかることもあります。

本記事では、相続にかかる費用の紹介や、相続手続きを専門家へ依頼したほうが良い場合などを詳しく説明しています。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続手続きにかかる費用の相場

相続手続きにかかる費用は、以下のように、ケースごとに分かれます。

  • 自分で相続手続きを進める場合の費用
  • 専門家に相続手続きを依頼する場合の費用

以下からは、自分で進める場合と、専門家に依頼する場合それぞれ2つのケースに分けて説明します。

自分で相続手続きを進める場合の費用

自分で相続の手続きを行う場合、必要になるのは主に「書類の取得にかかる費用」です。

相続財産を誰が受け取るのかを調べるために、戸籍謄本や住民票、印鑑登録証明書などの公的書類を集める必要があります。

具体的には、以下のような費用がかかります。

必要書類
費用
戸籍謄本
1通あたり約450円
除籍謄本・改製原戸籍
1通あたり約750円
住民票
1通あたり約300円
印鑑登録証明書
1通あたり約300円

また、相続する財産に不動産が含まれている場合は、相続登記のために固定資産税評価証明書を取得する必要があります。

固定資産税評価証明書は、不動産の評価額を証明する書類で、市区町村の窓口で取得でき、1通あたり約400〜500円程度です。

専門家に相続手続きを依頼する場合の費用

「手続きが面倒」「時間がない」「自分では不安」という場合には、司法書士や税理士、行政書士などの専門家に依頼することになります。

その場合、相続内容や財産の種類、相続人の数などに応じて、以下の表のような費用が発生します。

専門家の種類
費用の目安
備考
司法書士
約5万円〜15万円 登記や戸籍調査などに強い
税理士
遺産総額の0.5〜1.0% 相続税の申告が必要な場合に対応
行政書士
約10万円〜 遺産分割協議書など書類作成が中心
弁護士
約20万円〜 相続争いやトラブルがあるときに対応
銀行・信託銀行
100万円以上 ワンストップで全手続きを行うが高額

銀行や信託銀行の相続サポートは、確かに手間が省ける一方で、費用が高額になる傾向があります。

費用対効果をよく比較してから検討することが大切です。

相続財産ごとの相続手続き費用

相続財産には、次のようにさまざまな種類があり、財産の種類によって手続きの内容やかかる費用が異なります。

  • 【不動産の評価額による】不動産の相続
  • 【必要書類の取得費用のみ】預貯金の相続
  • 【必要書類の取得費用のみ】株や証券の相続
  • 【費用はかからない】貴金属や骨董品の相続
  • 【3,000円以上】車の相続

以下からは、5つの財産それぞれについて、具体的にどんな手続きが必要で、どれくらいの費用がかかるのかを詳しく見ていきましょう。

【不動産の評価額による】不動産の相続

不動産(土地や建物)を相続する場合は、法務局で名義変更(相続登記)の手続きが必要です。

このとき、以下の費用がかかります。

  • 登録免許税
  • 必要書類の取得費用
  • 相続放棄をする場合に必要な書類に関する費用

それぞれ、詳しく説明します。

登録免許税

登録免許税の計算式は、以下の通りです。

計算式:固定資産税評価額 × 0.4%

固定資産税評価額は、市区町村から毎年届く「納税通知書」に載っています。

必要書類の取得費用

戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などにはそれぞれ取得するための費用がかかり、合計すると、おおよそ5,000円前後(相続人の人数や取得方法によって変動)必要となります。

相続放棄をする場合に必要な書類に関する費用

相続放棄とは、相続人が財産を受け取らず、負債なども引き継がない選択をすることです。

この場合、家庭裁判所に申し立てる必要があり、以下のような書類を準備します。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの全期間)
  • 被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)
  • 固定資産税評価証明書
  • 相続人の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書
  • 遺産分割協議書や遺言書

相続登記は2024年4月から義務化されており、怠った場合は最大10万円の過料(罰金)の可能性があります。

【必要書類の取得費用のみ】預貯金の相続

銀行にある預貯金を相続する場合、手続きそのものに手数料はかかりません。

かかるのは、必要書類の取得費用のみです。

銀行に提出する主な書類は、以下の通りです。

  • 亡くなった方の戸籍謄本
  • 預金通帳、届出印、キャッシュカード
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書または遺言書

金融機関によって提出書類の詳細は異なるため、事前に電話で確認しておくと安心です。

【必要書類の取得費用のみ】株や証券の相続

株式や投資信託などの証券を相続する場合も、手数料は基本的に不要です。

必要書類をそろえれば、証券会社や信託銀行で手続きができます。

必要となる代表的な書類は、以下の通りです。

  • 名義人の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 実印
  • 被相続人の所有株式数の証明書、株式異動証明書
  • 遺産分割協議書または遺言書

証券会社によっては、独自の申請書類を要求されることがあります。

必ず事前に確認しておきましょう。

【費用はかからない】貴金属や骨董品の相続

貴金属(金・銀・プラチナのアクセサリーなど)や骨董品(古美術品など)については、名義変更などの法的な手続きが不要なため、相続による費用は一切かかりません。

そのまま相続人が受け取って、所有権を持つ形になります。

ただし、相続税の申告対象にはこうした物品が含まれるため、高額な美術品や宝石は資産価値の確認が必要です。

【3,000円以上】車の相続

車を相続する場合は、運輸支局(陸運局)で名義変更の手続きをする必要があります。

このとき、次の表のような費用が発生します。

費目
金額の目安
移転登録手数料
約500円
車庫証明取得費用
2,500円〜3,500円(地域差あり)
ナンバープレート代
約1,500円(番号変更なければ無料)
名義変更の代行手数料
約5,000円(業者に依頼した場合)

合計は、およそ3,000〜15,000円程度です。

手続きの方法や必要書類は、各地域の運輸支局によって異なるため、最寄りの運輸局に確認してから動くのが安全です。

相続によって、自動車保険の名義変更も必要になります。

保険会社への連絡も忘れずに行いましょう。

相続手続きを専門家に依頼したときの費用相場

相続手続きは、状況が単純なら自分でもできるケースがあります。

しかし、相続人が多かったり、連絡が取りづらい関係だったりすると、手続きが複雑になり、トラブルになることもあります。

そうしたときは、次のように、法律や税金の専門家に依頼することで、スムーズで安全に進めることができます。

  • 【約20万円以上】弁護士
  • 【6万円〜13万円程度】司法書士
  • 【遺産の総額から0.5%〜1.0%】税理士
  • 【約10万円〜】行政書士

ここからは、それぞれの報酬と仕事内容について、詳しく見ていきましょう。

【約20万円以上】弁護士

弁護士に相続を相談する場合は、以下のように、費用がいくつかの項目に分かれています。

費用項目
詳細
相談料
・30分5,000円〜1万円ほど
・初回無料の事務所も多い
着手金
調停や裁判を依頼する時に前払いする費用
報酬金
手続きがうまく終わったときに支払う成功報酬
実費
交通費・印紙代・郵送代などの経費

弁護士を利用するのは、「相続人どうしで揉めている」「遺言書の解釈で争いがある」など、トラブルを解決する必要があるときが多いです。

そのため、かかる費用はおおよそ20万円以上が相場と考えておくと良いでしょう。

【6〜13万円程度】司法書士

司法書士は、不動産の名義変更(相続登記)や戸籍収集など、登記手続きに関するプロです。

基本的な報酬の目安は、6〜13万円前後です。

しかし、以下の表のように、頼む内容によって費用が細かく分かれています。

手続き内容
相場費用の目安
登記申請(名義変更)
3〜8万円
遺産分割協議書の作成
1.5〜7万円
登記情報の調査(不動産の確認)
1物件あたり1,000〜1,500円
戸籍収集・相続関係説明図の作成
1.5〜4万円

司法書士の費用は、「不動産の数」「不動産の評価額」「相続人の人数」によって変動することを覚えておくと、費用感を掴むのに良いでしょう。

【遺産の総額から0.5%〜1.0%】税理士

税理士は、相続税の申告や、税金に関わる相談・書類作成の専門家です。

税理士の報酬は、以下のように、遺産の総額に応じて決まるのが一般的です。

  • 遺産総額3,000万円の場合、税理士報酬は15〜30万円
  • 遺産総額1億円の場合、 税理士報酬は50〜100万円

報酬の内訳は、次の通りです。

報酬の内訳
相場費用の目安
基本報酬
あらかじめ決められている基本料金
加算報酬
土地や非上場株式など、複雑な財産を含む場合の追加費用

税理士の報酬は、「相続税のかかる財産がある方」だけが対象です。

相続税が発生しない場合は、税理士への依頼は不要なこともあります。

【約10万円〜】行政書士

行政書士は、書類作成と手続きの代行を専門とする国家資格者です。

相続に関しては、次のような手続きを代行してくれます。

手続き内容
相場費用の目安
基本報酬
約6万円〜
戸籍・住民票の取得
1通あたり1,500円前後
財産目録の作成
3万円〜
遺産分割協議書の作成
3万円〜
預貯金の相続手続き
3万円〜
有価証券(株など)の相続手続き
約3.5万円〜
車の相続手続き
3万円〜

行政書士は土地や建物などの「不動産の相続登記」はできません。

不動産の相続登記は、司法書士の専門分野です。

「どの専門家に相談すべきかわからない」という場合は、まずは司法書士や行政書士など、相続手続きを専門に扱っている事務所に問い合わせるのが現実的です。

たとえば、「登記が必要かも」と思ったら司法書士、「書類が多くて不安」という場合は行政書士から聞くと、適切な窓口に案内してもらえることが多いでしょう。

相続手続きを専門家へ依頼したほうが良いケース

次のようなケースでは、最初から専門家に依頼したほうが早くて安心なことも多いです。

  • 相続人の仲が悪い
  • 兄弟間での相続や代襲相続が発生している
  • 数世代前の先祖のまま名義が変更されていない
  • 代償分割や換価分割を検討している
  • 早めに不動産を現金化したい

ここからは、5つのケースそれぞれについて、専門家に依頼したほうが良い理由を説明します。

相続人の仲が悪い

兄弟や親族のあいだで関係が悪化している、またはまったく連絡が取れないという場合、相続の話し合いがまとまらず、手続きが進まなくなることがあります。

このようなときは、司法書士や弁護士などの専門家を間に入れれば、感情的な対立を避けながら手続きを進めることができるはず。

たとえば、直接話すのが困難でも、第三者を通すことで書面でのやりとりにできるなど、冷静に進められる工夫もあります。

兄弟間での相続や代襲相続が発生している

相続人が兄弟姉妹やその子(甥・姪)などになるケースでは、 相続人の人数や関係性が複雑になりやすく、誰が相続人なのかを正しく特定するのが難しくなります。

また、亡くなった方の子どもが先に亡くなっていた場合、その子どもの子(孫)が代わりに相続する「代襲相続」が発生します。

こうしたケースでは、次のようなことが起こる可能性が高いため、最初から専門家に依頼したほうがスムーズで安心です。

  • 戸籍を何世代にもわたって集める必要がある
  • 話し合いが長引くことが多い

数世代前の先祖のまま名義が変更されていない

祖父母や曽祖父母など、すでに亡くなってから何十年も経つ人の名義のまま放置されている不動産もあるでしょう。

こうした場合、現在の相続人が名義変更(登記)を行うために、以下のように多くの戸籍や関係書類を集める必要があります。

  • 相続人が10人以上になる
  • 書類が100通以上必要になる
  • 旧民法(戦前の法律)を調べる必要が出てくる

一般的に、こうした場合、自力で処理するのは現実的ではありません。

代償分割や換価分割を検討している

相続財産が主に「土地や家」など、不動産であるケースについて考えます。

不動産がメインで、現金があまりない場合には、以下のような「代償分割」や「換価分割」という手段が使われます。

分割方法
詳細
代償分割
ある相続人が不動産をもらい、ほかの相続人には現金を支払う方法
換価分割
不動産を売って、そのお金を分け合う方法

こうした方法は、相続税の計算や不動産の売却、協議書の作成などが必要になるため、法律と税金の知識が欠かせません。

さらに話し合いがこじれやすいので、最初から第三者として専門家を入れておくと安心です。

早めに不動産を現金化したい

不動産を売るには、早くても半年、通常は1年近くかかるのが一般的です。

もし、「相続税の支払い期限が近い」「急ぎでお金が必要」という事情があるのなら、スケジュールに余裕がないため、専門家に依頼したほうが確実です。

また、不動産を売却するためには、次の手続きが必要になります。

  • 相続登記(名義変更)の完了
  • 不動産業者との契約
  • 所有権移転の手続き

こうした手続きをすべて整えるには時間がかかるため、自力で進めようとすると、期限に間に合わなくなるおそれがあります。

相続手続きの費用についてよくある質問

ここでは、相続手続きの費用に関する、よくある以下4つの質問にお答えします。

  • 相続手続きにはどのくらい費用がかかる?
  • 費用が惜しい場合、遺産相続は自分でできる?
  • 相続手続きの費用は誰が払う?
  • 専門家への報酬は分割払いできる?

それぞれの質問と回答を、詳しく見ていきましょう。

相続手続きにはどのくらい費用がかかる?

相続手続きを自分で行った場合にかかる費用は、おおよそ次の通りです。

書類名
目安費用
戸籍謄本 約450円
改製原戸籍謄本・除籍謄本 約750円
住民票 200〜300円
印鑑登録証明書 200〜300円
固定資産評価証明書 200〜300円
合計 約2,000〜3,000円

合計費用は、必要書類の枚数により変わると考えておきましょう。

司法書士や弁護士など専門家へ依頼した場合は、依頼する士業にもよりますが、報酬の相場は5〜20万円以上となっています。

費用が惜しい場合、遺産相続は自分でできる?

はい、一定のケースでは自分で相続手続きを進めることも可能です。

ただし、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 相続人が多い
  • 兄弟や代襲相続が絡んでいる
  • トラブルの予感がある
  • 時間が取れない

自分で間違えてしまった場合は修正に時間がかかり、期限(納税など)に間に合わないこともあるため、不安があれば最初から専門家に依頼するほうが無難です。

相続手続きの費用は誰が払う?

相続にかかる費用の負担者は、法律で「誰が払う」と明確には決められていません。

実際の負担方法は、次のような考え方に沿って決まるのが一般的です。

  • 不動産登記にかかる費用は、その不動産を相続するほうが負担する
  • 弁護士や司法書士などに依頼した場合の費用は、その方自身が負担する

ただし、こうした費用をどう分担するかは、相続人同士で話し合って決めるものです。

全員で均等に負担することも起こり得る一方、特定のほうがまとめて支払うこともあります。

専門家への報酬は分割払いできる?

