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不動産の相続放棄をする上での流れや注意点を徹底解説!

2026.03.04

ご家族が亡くなり、不動産を相続する立場になったものの、次のような理由から、相続するべきか迷われている方もいらっしゃると思います。

  • 空き家で今後使う予定がない
  • 固定資産税や修繕費の負担が心配
  • 遠方にあり、管理が難しい

不動産は、預貯金とは異なり「持っているだけで費用や管理責任が生じる財産」です。

状況によっては、相続せずに相続放棄を選択することが適切な場合もあります。

本記事では、不動産の相続放棄について分かりやすく解説します。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、各ご家庭の状況整理から提携士業(司法書士・税理士・弁護士など)との連携した相談、相続手続きまで、ワンストップで、一貫して進められる体制を整えています。

まずはお気軽にご相談ください。

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記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

不動産の相続放棄をする前に知っておくべき大前提

 

不動産の相続放棄を検討される場合、まずは制度の基本的な考え方を正しく理解しておくことが重要です。

ここを誤解したまま手続きを進めてしまうと、「思っていた結果と違う」という事態になりかねません。

特に、次の3点は必ず押さえておいていただきたいポイントです。

  • 相続放棄とは「相続人である立場をやめる」という手続きであること
  • 特定の不動産だけを選んで放棄することはできないこと
  • 自分の代わりに、次の順位の相続人へ相続権が移ること

それぞれ、くわしく解説していきます。

相続放棄とは「相続人である立場をやめる」という手続きであること

相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)の財産や負債を一切引き継がないという意思を、家庭裁判所に対して正式に申述する手続きです。

ここで重要なのは、「不動産を放棄する手続き」ではないという点です。

相続放棄は、「相続人としての立場そのものを辞退する」手続きです。

家庭裁判所に申述し、受理されると、法律上はその方は初めから相続人ではなかったものとみなされます。

その結果として、次のいずれも引き継がないことになります。

  • 預貯金や不動産などのプラスの財産を受け取る権利
  • 借金や未払金などのマイナスの財産を負担する義務

つまり、相続放棄とは「土地や建物を手放す」という限定的な行為ではなく、「相続人という地位そのものから外れる」法的な手続きであると理解しておく必要があります。

特定の不動産だけを選んで放棄することはできないこと

相続放棄をすると、不動産だけでなく、預貯金や有価証券などを含めたすべての相続財産を承継しないことになります。

法律上、特定の財産だけを選んで相続しないという選択は認められていません。

民法939条では、次のように定められています。

第939条(相続の放棄の効力)

第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

引用元:民法 | 第939条

民法939条からも分かるとおり、相続放棄をすると、その相続については全面的に相続人ではなくなります。

そのため、次のような選択はできません。

  • 「空き家の土地建物だけは放棄したい」
  • 「不動産はいらないが、預貯金は受け取りたい」

この点を十分に理解しないまま相続放棄をすると、「不動産を避けるつもりだったのに、他の財産も受け取れなくなった」という結果になりかねません。

なお、負債が多い場合には相続放棄が有効な選択となることが多い一方で、財産状況によっては限定承認(相続した財産の範囲内でのみ債務を負担する制度)を検討すべきケースもあります。

いずれの制度を選択するにしても、「不動産だけを放棄することはできない」という点は、判断の前提として必ず押さえておきましょう。

自分の代わりに、次の順位の相続人へ相続権が移ること

自分が相続放棄しても、相続そのものがなくなるわけではありません。

相続放棄をすると、自分の相続権は消えますが、その分、次の順位の相続人へ相続権が移ります。

民法では、次のように相続人の順位が定められています。

  • 第1順位:子(およびその代襲者)
  • 第2順位:直系尊属(親・祖父母など)
  • 第3順位:兄弟姉妹(および甥・姪)

たとえば、子が相続放棄をすると、子の立場は最初からなかったことになります。

その結果、直系尊属や兄弟姉妹へ相続権が移る可能性があります(配偶者がいる場合は常に相続人になります)。

借金などの負債がある場合には、自分が放棄したことで、次順位の親族が債務を負う立場になることもあります。

なお、相続放棄をした場合でも、次の順位の相続人に通知する法的義務はなく、家庭裁判所から次の順位の人に連絡がいくこともありません。

そのため、誰にも伝えないままでいると、後日、債権者からの請求によって初めて相続が回ってきたことに気づく、というケースもあります。

相続放棄は、ご自身だけの問題で完結する手続きではありません。

親族関係に影響が及ぶ可能性があるため、放棄を決めた場合には、早めに関係するご家族へ事実を伝えておくことが、後の混乱を防ぐうえで重要です。

不動産の相続放棄手続きの流れ

 

不動産の相続放棄には、法律で定められた期限と手順があり、順番を誤ると放棄が認められない可能性もあります。

特に重要なのは「3か月」という期限です。

全体の流れを把握したうえで、計画的に進めることが大切です。

一般的な相続放棄の手続きの流れは、次のとおりです。

  1. 被相続人が亡くなった日を確認する
  2. 不動産や他の財産の内容を調査する
  3. 相続放棄をするかどうか判断する
  4. 家庭裁判所に相続放棄を申述する
  5. 受理されたことを確認する

順にくわしく解説します。

1.被相続人が亡くなった日を確認する

まず確認すべきなのは、被相続人の死亡日です。

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った日」から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用元:民法 | 第915条

多くの場合、配偶者や同居のご家族など(第1順位の相続人)であれば、死亡日が起算日となることが一般的です。

ただし、次順位の相続人の場合は『先順位の人が相続放棄をしたことを知った日』が起算日となるため注意が必要です。

この3か月は「熟慮期間」と呼ばれます。

この期間内に、次のいずれかの選択をしなければなりません。

  • 相続する(単純承認)
  • 限定承認する
  • 相続放棄する

そのためにも、まずは死亡日を確認し、期限日を明確に把握することが重要です。

あわせて、ご自身が法定相続人に該当するかどうかも確認します。

戸籍を取得して相続関係を整理しておくと、後の手続きが円滑です。

なお、財産調査に時間がかかり3か月で判断できない場合は、家庭裁判所へ期間伸長の申立てを行うことも可能です。

2.不動産の内容を確認する

次に、不動産の内容を具体的に把握します。

確認すべき主なポイントは次のとおりです。

  • 所在地
  • 名義人
  • 土地・建物の別
  • 現在の利用状況(空き家・賃貸中など)

固定資産税の納税通知書や登記事項証明書を確認すると、状況が整理しやすくなります。

たとえば、次のような事情で判断は大きく変わってきます。

  • 山林や農地で売却が難しい
  • 老朽化しており解体費用がかかる
  • 立地がよく資産価値が高い

感覚で判断するのではなく、客観的な情報を整理することが重要です。

不動産以外の財産と負債も同時に確認しましょう!

ここで注意したいのが、不動産だけを見て判断しないことです。

相続放棄は遺産全体についての判断になります。

したがって、次のような財産も必ず確認しましょう。

プラスの財産 ・預貯金
・有価証券
・保険金
・自動車など
マイナスの財産 ・借入金
・クレジット債務
・連帯保証債務

プラスよりマイナスが多い場合は放棄が有効な場合がありますが、プラスが多い場合は安易な相続放棄は適切でないこともあります。

まずは財産目録を作成し、全体像を整理することが重要です。

3.相続放棄をするかどうかを判断する

財産の全体像が把握できた段階で、最終的な判断を行います。

判断の際は、次の点を総合的に検討します。

  • プラスとマイナスのどちらが多いか
  • 管理や処分が困難な不動産が含まれているか
  • 家族に引き継ぎたい財産があるか
  • 放棄した場合、次順位の相続人に影響が出ないか

相続放棄は一度受理されると原則撤回できません。

期限内であっても、慎重に判断することが必要です。

迷われる場合は、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続財産調査などを踏まえ、相続放棄すべきかどうかの判断をサポートしております。

後から「こんな負債があったとは…」という手戻りが起きないよう自分一人でやろうとせずに、専門家のサポートを借りながら慎重かつスピーディーに進めていきましょう。

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4.家庭裁判所に相続放棄を申述する

相続放棄をする場合は、期限内に家庭裁判所へ申述します。

提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

主な提出書類は次のとおりです。

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の死亡記載のある戸籍
  • 申述人の戸籍
  • 相続関係を証明する戸籍一式
  • 収入印紙800円分
  • 郵便切手

書類に不備があると受理されないので、正確に準備する必要があります。

提出後、裁判所から「照会書」が送付されることがあります。

これは意思確認のための書面ですので、期限内に回答しましょう。

5.相続放棄が受理されたことを確認する

裁判所の審査が完了すると、「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。

この受理があって初めて、相続放棄の効力が生じます。

通知書は大切に保管してください。

必要に応じて、「相続放棄申述受理証明書」を取得することもできます。

債権者や金融機関へ提示する場面で使用します。

受理後は、法律上その相続については相続人ではなくなります。

借金の請求があっても支払義務はありません。

ただし、次順位の相続人へ相続権が移るため、関係するご家族には事情を説明しておくことが望ましいでしょう。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、裁判書に提出する書類の作成サポートからその後のフォローまでワンストップでサポートを行っています。

せっかく相続放棄できても、後でトラブルになっては本末転倒です。

分からないこと、不安なことがあれば遠慮なくご相談ください。

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不動産の相続放棄の注意点

 

不動産の相続放棄は、相続に伴う負担を回避できる有効な手段です。

ただし、期限や手続きの進め方、放棄前後の行動を誤ると、放棄が認められない、または放棄しても一定の責任が残るといった不利益につながることがあります。

特に次の5点は、事前に押さえておく必要があります。

  • 相続放棄には期限がある
  • 財産を処分すると相続放棄ができなくなることがある
  • 放棄後も不動産の管理が必要になる場合がある
  • 相続放棄をしても土地が自動的に「なくなる」わけではない
  • 相続放棄以外の方法が適切な場合もある

それぞれ、順に解説します。

不動産の相続放棄には期限がある

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った日」から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。

第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用元:民法 | 第915条

この期間がいわゆる熟慮期間です。

この期間内に相続放棄等の手続きを取らない場合、原則として単純承認(すべて相続する)をしたものとみなされるため、あとから放棄できなくなる可能性があります。

不動産や負債の調査は想像以上に時間がかかることがあります。

「まだ大丈夫」と考えているうちに期限が迫るケースは少なくないので、まずは期限を把握し、早めに動くことが重要です。

なお、調査や検討に時間を要し、3か月以内に結論が出せない場合は、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てることも検討します。

不動産を勝手に処分すると相続放棄できなくなる

相続放棄を検討している段階で、最も注意すべき点の一つが「処分」です。

相続財産を処分すると、法律上は単純承認をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなる場合があります。

第921条(法定単純承認)

第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

引用元:民法 | 第921条

典型例としては、次のような行為があります。

  • 不動産を売却する
  • 被相続人名義の預金を引き出して使う
  • 遺産の現金で借金を返済する

一方で、財産を守るために必要な行為(保存行為)は、直ちに処分とは評価されないこともあります。

例えば、雨漏りを防ぐための応急修理などは、状況によっては保存行為として整理できる場合があります。

ただし、判断が分かれる行為もあります。

たとえば、価値を高めるような大規模リフォームや、新たな賃貸借契約の締結などは、処分に当たると評価されるリスクがあるため慎重な対応が必要です。

「収益化して維持費に充てたい」といった判断を先にしてしまうと、相続放棄の選択肢を失いかねません。

相続放棄後も不動産の管理が必要になる場合がある

相続放棄が受理されれば、相続人としての権利義務はなくなります。

しかし、例外的に一定の管理責任(保存義務)が残る場合があります。

具体的には、相続放棄をした方が、その時点で不動産を現に占有している場合です。

第940条(相続の放棄をした者による管理)

第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

引用元:民法 | 第940条

「占有」とは、居住している場合だけでなく、鍵を管理して出入りできる状態にあるなど、事実上支配している状況も含みます。

この場合、相続人や相続財産清算人に引き渡すまでの間、自己の財産と同一の注意をもって保存する義務が生じます。

管理を怠り、倒壊などで第三者に損害が生じた場合には、放棄をしていても責任を問われる可能性がある点に注意が必要です。

管理が難しい場合は、相続財産清算人の選任申立てを含め、早期に整理の道筋を検討します。

相続放棄をしても土地が自動的に消えるわけではない

相続放棄をしても、不動産が物理的に消えるわけではありません。

相続放棄は「自分が相続人ではなくなる」制度であり、不動産の行き先は別途の整理が必要になります。

相続人がいなくなった場合には、相続財産清算人による清算手続を経て、最終的に残余財産が国庫に帰属する可能性があります。

ただし、そこに至るまでには時間と手続きが必要です。

なお、土地を手放す選択肢として国が引き取る『相続土地国庫帰属制度』もありますが、この制度を利用するためには土地を相続(所有権を取得)している必要があります。

相続放棄をしてしまうと国庫帰属制度は利用できなくなるため、どちらの制度を選択すべきか、事前によく検討することが重要です。

相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」

といった理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。

このような土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、

相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、

一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。

引用元: 法務省「相続土地国庫帰属制度について

ただし、この制度は利用できる土地が限定され、申請手数料や負担金も必要です。

建物がある土地や担保権が付いている土地などは対象外になります。

「相続放棄をすれば、土地とも完全に縁が切れる」と早合点しないことが重要です。

放棄後にどう整理が進むのか、出口まで見据えて検討する必要があります。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産の状況確認を踏まえ、次に取り得る方向性を整理したうえで相続放棄をサポートしております。

対応に迷ったら、一人で抱え込まずに、まずはお気軽にお問い合わせください。

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相続放棄以外の方法を検討した方がよい場合がある

相続放棄は強力な手段ですが、常に最善とは限りません。

放棄すると次順位の相続人へ相続権が移るため、親族に負担が及び、結果としてトラブルになることもあります。

また、財産状況によっては、次のような方法が適切な場合があります。

  • 限定承認:相続した財産の範囲でのみ債務を負担する
  • 遺産分割の工夫:不動産を引き取る人を決め、代償金で調整する
  • 相続後の処分:売却・寄付・(条件を満たす場合は)相続土地国庫帰属制度を検討する

「放棄すること」だけに目が向くと、かえって費用・手間・親族関係の負担が増えるケースもあります。

相続財産の全体像とご家族の状況を踏まえ、手段を比較したうえで判断することが重要です。

不動産の相続放棄で悩んだら専門家に確認しよう

 

不動産の相続放棄は、「いらない土地だけを手放す」という単純な手続きではありません。

相続放棄をすると、相続人としての立場そのものを失うことになります。

また、相続放棄は、期限があるうえ、一度受理されると原則として撤回できません。

そのため、次のような手順を踏んだ上で、慎重に方針を固めることが大切です。

  • 財産の全体像を正確に把握する
  • ご家族への影響を確認する
  • 他の整理方法と比較する

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、まず現在の状況を丁寧にお伺いし「何を優先して確認すべきか」「期限までにどの順番で動くべきか」を整理した上で、不動産の問題だけでなく、相続手続き全体を見据え、必要に応じて税理士・弁護士などの専門職と連携しながらサポートを行っております。

相続放棄をすべきかどうか迷われている段階でも構いません。

まずは現状を整理し、選択肢を確認することが第一歩です。

不安や疑問がある場合は、早めにご相談ください。

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遺産整理の費用はどのくらい?費用の内訳や無駄を防ぐポイントなどを徹底解説!

2026.03.04

遺産整理とは、亡くなった方の預貯金や不動産、有価証券などの財産を調査し、相続人を確定したうえで、名義変更や解約、分配といった各種相続手続きを進める一連の手続きのことをいいます。

相続手続きは、ご家族だけで進めることも可能ですが、金融機関や法務局での手続き、戸籍の収集、相続関係の整理など、想像以上に多くの作業が発生します。

その過程で、登録免許税や証明書の取得費用、場合によっては専門家への報酬など、さまざまな費用がかかります。

費用の内訳をよく理解しないまま手続きを進めてしまうと、「どこまでが必要な支出なのかわからない」「想定よりも費用がかさんでしまった」という事態になりかねません。

相続は適正な費用感を知っておくことが重要です。

本記事では、遺産整理にかかる主な費用の種類やその内訳、無駄な支出を防ぐためのポイントについて、わかりやすく解説します。

なお、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続に関する情報の整理から必要な専門家の手配まで、各ご家庭の事情に合わせてワンストップでご相談いただけます。

初回相談は無料なので、お気軽にお問い合わせください。

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ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

遺産整理の費用を負担する人

 

遺産整理では、「いくらかかるのか」だけでなく、「その費用を誰が支払うのか」もあらかじめ整理しておくことが大切です。

この点を曖昧にしたまま手続きを進めてしまうと、後になって相続人同士の誤解や不満につながることがあります。

相続手続きは感情面の負担も大きいため、費用負担の考え方を最初に共有しておくことが大切です。

遺産整理の費用負担に関わるのは、主に次の2つの立場の方です。

  • 手続きを進める相続人(いったん立て替える方)
  • 相続人全員(最終的に相続分に応じて負担する方)

それぞれについてくわしく見ていきましょう。

相続人(手続き中は一時的に立て替える)

相続が発生すると、まず金融機関の預貯金口座は凍結されます。

不動産も名義変更が済むまでは自由に処分できません。

そのため、手続きを進める段階では、遺産の中からすぐに費用を支払えるとは限らないのが実情です。

このような場合、代表となる相続人の方が、戸籍の取得費用や登録免許税、専門家への報酬などを次のようにいったん立て替えるケースが多く見られます。

  • 相続人のうち一人が窓口となり、必要費用をまとめて支払う
  • 後日、遺産分割の際に精算することを前提に一時負担する

預貯金が凍結されている間は、どうしても立て替えが必要になることがあります。

そのため、「誰が立て替えるのか」「いつ精算するのか」を事前に話し合っておくことが重要です。

相続人同士で事前に費用について整理しておくべき

費用負担の取り決めをしないまま進めると、「自分ばかりが支払っている」といった不満が生じやすくなります。

実際のご相談でも、費用の精算方法をめぐって相続人間の関係が悪化してしまうケースは少なくありません。

そのため、次のような点をできるだけ早い段階で決めて、相続人間で共有しておくことをおすすめします。

  • 立て替えをする人は誰か
  • 精算はいつ・どのように行うか
  • 専門家費用も遺産から支払うのか

話し合いが難しい場合には、司法書士などの専門家が同席し、費用の考え方を整理することで、冷静に合意しやすくなります。

相続人全員(最終的に相続財産から精算し、相続分に応じて負担する)

遺産整理は、特定の相続人の利益のためではなく、相続手続きを適正に完了させるためのものです。

そのため、立て替えた費用は、次のような流れで最終的に遺産の中から精算するのが一般的です。

  1. いったん相続人の一人が費用を支払う
  2. 遺産分割の際に、その金額を遺産から差し引いて精算する

この方法をとれば、結果として各相続人が相続分に応じて費用を負担したことになります。

公平性が保たれやすく、後々のトラブル防止にもつながります。

遺産整理の費用は、単に「誰が払うか」という問題ではなく、「どのように公平に精算するか」という視点で考えることが大切です。

手続きを円滑に進めるためにも、早い段階で費用負担の考え方を整理しておきましょう。

遺産整理にかかる費用の種類と費用相場

 