分割払いができるかどうかは、事務所によって異なります。

したがって、初回相談のときに、以下のようなことを確認しておくと安心です。

  • 分割払いは可能か
  • 支払方法(現金、振込、クレジットカードなど)はどうなるか
  • いつまでに払えばいいか

なお、相続の解決には数ヶ月かかることも多いため、分割払いに応じてくれる専門家も少なくありません。

相続の相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

今回は、相続手続きに関わる費用の相場や、専門家に頼んだほうが良いケースについて詳しく解説しました。

相続は、「費用を節約したいなら自分で」「時間やミスを避けたいなら専門家へ」というように、ご自身の状況に応じて選ぶのが現実的です。

ただし、以下のような状況にある場合は、専門家に依頼したほうがスムーズに進められるでしょう。

  • 相続人が多くて連絡がとりづらい
  • 兄弟相続や代襲相続がある
  • 不動産を早く現金化したい

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続の不安や悩みに応じた適切な手続きと費用の提案を行っています。

ご相談はメール・電話にて随時受付中です。

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相続の手続きはいつまで?期限と間に合わない場合の対処法を解説

2025.04.02

家族や親戚が亡くなり、相続が発生した方のなかには「相続手続きの期限はいつまでなのだろう」「万が一、期限を過ぎてしまったらどうなるのだろう」と、気になっている方も多いのではないでしょうか。

基本的な相続の期限として、3か月後の相続放棄、または10か月後の相続税の申告・納付に分けられます。

相続の手続きを後回しにしてしまい、期限が迫っている場合は、早急に対処しなければいけません。

この記事では、相続やそのほかの諸手続きに設定された期限や期限に間に合わなった場合の対処法を解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続手続きの期限一覧表

被相続人の死亡と相続に関する手続きの期限を一覧表にまとめました。

それぞれの手続きの詳しい期限は次項にて詳しく説明しています。

7日以内
死亡届の提出
14日以内
社会保険と年金関連の手続き
3か月以内
相続放棄・限定承認の申請
4か月以内
所得税の申告と納付
10か月以内
相続財産の調査と収集
遺産分割協議
預貯金や有価証券の換金または名義変更
不動産の名義変更
借入債務の承継手続き
相続税の申告と納付

被相続人の死後に速やかに行う手続き

被相続人の死後に速やかに行うべき諸手続きは2つです。

それぞれの手続きについて、詳細を説明します。

【7日以内】死亡届と火葬許可申請書の提出

人が亡くなったときに、まず提出しなければいけないのは死亡届です。

死亡届の提出期限は死後7日後と決められています。

死亡すると医師は親族へ、死亡診断書もしくは死体検案書を渡します。

死亡届と死亡診断書はセットになっていますので、死亡届の部分に必要事項を記入の上、市町村役場へ提出すると手続き完了です。

市町村役場は死亡届を受け取ると、戸籍を書き換えます。

死亡届を提出する時に火葬許可申請書を提出すると、死体埋葬火葬許可証をもらえますので、その後は葬儀会社と相談して葬儀を進めましょう。

【14日以内】年金受給停止や健康保険資格喪失など

被相続人が年金受給者だった場合は、年金の受給停止手続きが必要です。

国民年金は死亡後14日以内、厚生年金は死亡後10日以内と期限が定められています。

報告もなく年金を受け取ってしまうと不正受給と見なされる可能性があるため、早めに書類を提出しましょう。

そのほかには、健康保険の資格喪失手続きも必要です。

国民健康保険は市町村役場、社会保険は加入している健康保険組合に連絡して書類を提出します。

社会保険の被保険者が死亡した場合、不要されていた人は、健康保険組合から埋葬料の名目でお金がもらえます。

期限が設けられている相続手続き

期限が設定されている相続手続きには、以下があります。

  • 【3か月以内】相続放棄や限定承認
  • 【4か月以内】準確定申告
  • 【10か月以内】相続税の申告と納付
  • 【1年以内】遺留分の侵害請求
  • 【3年以内】死亡保険金の請求と相続登記

それぞれ詳しく解説します。

【3か月以内】相続放棄や限定承認

相続放棄と限定承認の期限は3か月に設定されています。

相続人の確定と調査が終わった後、相続人は以下の3つの相続方法から一つ選ばなければいけません。

単純承認
被相続人の財産と負債をすべてそのまま相続する方法
限定承認
相続する財産の範囲内で負債を引き継ぐ方法
相続放棄
財産も負債も一切引き継がず、相続人の権利を完全に放棄する方法

単純承認は、いわゆる通常の相続で、被相続人の財産を丸ごと相続します。

相続放棄も限定承認の手続きもしない場合、自動的に単純承認したと見なされます。

3か月という期間は、相続人が相続方法を選択するために設けられた熟慮期間です。

どうしても3か月以上時間がかかる場合は、熟慮期間延長の申立という手続きをすると、3か月経過した後でも相続放棄や限定承認が認められるケースもあります。

【4か月以内】準確定申告

準確定申告は、被相続人を代行して相続人が行う確定申告のことをいいます。

被相続人の確定申告の義務は、相続人が引き継ぐという決まりです。

準確定申告が必要なケースは次のとおりです。

  • 被相続人が自営業者
  • 被相続人に確定申告が必要な副収入がある
  • 被相続人の給与額が2,000万円以上
  • 被相続人の還付金がある

準確定申告の期限は、相続人が相続の事実を知った日から4か月です。

4か月を過ぎると延滞金が発生します。

【10か月以内】相続税の申告と納付

相続税の申告と納付期限は、相続の事実を知った翌日から10か月以内に行わなければなりません。

申告と納税の期限が同じ期日である点に注意が必要です。

どうしても期限内に納税ができない場合は、延納と物納という方法を選択できます。

延納は相続税を将来に渡って分割払いする方法で、延納の申請をするには次の4つの条件を満たす必要があります。

  • 相続税額が10万円を超えている
  • お金で納付するのが難しい
  • 延納税額と利子に相当する担保の提供(延納税額が100万円以下、延納期間が3年以下の場合、担保は不要)
  • 期限までに延納申請書に担保提供の関係書類を添付して税務署長へ提出する

相続財産のほとんどが不動産で、現金が十分になく、不動産の売却に時間を要する場合は延納制度の活用を検討すると良いでしょう。

【1年以内】遺留分の侵害請求

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められている最低限の遺産取得割合です。

もし、遺言や生前贈与によって自身の遺留分が侵害された場合、侵害を受けた相続人は、遺産を多く受け取った相手に対して遺留分侵害額の請求を行うことができます。

遺留分侵害額請求権の期限は、相続の事実と遺留分侵害の事実を知った日から1年以内です。

具体的には、被相続人の死亡と不公平な遺言書が残されていた双方の事実を知った日から1年です。

また、不公平な遺言書の存在を知らずに10年を過ぎた時点でも遺留分侵害額請求権は消滅します。

【3年以内】死亡保険金の請求と相続登記

被相続人の死亡保険金の保険金請求権は3年です。

3年の時効が過ぎてしまうと保険金が受け取れなくなってしまうので、注意が必要です。

相続した不動産の相続登記は、2024年から義務化され3年の期限が設けられました。

不動産の相続の事実を知った日から3年以内です。

以前に相続した人にも義務化の制度が適用されるため、過去の未登記分まで確認する必要があります。

もし、未登記のままにしておくと10万円以下の罰金が課される可能性がありますので、注意が必要です。

特に期限が設定されていない相続手続き

相続に関連する手続きの中には、特に期限が設定されていないものもあります。

期限が設定されていない手続きとして、以下があります。

  • 遺産分割協議
  • 預貯金の解約と名義変更

それぞれの詳細を説明します。

遺産分割協議

遺産分割協議や調停、審判に期限は設けられていません。

しかし、遺産分割協議が進まなければ、相続や相続放棄の話を進めることができず、不動産や預金に手をつけることができないため、実質、期限があると考えておいたほうが良いでしょう。

遺産分割協議が長引けば長引くほど各種控除が使えなくなるため、相続税が上がってしまう可能性もあります。

預貯金の解約と名義変更

銀行など、預貯金口座の名義変更と預金の解約払い戻しにも期限は設けられていません。

しかし、5年以上そのままにしておくと時効になってしまう可能性があるため、注意が必要です。

さらに10年が経過してしまうと、休眠口座扱いとされてしまい、公益活動に預金が使われてしまうこともあります。

休眠預金でも申請すると引き出しできるケースは多いとはいえ、余計な手続きを増やさないためにも、できるだけ早めに対応しておいたほうが良いです。

相続の手続きが遅れるリスク

相続の手続きが遅れることで被る不利益は、以下のとおりです。

  • 軽減税率が利用できなくなる
  • 相続税の延滞税がかかる
  • 相続人が増えて手続きが複雑化することがある

それぞれの詳細を説明します。

軽減税率が利用できなくなる

相続税の申告期限を過ぎてしまうと、相続税に関する特例や税額控除が適用されなくなります。

相続税に関する特例や税額控除は、いずれも大幅な減税ができますが、期限内に相続税の申告をすることが前提条件です。

相続税の申告期限を過ぎてしまうと軽減税率が適用されなくなり、相続税額が高くなる可能性もあります。

相続税に適用される軽減税率は、以下の3つです。

小規模宅地等の特例
一定の要件を満たすことで、相続した土地の相続税評価額を最大80%減額できる特例
相続税の配偶者控除
配偶者の取得金額が「1億6,000万円以下(または法定相続分まで)」であれば、配偶者に課税される相続税が非課税となる税額控除
農地の納税猶予の特例
農地を取得した相続人が今後も農業を継続する場合、取得した農地の相続税の納税が猶予される

これらの特例は、申告期限内に手続きをしないと適用されません。

期限ギリギリになって慌てないように早めに専門家へ相談し、スムーズに申告を進めましょう。

相続税の延滞税がかかる

相続税の申告期限を過ぎてそのままにしておくと、無申告加算税や重加算税、延滞税によって負債を抱えてしまう可能性があります。

それぞれの税金は、以下のようなケースで発生します。

  ケース
概要
無申告加算税
期限内に申告しなかった場合に課される 税務署の指摘を受けた場合は、15%または20%の税金が加算される
重加算税
意図的に財産を隠したり、虚偽の申告をした場合に課される 無申告だった場合は、納めるべき税金の40%が加算される
延滞税
納付が遅れた場合に課される 申告期限の翌日から納付日までの日数に応じて課される税金で、年率で計算される

税金に対するペナルティは、そのままにして置くと雪だるま式に金額が大きくなります。

場合によっては大きな負債を抱えてしまう可能性があるため、注意が必要です。

納付期限が過ぎてしまう場合は、できるだけ早めに税理士へ相談して適切な対応をとる必要があります。

相続人が増えて手続きが複雑化することがある

相続手続きをそのままにしておくと、時間が経つにつれて相続人が増えていき、手続きが複雑になる可能性があります。

特に相続人が亡くなると、相続権が次の世代へ引き継がれます。

相続人が増えていき、長い時間が経つほどに相続人が増えすぎて、手続きが複雑化していくというわけです。

相続人が多くなると、遺産分割協議に参加すべき人も増え、全員の合意を得ることが難しくなるおそれがあります。

また、相続関係を証明するための戸籍謄本等の収集も、人数が増えるほど煩雑になります。

相続手続きが間に合わない場合の対処法

万が一相続手続きが間に合わない場合に、とるべき対処法を3つ紹介します。

  • 期限後申告をする
  • 財産評価を多めに申告する
  • 未分割申告をする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

期限後申告をする

期限後申告とは文字どおり、期限が過ぎた後に税務署へ申告書を提出する方法です。

無申告に気がついた時点で、税務署に「期限後申告書」を提出します。

申告が遅れた場合、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生しますが、自主的に申告すれば税率が軽減される措置があります。

期限を過ぎてしまった場合でも、できるだけ早く対応することが重要です。

財産評価を多めに申告する

どうしても期限内に間に合わない場合は、相続税を概算の評価額で申告と納付をとりあえず済ませておく方法があります。

概算で申告する場合は、想定される評価額よりも少し多めに申告しておくと、後で税務調査を受けるリスクを減らすことができます。

多めに申告しておけば、延滞税や過少申告加算税が課されることはありません。

多く収めた相続税は更生の請求によって、還付を受けることができます。

なお、更生の請求は、申告期限から5年以内です。

忘れないうちに早めの申告を心がけましょう。

未分割申告をする

申告期限までに遺産の分割方法が決まらない時は、未分割申告にて対応します。

未分割申告とは、一旦法定相続分で遺産分割を行なったとする申告書を作成して「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付する仮の相続税申告のことをいいます。

仮申告の後に、申告期限から3年以内に遺産分割方法を決定し、決まった金額に基づいてすでに支払った相続税の過不足を修正申告、または更生の請求にて精算して完了です。

相続手続きのご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

相続の手続きには期限が設けられているものがほとんどです。

期限内に滞りなく手続きを完了させなければいけません。

特に相続税の申告と納税は忘れてそのままにしておくと、後になって高額な税金を請求される可能性があります。

手続きに間に合わないときの救済措置も用意されているので、手続きが停滞して期限内の申告が難しい場合は、早めに対応したいところです。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、豊富な経験と専門的な知識を活かし、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な提案とサポートを行っています。

以下のようなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

  • 相続手続きをスムーズに進めたい方
  • 何から始めれば良いかわからない方
  • 期限内の申告が間に合うか不安な方

専門家が丁寧に対応し、安心して手続きを進められるようお手伝いさせていただきます。

期限内に問題なく手続きを完了できるように確実かつ迅速に対応いたします。

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相続放棄は兄弟姉妹のうち一人だけできる?トラブル例や知っておくべきポイントを解説

2025.04.02

「兄弟のうち1人だけ相続放棄したらどうなるのだろう」「兄弟全員で相続放棄をした後は誰が相続する?」など、兄弟姉妹の相続放棄について疑問や悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

相続順位3位の兄弟姉妹の相続は、相続順位1位の配偶者や子に比べるとやや稀なケースです。

身近に事例が少ないことから、いざ相続放棄するとなると、迷いが尽きないのも無理はありません。

この記事では、兄弟姉妹の相続放棄について、手続きの流れや注意点、トラブル発生のパターンなどを紹介します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

兄弟姉妹が相続人になるケースとは?