遺産整理の費用は、「何をするか」「財産が何か」「どこまで専門家に任せるか」で変わります。

かかる費用の種類は大きく分けると次の5つに整理できます。

  • 不動産関係の費用(登記・売却)
  • 金融資産の名義変更費用
  • 専門家への報酬
  • 公的機関への実費(戸籍・税金など)
  • 税務関連費用(相続税がある場合)

それぞれどのような費用なのか、費用相場と合わせてくわしく見ていきましょう。

不動産関係の費用(登記・売却)

相続財産の中に不動産がある場合、登記や売却に費用がかかります。

相続登記(名義変更)の費用

相続登記にかかる費用は、主に次の2つです。

  • 登録免許税(税金・実費)
  • 司法書士報酬(依頼する場合)

登録免許税は、相続による所有権移転登記の場合、固定資産評価額の0.4%です。

たとえば、評価額2,000万円なら「2,000万円×0.4%=8万円」が目安になります。

司法書士報酬は、物件数や手続きの難易度(相続人が多い、書類が揃いにくい等)で変わります。

相続登記だけを依頼する場合は、一般に数万円~10数万円程度が目安となることが多いです。

また、2024年4月から相続登記は義務化されています。

期限内に申請しない場合、過料(かりょう:国から科される金銭的なペナルティ)の可能性があるので、相続財産の中に不動産がある場合は早めに対応しましょう。

第76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請)

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

第164条(過料)

第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

引用元:不動産登記法 | 第76条の2第164条

このほかにも、売買契約書の印紙税や、土地の状況によっては測量費(30万円~100万円程度が目安)が必要になることもあります。

売却を前提にする場合は、仲介手数料だけでなく、こうした諸費用も含めて費用見込みを立てておきましょう。

金融資産の名義変更費用

預貯金や株式・投資信託などの金融資産は、不動産と比べると「税金がかかりにくい」分野です。

多くの金融機関では、相続手続き自体に名義変更手数料を設定していないため、自分で手続きする場合は費用がほとんどかからないこともあります。

一方で、専門家に手続きを依頼する場合は、その分の報酬が発生します。

単発の口座解約手続きのみを依頼する場合は1金融機関あたり数万円程度からが目安ですが、相続人調査や財産目録の作成も含めた『遺産整理業務(まるごとサポート)』として依頼する場合は、遺産総額に応じて20万円〜30万円程度の最低報酬が設定されている事務所が多くなります。(※依頼する専門家や依頼内容によって費用は変わります)

「平日に何度も窓口へ行けない」「書類をそろえる時間が取りにくい」という場合は、無理をせず依頼するのも選択肢の1つです。

専門家への報酬

専門家への報酬は、「手続きそのものを進めるための実務」に対して発生します。

たとえば、司法書士に依頼する場合であれば、次のような業務が該当します。

  • 相続人調査(戸籍の収集・相続関係の確定)
  • 財産調査
  • 財産目録の作成
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預貯金の解約手続きの代行
  • 不動産の相続登記(名義変更)

依頼する範囲が広がれば、支払う報酬も増えるのが一般的です。

反対に、「戸籍収集は自分で行う」「金融機関の手続きは自分で行う」など役割分担をすれば、費用を抑えられる場合もあります。

また、相続税申告が必要な場合は税理士、争いがある場合は弁護士など、状況により他の専門家が関与します。

その際は、それぞれの専門家への報酬が別途必要になります。

公的機関への実費(戸籍・税金など)

専門家への報酬とは別に、役所や法務局などに支払う「実費」がかかります。

これは専門家に依頼するかどうかに関係なく発生する費用です。

主に次のような費用がかかります。

  • 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の取得費用
  • 住民票、戸籍の附票、固定資産評価証明書などの取得費用
  • 登録免許税(不動産の相続登記)
  • 郵送費(レターパック等)や交通費

戸籍は1通ごとに手数料がかかり、出生から死亡まで遡ると数通~十数通になることもあります。

結果として数千円~数万円程度になるケースも珍しくありません。

また、登録免許税は先ほどのとおり、固定資産評価額に応じて発生します。

こうした実費は「削れない費用」になるため、早い段階で費用見込みを立てておくことが重要です。

税務関連費用(相続税がある場合)

相続税の申告が必要かどうかで、費用は大きく変わります。

相続税の申告が必要な場合は、一般に税理士へ依頼するケースが多く、税理士報酬が発生します。

税理士報酬は、遺産総額や財産の種類(不動産が多い、評価が難しい等)によって幅があります。

また、申告期限(相続開始から10か月)があるため、該当しそうな場合は早めに費用の見通しを立てることが大切です。

遺産整理の費用を左右する要素

 

遺産整理の費用は、全員が同じ金額になるわけではありません。

手続きの内容や財産の状況によって、必要な作業量が変わるためです。

費用の差が出やすいポイントは、主に次の3つです。

  • 作業範囲(どこまで依頼するか)
  • 遺産の量・複雑さ(財産と相続関係の状況)
  • 依頼先の体制(誰が、どのように対応するか)

それぞれ、どのような部分で費用が増減するのかをくわしく見ていきましょう。

なお、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、各ご家庭の状況を整理し、必要な作業や手続きなどをワンストップでご提案・サポートしております。

遺産整理に費用がどれぐらいかかるかわからないなど、依頼を迷われているようでしたら、お気軽にご相談ください。

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作業範囲

費用にもっとも影響するのが、「どこまでを依頼するか」です。

たとえば、次のような場合では、必要な作業量と所要時間が大きく変わります。

  • 戸籍の収集や相続関係の整理までで足りる場合
  • 財産調査や財産目録の作成まで必要な場合
  • 不動産の相続登記、預貯金の解約、相続税申告まで一括で進める場合

作業範囲が広くなるほど、確認事項や手続き先が増えるため、費用も上がります。

また、見積もりでよく問題になるのが「依頼範囲がはっきりしていない」ケースです。

あとから「それは別料金です」と追加費用が出ないように、次のようにはっきりと切り分けておくことが大切です。

  • 自分で行う手続き
  • 専門家に任せる手続き

遺産の量・複雑さ

遺産の量が多い、または複雑であるほど、調査や書類作成に時間がかかります。

たとえば、次のような場合は費用が増えやすい傾向があります。

  • 不動産が複数ある(または県外にある)
  • 株式や投資信託などの金融商品が多い
  • 借入金・保証債務など負債の確認が必要
  • 相続人が多い、連絡・同意の取りまとめに時間がかかる

相続人が増えると、遺産分割協議書の作成や署名押印の取りまとめも手間が増えます。

また、遺産整理業務では、遺産の大小に関わらず『最低報酬額(ベース料金)』が設定されているのが一般的です。

そのうえで、遺産総額が大きい場合や複雑なケースでは、財産額に応じた従量制(パーセンテージ)で費用が加算される料金体系が多いです。

「財産の種類」「件数」「相続人の状況」によって費用が変わる点を、あらかじめ理解しておきましょう。

依頼先の体制

同じ手続きを依頼する場合でも、「どこに依頼するか」で費用の出方が変わります。

理由は、対応の体制や料金体系が異なるためです。

たとえば、信託銀行などが窓口となる相続手続きパックは、提携する司法書士・税理士など複数の専門家が関与することが多く、窓口で気軽に相談できるなどの利便性は高いですが、費用が高額になりやすい傾向があります。

一方で、司法書士事務所などが直接対応する場合や、当サポートセンターのように登記手続きまで自社でワンストップ対応できる場合には、依頼する業務の範囲が明確であったり、料金体系が比較的わかりやすいケースが多く、費用が抑えやすい傾向があります。

ただし、依頼先がどこであっても重要なのは、「その料金にどこまで含まれているか」です。

見積もりを見るときには、次の要素をしっかりと確認するようにしましょう。

  • 含まれる業務
  • 追加費用が発生する条件
  • 実費(戸籍代・登録免許税など)が別途かどうか

遺産整理の費用を抑えるには?

 

遺産整理の費用を抑えたい場合には、次のようなポイントを押さえておきましょう。

  • 余裕を持って進める
  • 事前に情報整理しておく
  • 自分でできる作業を切り分ける
  • 依頼する範囲を決めておく
  • 外部委託する場合は各社を比較する