兄弟姉妹が相続人となる代表的なケースは、以下の2つです。

  • 被相続人の子どもがおらず両親もいない場合
  • ほかの相続人が相続放棄している場合

それぞれ詳しく解説します。

被相続人の子どもがおらず両親もいない場合

被相続人に子どもや孫がいない状態で、被相続人の両親や祖父母まで他界していれば、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟姉妹の法定相続の割合は、被相続人の配偶者の有無によって異なります。

配偶者がいる場合は、配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1です。

兄弟姉妹が複数いる場合は、4分の1を均等に分割します。

一方で、被相続人に配偶者がいない場合は、財産を兄弟姉妹で均等に分割します。

なお、過去に婚姻関係があった元配偶者は、配偶者として相続人となることはありません。

ほかの相続人が相続放棄している場合

被相続人に子どもや孫がいる、もしくは両親や祖父母が存命である場合は、兄弟姉妹は相続人になりません。

しかし、子どもや孫、両親や祖父母がいたとしても全員が相続放棄をした場合は、兄弟姉妹が相続人になります。

法定相続の割合は、配偶者の有無によって変わります。

兄弟姉妹の相続放棄パターン

兄弟姉妹が相続人になったものの、借金や負債が多い場合や相続争いに巻き込まれたくない場合などには、相続放棄を行うことがあります。

兄弟姉妹が相続放棄するパターンは、以下の2つです。

  • 兄弟姉妹の一人だけが相続放棄した場合
  • 全ての兄弟姉妹が相続放棄した場合

それぞれのパターンにおいて、起こり得ることを紹介します。

兄弟姉妹の一人だけが相続放棄した場合

兄弟姉妹のうち、一人だけ相続放棄することもできます。

たとえば、弟がいて、全ての財産を弟に引き継いで欲しいと考える場合は、自分だけ相続放棄をして、全てを弟へ任せることも可能です。

そのほかには、兄弟姉妹の遺産分割で話がこじれてしまい、もう関わりたくないと感じている場合に、相続放棄をして遺産分割協議から抜けることもできます。

相続放棄においては、ほかの相続人の承諾を得ることなく、勝手に相続放棄しても問題ありません。

相続トラブルに発展する可能性がある

ほかの相続人の許可を得ることなく勝手に相続放棄することは、法的には問題ありませんが、兄弟姉妹の間で相続トラブルになる可能性があるので注意が必要です。

相続財産がマイナスの負債であった場合、ほかの相続人が均等に借金を背負わなければいけません。

寝耳に水で借金を背負うことになれば、誰しも文句を言いたくなるものです。

また、代襲相続によるトラブルも想定されます。

代襲相続とは、相続人が被相続人よりも先に死亡している場合に、相続人の子どもが相続権を引き継ぐ制度です。

たとえば、兄弟が自分と姉の2人だけで、すでに姉が亡くなっている場合、「自分が相続放棄すれば誰にも迷惑がかからない」と思うかもしれません。

しかし、姉に子どもがいる場合、その子ども(甥・姪)が代襲相続人となり、知らないうちに相続財産や負債を引き継ぐことになってしまうのです。

このように、相続放棄が予期せぬ相続トラブルを招くこともあるため、慎重に判断する必要があります。

全ての兄弟姉妹が相続放棄した場合

兄弟全員が相続放棄をした場合、相続の権利は以下のように順位が移動します。

第一位
被相続人の子
第二位
被相続人の両親や祖父母
第三位
被相続人の兄弟姉妹

以下では、兄弟姉妹全員が相続放棄した場合に起こりうる状況を紹介します。

兄弟姉妹の親が被相続人のケース

兄弟姉妹の親が被相続人の場合に、兄弟全員が相続放棄をすると相続の権利は第二順位の被相続人の両親へ移動します。

たとえば、被相続人の母が存命であれば、相続権を持つのは「配偶者である母」と「第一順位の兄弟姉妹」 です。

しかし、この時点で兄弟姉妹全員が相続放棄をすると、相続の権利は第二順位である被相続人の両親(父や母)に移ることになります。

なお、母が他界している場合や相続放棄した場合は、母の相続権がほかの人へ移動することはありません。

兄弟姉妹の一人が被相続人のケース

自分の兄弟姉妹のうちの1人が被相続人で、第一順位・第二順位の相続人がいない、もしくはみんな相続放棄した場合は、第三順位である被相続人の兄弟姉妹に相続権が移動します。

さらに兄弟姉妹が全員相続放棄した場合は、相続人が不存在となります。

被相続人より先に亡くなっている方がいない限りは、代襲相続もありません。

兄弟姉妹が相続人になる場合に起こりうるトラブル

兄弟姉妹が相続人になる場合には、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。

  • 異母兄弟や異父兄弟の存在が判明する
  • 相続放棄にて相続人になったのに放置してしまう

それぞれ詳しく解説します。

異母兄弟や異父兄弟の存在が判明する

親が亡くなってから初めて異母兄弟や異父兄弟の存在を知ることがあります。

本来なら親が亡くなる前に、異母兄弟・異父兄弟の存在を子どもに知らせておくべきですが、「いつか伝えよう」と思っていたところに、急な病気や事故で亡くなってしまい、伝えられなかったというケースもあるでしょう。

突然自分が知らなかった兄弟姉妹の存在を知り、相続の話が持ち上がると、精神的なショックや負担が大きいです。

特に、顔を見たこともない異母兄弟・異父兄弟と相続を巡ってトラブルになることもあり、そのストレスは計り知れません。

被相続人がなくなったときは、まず戸籍の確認が必要です。

突然知らない人に相続の話を持ちかけられるよりも、事前に自分で把握しておいた方が心構えもできます。

兄弟姉妹の相続では、必要とされる戸籍謄本の数は多くなりがちですが、異母兄弟・異父兄弟が関係してくるとさらに用意すべき戸籍謄本はさらに増えます。

戸籍の抜けや漏れがあると手続きがスムーズに進まないため、時間に余裕をもって対応し、慎重に準備を進めることが大切です。

相続放棄にて相続人になったのに放置してしまう

被相続人の子どもや孫、祖父母が全員相続放棄をした場合、最終的には兄弟姉妹に相続権が回ってきます。

身内から相続放棄をしたことを知らせる通知があればそのまま3か月の間、何もせずにそのままにしてしまうと単純相続したと見なされてしまいます。

相続放棄されて自分に相続権が回ってきたということは、負債の方が多い可能性が高いです。

そのままにせずにしかるべき対処をしなければいけません。

兄弟姉妹の相続放棄の手続きの流れ

兄弟姉妹で相続放棄をするときの一連の流れを紹介します。

  • ステップ1.被相続人の財産を調べる
  • ステップ2.必要書類を集める
  • ステップ3.家庭裁判所へ相続放棄の申し立てを行う
  • ステップ4.家庭裁判所から照会書が届く
  • ステップ5.許可されたら相続放棄申述受理通知書が届く

順を追って流れを見ていきましょう。

ステップ1.被相続人の財産を調べる

相続人になったら、まずは被相続人の財産を調べるところから始まります。

相続放棄は一度申立て受理されると撤回できません。

「後でプラスの財産が見つかったけど、すでに相続放棄の申し立てが受理されてしまった」という事態を回避するためにも、事前の調査はしっかり済ませておきましょう。

被相続人の遺産を全て調査したうえで、相続すべきか否かを慎重に判断します。

ステップ2.必要書類を集める

被相続人の財産調査が終わったら、相続放棄に必要な書類を集めます。

兄弟姉妹の相続放棄に必要な書類は、配偶者や子どもの相続放棄に比べて多いです。

具体的には、以下のような書類を集める必要があります。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続放棄する兄弟姉妹の戸籍謄本
  • 被相続人の出生時から死亡時に至る全ての戸籍謄本
  • 被相続人の子と孫が亡くなっている場合、子と孫の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡を証明できる戸籍謄本

兄弟姉妹に相続権が回ってくる場合、すでに子や直系尊属が死亡していることから、死亡を証明するための戸籍謄本を用意しなければいけません。

ステップ3.家庭裁判所へ相続放棄の申し立てを行う

必要書類の準備が完了した後は、相続放棄の意思を家庭裁判所へ申し立てます。

相続放棄の申述先は、被相続人が生前住んでいた住所を管轄する家庭裁判所です。

管轄する裁判所がわからないときは、裁判所のWebサイトにて確認できます。

ステップ4.家庭裁判所から照会書が届く

相続放棄の申し立て後に、後日裁判所から照会書が送られてきます。

照会書には相続放棄の意思が確かなものか、また法定単純承認に該当しないかといった内容が確認される項目が含まれています。

法定単純承認の確認とは、相続人が相続財産の一部または全部をすでに処分していないかを確認するものです。

遺産を一部または全て処分していると、相続放棄はできなくなります。

意思の確認は自分の意思によるものなので迷いはありませんが、法定単純承認の確認に関する判断は、法的な判断が必要になるケースがあるため、注意が必要です。

基本的に被相続人の財産に一切手をつけていなければ、問題ありません。

ステップ5.許可されたら相続放棄申述受理通知書が届く

照会書を返送して、相続放棄の申述が受理されたら家庭裁判所から相続申述受理書が送られてきます。

相続申述受理書が届いた時点で正式に相続放棄が認められます。

相続放棄が認められれば、原則として被相続人が残した債務を引き継ぐ責任はありません。

しかし、相続トラブルが泥沼化していると、相続放棄の有効性を債権者に問われる可能性もあります。

もし有効性を問われるような訴えを起こされた場合は、弁護士に相談してトラブルを解決する必要があります。

兄弟姉妹が相続放棄する際に知っておくべきポイント

兄弟姉妹で相続放棄する際に知っておくべきポイントは、以下の5つがあります。

  • 3か月の申立期限をすぎると相続放棄できない
  • 特定の資産だけを選んで相続放棄することはできない
  • 自分だけが相続放棄を行う場合はほかの兄弟姉妹に報告しておく
  • 異父・異母の兄弟姉妹も相続の対象になる
  • 相続放棄しても財産の管理義務が残る場合がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3か月の申立期限をすぎると相続放棄できない

相続放棄は原則として、相続の開始を知り得た日から3か月以内に申し立てをする必要があります。

3か月を過ぎてしまうと、原則として相続放棄は認められません。

相続放棄の判断を期限内にできない場合は、家庭裁判所に期間延長の申し立てを行います。

期間延長の判断は裁判所が行うため、必ずしも期間延長が認められるわけではない点に注意が必要です。

特定の資産だけを選んで相続放棄することはできない

相続放棄とは、被相続人のプラス・マイナスを含む全ての財産を放棄する手続きです。

たとえば、「不動産は放棄して預貯金だけ相続したい」という選択はできません。

相続放棄すると、最初から相続人ではなかったと見なされるため、全ての財産を相続する権利を失います。

ただし、例外として「限定承認」という制度があります。

限定承認とは、相続によって得たプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を清算する手続きです。

限定承認では、全ての財産を放棄するわけではありません。

自分だけが相続放棄を行う場合はほかの兄弟姉妹に報告しておく

自分だけが相続放棄を行う場合は、トラブル回避のためにほかの兄弟姉妹に報告しておいたほうが安心です。

法的な報告義務はありませんが、相続放棄の事実を知らせずにいると、後々トラブルに発展する可能性があります。

被相続人に多額の負債がある場合、1人が相続放棄をすることで、負債をほかの兄弟姉妹が負うことになるためです。

事前に報告し、相続放棄の理由や状況を説明しておけば、兄弟姉妹間の誤解や不信感を防ぎ、円満な解決につながります。

報告する際は口頭だけでなく、書面でも伝えておくことをおすすめします。

異父・異母の兄弟姉妹も相続の対象になる

民法では、被相続人の子であれば、婚姻関係にある親から生まれた子(嫡出子)も、そうでない子(非嫡出子)も、相続分は同じと定められています。

したがって、父親が同じ異母兄弟、母親が同じ異父兄弟も、兄弟姉妹として同じく相続権を持つことになります。

ただし、異父兄弟・異母兄弟の相続分は、兄弟姉妹の相続における順位によって相続分が異なるため注意が必要です。

親の相続の場合
異母兄弟・異父兄弟の相続分は、嫡出子と同じ
兄弟姉妹の相続の場合
両親が同じ兄弟姉妹の相続分を「1」とすると、異母兄弟・異父兄弟の相続分は「1/2」となる

相続放棄しても財産の管理義務が残る場合がある

相続放棄をしても、一定の条件下では財産の管理義務が残ることがあります。

相続放棄によって相続人がいなくなった場合に、相続財産が放置され、関係者に不利益が生じるのを防ぐための措置です。

相続放棄をした人が相続開始時に相続財産を占有していた場合、次の相続人または相続財産管理人に財産を引き渡すまで、善良な管理者としての注意義務を負うことから、財産を管理しなければなりません。

具体的な例を挙げると、被相続人の自宅に同居していた相続人が相続放棄した場合、その相続人は次の相続人や相続財産管理人に自宅を引き渡すまで、自宅を適切に管理する義務を負うということになります。

兄弟姉妹の相続放棄に関するよくある質問

兄弟姉妹の相続放棄について、よくある質問に回答します。

兄弟全員でまとめて手続きできますか?

相続放棄の手続きは基本的に相続人ごとに行うものですが、兄弟姉妹など同じ相続順位の相続人同志でまとめて手続きすることもできます。

兄弟姉妹がまとめて相続放棄の手続きをすると、書類もまとめて提出できるため、手続きの手間を減らせるメリットがあります。

兄弟全員が相続放棄をしたらどうなりますか?

兄弟姉妹全員が相続放棄をした場合、次の順位の相続人は存在しないので、相続人はいないということになります。

例外的に、亡くなった兄弟姉妹に子どもがいる場合は子どもが代襲相続人となるため、ほかの兄弟姉妹が相続放棄をするとその子どもは同順位で相続人となります。

兄弟姉妹全員で相続放棄を検討する場合は、代襲相続人も含めて話し合いをすることをおすすめします。

兄弟まとめて相続放棄するには何が必要ですか?

兄弟姉妹まとめて相続放棄する際に必要な書類は、次のとおりです。

  • 全員分の相続放棄申述書
  • 被相続人の死亡を証明できる戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍の附票
  • 相続放棄をする人全員の戸籍謄本
  • 郵送の際の郵便切手
  • 収入印紙(800円×人数分)

戸籍謄本や住民票の除票など、兄弟姉妹全員に共通する書類であれば1通でも構いません。

兄弟が別々に申述する場合でも、先に申述した人がすでに共通の書類を出していれば、後から申述する人は書類は不要です。

相続放棄したほうが良いケースはありますか?

相続放棄を検討したほうが良いケースを3つピックアップしてみました。

  • 被相続人に多くの借金がある場合
  • 特定の相続人に財産を集中させたい場合
  • 相続トラブルに関与したくない場合

負債を背負うリスクを回避する他には、相続トラブルから逃れたい、さまざまな事情から1人の相続人に財産を集中させたい場合などが挙げられます。

兄弟姉妹の相続放棄のご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

負債を伴う相続が回ってくると少なからず焦ってしまう方がほとんどではないでしょうか。

身の回りに参考事例が少ない兄弟姉妹の相続ならなおさらです。

相続が回ってくるとほかの兄弟との連携や書類の準備、相続放棄の意思確認など、やるべきことが一気に増えてしまいます。

時間があれば自分で対応するのも良いのですが、「対応できる時間も気力もない」という方は専門家へ依頼したほうが良いでしょう。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、兄弟姉妹の相続放棄などイレギュラーなパターンを伴う相続放棄の手続きでも柔軟に対応できます。

フリーダイヤルやメールにてご相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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相続放棄の手続きは自分でできる?手続きの流れや知っておきたい注意点を紹介

2025.04.02

自分で相続放棄したい方のなかには「どうやって手続きを進めるのだろう」「必要な書類は何があるのだろう」と、何から始めたら良いのかわからず困っている方も多いのではないでしょうか。

相続や相続放棄の手続きは、人生の中でもそう経験することではないため、戸惑ってしまうのも無理はありません。

この記事では、相続放棄を自分で進めるための基本的な流れを紹介しています。

自分で対応できるケースと、専門家へ依頼した方が良いケースや注意点なども紹介しているので、迷ったときはぜひ記事内容をご確認ください。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続放棄を検討したほうが良いケース

まずは、相続放棄を検討したほうが良いケースを3つ紹介します。

  • 財産よりも借金が多いケース
  • 自分で遺産の管理ができないケース
  • 相続の争いが見込まれるケース

それぞれ詳しく見ていきましょう。

財産よりも借金が多いケース

遺産よりも明らかに借金が多い場合は、相続放棄したほうが良いです。

相続放棄をしてしまえば、借金を背負う必要がなくなります。

借金がある状態で単純承認してしまうと、遺産で相殺できない分のマイナスを丸ごと背負うことになってしまいます。

特に税金や保険料などの負債は免責が認められないため、否が応でも支払わなければいけません。

自分で遺産の管理ができないケース

田舎の実家や山林、バブル期に原野商法で買ってしまった山奥の土地など、相続しても自分で管理できない場合は、相続放棄したほうが良いといえます。

相続してしまうと、遺産は自分で管理しなければいけません。

売るに売れない山林や山奥の土地を相続してしまうと、固定資産税だけを延々と払い続けることになってしまいます。

相続放棄は個別でなく、全ての資産を全て放棄することになるため、マイナスとなり得る資産とプラスの資産とのバランスを熟慮のうえ、最善の判断を下すことをおすすめします。

相続の争いが見込まれるケース

相続争いが予想される場合は相続放棄も選択肢に入れたほうが良い場合もあります。

特に遺産分割をめぐってトラブルが発生すると、協議が長期化し、膨大な時間が必要になることも少なくありません。

遺産分割協議では、全員の合意が必要です。

1人でも反対すると遺産分割が決定できません。

また、家庭裁判所にて遺産分割調停の後、相続開始から数年経過したにもかかわらずトラブルが続いてしまうケースもあります。

相続放棄してしまえば、遺産分割協議に時間を取られることもなく、代襲相続で子どもや孫に心配をかけることもありません。

自分で相続放棄ができるケースと依頼したほうが良いケース

相続放棄をする際には、自分で行える場合もありますが、一部のケースでは専門家に依頼したほうが良いこともあります。

以下では、自分で相続放棄に対応できるケースと、専門家へ依頼したほうが良いケースをそれぞれ紹介します。

自分で相続放棄ができるケース

相続放棄の手続きを自力で終えられそうなケースは、次のとおりです。

  • 債務超過が明白な場合
  • 相続放棄の期限に余裕がある場合
  • 全員で相続放棄してもトラブルがなさそうな場合
  • 手続きの時間を十分に確保できる場合

シンプルな相続放棄なら、決定的な判断ミスをしてしまう可能性は低いです。

手続きにおいても、専門的な法律の知識や他の相続人との調整も必要ありません。

時間をかけて自分で手続きを進めても、大きな問題なく手続きを完了できます。

専門家へ依頼したほうが良いケース

相続放棄を専門家へ依頼したほうが良いケースは、次のとおりです。

  • 申述期間に間に合わない場合
  • すでに3か月を経過している場合
  • 全ての遺産を把握できない場合

相続放棄の手続きには3か月の期限が設けられています。

仕事などで書類の収集に手が回らない場合は、期限を過ぎてしまう可能性が高いです。

期限の延長を申し出る場合は、申述期間の延長を申し出る必要があります。

財産の調査など、何かと手間がかかることが多いため、仕事で日々忙しくしている方は専門家へ依頼した方が良いでしょう。

自分で相続放棄する時の手順

自分で相続放棄するときの手順は、以下のとおりです。

  • ステップ1:相続財産の調査と相続放棄の検討する
  • ステップ2:相続放棄にかかる費用の確認と準備をする
  • ステップ3:申し立て添付書類を準備する
  • ステップ4:相続放棄申述書の作成をする
  • ステップ5:家庭裁判所から相続放棄の照会書が返送される
  • ステップ6:相続放棄申述受理通知書が交付される
  • ステップ7:必要に応じて相続放棄申述受理証明書を取得する

7つのステップを詳しく解説します。

ステップ1:相続財産の調査と相続放棄の検討する

まずは、相続放棄をするべきか検討するために被相続人の財産調査を行う必要があります。

相続放棄は取り消しができません。

「相続放棄をしたものの、実は負債よりもプラスの遺産の方が多かった」ということがないように財産調査は慎重に行う必要があります。

基本的に相続財産は預貯金と土地や建物などの不動産の2つに分られます。

預貯金の存在は金融機関からの通帳で確認し、不動産は固定資産税の通知書や名寄帳などで確認しましょう。

財産調査に不安がある場合は、専門家へ依頼する方法もあります。

ステップ2:相続放棄にかかる費用の確認と準備をする

次に、相続放棄に必要な費用を確認します。

自分で相続放棄をするときに必要な費用は3,000円〜5,000円とそれほど高額ではありません。

主な内訳は、必要な書類を取り寄せるための費用や手続きの際の郵送代・印紙代です。

ステップ3:申し立て添付書類を準備する

相続放棄の申述では、次の申立添付書類が必要です。

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除表
  • 相続放棄をする人の戸籍謄本

住民票の除表は被相続人が住んでいた市区町村の役場で取得する必要がありますが、戸籍謄本は近くの市区町村役場でも取得可能です。

例外として、被相続人と申述人の続柄次第では、追加で戸籍謄本が必要になることもあります。

この場合、戸籍謄本は本籍がある市区町村役場で取得しなければいけません。

ステップ4:相続放棄申述書の作成をする

家庭裁判所へ提出する相続放棄申述書を作成します。

書式は家庭裁判所の窓口で配布されていますが、ダウンロードしてプリントアウトできれば、わざわざ家庭裁判所まで出向く必要はありません。

複数の相続人が相続放棄するときは、人数分の相続放棄申述書が必要です。

申述人1人あたり、収入印紙が800円必要になるので、忘れないようにしましょう。

ステップ5:家庭裁判所から相続放棄の照会書が返送される

全ての書類が準備できたら管轄の家庭裁判所にて相続放棄を申し出ます。

相続放棄の申出後およそ2週間程度で家庭裁判所から「相続放棄の照会書」が郵送されます。

照会書は、相続放棄の意思を最終確認するためのものです。

回答書に記載のうえ、返送して受理されると相続放棄の確認が完了します。

回答書の内容は人によって異なりますが、基本的には「相続放棄の意思」と「相続放棄に至った背景」などが確認されます。

ステップ6:相続放棄申述受理通知書が交付される

照会書の回答を元に、家庭裁判所による相続放棄申述の審査が完了して、相続放棄が認められると家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送付されます。

ステップ7:必要に応じて相続放棄申述受理証明書を取得する

相続放棄したことを債権者などに証明する必要がある場合は、相続放棄申述受理証明書を取得します。

相続放棄申述受理証明書は相続放棄の事実を公的に証明するための書類です。

相続放棄申述受理通知書を証明書として使うこともできます。

相続放棄の手続きで必要な書類

相続放棄の手続きにおいて、必要な書類を一覧表にまとめました。

配偶者や子どもが相続放棄する際に必要な書類はそれほど複雑ではありませんが、相続の順位が下がるほど必要書類は多くなり、わかりにくくなります。

代襲相続人の相続放棄になると必要書類の数がかなり多くなるため、忙しい方は専門家への依頼を検討したほうが良いでしょう。

相続放棄の手続きに必要な書類は、以下のとおりです。

相続放棄をする人
必要書類
配偶者 被相続人の住民票の除表・戸籍附票
配偶者の戸籍謄本
被相続人の死亡を証明する戸籍謄本
子またはその代襲相続人 被相続人の住民票の除表・戸籍附票
子・代襲相続人の戸籍謄本
被相続人の死亡を証明する戸籍謄本
代襲相続人が相続放棄する場合は、本来の相続人の死亡を証明する戸籍謄本
父母・祖父母など直系尊属 被相続人の住民票の除表・戸籍附票
相続放棄をしたい人の戸籍謄本
被相続人の出生から死亡時までの全ての戸籍謄本
被相続人の子が死亡している場合は、子の出生から死亡時までの戸籍謄本
被相続人の直系尊属に死亡している人がいる場合は、直系尊属の死亡を証明できる戸籍謄本
兄弟姉妹またはその代襲相続人 被相続人の住民票の除表・戸籍附票
相続放棄をしたい人の戸籍謄本
被相続人の出生から死亡時までの全ての戸籍謄本
被相続人の子、または代襲相続人が死亡している場合は、子(代襲者)の出生から死亡時までの戸籍謄本
直系尊属の死亡を証明できる戸籍謄本
代襲相続人の場合は、本来の相続人が死亡していることを証明できる戸籍謄本

相続放棄に必要な費用の相場

相続放棄では、自分で相続放棄の手続きを進める場合と専門家へ依頼する場合があります。

それぞれのケースで必要な費用を紹介します。

自分で相続放棄の手続きをする場合

自分で相続手続きを進める際に必要になる基本的な費用は、次のとおりです。

申述書に添付する印紙代
800円分の収入印紙(一人分)
連絡用の郵便切手
500円程度(家庭裁判所しだい)
被相続人の住民票除票・戸籍附票
300円程度(市区町村による)
被相続人が死亡したことを証明できる戸籍謄本
750円

相続放棄を誰が申述するかによって、必要となる書類の枚数が異なります。

専門家に相続放棄を依頼する場合

専門家に相続放棄を依頼する場合、弁護士と司法書士では報酬費用に差があります。

それぞれの士業ごとに、必要な費用相場を紹介します。

司法書士

相続における司法書士の対応範囲は主に相続登記ですが、相続放棄も対応可能です。

司法書士へ依頼する場合は、期限内の3か月か、3か月を過ぎた後なのかによって費用が異なります。

司法書士へ依頼するときの費用を一覧表にまとめました。

相談料
0円〜5,000円
書類作成費用
3,000円〜6,000円(書類取得費用込み)
代理手数料(期限内)
2万円〜3万円
代理手数料(期限を過ぎている場合)
3万円〜5万円

弁護士

弁護士は相続に関する手続きを代行してくれるほかに、相続放棄に関わるトラブルへの対応もできます。

ただし、司法書士に比べて弁護士への報酬はやや割高です。

報酬の費用相場は以下のとおりです。

相談料
0円〜1万円
書類作成費用
5,000円〜1万円程度(書類取得費用込み)
代理手数料(期限内)
5万円〜10万円

相続放棄をする前に知っておきたい注意点

相続放棄の際に知っておくべき注意点は、以下の4つです。

  • 相続財産を処分したり、使用したりすると相続放棄が認められなくなる
  • 相続放棄は3か月に以内に手続きをする必要がある
  • 一度受理された相続放棄は取り消せない
  • 被相続人が生きているうちは相続放棄の手続きはできない

それぞれ詳しく紹介します。

相続財産を処分したり、使用したりすると相続放棄が認められなくなる

相続財産を一部でも処分したり使用したりすると、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。

そのため、相続放棄を検討する際、相続財産の処分や使用は慎重に行わなければいけません。

被相続人の預金を引き出して使用したり、不動産を売却したりする行為は、単純承認とみなされるリスクがあります。

相続放棄を検討する場合は、相続財産には一切手を付けず、慎重に検討を進めます。

相続放棄は3か月に以内に手続きをする必要がある

相続放棄には、「相続の開始を知った時点から3か月以内」という期限が設けられています。

3か月を過ぎてしまうと、原則として相続放棄は認められなくなります。

3か月の期限は、相続人が相続財産の状況を把握し、相続するか放棄するかを判断するために設けられている期間です。

相続財産の調査に時間がかかる場合や、予期せぬ負債の発覚など、期限内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に期間延長の申立てを行うことができます。

延長が認められるかどうかは裁判所の判断次第です。

期限までに対応するのが難しい場合は、専門家への依頼をおすすめします。

一度受理された相続放棄は取り消せない

相続放棄によって影響を受けるほかの相続人や債権者などの法的安定性の保護の観点から、一度相続放棄の手続きが完了すると、原則として撤回や取消しができません。

しかし、詐欺や脅迫によって相続放棄をさせられた場合や、未成年者が法定代理人の同意なく相続放棄をした場合など例外的に相続放棄の取消しが認められるケースがあります。

相続放棄の取り消しが認められるケースでは、相続放棄の意思表示に重大な瑕疵があったとして、民法の規定に基づき取消しを主張できます。

ただし、取消しを求めるには、証拠を集めて家庭裁判所に申立てを行う必要があり、認められるハードルは決して低くはありません。

相続放棄は、慎重に判断のうえ決断することをおすすめします。

被相続人が生きているうちは相続放棄の手続きはできない

相続放棄は、被相続人が死亡して相続が開始した後に行う手続きです。

相続が発生する前、つまり被相続人が生きている間は、相続人はまだ相続権を持っていません。

したがって、被相続人の生前は相続放棄の手続きができないというわけです。

相続放棄は、あくまで相続が開始した後に、相続人が自身の相続権を放棄する手続きです。

被相続人が生きているうちに、相続に関する整理をしたいときは、遺言書をうまく活用して遺産に関する取扱を決めておく方法があります。

相続放棄の手続きでよくある質問

ここまで、相続放棄を自分で進めるための基本的な流れや注意点などを紹介しました。

以下では、相続放棄の手続きを自分でする際によくある質問に6つ回答します。

相続放棄の申し出はどこで受け付けてくれる?

相続放棄の受付場所は家庭裁判所です。

家庭裁判所へ相続放棄申述書を提出し、手続きを経て受理されれば相続放棄が成立します。

相続放棄は相続発生前でも申し出ることはできる?