それぞれわかりやすく解説します。

余裕を持って進める

相続手続きには次のように期限があります。

  • 相続放棄:3か月以内
  • 相続税申告:10か月以内
  • 相続登記:原則3年以内

期限が迫ってから依頼すると、対応できる専門家が限られたり、事務所によっては特急対応扱いとなったりすることがあります。

特に相続税申告は、期限直前になると割増料金が設定されることもあります。

早めに着手すれば、次のようなメリットがあります。

  • 通常料金で依頼できる
  • 複数の依頼先を比較できる
  • 不要な手続きがないか検討できる

費用を抑える第一歩は、「早めに動くこと」です。

事前に情報整理しておく

専門家に依頼する場合でも、事前に整理しておくことで費用を抑えられることがあります。

たとえば、次のような準備ができていると、追加作業が減り、スムーズに手続きが進みます。

  • 相続人の関係図をまとめておく
  • 不動産の所在地や評価額を確認しておく
  • 通帳や証券会社の資料を集めておく

戸籍収集を自分で行えば、その分の手数料を抑えられることもあります。

ただし、取り寄せ方を誤ると再取得が必要になる場合もあるため、不安がある場合は事前に相談してから進めるのが安全です。

「準備不足による手戻り」を防ぐことが、結果的に費用の圧縮につながります。

自分でできる作業を切り分ける

遺産整理に必要な作業すべてに専門資格が必要なわけではありません。

たとえば、次のような作業は相続人ご自身で対応できる場合もあります。

  • 金融機関への連絡
  • 残高証明書の取得
  • 必要書類のコピーや整理

一方で、不動産の相続登記のように司法書士しか行えない業務もあります。

「自分でできる部分」と「専門家でなければできない部分」を分けて考えることで、依頼範囲を必要最小限にすることが可能です。

もっとも、相続手続きや作業は複雑で知識や経験がなければ、大きな負担がかかります。

そのため、依頼にかかる費用だけではなく、時間的な負担や手続きの煩雑さも考慮して検討しましょう。

依頼する範囲を決めておく

相談の際に依頼内容が曖昧だと、包括的なプランが提示されることがあります。

それ自体が悪いわけではありませんが、必要のない業務まで含まれていないかを確認することが重要です。

たとえば、次のように、希望を具体的に伝えることで、見積もりも明確になります。

  • 不動産の名義変更のみ依頼したい
  • 預貯金の解約だけお願いしたい

依頼範囲を整理しておけば、不要な業務が含まれる可能性を減らすことができ、費用の圧縮につながります。

外部委託する場合は各社を比較する

費用体系は依頼先によって次のように異なります。

  • 一式料金型
  • 財産額に応じた報酬型
  • 作業ごとの積み上げ型

それぞれ費用の計算方法が違うため、単純な金額比較だけでは判断できません。

可能であれば、複数の事務所から見積もりを取り、次のような内容を確認・比較しましょう。

  • 何が料金に含まれているか
  • 実費は別か
  • 追加費用が発生する条件は何か

金額が安く見えても、後から追加費用が発生するケースもあります。

反対に、一見高く見えても、ほとんどの業務が含まれている場合もあります。

大切なのは、「総額でいくらになるのか」を把握することです。

遺産整理の費用が不安なら、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターにまずは相談!

 

遺産整理の費用は「何を行うか」「財産の内容は何か」「どこまで専門家に依頼するか」によって変わります。

まずは必要な手続きを整理し、費用の内訳と見通しを把握することが、無駄な出費を防ぐ第一歩です。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、各家庭の状況に合わせて、どのような手続きが必要なのか、いくらぐらいかかるのかを整理するところから相談・サポートが可能です。

遺産整理の費用が不安な場合は、まずはご相談ください。

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相続税対策に不動産投資は本当にお得?メリットや注意点、失敗しやすい落とし穴を徹底解説

2026.03.04

相続税対策として不動産投資を検討する方が増えています。

不動産は、現金や預貯金とは異なり、相続税の計算上「評価額」がそのままの金額になるとは限りません。

評価方法によっては、相続税の負担を抑えられる可能性があります。

また、賃貸物件であれば、家賃収入を得ながら資産を保有できるという側面もあります。

もっとも、不動産投資は「購入すれば安心」というものではありません。

相続対策として不動産を活用する場合は、税額の試算だけでなく、「将来、誰が取得するのか」「分けやすい財産構成になっているか」「管理や売却は現実的か」といった点まで検討する必要があるのです。

本記事では、相続税対策として不動産投資を行うメリットとあわせて、見落としやすい注意点や失敗しやすいポイントについて、実務の視点からわかりやすく解説します。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、提携税理士・司法書士・弁護士と連携し、相続税試算から分割・承継、実行までをワンストップでサポートしています。

初めて検討される方は、まずはご自身の財産全体を整理し、相続が発生した場合の流れと負担を把握することから始めてみましょう。

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記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続税対策としてなぜ不動産投資が選ばれる?

 

相続税対策として不動産投資が活用されるのは、次のように財産の「評価方法」が現金とは異なるためです。

  • 現金より相続税評価額が低くなることが多い
  • 賃貸不動産はさらに評価が下がる仕組みがある
  • 資産を保有しながら家賃収入を得られる
  • 「小規模宅地等の特例」により大幅な減額が可能な場合がある

それぞれについて具体的に見ていきましょう。

現金より相続税評価額が低くなることが多い

相続税では、現金や預貯金は「額面どおり」で評価されます。

1億円の預金があれば、そのまま1億円が課税対象です。

一方、不動産は次のような基準で評価されます。

  • 土地:路線価(または倍率方式)
  • 建物:固定資産税評価額

路線価は一般的に実勢価格の7〜8割程度とされており、建物も実際の建築費より低い固定資産税評価額で計算されます。

そのため、同じ1億円でも、現金として保有するより不動産として保有しているほうが、相続税評価額が低くなる傾向があるのです。

さらに、土地を賃貸している場合は「貸家建付地」として評価され、次の算式で減額されます。

貸家建付地の価額 = 自用地価額 − 自用地価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

引用元: 国税庁「No.4614 貸家建付地の評価

借家権割合は全国一律30%です。

借地権割合、借家権割合、賃貸割合を掛け合わせることで、自用地として使っている場合よりも評価額が下がります。

このように、評価の仕組みそのものが現金より有利に働くことが、不動産が相続税対策として利用される理由の一つです。

賃貸不動産はさらに評価が下がる仕組みがある

賃貸不動産は、次のように自宅用の不動産よりもさらに評価が下がる仕組みになっています。

土地の場合 「貸家建付地」として評価され、自用地評価額から一定割合が減額される。
建物の場合 建物も「貸家」として扱われ、「固定資産税評価額 ×(1 − 借家権割合)」で評価される。

借家権割合は全国一律30%とされているため、建物の評価額は固定資産税評価額の70%になります。

令和6年分の「借家権割合」は、全ての都道府県において「30%」と定められている

引用元:国税庁『借家権割合』

このように、土地・建物ともに評価が下がるため、結果として相続税額を抑える効果が期待できます。

もっとも、借地権割合や借家権割合は地域ごとに異なり、賃貸割合は実際の入居状況によって変動します。

空室が多い場合は想定どおりの減額にならないこともあるので、まずは前提条件を正確に整理することが重要です。

資産を保有しながら家賃収入を得られる

資産を売却せずに保有し続けながら相続税対策ができる点も理由の1つです。

賃貸マンションやアパートであれば、固定資産税や修繕費などの維持費はかかるものの、適切に管理すれば安定した収入源になります。

相続税は原則として現金で一括納付する必要があるため、家賃収入は納税資金の準備にも役立つのです。

また、建物については減価償却費を計上できるため、所得税・住民税の負担が軽減される場合もあります。

相続税だけでなく、生前の税負担も含めた総合的な対策として検討されることが多いのです。

「小規模宅地等の特例」により大幅な減額が可能な場合がある

不動産の相続で大きな影響を与えるのが、「小規模宅地等の特例」です。

この特例を適用できれば、土地の相続税評価額を大幅に減額できます。

この特例の主な内容は次のとおりです。

  • 自宅(特定居住用宅地等):330㎡まで80%減額
  • 賃貸用(貸付事業用宅地等):200㎡まで50%減額

※くわしくは国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」を確認ください。

たとえば、自宅の土地評価額が5,000万円の場合、80%減額が適用されれば、評価額は1,000万円になります。

このように、適用されれば相続税負担が大幅に軽減されます。

ただし、次の細かな要件を満たさなければ適用されない点に注意しましょう。

  • 同居していた相続人が取得すること(※配偶者が取得する場合は不要)
  • 相続後も一定期間保有すること
  • 賃貸事業を継続すること

また、相続後の売却や利用方法に制約が生じる場合もあります。

そのため、不動産の取得者を誰にするか、将来どのように活用するかまで見据えた検討が必要不可欠です。

相続税対策に向いている不動産の条件

 

不動産であれば、どの物件でも相続税対策になるわけではありません。

評価額が下がるという点だけに目を向けて取得すると、相続後に空室が続いたり、修繕費がかさんだりして、結果的に相続人の負担になることがあります。

相続を見据えて不動産を取得する場合、特に意識しておきたい条件は次の3つです。

  • 管理しやすい不動産であること
  • 需要が安定している地域であること
  • 将来売却しやすいこと

単に「利回りが高い」かどうかではなく、相続後の扱いやすさまで考えて選ぶことが重要です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

管理しやすい不動産であること

相続対策として不動産を持つ場合、重要なのは「誰が相続しても無理なく管理できるか」という視点です。

管理が特定の人の経験や判断に頼る状態だと、その方が亡くなった後に運用が滞り、相続人間で意見が対立することがあります。

次のような物件は比較的管理しやすいといえます。

  • 管理会社がしっかりしており、業務内容が明確になっている
  • 長期修繕計画が策定されているマンション
  • 鉄筋コンクリート(RC)造など、修繕リスクが比較的読みやすい建物

また、駅に近いなど立地条件が良ければ、入居者募集に過度な労力をかけずに済む可能性が高まります。

取得前の段階で、次のことを整理しておきましょう。

  • 管理会社への委託内容
  • 修繕の方針や積立状況
  • 収支資料の保管方法

これらを整理し、相続人が引き継ぎやすい状態にしておくことが大切です。

需要が安定している地域であること

相続税対策として不動産を活用する場合、安定した賃貸需要があるかどうかは重要な判断材料です。

空室が長引けば、想定していた家賃収入が得られず、納税資金の準備にも影響します。

一般的に、次の地域は賃貸需要が比較的安定しているといわれています。

  • 人口が集中している都市部
  • 交通の利便性が高いエリア
  • 単身者やファミリー層の需要が見込める地域

また、都市部の土地は路線価と実勢価格に差が出やすい地域もあり、評価面での効果が見込める場合もあるのです。

もっとも、地域の将来性は人口動向や再開発計画などにも左右されます。

現在の利回りだけで判断せず、将来の需要が維持されるかどうかも確認が必要です。

将来売却しやすいこと

相続税対策として取得した不動産であっても、相続後に売却が必要になることは少なくありません。

次のような事情から売却するケースは多く見られます。

  • 相続税の納税資金を確保するため
  • 相続人の間で公平に分けるため
  • 管理が難しいと判断したため

そのため、取得時から「将来売却しやすいか」という視点を持つことが重要です。

たとえば次のような物件は比較的売却しやすい傾向にあります。

  • 立地条件が良い(駅近、生活環境が整っている)
  • 日当たりや間取りが一般的な需要に合っている
  • 維持管理が適切に行われている

築年数が浅い物件はもちろん有利ですが、築年数が経過していても、適切な修繕や設備更新が行われていれば評価されやすくなります。

一方で、人口減少が進む地域では買い手が見つかりにくく、売却に時間がかかることもあるのです。

相続税は原則として10か月以内に申告・納付が必要ですので、換金に時間を要する物件はあまり有効とはいえません。

相続税対策として不動産を検討する際は、「取得時の評価減」だけでなく、「相続後の処分のしやすさ」まで含めて判断することが大切です。

相続税対策として不動産投資を進める具体的な流れ

 