相続権は被相続人の死後に発生する権利です。

したがって、相続放棄は相続発生前、つまり被相続人が存命の間は申し出ることができません。

相続放棄の手続きの期限はいつまで?

相続放棄の期限は3か月です。

原則として3か月をすぎた後の相続放棄は認められません。

ただし、例外として「財産調査が間に合わない」「他の相続人と連絡が取れない」などの諸事情によって相続放棄の手続きが間に合わない場合は、家庭裁判所に「相続放棄の期間伸長の申立て」をすることで延長が認められることがあります。

相続放棄は郵送でも対応してもらえる?

相続放棄の申出は郵便でも対応可能です。

郵送で書類を提出するときは、書類が確実に届いたか確認できるように、簡易書留やレターパックなど追跡できる方法を選ぶことをおすすめします。

相続放棄ができないケースはある?

相続放棄ができない、もしくは取り消しになるケースを5つピックアップしました。

原則として、以下のケースに当てはまると相続放棄ができなくなるため注意しましょう。

  • 相続財産を処分・消費した場合
  • 相続放棄の期限を過ぎた場合
  • 相続財産を隠した場合
  • 相続放棄の手続きに不備があった場合
  • 相続放棄の手続き後に遺産を隠匿・消費した場合

相続放棄をすると生命保険の受け取りもできなくなる?

生命保険金は受取人の財産と見なされるため、相続財産には含まれません。

したがって、相続放棄をしても生命保険の受取人が相続人なら、生命保険金を受け取ることができます。

ただし、生命保険金の受取人が被相続人になっている場合や、解約返戻金などは相続財産と見なされます。

相続放棄の相談なら静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

相続放棄の手続きは何かと手間がかかりますが、シンプルな内容なら自分で手続きを終えることもできます。

時間に余裕がある方は、自分で手続きを進めてみるのも選択肢の一つです。

一方で、遺産が多い、相続人が複雑、期限までに手続きが終えられそうもないなど、自分で相続放棄の手続きを進めるのが難しい場合は無理せずに専門家へ依頼したほうが安心です。

相続放棄の悩みをお持ちの方は「静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター」へご相談ください。

静鉄不動産の力を知識をもって、相続放棄の手続きを全面的にサポートさせていただきます。

初回は無料で相談できますので。気になることがあればフリーダイヤルまたはメールにて、お気軽にお問い合わせください。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

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司法書士に相続相談できる内容とは?費用相場や探し方を詳しく解説

2025.04.02

相続は、多くの方が経験する可能性が高い事柄の一つです。

しかし、いざ相続をすることになったらさまざまな専門知識が必要となるため、「自分にできるのだろうか」と不安を抱える方も少なくありません。

そのようなときに頼りになるのが司法書士です。

司法書士は、相続登記や遺産分割協議書の作成のほかに、相続手続きに関する幅広い業務をサポートしてくれます。

この記事では、司法書士へ依頼できる相続の内容や司法書士の選び方などを詳しく説明します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

司法書士とほかの専門家の対応業務一覧

司法書士と弁護士、税理士の相続における取扱範囲の違いを一覧表にまとめました。

  対応業務内容
司法書士
・不動産登記
・相続登記
・遺産分割協議書の作成
・相続放棄
・限定承認の申述
・預貯金や株式の名義変更
弁護士
・遺産分割の交渉
・調停
・裁判
・遺留分侵害額請求
・相続放棄
・限定承認の申述
・遺言書の作成
・執行
税理士
・相続税の申告
・納税
・相続税の節税対策
・遺産評価

基本的に司法書士は不動産登記の専門家として、相続登記全般に関わります。

遺産分割協議書の作成や申述書など、書類作成の業務に対応可能です。

弁護士は、司法書士が携わる登記関連の手続きも対応できますが、専門分野はトラブルの際の仲介です。

法律に深く関わる遺言書の作成や執行にも対応できます。

税理士が対応できる範囲は、主に相続税の申告と納税、節税対策など、税務関係が主になります。

司法書士に相続相談できる内容

司法書士へ依頼できる内容は、相続登記のほかに、相続人の特定や財産の調査、遺言書作成のサポートなど多岐にわたります。

具体的に司法書士に相続相談できる内容は、以下のとおりです。

  • 相続人の特定
  • 相続財産の調査と方法の選択
  • 不動産の相続登記手続き
  • 遺言書の手続きのサポート
  • 生前時の相続対策

5つの相談内容の詳細を説明します。

相続人の特定

司法書士は、相続手続きにおける相続人の特定業務に携わります。

相続人を確定させることは、遺産分割協議や相続登記を進めるうえで重要なステップです。

司法書士は相続業務の委任を受けると、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍などを集めて、法定相続人を調査したうえで確定します。

戸籍謄本は、市区町村役場に請求する必要があり、場合によっては広範囲にわたる調査が必要になることもあります。

司法書士は、戸籍の分析や相続関係図の作成に慣れているため、イレギュラーなケースでも正確に相続人を特定することが可能です。

正確な手続きによって、遺産分割協議を円滑に進め、後の相続トラブルを未然に防ぐことができます。

相続人が多い場合や遠方に住んでいる相続人がいる場合など、相続人調査は大きな負担となることがあります。

しかし、司法書士に依頼すれば、相続人の特定にかかる手間を大幅に軽減し、相続手続きをスムーズに進めることが可能です。

相続財産の調査と方法の選択

司法書士は相続手続きにおいて、相続財産の調査と承認方法の選択をサポートします。

相続財産調査は、遺産分割や相続税申告を行う際に欠かせない手続きです。

司法書士の相続財産調査では、最初に不動産登記簿謄本や預貯金残高証明書、有価証券の取引履歴などを調査して、相続財産の全体像を把握します。

負債の調査は、信用情報機関への照会や債権者からの通知をもとに、細かく調査します。

相続財産の調査が完了次第、相続人は以下のいずれかの方法で相続方法を選択しなければいけません。

単純承認
全ての財産と負債を相続する方法
相続放棄
全ての財産と負債を放棄する方法
限定承認
相続によって得たプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を清算する方法

司法書士は、それぞれの相続人の状況や希望を考慮しつつ、最適な相続方法を選択できるようにアドバイスします。

相続方法の選択の中でも、相続放棄や限定承認は3か月という短い期限内に手続きを行う必要があるため、専門的な知識が必要です。

司法書士による適切な財産調査と方法選択によって、相続人は大きな損をすることなく、スムーズに相続手続きを進めることができます。

不動産の相続登記手続き

司法書士は、相続手続きにおける不動産の相続登記の専門家です。

相続登記とは、被相続人名義の不動産を相続人の名義に書き換える手続きのことをいいます。

相続登記は、不動産の権利関係を明らかにするために欠かせません。

相続登記は義務化されており、不動産を相続することになったら必ず行う手続きです。

登記をせずにそのままにしていると、不動産を売却したり、担保に入れたりする際に、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

司法書士が相続登記を行う際には、必要な書類の収集や作成、法務局への申請手続きの代行をします。

具体的な業務は、以下のとおりです。

必要書類の収集と作成
・被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍の収集
・相続人の戸籍謄本、住民票の収集
・遺産分割協議書の作成
・不動産の固定資産評価証明書の作成
登記申請書類の作成
法務局へ提出する登記申請書の作成
法務局への申請手続き
作成した書類を法務局に提出して、登記申請を完了させる

司法書士に依頼すると、難しい相続登記の手続きでも、スムーズで正確な手続きが期待できます。

相続登記のほかに、遺産分割協議書の作成や相続放棄の手続きなども併せて依頼することもできるので、忙しい人は相続に関するさまざまな問題をまとめてお願いするのも選択肢の一つです。

遺言書の手続きのサポート

司法書士は、遺言書の手続きにおいてもサポートができます。

遺言書は被相続人の意思を明らかにしたもので、相続トラブルを防ぐための大事な書類です。

司法書士による、遺言書の作成から執行に関するサポート内容を一覧表にまとめました。

遺言書作成の相談・アドバイス
・遺言者の希望を反映した、法的効力のある遺言書作成をサポート
・自筆証書遺言、公正証書遺言など、遺言の種類と内容のアドバイス
・法律や税務を考慮した遺言書作成サポート
遺言書原案の作成
・遺言者の意思を反映した、遺言書の原案作成
・不動産の表示など、専門的な知識が必要な項目の明記
公正証書遺言書作成のサポート
公証人との打ち合わせや必要書類の準備など、作成全般のサポート
※証人として立ち会いもできる
遺言書の保管
作成した遺言書の保管
遺言書の検認手続き
遺言者が亡くなった後に、遺言書を有効化するための検認手続きをサポート
遺言執行者への就任
遺言書を有効化するための手続きを代行することもできる

司法書士は、遺言書作成に関する専門知識を一通り持っていることから、遺言者の状況や希望に合わせた遺言書作成サポートにも対応可能です。

遺言書作成を検討している方にとって、司法書士は良い相談相手となってくれるでしょう。

生前時の相続対策

司法書士は、生前時の相続対策の相談・サポートにも対応しています。

相続の生前対策では、将来の相続に備えて、生前に財産の管理や処分、相続人の意向などを整理します。

司法書士がサポートできる具体的な生前対策は、次のとおりです。

  • 生前贈与のサポート
  • 家族信託の組成
  • 成年後見人制度の利用支援
  • 遺言書の作成支援

司法書士は生前対策を通じて相続財産の適切な管理と承継をサポートしつつ、相続トラブルを未然に防ぐことを目指します。

司法書士に依頼できない相続相談

司法書士はさまざまな相続手続きに対応できますが、ほかの士業の独占業務には対応できません。

司法書士ができない相続相談は、以下のとおりです。

  • 相続人どうしのトラブルや争いごと
  • 相続税の申告に関する内容

それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続人同士のトラブルや争いごと

司法書士は、相続人同士のトラブルや争いごとの仲介を行うことはできません。

司法書士が紛争性のある事案へ介入することは、弁護士法で禁止されています。

たとえば、遺産分割協議で相続人同士の意見が対立している場合や、遺留分侵害額請求などで揉めている場合、司法書士は当事者間の仲介や代理人として介入することはできません。

ただし、弁護士と連携してトラブル解決に向けたアドバイスや情報提供を行うことは可能です。

相続税の申告に関する内容

税務に関する業務は税理士の独占業務とされているため、司法書士が相続税の申告に携わることはできません。

相続税の申告書の作成、税務署への提出、税務相談などは、税理士だけが対応できる専門業務です。

ただし、相続税の申告に必要な書類の収集や相続財産評価に関するアドバイスなど、税理士と連携して相続税申告をサポートすることは可能です。

司法書士に相続手続きを依頼するメリット

相続登記の専門家である司法書士に相続手続きを依頼するメリットは、以下のとおりです。

  • 相続登記の専門家としてスムーズに手続きできる
  • ほかの士業に比べて報酬相場が安い
  • 中立的な立場から相続に関するアドバイスをしてもらえる

3つのメリットを詳しく解説します。

相続登記の専門家としてスムーズに手続きできる

司法書士は相続登記の専門家です。

司法書士へ依頼すると、登記申請書の作成だけでなく、相続人の調査や法務局への申請手続きまで代行してもらえます。

シンプルな相続なら自分で対応できるケースもありますが、相続人の順位が低い場合や代襲相続が発生している場合は、戸籍謄本を集めるだけでも一苦労です。

抜けのない完璧な手続きで、スムーズに終わらせたい場合は、司法書士へ依頼したほうが良いでしょう。

ほかの士業に比べて報酬相場が安い

司法書士へ依頼すると報酬が発生しますが、弁護士や税理士に比べると報酬を安く抑えられます。

司法書士は、相続登記や遺産分割協議書の作成など、相続手続きの中でも特に専門性の高い業務を担っているものの、これらの業務は、相続手続きの中でも比較的費用を抑えられる分野です。

一方、弁護士は遺産分割の交渉や裁判など、税理士は相続税申告など、より専門性の高い業務を担うため、費用が高くなる傾向があります。

中立的な立場から相続に関するアドバイスをしてもらえる

司法書士は相続に関連する金融商品を勧奨する目的がないため、中立的な立場から相続のアドバイスができます。

銀行や不動産業者、保険代理店などでも相続相談会が開催されることもありますが、いずれも相続に関連する金融商品の勧奨という目的があります。

金融商品を勧める目的があるため、中立な第三者としてのアドバイスは難しいでしょう。

司法書士が金融商品の勧奨をする必要がないのは、報酬を受け取る前提があるためです。

無料相談にはつい目を惹かれてしまいますが、適切なアドバイスと手続きを求める場合は、報酬が発生する士業へ依頼することをおすすめします。

相続相談を司法書士に依頼する場合の費用相場

相続の手続きを司法書士へ依頼したときの費用相場の目安を一覧表にまとめました。

項目
内容
相談料 ・初回無料が多い
・2回目以降は30分あたり、5,000〜10,000円
書類作成費用 ・遺産分割協議書作成:3~10万円程度
・相続関係説明図作成:1~3万円程度
・相続財産目録作成:2~5万円程度
相続登記費用 登録免許税、戸籍謄本等の収集費用、司法書士の報酬込みで5〜15万円
相続放棄・限定承認の申述費用 3~5万円程度
その他の諸経費 必要書類の収集:1通あたり1,000〜3,000円

おおよその目安は5〜15万円程度です。

遺産分割協議書など、書類の作成を依頼するとその分だけ費用が割り増しになります。

相続に強い司法書士の探し方

相続相談は司法書士に依頼するのがおすすめだということをお伝えしてきましたが、相続に強い司法書士はどのようにして探し出せば良いのでしょうか。

相続に強い司法書士の探し方は、以下のとおりです。

  • 無料相談や初回相談を活用する
  • 相続手続き経験者から紹介してもらう
  • 口コミや評判を確認する
  • 費用が明確かをチェックする
  • 弁護士や税理士と連携できるか確認する