相続税対策として不動産投資を行う場合、「良さそうな物件があったから購入する」という進め方は適切ではありません。

相続税対策は、次のように順序だてて進めることが大切です。

  1. 現在の資産状況を整理し、相続税額を試算する
  2. 相続税対策に適した不動産の種類を検討する
  3. 相続時の分割・承継方法まで見据えて計画を立てる

それぞれのポイントを解説します。

1.現在の資産状況を整理し、相続税額を試算する

まず行うべきことは、「今のままで相続税はいくらになるのか」を把握することです。

預貯金、有価証券、不動産、生命保険、事業資産などを一覧にし、相続税評価の方法に基づいて概算を出します。

試算によって次のことが明確になります。

  • そもそも相続税対策が必要なのか
  • どの程度の税額が見込まれるのか
  • 納税資金は足りるのか

相続税が基礎控除内に収まる場合は、無理に不動産を取得する必要はありません。

一方で、納税資金が不足する見込みがある場合は、早めの準備が必要です。

不動産投資の検討は、税額の見込みを把握したうえで行うべきものです。

相続税がどの程度発生するか分からない方や、早めに現状を把握したい方は、私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターの無料相談をご活用ください。

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2.相続税対策に適した不動産の種類を検討する

相続税額の目安が分かったら、どの種類の不動産が適しているかを検討します。

主な選択肢には次のようなものがあります。

  • 一棟アパート・マンション
  • 区分所有マンション
  • 戸建て賃貸

物件の種類によって以下のことも異なります。

  • 投資額
  • 管理の負担
  • 空室リスク
  • 相続税評価の下がり方

たとえば、都市部の区分マンションは比較的売却しやすく、管理も委託しやすい傾向があります。

一方で、一棟物件は規模が大きく収益性が見込める場合もありますが、空室や修繕の影響を受けやすい面があるのです。

ここで重要なのは、「何を目的にするのか」を明確にすることです。

  • 相続税の評価減を重視するのか
  • 家賃収入を重視するのか
  • 将来の資産形成を見据えるのか

目的によって、選ぶべき物件は変わります。

また、ローンを利用する場合は、返済計画も含めて慎重に検討する必要があります。

収支計画が成り立たなければ、相続人に負担を残すことになりかねません。

3.相続時の分割・承継方法まで見据えて計画を立てる

見落とされがちですが、もっとも重要なのがこの段階です。

不動産は現金と異なり、分けにくい財産です。

購入時点で、次のことをある程度想定しておく必要があります。

  • 誰が取得するのか
  • 共有にするのか
  • 将来売却する前提なのか

たとえば、不動産を共有名義で相続すると、以下のことなどについて、共有者全員の合意が必要となります。

  • 売却
  • 建替え
  • 大規模修繕
  • 賃貸条件の変更

また、特定の相続人に不動産を集中させる場合は、他の相続人の遺留分への配慮も必要です。

そのため、「遺言の作成」「生前贈与の活用」「家族信託の検討」などを組み合わせて、承継方法を事前に整理しておくことが望ましいといえます。

相続税対策で不動産投資を行う際に気をつけるべきこと

 

不動産投資は、相続税評価の仕組みを踏まえると有効に働く場面があります。

ただし、前提条件を誤って理解したまま進めると、相続税が想定ほど下がらないだけでなく、相続人に管理負担や紛争の火種を残すことにもなりかねません。

相続を見据えて不動産投資を行う場合、特に注意したいのは次のような点です。

  • 相続税が必ず下がるとは限らない
  • 収支が赤字になる可能性がある
  • 相続直前の購入は否認リスクがある
  • 売却時に譲渡所得税等がかかる
  • 相続人の負担が増えやすい
  • 遺留分侵害額請求が問題になりやすい
  • 換金しにくく、分割もしにくい
  • 相続登記をしないと売却できない
  • 借地借家法の影響で運用・処分が制限される
  • 想定外の事態(認知症・災害等)に備える必要がある

それぞれ、くわしく解説します。

相続税が必ず下がるとは限らない

「現金を不動産に替えれば相続税が下がる」と言われることがありますが、常に当てはまるわけではありません。

相続税の土地評価は路線価等に基づきます。

路線価と実勢価格の差が大きい地域では効果が出やすい一方、地域によっては実勢価格が伸び悩み、路線価との差が小さい(場合によっては実勢価格のほうが低い)こともあります。

また、相続税を納付するために売却しようとしたとき、取得価格や残債に対して売却価格が下回れば、資金計画が崩れるリスクもあります。

さらに注意したいのが、相続直前の「評価減だけを狙った購入」です。

形式的には評価通達に沿っていても、取引の経緯や合理性によっては税務上問題とされる可能性があります。

相続税対策は、あくまで早めに計画を立て、資産全体のバランスの中で行うことが基本です。

収支が赤字になる可能性がある

相続税評価が下がっても、日々の運用が赤字であれば意味がありません。

賃貸不動産は、家賃収入から次の費用が差し引かれます。

  • ローン返済
  • 管理費・修繕費(修繕積立金)
  • 固定資産税等
  • 火災保険料・地震保険料
  • 空室や滞納による収入減

築年数が進むと、大規模修繕や設備更新でまとまった支出が生じることもあります。

取得前に、短期の利回りだけではなく、長期の収支見通しと修繕計画を確認しておくことが不可欠です。

相続直前の購入は否認リスクがある

相続開始が近い時期に不動産を購入し、評価を下げることだけを目的にする動きは、税務上慎重に見られます。

「いつでも買えばよい」ではなく、相続までの時間軸も含めて計画することが重要です。

売却時に譲渡所得税等がかかる

相続税とは別に、不動産を売却したときには譲渡所得税が発生します。

「相続税対策で不動産を買ったのだから、売るときは大丈夫」ということにはなりません。

また、売却時には税金以外にも、次の費用がかかります。

  • 仲介手数料
  • 契約書の印紙税
  • 測量費用(必要な場合)

売却が想定される場合は、保有期間や売却時期も含めて、税理士と連携して試算しておくと安全です。

相続人の負担が増えやすい

不動産は、相続後に「持っているだけ」では完結しません。

管理・修繕・入居対応・確定申告など、一定の手間が継続的に発生します。

相続後に次の点が決まっていないと、相続人間で意見が割れやすくなります。

  • 誰が管理するのか
  • 収益と費用をどう分けるのか
  • 修繕や売却の判断を誰がするのか

対策としては、遺言で取得者を明確にする、管理を担う者と費用負担を整理するなど、相続前にルールを作っておくことが重要です。

遺留分侵害額請求が問題になりやすい

不動産を特定の相続人に集中させると、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。

現在の制度では、遺留分の請求は原則として金銭で行われます。

そのため、請求を受けた相続人が現金を用意できないと、最終的に不動産を売却せざるを得ないケースもあるのです。

特に問題になりやすいのは、次のような場合です。

  • 不動産を一人に集中させる(他の相続人との不均衡が大きい)
  • 相続財産の大半が不動産で、手元資金が少ない
  • 収益物件が中心で、短期に現金を用意しにくい

遺言や生前対策を行う場合は、遺留分も含めて設計しないと、相続後のトラブルにつながります。

不動産は換金しにくく、分割もしにくい

不動産は、売却しなければ現金化できません。

また、売却には時間がかかることがあり、相続税の納付期限(原則10か月)との関係で問題になる場合があります。

相続人が複数いる場合、共有で持つと意思決定が難しくなりがちです。

売却や大規模修繕のタイミングで合意がまとまらず、物件の価値が下がってしまうこともあります。

相続税対策として取得するなら、「分け方」まで含めて組み立てる必要があります。

相続登記をしないと売却できない

相続した不動産は、名義を相続人に移す登記(相続登記)をしなければ、原則として売却や担保設定ができません。

さらに、相続登記は法律上の義務となっており、一定期間内に申請しない場合は過料の対象となる可能性があります。

相続後に売却を想定するのであれば、なおさら早期の登記が必要です。

借地借家法の影響で運用・処分が制限される

賃貸不動産は、借地借家法により借主の保護が強く、オーナー側の都合だけで自由に運用・処分できない場面があります。

注意したい点は、主に次のとおりです。

  • 入居中は「空室前提の価格」で売りにくい
  • 賃貸条件の変更や建替えにハードルがある
  • 「退去してくれるはず」は危険

それぞれの注意点について見ていきましょう。

入居中は「空室前提の価格」で売りにくい

入居者がいる状態では、買主が限定されることがあり、価格が伸びにくい傾向があります。

退去させて売却したい場合でも、交渉や立退料が必要になるケースがあります。

賃貸条件の変更や建替えにハードルがある

家賃の増額や明渡し、更新拒絶などは「正当事由」が問題となります。

相続人が想定していたように条件変更できず、収支計画が崩れることがあります。

「退去してくれるはず」は危険

退去を前提に対策を組むと、交渉が長期化し、何も進められない状態になるおそれがあります。

原則として、入居中のまま保有・売却する前提で考えるほうが現実的です。

想定外の事態(認知症・災害等)に備える必要がある

不動産は長期保有が前提となるため、相続までの間に想定外の事態が起こり得ます。

特に注意したいトラブルは次の2つです。

  • 所有者の判断能力が低下してしまう
  • 災害が起きてしまう

以下から、それぞれ詳しく見ていきましょう。

所有者の判断能力が低下してしまう

所有者や共有者の判断能力が低下すると、売却や契約など重要な法律行為が進められなくなることがあります。

このリスクに備える方法として、成年後見制度や家族信託の検討が挙げられます。

災害が起きてしまう

地震・台風・水害などで修繕費が発生したり、家賃収入が途切れたりする可能性があります。

保険加入の有無や、ハザードリスクを踏まえた立地選びも重要です。

相続税対策としての不動産投資は専門家に相談してみよう

 