それぞれ詳しく解説します。

無料相談や初回相談を活用する

司法書士へ相談する場合、初回は無料としている事務所が多いです。

無料相談の際に、司法書士の資質をある程度見極めることができます。

基本的なチェックポイントは、次のとおりです。

  • 相続分野の経験
  • 専門知識の深さ
  • 対応力
  • 人柄

相続に関する専門知識はもちろん欠かせませんが、スムーズに手続きを進めるうえで、対応力や人柄も大事なチェックポイントです。

相続手続き経験者から紹介してもらう

相続に強い司法書士を見つけるなら、経験者からの紹介は有効な方法です。

実際に相続を経験した人は、司法書士の専門知識だけでなく、実務能力や対応力についても評価しているため、信頼できる情報を得やすいのがメリットです。

紹介者の体験に基づいた情報は判断材料として有効ですが、主観が入る可能性もあるため、最終的には自分自身でしっかりと確認することが大切です。

口コミや評判を確認する

インターネット上で確認できる口コミや評判も大事な判断材料となります。

口コミサイトや公式Webサイトに掲載されているお客さまの声は、リアルな評価がなされているものが多く、判断材料として有益です。

口コミや評判を確認するときは、担当者へ向けられた個人的な感情が強い内容は除外します。

感情が多く入った評判は正当な評価にならないためです。

冷静に専門性や対応力、費用などに言及されている口コミや評判は大事な判断材料となります。

費用が明確かをチェックする

相続に強い司法書士を探すうえで、明朗会計であるかをチェックすることは大切です。

報酬費用のトラブルは、依頼者と司法書士の信頼関係に響くだけでなく、精神的な負担にもつながります。

費用の明確さをチェックするには、次のポイントを確認します。

  • 見積書の提示
  • 報酬体系の説明
  • 契約書の確認

以上の3点を押さえておけば、安心して相続手続きを任せられる司法書士を見つけ出せます。

弁護士や税理士と連携できるか確認する

相続手続きは司法書士だけでなく、弁護士や税理士など、ほかの士業の力が必要になるケースがあります。

司法書士の専門分野は相続登記や遺産分割協議書の作成などですが、遺産分割の交渉や訴訟は弁護士、相続税の申告は税理士の独占業務です。

司法書士が対応できない事案が起きたとしても、弁護士や税理士と連携していれば、相続に関連する問題をワンストップで解決できるようになります。

相続のご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

司法書士は相続に関するさまざまな手続きを代行することができます。

基本的に、相続手続きを専門家へ依頼する場合は、司法書士へ依頼するとスムーズに進みやすいです。

また、連携力のある司法書士へ依頼すると、専門外のイレギュラーな案件にも柔軟に対応してくれるでしょう。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、お客様一人ひとりに合った相続対策を考え、さまざまな悩みをワンストップで解決できる組織力を持っています。

まだ相続が発生していない方からすでに相続が発生している方まで、メールやフリーダイヤルにて相談に対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

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マンションの相続税評価額とは?損をしない計算方法と相続税対策も解説

2025.03.10

マンションを相続する際には相続評価について知る必要があります。

しかし、相続は何度もあることではないため、初めてのことで何から始めれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。

相続税評価額の算出が正しくできないと、相続税を過剰に取られる可能性もあります。

この記事では、自分が相続するマンションがどれくらいの評価額になるのか、調べ方と算出方法を解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

マンションを相続する際の評価額の調べ方

相続税評価額とは、相続税を算出するために必要になる相続財産の評価額です。

現金だけでなく、マンションや土地といった不動産も、国税庁が定める評価方法に基づいて金額に換算され、その価値が決定されます。

マンションの相続税評価額は、土地と建物をそれぞれ個別に評価して算出します。

マンションの場合でも、専有部分だけでなく敷地の持分(共有部分の土地)があるため、建物だけでなく土地の評価も忘れずに行うことが重要です。

また、故人が使用していたマンションと賃貸に出しているマンションでは算出方法が異なります。

正確に計算を行うには専門的な知識が必要ですが、おおよそであればご自身でも計算が可能です。

マンションの建物の相続税評価額

建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同額です。

マンションの建物の評価額=固定資産税評価額

固定資産税評価額は毎年3~4月ごろに行政から送られてくる「固定資産税納税通知書」に記載されています。

固定資産税納税通知書の「家屋」の項目内に記載されている「価格」または「評価額」に当たる部分が建物の固定資産税評価額です。

市区町村によって記載様式は多少異なります。

固定資産税納税通知書が見当たらない場合は、マンションが所在する地域の役所で「固定資産税評価証明書」を取得すれば確認ができます。

まずは簡単にわかる建物部分から確認をしてみましょう。

マンションの土地の相続税評価額

マンションの土地は、同じ建物を所有する人たちの共有名義となっています。

個人の持分を調べるには、敷地全体の土地評価額の算出も必要です。

土地の評価額を計算する方法は、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。

路線価とは、道路に接している土地の1平方メートルあたりの価額のことです。

地域ごとに異なる路線価が設定されており、地方よりも主要都市のほうが高い傾向にあります。

所有地の路線価は国税庁のホームページで確認ができますが、路線価が設定されていない地域も珍しくありません。

設定されていない場合には倍率方式で計算を行ない、設定がされている場合は路線価方式を用います。

マンションの土地の相続評価は、以下の流れで行います。

  • STEP1:マンションの敷地全体の評価額を調べる
  • STEP2:敷地権の割合を調べる
  • STEP3:特例や補正率を適用させる

それぞれの算出方法を詳しく解説します。

STEP1:マンションの敷地全体の評価額を調べる

まずは国税庁の路線価図・評価倍率表を見て、マンションの敷地の路線価図を確認しましょう。

路線価方式で調べる場合

敷地に路線価が設定されていたら、路線価方式を使って次のように評価額を計算します。

敷地全体の土地の評価額=路線価 × 土地の面積

路線価を見ると100Dなどの数字が記載されていますが「100D=10万円」という意味です。

1平方メートルあたりの土地の価額が10万円であることを表しています。

次のケースを例に挙げて計算してみましょう。

  • 路線価:100D(10万円)
  • マンションの敷地面積:500平方メートル

このケースを計算式に当てはめると、「10万円 × 500平方メートル=5,000万円」です。

この計算方法でマンションの敷地全体の評価額は5,000万円だとわかります。

路線価は元の所有者の方が亡くなった年に更新されたものを使いますが、路線価が公表されるのは毎年7月ごろです。

もし1月に亡くなったとしてもその年の路線価は7月に公表されるため、正確な計算は7月にならなければできません。

倍率方式で調べる場合

敷地に路線価が設定されていない場合は、倍率方式で計算を行います。

倍率方式は、次の計算方法で算出できます。

敷地全体の土地の評価額=土地の固定資産税評価額 × 一定の倍率

倍率方式は、土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算します。

ほとんどの土地では倍率が1.1倍ですが、必ず国税庁の路線価図・評価倍率表で確認をしましょう。

土地の固定資産税評価額は、毎年送られてくる「固定資産税納税通知書」か、市区町村で取得する「固定資産税評価証明書」で確認が可能です。

STEP2:敷地権の割合を調べる

敷地権割合とは、マンションの一室を所有している場合に、個々が所有する敷地権の割合のことです。

敷地権割合は法務局で取得する「登記事項証明書」に記載されています。

以下の計算式に敷地権割合を当てはめて評価額を算出しましょう。

マンションの土地評価額=敷地全体の評価額 × 敷地権割合

ここで算出されたものが、個人の持分となるマンションの土地評価額です。

STEP3:特例や補正率を適用させる

マンションの相続税評価額の概算は先述したSTEP2までですが、さらに正確に計算しようとすると特例や補正率の適用も必要です。

補正率は形が整っていなかったり間口が狭かったりと、使いにくい土地の評価額を減額させるためのものです。

特例は相続時に控除を受けられるもので、補正率と共に適用されれば相続税の減額が期待できます。

補正率や特例は種類が多く適用条件も計算方法も難しいため、専門家でないと算出は困難です。

詳しくは後述する「相続税の節税対策5選」の項目で解説します。

賃貸マンションの相続税評価額

マンションを有償の賃貸マンションとして第三者へ貸し出している場合には、相続税評価額の計算方法は異なります。

賃貸マンションは、所有者が自由に使えない制限のある不動産として評価額が下がります。

土地には借地権、建物には借家権が設定されてそれぞれ控除が可能です。

マンションの1室を賃貸にしている場合

マンションの1室を所有して賃貸にしている場合、評価額は以下の方法で算出されます。

建物部分
自己使用の場合の建物評価額 × (自己使用の場合の建物評価額-借家権割合)
敷地部分
自己使用の場合の土地評価額 ×(自己使用の場合の建物評価額-借地権割合×借家権割合)

自己使用の場合の建物評価額は、前項目で紹介した計算方法で算出したものです。

借地権割合は地域ごとに30~90%の間で設定されており、国税庁の路線価図・評価倍率表で確認ができます。

貸家割合は全国一律30%で定められています。

マンション1棟を賃貸にしている場合

マンションの建物1棟を所有して賃貸にしている場合は、次の計算方法で評価額を算出します。

建物部分
自己使用の場合の建物評価額×(自己使用の場合の建物評価額-借家権割合×賃貸割合)
敷地部分
自己使用の場合の土地評価額×(自己使用の場合の建物評価額-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

マンション1室の場合との違いは、マンション1棟の計算では賃貸割合を掛けるところです。

賃貸割合とは、有償の賃貸にしている部屋の割合です。

部屋数が10部屋のマンションで2部屋を所有者が使い、残り8部屋を賃貸にしている場合は賃貸割合が80%となります。

マンションの相続税評価方法の改正

2024年にマンションの相続税評価方法に改定がありました。

マンションを売却するときの時価と評価額の差を小さくすることが目的です。

同じ建物内でもタワーマンションなどは最上階に近いほど時価が高く、低層階のほうは時価が低い傾向にあります。

時価に差があるのに、階数に関係なく相続税評価額は同じだったため、相続税対策として上層階を所有するケースが多く見られました。

今まで高層階は相続税評価額が時価の6割未満になっているところもありましたが、改定によって6割まで引き上げられました。

高層階の相続税評価額に市場価値が反映されたため、評価額が上がった分、相続税額も増えたことになります。

マンションの相続税がいくらかかるか算出

マンションの相続税評価額は相続税の額を算出するために必須ですが、マンションの評価額だけでは相続税は計算できません。

相続税はマンションの相続税評価額のほかにも、現金や預貯金、有価証券なども含まれます。

相続の対象となる財産を全て合算した金額をもとに、相続税額を算出します。

相続税がかからない場合もある

相続時に全ての場合において相続税が発生するわけではありません。

相続税の算出には「基礎控除」というものがあり、相続財産の合計が基礎控除額より低ければ相続税はかかりません。

基礎控除額は法定相続人の数によって異なり、下記の計算式で基礎控除額がわかります。

基礎控除額=3,000万円+600万円 × 法定相続人の数

法定相続人とは、民法で定められた遺産を相続できる人のことです。

亡くなった方に妻と子がいれば、その妻と子が法定相続人になります。

  • 法定相続人が1人の場合「3,000万円+600万円 × 1人=3,600万円」
  • 法定相続人が2人の場合「3,000万円+600万円 × 2人=4,200万円」

それぞれの控除額は3,600万円と4,200万円となり、相続財産の合計が控除額以下なら相続税はかかりません。

相続税は課税遺産総額の10~55%かかる

相続税が発生する場合には、課税対象となる額の10〜55%の相続税がかかります。

遺産総額から前項で算出した控除額を引き、その額に対してのみ相続税が課税されます。

以下のケースを例に挙げて計算してみましょう。

  • 遺産総額:1億円
  • 基礎控除額:4,200万円
  • 法定相続人:子2人

遺産総額1億円から控除額4,200万円を引いた、5,800万円が課税対象となります。

子2人で半分ずつ遺産を分けると、それぞれの相続額は2,900万です。

下記の表を見ると2,900万円に対しての課税率は15%、控除額は50万円なので次の計算式で算出できます。

「2,900万円 × 15%-50万円=385万円」で、相続税は385万円です。

課税対象額
税率
控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

マンションの相続税の節税対策5選

マンションの相続税を安くするためには、特例や土地の補正率を適用させて評価額を下げる必要があります。

無条件で適用できるものではないため、自身が相続するマンションに当てはまるかどうかを確認しましょう。

1.小規模宅地等の特例で評価額を下げる

小規模宅地等の特例とは、自己所有の家をもたない相続人が故人の家を相続する際に、土地の評価額を下げる特例です。

最大80%も評価額が減額されるため、特例を適用させると多いときには相続税が数千万円変わることもあります。

適用条件は、以下のとおりです。

  • 配偶者は同居の有無に関係なく適用
  • 故人が亡くなる前から相続税申告までの間に同居している相続人
  • 故人に配偶者や同居の相続人がおらず、過去3年以内に持ち家を所有していない相続人

別名「家なき子特例」ともいわれ、持ち家のない相続人が故人の家を相続しやすいようにするための特例です。

細かい条件はほかにもあるため、特例が適用できるかは専門家に相談をしましょう。

2.面積の広い宅地の評価額を下げる

分譲地によく見られる敷地の一部が公共の私道となっている土地では、私道を個人で自由に使えない分、評価額を下げることができます。

「地積規模の大きな宅地の評価」といわれ、対象になる土地は通常の評価額に「規模格差補正率」という補正率を加えます。

適用されるのは三大都市圏では土地の面積が500平方メートル以上で、三大都市圏以外では1,000平方メートル以上です。

マンションの土地でも適用が可能なので、当てはまる場合は国税庁のホームページで細かい条件を確認してみましょう。

補正率を適用させれば相続税評価額を下げることができ、相続税対策になります。

3.形状や立地が使いにくい土地の評価額を下げる

土地の形状がいびつで使いにくい場合には、補正率を適用して評価額を下げることができます。

土地の補正率をいくつか例に挙げると次のようなものがあります。

  • 奥行価格補正率
  • 規模格差補正率
  • 不整形地補正率
  • 間口狭小補正率
  • がけ地補正率

奥行きが長すぎたり短すぎたりして使いにくい土地や、斜面にあるがけ地といわれる土地など、対象となる土地はさまざまです。

同じがけ地でも角度が30度以上であることが条件で、斜面がどの方位に向いているかによっても補正率は変わります。

奥行補正率も奥行の長さによって適用される補正率は異なります。

補正率は土地の状況によって細かく変動するため、国税庁のホームページを見ても複雑でわかりにくいのが現状でしょう。

適用されれば相続税を安くできる可能性がありますが、自分で算出するのは困難といえます。

4.配偶者控除で税額を減らす

相続税の申告時に配偶者控除を受ければ大幅な節税対策になります。

配偶者(夫や妻)が相続する場合に、課税対象の遺産総額が1億6,000万円までは相続税がかからないのが配偶者控除です。

相続人が戸籍上の配偶者であることが条件で、相続税の申告期間内である10か月以内に控除も行う必要があります。

配偶者控除を適用すれば、ほとんどのケースで相続税がかからずに済むでしょう。

5.賃貸の空室を減らす

賃貸マンションは借地権や借家権といった割合が評価額に反映されるため、自己使用のマンションよりも評価額が下がり節税対策になります。

しかし、空室が長く続いている部屋は賃貸とはみなされず、借地権・借家権の割合が適用されません。

相続の直前に空室になった部屋であれば賃貸としての扱いも可能ですが、長い空室は所有者が自分で使える部屋とみなされます。

賃料が発生している部屋だけが評価額を減額する対象となるため、相続税対策を行うなら空き室を減らさなければなりません。

入居後1年間は家賃を減額するなどのサービスを行ない、空室を埋める工夫をすると良いでしょう。

相続税評価額の計算は専門家に依頼するのがおすすめ

マンションに限らず、相続税評価額を計算するのは膨大な知識と時間が必要です。

路線価方式などで土地の評価額を算出する方法を紹介しましたが、簡単に計算できる土地ばかりではありません。

たとえば、角地にある土地や道路に面していない土地など、複雑な計算が必要となる場合もあります。

また、土地の補正率や特例を適用させるのは、専門知識をもった法律家でないと難しい作業です。

適用可能な特例を適用せずに申告をしたり、補正率にミスがあり適用不可とされてしまったり、減額に失敗するケースもあるでしょう。

そのため、専門知識をもたずに評価額の算出をするのはおすすめできません。

相続税で損をするのを避けるためにも専門家に依頼するのが賢明です。

マンションの相続は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

ここまで、マンションを相続する際の相続税評価額の調べ方について解説しました。

相続税評価額は概算であれば自分でも計算は可能ですが、正確な評価額を算出するのは複雑で困難なことです。

しかし、正確な相続税評価額は相続税の申告に欠かせないものです。

申告時に評価額が正しく算出できていないと後から追税を取られたり、余分な相続税を納めてしまったりする事態になりかねません。

相続税を余分に取られないためにも、知識をもった専門家に依頼をしましょう。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、各種専門家が連携を取ってお悩みをサポートいたします。