ここまで、不動産投資を活用した相続税対策のメリットと、注意すべきポイントを見てきました。

不動産は、評価の仕組みにより相続税の負担を抑えられる可能性がある一方で、次のように検討すべき事項が多い財産でもあります。

  • 物件の選び方(立地・需要・修繕リスク・収支)
  • 相続後の管理や売却のしやすさ
  • 遺産分割の進め方(共有にするか、単独取得にするか)
  • 遺留分への配慮
  • 相続登記などの手続き
  • 認知症リスクへの備え(後見・信託等)

相続税だけを見て判断すると、相続後に「分けにくい」「売れない」「管理が大変」といった問題が起こり、かえってご家族の負担になることがあります。

そのため、不動産投資を相続対策として取り入れる場合は、税務と不動産だけでなく、相続手続きや家族関係も含めて全体設計を行うことが重要です。

私たち「静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター」では、提携する税理士・司法書士・弁護士等と連携し、相続税の試算から不動産の評価、分割・承継の方法まで一体でサポートしています。

「相続がすでに発生している方」はもちろん、「まだ先だが早めに整理しておきたい、対策しておきたい」という方も、早期に全体像を把握しておくことで選択肢が広がります。

初回のご相談は無料です。

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ローンが残っている住宅を相続する場合の対応方法を網羅解説!

2026.03.04

ローンが残っている住宅を相続することになったとき、多くの方が最初に不安になるのは「このローンは誰が払うのか」「家はどう扱えばよいのか」という点ではないでしょうか。

本記事では、ローンが残っている住宅を相続する際に、最初に確認すべき事項と、判断を誤らないための具体的な進め方を、手順に沿って解説します。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、ローンの残った住宅など各ご家庭のご状況を整理した上で、最適なサポートをご提案いたします。

お気軽にご相談ください。

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記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

ローンが残る住宅を相続するときにやるべきこと

ローンが残っている住宅を相続することになった場合、まずは金融機関で「ローンと団信の事実関係」を確定させることが大切です。

相続では、不動産(プラスの財産)だけでなく、住宅ローンなどの債務(マイナスの財産)も相続対象になり得ます。

ところが、ローンの契約形態や団信の扱いによっては、相続人が返済を続ける必要がないケースもあります。

そのため、相続するか、相続放棄をするかを考えるためにも、まず次の3点の対応・確認をしましょう。

  • 金融機関へ死亡の事実を連絡する
  • ローンの契約関係を確認する
  • 団信の有無と適用可能性を確認する

それぞれくわしく見ていきましょう。

金融機関へ死亡の事実を連絡する

まず行うべきなのは、住宅ローンを契約している金融機関へ、被相続人が亡くなったことを連絡することです。

連絡をしないままにしていると、ローン返済が継続しているものとして取り扱われる可能性があります。

場合によっては、延滞として扱われることもあり得ます。

被相続人が亡くなったことを連絡すれば、以下のような案内を受けることが可能です。

  • 団体信用生命保険の手続き
  • 今後の返済の取扱い
  • 必要書類

また、相続人のうち誰が代表して連絡・手続きを行うのかを金融機関に伝えておくと、その後のやり取りがスムーズになります。

返済中の方(連帯債務者を含む)が亡くなられた場合は、契約金融機関で手続きが必要となります。

引用元:住宅金融支援機構「ご返済中の方・連帯保証人が亡くなられたとき

まずは金融機関に連絡し、その後の手続きの案内を受けることが出発点になります。

ローンの契約関係を確認する

次に確認すべきは、住宅ローンの「契約関係」です。

特に、相続で問題になりやすいのは、亡くなった方が単独の借主なのか、それとも 連帯債務者や連帯保証人 として関わっているのか、という点です。

具体的には次のような点を確認しましょう。

  • 亡くなった方が連帯債務者として契約していないか
  • 亡くなった方が連帯保証人として関わっていないか
  • 住宅ローンの契約内容はどのようになっているか

それぞれくわしく解説します。

亡くなった方が連帯債務者として契約していないか

夫婦でペアローンを組んでいる場合などは、双方が連帯債務者となっていることがあります。

連帯債務者は、主債務者と同じ立場で返済義務を負います。

そのため、どちらか一方が亡くなっても、住宅ローンの債務が消えるわけではありません。

さらに注意が必要なのは、団体信用生命保険(以後『団信』と表記)の取扱いです。

一般的に、団信は主債務者のみが加入していることが多く、連帯債務者は保険の対象外となる場合があります。

そのため、次の事実関係を契約書や保険約款で確認しましょう。

  • 誰が団信に加入しているのか
  • 保障の範囲はどこまでか

団信が適用されない場合には、亡くなった方の債務は相続の対象となり、相続人が法定相続分に応じて引き継ぐことになります。

ご本人が亡くなられたときは、ご家族の方が現在融資のお申込みをされました取扱金融機関に連絡され、団体信用生命保険(共済)の加入の有無を確認してください。

引用元:住宅金融支援機構「ご本人がなくなられたとき

亡くなった方が連帯保証人として関わっていないか

住宅ローンそのものだけでなく、亡くなった方が「連帯保証人」になっていなかったかも確認する必要があります。

連帯保証人とは、主債務者(実際にローンを借りている人)が返済できなくなった場合に、代わりに返済義務を負う立場の人です。

そして、この保証債務も相続の対象になります。

もし主債務者の返済が滞った場合、金融機関から相続人に対して一括請求をされてしまう可能性もあります。

連帯保証人には「まずは主債務者に請求してください」と主張する権利(催告の抗弁権)がないので、直接請求を受けることがあります。

もっとも、連帯保証人になっているかどうかを、相続人が把握していないケースも少なくありません。

契約書だけでは確認しづらいこともあるため、金融機関に契約関係を照会し、早い段階で次の点を整理しておきましょう。

  • 亡くなった方が連帯保証人になっていないか
  • 保証の対象となる金額(保証限度額など)はいくらか

連帯保証の有無や保証額によっては、相続放棄を検討すべきかどうかの判断にもつながるので、慎重に確認することが重要です。

住宅ローンの契約内容はどのようになっているか

住宅ローンといっても、契約形態によって相続後の取扱いは異なります。

返済義務が誰に、どの範囲で引き継がれるのかは、契約書の内容によって決まります。

特に次のような契約形態の場合は、一般的な住宅ローンとは取扱いが異なるため、注意が必要です。

  • ペアローン
  • リレーローン

ここからは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

ペアローン

ペアローンとは、夫婦や親子など二人がそれぞれ別個に契約を結ぶローンのことです。

1つの不動産に対して、2つのローンが別個に存在している状態と考えると分かりやすいでしょう。

契約者ごとに借入額が分かれており、団信もそれぞれ個別に加入しているケースが多いため、夫婦ペアローンで、夫が亡くなった場合は以下のような取扱いになるケースが多いです。

  • 夫名義のローン残高 → 団信により完済
  • 妻名義のローン残高 → そのまま残る

つまり、「一人が亡くなれば全部のローンがなくなる」というわけではありません。

亡くなった方の契約分のみが団信の対象になります。

また、親子ペアローンでも基本的な考え方は同じです。

それぞれが債務者であり、それぞれの契約内容に基づいて処理されます。

まずは、契約書で次のような事実関係を確認しましょう。

  • どちらがいくら借りているのか
  • それぞれ団信に加入しているのか
リレーローン

リレーローン(親子リレーローンなど)は、親から子へ返済を引き継ぐことを前提としたローンです。

一定期間は親が返済し、その後は子が返済を引き継ぐという仕組みになっていることが多く、確認すべきポイントは次のとおりです。

  • 誰が主たる債務者となっているか
  • 団体信用生命保険は誰が加入しているか
  • どの段階で返済義務が移る契約になっているか

最終的に返済を担う子が団信に加入しているケースが多く、親が返済途中で亡くなった場合には、子が残債を引き継ぐ内容になっていることがあります。

「親が亡くなったからローンもなくなる」とは限らない点に注意が必要です。

契約書に基づいて、どの債務が消滅し、どの債務が残るのかを丁寧に確認する必要があります。

団信の有無と適用可能性を確認する

住宅ローン契約時に団信へ加入していれば、死亡により保険金が支払われ、住宅ローンが完済となる可能性があります。

この場合、相続人がローン返済を継続する必要はありません。

一方で、団信に未加入であった場合や、団信に加入していても保障の対象外となる場合には、ローンは残り、相続人側で対応方針を検討する必要があります。

そのため、次の2点を確認しましょう。

  • 団信に加入しているか(加入の有無・加入者)
  • 今回の死亡が保障の対象となるか(適用可否・保障範囲)

加入の有無や保障内容は、ローン契約書類・団信関係書類のほか、金融機関への照会により確認できます。

連帯債務やペアローン等が絡む場合は、「どの債務まで団信で完済されるのか」もあわせて整理しておきましょう。

また、団信に加入していても 必ず保険金が支払われるとは限りません。

死亡原因が免責事由(自殺、重大な告知義務違反など)に該当する場合は、保険金が支払われないことがあります。

最終的には契約内容に基づいて判断されるので、金融機関から必要書類と手続の流れを案内してもらい、できるだけ早めに対応するようにしましょう。

なお、保険金の請求には期限があり、保険法第95条により、保険給付を請求する権利は「行使できる時から3年間」行使しないと時効により消滅します。

第95条(消滅時効)
第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

引用元:保険法 | 第95条

団信の確認結果により、その後の対応は大きく次の2パターンに分かれます。

  • 団信が適用されるときの対応方法
  • 団信に未加入、または適用されないときの対応方法

団体信用生命保険が適用されるときの対応方法

団信が適用される場合、住宅ローンは保険金によって完済されます。

もっとも、完済となっても手続きが自動的にすべて終わるわけではありません。

次のような流れで手続きを行っていきます。

手続き項目 内容
① 金融機関へ死亡の連絡 団信手続きの開始を依頼し、必要書類の案内を受ける
② 団信の請求手続き 死亡診断書などを提出し、保険金請求を行う
③ 抵当権抹消登記 ローン完済後も抵当権は自動で消えないため、抹消登記を行う
④ 遺産分割協議 相続人が複数いる場合、誰が住宅を取得するかを決める
⑤ 相続登記 取得者へ名義変更を行う
⑥ 相続税申告(該当する場合) 基礎控除を超える場合は期限内に申告・納税を行う

団体信用生命保険に未加入または適用されないときの対応方法

団信に未加入、または適用されない場合には、住宅ローンはそのまま残ります。

この場合、相続人は今後の対応を選択することになります。

主な選択肢は次の4つです。

選択肢 内容 メリット 注意点
① ローンを引き継ぐ 住宅とともに残債を承継し、返済を継続する 住み続けることができる 返済能力が必要
② 住宅を売却する 売却代金でローンを一括返済する 完済できれば債務がなくなる 売却額が残債を下回ると不足分を負担する必要あり
③ 相続放棄 家庭裁判所で申述し、すべての財産・債務を放棄する 返済義務を負わない 原則3か月以内の期限あり
④ 限定承認 相続財産の範囲内でのみ債務を負担する 借金のリスクを限定できる 相続人全員での申述が必要

なお、団信が適用されずローンが残っている場合、その残高は相続財産上の債務として、相続税の計算上「債務控除」の対象となり得ます(個別事情により整理が必要です)。

金融機関でのローンの事実関係が整理できたら次に確認すること

金融機関への照会により、ローンの事実関係が整理できたら、次のような「不動産」についての事実関係を整理していきます。

  • 不動産の名義
  • 不動産の担保設定

それぞれくわしく見ていきましょう。

不動産の名義を確認する

「その不動産の名義が誰になっているか」も確認すべき項目の1つです。

法務局で登記事項証明書を取得すれば、現在の登記名義人を確認できます。

名義が亡くなった方(被相続人)のままになっている場合は、相続登記(名義変更)が必要です。

2024年4月1日からは、相続によって不動産を取得した場合の相続登記が義務化されました。

原則として、相続を知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。

正当な理由なく放置すると、過料の対象となる可能性があります。

なお、相続放棄をするかどうかは、民法第915条により、原則として「相続開始を知った日から3か月以内」に判断しなければなりません。

第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用元:民法 | 第915条

不動産の担保設定を確認する

不動産に抵当権が設定されているかも確認しましょう。

住宅ローンがある場合、通常は金融機関の抵当権が設定されており、登記事項証明書で確認できます。

抵当権が設定されている場合は、以下の点を確認してください。

  • どの金融機関の抵当権か
  • 債権額はいくらか
  • 他にも担保が付いていないか

抵当権があるということは、ローンの返済が滞れば、不動産が競売にかけられる可能性があるということです。

残債の金額や不動産の評価額によっては、相続を承認するか、相続放棄を検討するかの判断材料になります。

ローンの残った住宅を相続するか放棄するか迷ったときに見るべきポイント

ローンの残った住宅を相続するか放棄するか迷ったときは、感情で判断せず数字や将来像をもとに検討しましょう。

具体的に検討すべきポイントは次の通りです。

  • 住宅の価値がローン残高を上回るか
  • 自分が住む予定があるか
  • 他の相続財産との合計がどうなるか

必要であれば、不動産の査定や相続税の試算など専門家に相談してシミュレーションするのも効果的です。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、各ご家庭の状況や事実関係を整理し、数字などを元に適切な対応をご提案しております。

相続の方向性が決まっていない段階でも問題ありません。

まずは、ご状況をお聞かせください。

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ローンが残る住宅を相続する際に失敗しやすいポイント

住宅ローンが残っている住宅を相続する場合、「思っていたのと違った」という誤解から後々トラブルになったり、不利益を被ってしまう可能性があります。

次のような制度上の間違いやすい、見逃しやすいルールを正しく理解しておくことが、失敗を未然に防ぐコツです。

注意点 内容
住宅ローンだけを相続放棄することはできない ・相続放棄は特定の財産や債務のみを選んで行うことはできない
・住宅や預貯金を含むすべての財産および債務を一括して放棄することになる
・住宅ローンの返済だけを除外することは制度上認められていない
相続放棄は期限を過ぎると選択できない ・相続があったことを知った日から原則3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要がある
・期間経過後は原則として単純承認したものとみなされる
・後から相続放棄をすることはできない
火災保険の名義をそのままにしない ・被相続人名義のままだと保険金請求に支障が生じるおそれがある
・実際に所有・管理する者へ契約者名義を変更する必要がある
・金融機関が保険継続を融資条件としている場合がある
団体信用生命保険には請求期限がある ・保険金請求権は行使できる時から3年間で消滅する(保険法)
・請求を怠るとローンが残る可能性がある
・死亡後は速やかに金融機関へ連絡する必要がある
名義変更だけではローン契約者は変わらない ・相続登記をしても債務者は自動的に変更されない
・債務者変更には金融機関の承諾が必要である
・別途審査や契約変更手続きが求められることがある
住宅ローン控除は自動的には引き継がれない ・被相続人の死亡により原則として控除は終了する
・相続人が居住しても当然に控除が継続されるわけではない
・税務上の要件を改めて確認する必要がある

ローンの残る住宅の相続相談は、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへ!

ローンが残っている住宅の相続は、状況によって手続きや判断のポイントが大きく変わります。

たとえば、団体信用生命保険(団信)で完済になるのか、連帯債務・連帯保証があるのか、ペアローンやリレーローンといった契約形態かによって、相続人が負う可能性のある返済義務や、進め方が異なります。

そのため、最初にすべきことは「結論を急ぐ」ことではなく、事実関係を順番に固めることです。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、静鉄不動産の総合力を活かし、不動産・法律・税務・保険が絡む住宅相続を一体としてサポートしています。

ローンの残る住宅を「相続する方向でよいのか」「売却した方がよいのか」といった段階でも問題ありません。

状況を伺ったうえで、必要な確認事項を整理し、相続の進め方と注意点を分かりやすくご案内します。

まずはお気軽にお問い合わせください。

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不動産は相続・生前贈与どちらにすべきか徹底解説!メリットやお金、向いているケースまで

2026.03.04

不動産をお持ちの方にとって、「この不動産をいつ・どのように家族へ引き継ぐか」は、いずれ必ず向き合うことになる問題です。

多くの場合は、ご本人が亡くなった後、相続によって名義が移転しますが、相続と生前贈与では、かかる税金の種類や金額、必要な手続き、そして不動産の名義が移るタイミングが大きく異なります。

十分に比較しないまま判断すると、「思っていたより税金が高額だった」「ほかの相続人との関係がこじれてしまった」といった結果になりかねません。

本記事では、不動産を「相続で引き継ぐ場合」と「生前贈与する場合」のそれぞれのメリット・注意点、そして生前贈与が向いている具体的なケースなどについて分かりやすく解説します。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産の状況やご家族の関係を丁寧に整理したうえで、どの方法が適しているのかを一緒に検討いたします。

「まだ決めきれていない」という段階でも問題ありません。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

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記事監修者

司法書士 川上直也

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不動産の相続と生前贈与の違い

 

不動産を家族に引き継ぐ方法には、「相続」と「生前贈与」があります。

どちらも不動産の名義を次の世代へ移す方法ですが、前提となる仕組みや進み方は大きく異なります。

まず押さえておきたいのは、相続は「亡くなったときに自動的に始まるもの」であり、生前贈与は「生きている間に自分の意思で行うもの」という点です。

この違いが、その後の手続きや税金、トラブルの起こりやすさにも影響します。

それぞれの基本的な違いを整理すると、次のとおりです。

観点 相続 生前贈与
定義 所有者が亡くなった時点で、不動産が法定相続人などに引き継がれる制度 所有者が生きている間に、不動産を特定の相手へ無償で譲る契約
発生のタイミング 死亡と同時に法律上当然に発生 当事者間で贈与契約が成立した時点で発生
引き継ぐ範囲 不動産だけでなく、預貯金や借金なども含めて承継 原則として贈与する不動産のみ(借金は自動では移らない)
手続きの進め方 相続人全員で遺産分割協議を行うのが原則 所有者が相手を決め、贈与契約を締結
名義変更 遺産分割後に相続登記を行う。相続人が複数いる場合は共有名義になることもある 贈与契約の成立により所有権が移転し、登記手続きによって名義が変更される
よくある問題 誰が取得するかで意見が対立しやすい 一度名義を移すと簡単には元に戻せない