相続税に詳しい税理士や相続登記の専門である司法書士、トラブル時のための弁護士などにワンストップで相談が可能です。

相続に関する手続きは、静鉄不動産と相続サポートセンターにご相談ください。

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相続順位のシミュレーションをわかりやすく解説!事例ごとの考え方も紹介

2025.03.10

相続が発生した際に、誰がどれくらいの財産を受け取る権利があるのかは「相続順位」によって決まります。

しかし、相続はイレギュラーなパターンが発生すると相続順位がわからなくなるケースも多いです。

代襲相続や再婚、養子縁組などがその代表例です。

この記事では、「いろいろな相続の事例を元に自分のケースと照らし合わせてみたい」という方へ向けて、さまざまな相続のパターンや事例を紹介します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続順位と割合の一覧表

相続分割の事例を確認する前に、まずは法定相続の基本ルールを押さえておきましょう。

民法で定められた相続の権利を有する人を法定相続人、財産の割合のことを法定相続分といいます。

以下では、相続順位の基本的な仕組みについて解説します。

配偶者は必ず相続人となる

遺産相続においては、配偶者は必ず相続人になります。

ただし、内縁関係にあるパートナーや事実婚のパートナーは、法律上の配偶者として認められないため、相続人になることはできません。

また、元配偶者も相続人の権利を得ることはできません。

法定相続で遺産相続できない人が遺産相続するためには、遺言書での指定が必要です。

配偶者以外の相続順位

配偶者以外の相続人を一覧表にまとめました。

相続順位
相続人
第一順位 直系卑属(子どもや孫など)
第二順位 直系尊属(父母や祖父母)
第三順位 兄弟姉妹

相続において、上の順位の人が優先されるため、下の順位の人は法定相続人になることはできません。

被相続人に子どもがいる場合は、親と兄弟姉妹は法定相続人になれないというわけです。

したがって、相続財産の分与もありません。

相続人ごとの相続割合

配偶者とそのほかの相続人の割合を一覧表にまとめました。

相続順位
相続の割合
 
第一順位 配偶者:1/2 直系卑属(子どもや孫など):1/2
第二順位 配偶者:2/3 直系尊属(父母や祖父母)1/3
第三順位 配偶者:3/4 兄弟姉妹:1/4

配偶者がいない場合やすでに亡くなっている場合は、相続順位の高い人が全ての遺産を相続することになります。

たとえば、配偶者と子どもが相続人として、すでに配偶者が亡くなっている場合は子どもが全ての財産を相続するということです。

同じ割合の相続人が複数存在する場合

相続順位が同じ人が複数いる場合は、法定相続分を均等に分けるのが基本です。

たとえば、相続財産が2,000万円あり、配偶者と子ども2人が相続するケースを考えましょう。

この場合の財産の分配は、以下のようになります。

  • 配偶者の法定相続分は1/2なので、1,000万円を取得
  • 子ども2人は残りの1,000万円を均等に分割し、それぞれ1/4の500万円ずつ取得

このように、同じ相続順位の相続人が複数いる場合は、それぞれが平等に相続することになります。

【ケース別】事例から考える相続シミュレーション

基本的な相続のパターンからイレギュラーなパターンまで、9つの事例を紹介します。

  • 相続人が配偶者と子どものみの場合
  • 相続人が配偶者と親のみの場合
  • 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
  • 相続人の1人がすでに他界している場合
  • 被相続人が再婚していた場合
  • 相続人の1人が相続放棄している場合
  • 相続人の1人が相続廃除や欠格事由に該当する場合
  • 相続人の1人が失踪している場合
  • 相続人が誰もいない場合

それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続人が配偶者と子どものみの場合

相続人が配偶者と子どもで構成されるケースは、相続事例の中でも基本的な内容です。

このケースの場合、子どもが何人いても配偶者の相続割合は2分の1に変わりはありません。

子どもは相続人の人数次第で相続割合が変わります。

以下のようなケースで見ていきましょう。

家族構成
父・母・長男・長女
被相続人
父の遺産
2,000万円
法定相続人
母・長男・長女

この場合の法定相続分は、以下のとおりです。


1/2 1,000万円
長男
1/4 500万円
長女
1/4 500万円

相続人が配偶者と親のみの場合

相続人が配偶者と親の場合は、配偶者の相続分は3分の2になります。

残りの3分の1を親で分け合う分割方法です。

親が1人の場合は、親の割合は3分の1ですが、2人の場合はそれぞれ6分の1となります。

家族構成
夫・妻
状況
子どもはおらず夫の両親は存在している
被相続人
夫の遺産
3,000万円
法定相続人
妻・夫の母と父

法定相続分は、以下のとおりです。


2/3 2,000万円
夫の父
1/6 166万円
夫の母
1/6 166万円

相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合

相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹の場合、配偶者の相続分は4分の3です。

被相続人の兄弟姉妹の割合は4分の1ですが、兄弟姉妹が複数人存在する場合は、兄弟で財産を均等に分け合います。

家族構成
夫・妻
状況
子どもはおらず夫の両親は他界しており、夫の妹と弟は存在している
被相続人
夫の遺産
4,000万円
法定相続人
妻・夫の妹と弟

この場合の法定相続分は、以下のとおりです。


3/4 3,000万円
夫の妹
1/8 500万円
夫の弟
1/8 500万円

相続人の1人がすでに他界している場合

相続するはずだったうちの1人がすでに他界していた場合は、家族構成次第で代襲相続に発展する場合としない場合、次の相続順位の人に権利が移動するケースがあります。

代襲相続ありの場合となしの場合、それぞれのケースを紹介します。

ケース1

代襲相続があるケースを紹介します。

家族構成
父・母・長男・長女
状況
・被相続人である父が他界
・相続人の1人である長女は先に他界している
・長女には娘が3人いるため、3人の子どもが代襲相続する
被相続人
夫の遺産
6,000万円
法定相続人
母・長男・長女の娘A・長女の娘B・長女の娘C

この場合の法定相続分は、以下のとおりです。


1/2 3,000万円
長男
1/4 1,500万円
長女の娘A
1/12 500万円
長女の娘B
1/12 500万円
長女の娘C
1/12 500万円

ケース2

代襲相続がないケースは、以下のとおりです。

家族構成
父・母・長男・長女
状況
・被相続人である父が他界している
・相続人の1人である長女は先に他界している
被相続人
夫の遺産
6,000万円
法定相続人
母・長男

法定相続分は、以下のようになります。


1/2 3,000万円
長男
1/2 3,000万円

被相続人が再婚していた場合

被相続人が再婚していた場合は、再婚相手の配偶者が法定相続人です。

法律にのっとって結婚した後に生まれた子どもや認知した子ども、養子縁組の子どもが存在する場合、子ども達も相続人となります。

前の配偶者や養子縁組していない再婚相手の連れ子は、相続人の対象外です。

関係者
・被相続人(A)
・被相続人の再婚相手(B)
・AとBの子ども(C)
・Bの連れ子でAの養子(D)
・Aの前妻(E)
・前妻との間の子ども(F)
状況
関係者のうち、相続権があるのはBとC、D、Fの4人
被相続人
夫の遺産
6,000万円

法定相続分は、以下のとおりです。

被相続人の再婚相手(B)
1/2 3,000万円
AとBの子ども(C)
1/6 1,000万円
Bの連れ子でAの養子(D)
1/6 1,000万円
前妻との間の子ども(F)
1/6 1,000万円

相続人の1人が相続放棄している場合

相続人の1人が相続放棄をした場合、放棄した人は相続権を失います。

相続放棄をすると最初からその人はいなかったと見なされるため、代襲相続は発生しません。

同じ順位の相続人がほかにいない場合は、次の順位の相続人へ相続権が移動します。

家族構成
父・母・長男・長女
状況
・父親が亡くなり、相続人は母親と長男、長女の3人
・長男は相続放棄した
被相続人
夫の遺産
2,000万円
法定相続人
母・長女

法定相続分は、以下のようになります。


1/2 1,000万円
長女
1/2 1,000万円

相続人の1人が相続廃除や欠格事由に該当する場合

相続人のうちの1人が相続廃除、もしくは欠格事由に相当する場合、その人は相続人の資格を失効します。

相続廃除とは、相続人に著しい非行がある場合に相続権を剥奪することです。

欠格事由は、法律を犯してまで遺産を手に入れようとした者の相続権を剥奪することをいいます。

廃除と異なり、財産の所有者の意思は関係ありません。

相続権を失った人に子どもや孫がいる場合は、子どもや孫が代襲相続します。

子どもや孫がいない場合は、次の相続順位の人に相続権が移動します。

家族構成
父・母・長男
状況
・長男は生前、父によって相続廃除された
・長男には2人の子どもがいる
被相続人
夫の遺産
2,000万円
法定相続人
母・孫A・孫B

法定相続分は、以下のようになります。


1/2 1,000万円
孫A
1/4 500万円
孫B
1/4 500万円

相続人の1人が失踪している場合

相続人の1人が行方不明の状態でも、基本的に法定相続人の変更はありません。

遺産分割協議は必ず全員で行わなければいけないという決まりがあるため、法定相続通りに行かないことを想定して何としても探し出す必要があります。

行方不明の相続人がいる場合は、まずその人の戸籍の附票を入手します。

戸籍の附票には最新の住所が記載されているため、何かしらの手がかりにはなるでしょう。

戸籍の附票を取得しても探しきれない場合は、「不在者財産管理人」か「失踪宣告」を申し立てます。

申し立てが認められれば、行方不明者抜きで相続手続きを進めることができます。

相続人が誰もいない場合

相続人が誰もいない場合、遺産は国へ帰属しますが、特別縁故者がいる場合は、特別縁故者が財産分与を申し立てる権利を持ちます。

特別縁故者とは、血縁関係でなくとも生前、被相続人と特別に親しかった人のことです。

具体的には、内縁の配偶者や亡くなった人を看護していた叔父や叔母、義理の子どもなどが挙げられます。

代襲相続の事例で考える相続シミュレーション

代襲相続を元にした事例を2つ紹介します。

被相続人の子がすでに他界している場合

被相続人の子どもが先に亡くなっている場合は、被相続人の孫にあたる子どもが生きている場合において、代わりに代襲相続人となり、遺産を受け取ることができます。

代襲相続の場合でも、相続割合に変化はありません。

孫は子どもと同じ相続の割合をもらうことができます。

相続順位が1位の代襲相続は何年間も続くものとされており、孫も亡くなっている場合はひ孫、ひ孫も亡くなっている場合は玄孫が代襲相続することになります。

被相続人の兄弟姉妹がすでに他界している場合

被相続人の兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、兄弟姉妹の子ども(被相続人から見た甥や姪)が代襲相続人となり、遺産を受け取ります。

代襲相続となった場合でも、甥や姪の相続割合に変わりはありません。

兄弟姉妹の代襲相続は一世代限りと決められています。

したがって、姪や甥がすでに亡くなっていたとしても、姪の子どもや甥の子どもは代襲相続できません。

納める相続税を早見表でチェック

遺産の総額と相続人の数がわかる場合は、こちらの早見表をチェックするとおおよその相続税納付額がわかります。

早見表の金額は、配偶者控除の特例を考慮したものです。

「とりあえず納付額の目処が知りたい」という方は早見表をご確認ください。

配偶者と子どもが相続人の場合

遺産の総額
子ども1人
子ども2人
子ども3人
5,000万円 40万円 10万円 0円
6,000万円 90万円 60万円 30万円
7,000万円 160万円 113万円 80万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円

子どものみが相続人の場合

遺産の総額
子ども1人
子ども2人
子ども3人
5,000万円 160万円 80万円 20万円
6,000万円 310万円 180万円 120万円
7,000万円 480万円 320万円 220万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円

相続の優先順位に関するよくある質問

相続の優先順位に関して、よくある質問を4つ紹介します。

相続人全員の合意があれば相続人以外の人物に相続させることは可能?

相続人全員の合意が得られたとしても、遺言書で指定されていない限りは、相続人以外の遺産相続はできません。

相続の順位を変えることもできません。

順位を無視して孫の順位を繰上げすることはできないということです。

どうしても相続人以外の人に相続させたい場合は、遺言書の作成や生前贈与、もしくは生命保険の受取人にするなど、ひと工夫が必要です。

離婚した後の相続順位はどうなる?

離婚が成立した場合は、元配偶者の相続権はなくなります。

しかし、被相続人と元配偶者の間に子どもがいる場合は、その子どもは相続順位1位です。

再婚後の配偶者との間に子どもが生まれた場合は、前妻の子どもと同じく相続順位が1位になります。

父親が他界した後の相続順位はどうなる?

父親に配偶者がいれば、配偶者が筆頭の相続人です。

以降は、第1順位の子、第2順位の親、第3順位の兄弟姉妹のうち、順位が一番高い人が相続人の権利をもつことになります。

被相続人の子どもや兄弟姉妹が亡くなっている場合は代襲相続となり、孫やひ孫、もしくは甥や姪が相続人となります。

相続の優先順位4位は誰になる?

相続の順位は3位までと決められており、4位はありません。

配偶者は必ず相続人になると決められており、以下は1位の子ども、2位の親、3位の兄弟姉妹と続きます。

このうち相続人になるのは最上位です。

相続に関するご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターまで

相続の順位と割合は、基本的なパターンならそれほど迷うことはありませんが、複雑な背景が絡んでくるとかなり難解なケースとなることもあります。

相続税の対策もあるため、「早めに相続順位とおおよその納税額をはっきりさせたい」という方も多いのではないでしょうか。

静鉄不動産では、相続に関する豊富な実績と専門士業との強力なネットワークを活かし、相続サポートセンターと連携して、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なプランをご提案いたします。

相続の順位や遺産分割の方法、さらには相続税対策まで、どのような小さなご相談でもお気軽にお問い合わせください。

円滑な相続をサポートいたします。

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相続した土地の評価額の調べ方と計算方法を解説!節税はできる?

2025.03.10

土地を相続するにあたって、「土地の評価額を知りたい」と考える方は多いでしょう。

どのような目的で評価額を使うかによって調べ方は異なりますが、調べ方や算出方法にはパターンがあります。

相続時に必要になる評価額は国税庁が定めた算出方法を使えば、自分でもおおよその額を知ることが可能です。

評価額は相続や遺産分割の決定において重要な判断材料となります。

この記事では、相続した土地の評価額の調べ方や計算法、相続税を安くする方法などを解説します。

相続する土地の評価額を知る参考にしてください。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

土地の評価額とは【3つの種類】

土地の評価額には次の3つの種類があります。

  • 相続税評価額
  • 固定資産税評価額
  • 売却時の時価評価額

それぞれ用途や必要になる場面が異なり、価額にも差があります。

以下では、3つの評価額の違いと特徴を解説します。

相続税評価額

相続税評価額は、土地や建物などを相続する際に使われる評価額です。

評価額を基に相続税の申告を行うので、相続時には必ず必要です。

不動産は現金や預貯金のように一目で金額がわかるものではないため、金額に換算したときの価額をルールに基づいて算出しなければなりません。

算出方法は国で定められており、国税庁の財産評価基準書を基に算出します。

売却時の時価評価額よりも安くなるように設定されており、相続税評価額は時価の80%程度です。

評価額が高いと土地の相続税も増えてしまい、相続人の負担が大きくなります。

相続税の負担を軽くして土地を相続しやすいよう、相続税評価額は時価よりも低く設定されています。

時価よりも価額が低く、遺産分割や相続税の申告時に必要になるのが相続税評価額です。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税を課税するために決められた不動産(土地や家)の評価額のことです。

固定資産税額を決める基になるもので、土地の評価額を計算する際にも必要になるケースがあります。

土地の面積や形状、立地などを考慮し、各市区町村が固定資産評価基準を基に決定しています。

売却時の時価評価額の70%程度が固定資産税となるように設定されており、3つの評価額のなかで最も価額設定が低いのが特徴です。

売買時の時価評価額

時価評価額は土地を実際に売却するときの価格であり、ほかの評価額と違い国や市区町村が決めるものではありません。

土地の市場価値に大きく左右され、市場全体で土地の価格が高騰している時期や、人気があるエリアでは時価が高くなる傾向にあります。

このほか、立地による利便性のよさや土地の面積など、さまざまな条件が時価に影響します。

遺産分割を行う際には時価で評価するのが一般的ですが、相続税評価額を基にして行うことも可能です。

時価評価額は3つの評価額のなかで最も価格が高いのが特徴です。

相続する土地の評価額の調べ方

土地の評価額の調べ方は状況や目的によって異なります。

相続税評価額については、固定資産税評価額のように行政が決めるものではなく、土地の相続人が算出しなければなりません。

相続税評価額の算出方法は「路線価方式」と「倍率方式」の2パターンがあります。

まずは、国税庁がホームページに掲載する財産評価基準書で、土地の路線価を調べてみましょう。

「100D」や「150A」など、数字の記載がある土地とない土地があるはずです。

この数字が記載されている土地は「路線価方式」で、記載がない土地は「倍率方式」で計算します。

  • 土地の相続税評価額の調べ方【路線価方式】
  • 土地の相続税評価額の調べ方【倍率方式】
  • 固定資産税評価額の調べ方

調べ方と算出方法を3つのパターンに分けて解説します。

土地の相続税評価額の調べ方【路線価方式】

路線価とは、道路に面している土地の1平方メートルあたりの評価額のことです。

国税庁の財産評価基準書に路線価が記載されている土地は、路線価方式で算出します。

路線価方式での調べ方を4つのステップで見ていきましょう。

STEP1:路線価図を調べる

国税庁が公表している財産評価基準書で相続する土地の路線価を調べましょう。

「100D」と記載されていれば「100D=10万円」という意味で、1平方メートルあたりの土地評価額が10万円となります。

「100D」のアルファベットは借地権割合を表すものなので、借地でない場合は無視してかまいません。

ここで調べた路線価は評価額の計算に必要になります。

STEP2:納税通知書と登記簿謄本を用意する

次に、固定資産税納税通知書を用意します。

毎年4月ごろに行政から送られてきますが、見当たらない場合は役所で「固定資産税評価証明書」を取得しても代用可能です。

どちらの書類を使っても良いので、記載されている土地の地積(面積)を確認します。

故人の土地がほかの所有者との共有名義になっている場合は、故人の持分が何割あるかを調べなければなりません。

納税通知書や評価証明書では持分の把握はできないため、登記簿謄本が必要になります。

登記簿謄本は法務局で取得が可能です。

取得のために必要な情報が固定資産税納税通知書に載っているので、持参すると安心です。

STEP3:評価額を計算する

路線価方式で土地の評価額を計算するには、次の計算式を使います。

土地が故人1人の名義の場合
路線価 × 土地の面積=土地の評価額
土地が共有名義の場合
路線価 × 土地の面積 × 持分割合(%)=土地の評価額

STEP1で調べた路線価と、STEP2で調べた土地の面積を使って計算します。

共有名義の土地を相続する場合を例に挙げて、実際に計算してみましょう。

  • 路線価:100D(10万円)
  • 土地の面積:200平方メートル
  • 持分割合:50%

「10万円 × 200平方メートル × 50%=1,000万円」の計算式で、土地の評価額は1,000万円となります。

しかし、土地が交差点のような角地にあり、2本の道路に面していてどちらの路線価を使えば良いかわからない場合もあるでしょう。

角地では2つの路線価を使って計算をしますが、どちらの道路を正面道路とするかの判定や「側方路線影響加算率」の適用が必要です。

加算率は土地の形によって細かく変動するため、詳しくは専門家に任せることをおすすめします。

STEP4:減額できるか確認する

土地の評価額は先述した基本の計算式のほかにも、補正率を加えた計算が必要になるケースが多く見られます。

補正率とは、間口が狭すぎたり奥行きが長すぎたりと、使いにくい土地に対して適用されるものです。

例をいくつかあげると、次のようなものがあります。

  • 奥行価格補正率
  • 規模格差補正率
  • 不整形地補正率
  • 間口狭小補正率
  • がけ地補正率

ここに挙げた以外にもさまざまな補正率があり、内容も条件も細かく複雑なため、専門家でなければ算出は難しいでしょう。

全ての土地に補正率が適用されるわけではありませんが、複数の補正率を適用できる土地もあります。

適用できる補正率が多いほど土地の評価額を下げることができ、相続税も安く済む可能性が高くなります。

土地の相続税評価額の調べ方【倍率方式】

倍率方式は国税庁の財産評価基準書に、土地の路線価が記載されていない土地に使われる算出方法です。

財産評価基準書を見て「100D」や「150A」などの数字が記載されていなければ倍率方式を使います。

倍率方式での調べ方を次の4ステップで見ていきましょう。

STEP1:倍率表を調べる

倍率表は国税庁の財産評価基準書に掲載されており、相続する土地の市区町村を選ぶと、地区ごとに倍率が表示されます。

「宅地」の欄に並んでいる「1.2」や「1.4」という数字が、宅地に使われている土地の倍率です。

倍率1.1倍で設定されている地域が多く見られます。

ここで調べた倍率を評価額の計算に使います。

STEP2:納税通知書と登記簿謄本を用意する

先述した路線価方式のときと同じように、固定資産税納税通知書、または役所で取得する固定資産税評価証明書を用意します。

固定資産税納税通知書は行政から毎年4月ごろに送られてきます。

どちらの書類でも良いので土地の固定資産税評価額を確認しましょう。

固定資産税評価額は評価額の計算をする際に必要です。

故人が共有名義で土地を所有していた場合には、登記簿謄本で確認が必要なため法務局で取得しましょう。

持分の割合がわからないと評価額の計算ができません。

STEP3:評価額を計算する

倍率方式での評価額の算出は、次の計算式で行います。

土地が故人1人の名義の場合
土地の固定資産税評価額 × 一定の倍率=土地の評価額
土地が共有名義の場合
土地の固定資産税評価額 × 一定の倍率 × 持分割合(%)=土地の評価額

STEP1で調べた倍率と、STEP2で調べた土地の固定資産税評価額を掛けて計算します。

共有名義の土地を相続する場合を例にあげ、次の条件で計算をしてみます。

  • 固定資産税評価額:1,000万円
  • 倍率:1.2(宅地)
  • 持分割合:50%

「1,000万円 × 1.2倍 × 50%=600万円」の計算で、土地の評価額は600万円となります。

STEP4:減額できるか確認する

路線価方式と同じように、評価額の減額ができるかを確認する必要があります。

減額をするための補正率の適用は知識をもった専門家でないと難しい手続きです。

適用条件や補正率は複雑で、土地の状況によって変わるため専門家に任せましょう。

減額できる可能性がある補正率は路線価方式のSTEP4を参考にしてください。

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額は市区町村で決めているので、自分で計算する必要はなく、行政の発行する書類を見ればわかります。

確認できる書類を3つ紹介します。

  •  固定資産税納税通知書で調べる
  •  固定資産評価証明書で調べる
  •  名寄帳(なよせちょう)で調べる

固定資産税納税通知書は年に一度行政から送られてきます。

保管をしていない場合は、役所で固定資産評価証明書または名寄帳を取得すれば確認可能です。

評価額を減額して節税できるケース

土地の評価額は特例や補正率を使えば減額が可能です。

評価額が下がると相続税も減らせるというメリットがあります。

評価額を減額して節税できるケースとして、以下の4つが挙げられます。

  • 土地に賃貸住宅が建っている
  • 小規模宅地等の特例を利用する
  • 土地が広すぎる
  • いびつな形や使いにくい立地である

それぞれ詳しく見ていきましょう。

土地に賃貸住宅が建っている

節税対策として、使っていない土地に賃貸住宅を建てる方法があります。

賃貸住宅が建っている土地には借地権割合というものが適用され、自宅が建てられている土地よりも低い評価額になります。

借地権割合は国の定めた路線価図に記載されており、割合は土地ごとに30〜90%です。

相続する土地の借地権割合を適用させると、評価額が20%前後減額されるケースが多いようです。

小規模宅地等の特例を利用する

小規模宅地等の特例は「家なき子特例」ともいわれ、持ち家のない相続人が故人の土地を相続しやすいように評価額を減額する特例です。

評価額を下げることで相続税の負担を軽くし、相続税が払えずに土地を手放す人をなくすことが目的です。

最大80%も評価額を下げられるため、適用されれば大きな節税になります。

適用条件はいくつかありますが、故人と同居していた家族が土地を相続する場合は、適用がされやすくなります。

また、故人と同居していた家族がいなければ、別居の家族が相続する場合でも適用される可能性があるため、確認をしてみましょう。

土地が広すぎる

面積が広すぎる土地も評価額を下げられるケースがあります。

分譲地で多く見られる私有地の一部を公共の道路として使っているような場合は、対象となることがあります。

宅地の面積が以下の規定以上あることが条件です。

三大都市圏
500平方メートル以上
三大都市圏外
1,000平方メートル以上

土地の形状や道路との接し方を見て土地ごとに判定が必要です。

通常の評価額から6~8割程度の減額ができるため、大きな節税効果が得られます。

いびつな形や使いにくい立地である

形が整っていない土地や使いにくい立地にある土地などは、評価額を下げられます。

土地の形状や立地によって評価額を下げられるケースは多くあり、例をあげると以下のようなものがあります。

  • 間口が狭い土地
  • 奥行きが長すぎたり短すぎたりする土地
  • 形が不整形な土地
  • 30度以上の斜面にある土地
  • 土砂災害の危険がある土地

このほかにも対象となる土地はありますが、自分の土地が該当するかどうかは判断が難しいところです。

当てはまる可能性があれば、詳しい専門家に相談してみましょう。

相続した土地の評価額に関するよくある質問

ここまで、相続した土地の評価額の調べ方や計算法、相続税を安くする方法などについて解説してきました。

最後に、相続した土地の評価額に関するよくある質問に回答します。

相続した土地の評価額を調べるにはどの専門家に依頼する?その際の費用は?

土地の評価額を正確に算出するには税理士への依頼が必要です。

自分でもある程度の計算はできますが、正確に算出することは難しく、調べながら行ったとしても何かしらの漏れが出ることも多いでしょう。

相続に強い税理士に依頼をすれば、自分で行うよりも評価額を下げられる可能性が十分にあります。

依頼する費用は1ヶ所の土地につき5万円〜が相場です。

税理士に依頼をすれば費用はかかりますが、かかった金額以上の節税が見込めます。

相続した土地の実際の売却価格を知るにはどうすればいい?

土地の売却価格(時価)の相場は、国土交通省が提供する不動産情報ライブラリで確認が可能です。

実際に過去に取り引きされた価格を地域ごとに検索できます。

あくまでも過去の取り引きであり、履歴が少なかったり情報が古い場合もあるため、おおよその参考程度として捉えましょう。

最新の時価を知りたい場合は、不動産仲介会社に問い合わせるのが一番です。

現在の市場価格が反映された価格を提示してくれるので、実際の売却時に一番近い価格がわかります。

土地の相続のご相談は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ

土地の評価額は概算であれば自分でも算出が可能であり、相続税を安くできる方法も多く存在します。

ただ、節税対策は一つひとつの土地に合わせた細かい補正率の適用が必要で、高度な専門知識が欠かせません。

ほとんどの方は専門知識を持ち合わせておらず、節税のための評価額を正しく算出するのは不可能といえるでしょう。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続に詳しい専門家と連携を取り、相続に関する手続き全般をお手伝いいたします。

同じ専門家でも相続に詳しい専門家がサポートすることで、相続税対策が有利に進められるなどのメリットがあります。

土地の評価額や相続全般について知りたい方は、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターにご相談ください。

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