相続では、亡くなった後に相続人間で話し合いを行い、最終的に誰が取得するかを決めます。

そのため、話し合いがまとまらなければ名義変更が進まないこともあります。

一方、生前贈与であれば、所有者の意思で相手を決め、その時点で登記を行うことができます。

つまり、将来ではなく、今名義を確定できる点が大きな違いです。

もっとも、生前贈与には注意点もあります。

たとえば、贈与には原則として贈与税がかかります。

また、書面で契約を交わした贈与は、原則として一方的に取り消すことができません。

民法第550条では、次のように定められています。

第550条(書面によらない贈与の解除)

第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

引用元:民法 | 第550条

裏を返せば、書面で行った贈与契約は、原則として解除できないということです。

不動産の贈与は通常、契約書を作成し登記まで行いますので、簡単に白紙に戻すことはできません。

ご家族の関係や将来の状況が変わったとしても、当事者間の合意で契約を解除すること自体は可能ですが、一度完了した登記を元に戻す場合、税務上は『新たな贈与』とみなされて多額の税金がかかるリスクがあります。

不動産は「相続」「生前贈与」するメリットを比較

 

不動産を相続する場合、生前贈与する場合、どちらが良いかはご家庭の状況次第です。

相続は税制面で有利に働くケースが多い一方で、相続人間での協議が必要になるため、意見がまとまらない可能性があります。

生前贈与は名義を早期に確定できる反面、贈与税の負担や、いったん移した財産を簡単に戻せないという点に注意が必要です。

重要なのは、次のような各ご家庭の事情を踏まえて判断していくことです。

  • 相続人の人数や関係性
  • 財産全体の規模
  • 不動産の利用状況(自宅か収益物件か)
  • 将来売却する予定があるか

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産の状況やご家族の関係を丁寧に整理したうえで、どの方法が適しているのかを一緒に検討いたします。

「まだ決めきれていない」という段階でも問題ありません。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

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不動産を「相続」するメリット

不動産を家族に引き継ぐ方法として相続を選ぶ場合、相続を前提とした税制や特例が使えるため、結果として税負担を抑えやすいという特徴があります。

もっとも、相続が常に有利とは限りません。

  • 財産総額はいくらか
  • 相続人は何人か
  • 自宅なのか収益物件なのか
  • 将来売却予定はあるか

上記のような各ご家庭の事情によって結論は変わります。

ただし、不動産については、相続税の基礎控除や各種特例の存在により、税制面では相続が有利になるケースが多い傾向があります。

不動産を相続することを選んだ場合のメリットは以下の通りです。

  • 相続税の基礎控除が使える
  • 税負担が軽くなりやすい
  • 自宅に住み続けやすい
  • 生前に手続きをしなくてよい

それぞれくわしく見ていきましょう。

相続税の基礎控除が使える

相続には、一定額までは税金がかからない「基礎控除」があります。

現在の基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。

たとえば、法定相続人が配偶者と子1人の合計2人であれば、「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」が基礎控除額です。

仮に評価額5,000万円の自宅を相続する場合、「5,000万円-4,200万円=800万円」が課税対象となる計算です。(※)

もちろん、実際の相続税は総額方式や累進税率を用いて計算するため単純ではありませんが、基礎控除内に収まる場合は相続税がかからず、原則として申告も不要です。

不動産は評価額が大きくなりやすい財産ですが、相続であればこの基礎控除を活用できるため、生前贈与より税負担が生じにくい場合があります。

税負担が軽くなりやすい

相続税の計算では、実際の売買価格(実勢価格)ではなく、国税庁が定める「相続税評価額(路線価や固定資産税評価額など)」を基準にします。

一般的に、相続税評価額は市場価格より低くなる傾向があります。

そのため、同じ不動産でも、実勢価格より圧縮された金額で税額を計算できる点が特徴です。

さらに、相続には「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」という特例があります。

配偶者の税額軽減

配偶者が取得した財産については、1億6,000万円、または法定相続分相当額のいずれか多い金額までは、配偶者に相続税がかからない場合があります。(※)

小規模宅地等の特例

自宅の土地など一定の宅地については、評価額を最大80%減額できる制度があります。

たとえば、評価額4,000万円の土地に80%減額が適用されると、相続税計算上の評価は800万円となる計算です。(※)

ただし、この特例が使えるかどうかは、次のような条件を満たす必要がありますが、適用できれば税負担に大きな差が出ます。

  • 同居の有無
  • 居住継続の要件
  • 面積の上限
  • 申告の有無

なお、この小規模宅地等の特例は生前贈与には適用されません。

自宅に住み続けやすい

相続では、「誰が所有するか」と「誰が住み続けるか」を分けて考えることができます。

代表的なのが配偶者居住権です。

たとえば、次のような形にすれば、配偶者は亡くなるまで自宅に住み続けることができます。

  • 所有権は子どもが相続
  • 配偶者には居住権を設定

従来は、自宅を配偶者が相続しなければ住み続けにくい場面もありましたが、その場合は自宅の評価額が大きく、他の財産を取得できず生活資金に困るケースもありました。

配偶者居住権を活用すれば、住まいを確保しつつ、財産の分配を調整しやすくなるというメリットがあります。

生前に名義を移してしまう場合と比べ、柔軟な対応が可能です。

ただし、「配偶者居住権」は、設定しただけでは第三者に対抗できず、司法書士による「配偶者居住権の設定登記」が重要です。

生前に手続きをしなくてよい

相続は、所有者が亡くなった時点で発生します。

生前贈与のように、次のような手続きを事前に行う必要はありません。

  • 贈与契約書の作成
  • 登記申請
  • 贈与税の申告

所有者は、生前はこれまでどおり不動産を所有し続けることができます。

高齢の方にとって、生前贈与の契約や登記手続きは精神的・体力的な負担になることもあります。

その点、相続であれば、生前に無理に動く必要がないという安心感があります。

※実際の税額計算や特例の適用可否については、個別の状況により異なるため、必ず税理士にご確認ください(当サポートセンターでは提携税理士と連携してサポートしております)

不動産を「生前贈与」するメリット

生前贈与の最大の特徴は、「いつ・誰に・どの不動産を渡すか」を所有者ご本人が決められることにあります。

相続のように将来の発生を待つのではなく、生前のうちに名義変更まで完了させることができるため、家族間の調整を前倒しで行える点が大きな違いです。

生前贈与は自由度が高い反面、税金や家族関係への影響も大きいため、十分な検討が必要です。

  • 他の相続人との公平性
  • 将来の生活資金の確保
  • 税負担の見通し
  • 不動産の将来的な活用方法

これらを整理したうえで進めることが重要です。

不動産を生前贈与することを選んだ場合のメリットは以下の3つです。

  • 相続時の争いを防ぎやすい
  • 不動産の名義を生前に決められる
  • 資産を計画的に引き継げる

では、以上のポイントについて詳しく見ていきましょう。

生前に動かす場合は、名義だけでなく家族関係や資金面も先に整理しておくと安心です。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは現状の整理から、専門家と連携してサポートいたします。

相続時の争いを防ぎやすい

生前贈与では、不動産を誰に引き継がせるかをあらかじめ決め、登記まで完了させます。

そのため、相続が発生した後に、次のような話し合いをする必要がなくなります。

  • 「自宅は誰が取得するのか」
  • 「売却して分けるのか」
  • 「共有にするのか」

不動産は現金のように均等に分けることができません。

そのため、相続人が複数いる場合、不動産の取り扱いは争いになりやすい部分です。

たとえば、「長男に自宅を継がせたい」という意向がある場合、生前贈与によって名義を長男に移しておけば、相続開始後に兄弟間で自宅の帰属を巡る協議は不要になります。

もちろん、他の財産とのバランスをどう取るかという問題は残りますが、それは生前のうちに話し合って調整することが可能です。

相続発生後に感情的な対立が生じる前に整理できる点は、生前贈与のメリットです。

不動産の名義を生前に確定できる

生前贈与では、贈与契約を締結し、所有権移転登記を行うことで、名義が直ちに受贈者へ移ります。

名義が受贈者に移れば、その不動産の次のような管理や処分は受贈者の判断で行うことができます。

  • 売却する
  • 賃貸に出す
  • 建て替える
  • 担保に入れる

親が存命中は子どもに処分権限はありませんが、生前贈与によって名義が移れば、早い段階から資産活用を始めることができます。

また、遺言がない場合の相続では、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

協議がまとまらなければ登記も進みません。

生前に名義を確定しておくことで、承継後の運用を円滑に開始できるというメリットがあります。

一度移した名義は簡単には戻せないため注意!

もっとも、生前贈与には注意点もあります。

不動産の名義を受贈者に移した後、それを元の所有者に戻すには、あらためて売買や贈与の手続きを行う必要があるという点です。

その際には、次のような税金や問題が発生する可能性があります。

  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 贈与税や譲渡所得税の問題

また、原則として受贈者の同意がなければ再移転はできません。

極端な例ですが、受贈者が第三者に売却したり、担保に入れたりする可能性も法的には否定できません。

生前に名義を確定できるというメリットがある一方で、後から柔軟にやり直すことは難しいという点は十分理解しておく必要があります。

贈与契約を締結する前に、ご家族全体で将来の取り扱いを整理し、合意形成しておくことが重要です。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産をどうすれば良いのか、各ご家庭の状況を把握しながら最適なサポートを行っています。

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資産を計画的に引き継げる

生前贈与では、どの財産をいつ移すかを段階的に設計できます。

複数の不動産をお持ちの場合、次のような組み合わせも可能です。

  • 収益物件は先に贈与する
  • 自宅は相続に残す

たとえば、賃貸物件を早期に子どもへ贈与すれば、将来の賃料収入や価値上昇分は子どもの財産になります。

結果として、親の相続財産を圧縮できる場合があります。

一方、自宅は相続財産として残せば、親はそのまま住み続けることができます。

また、暦年贈与の非課税枠(年間110万円)を活用し、長期間にわたり少しずつ財産を移す方法もあります。

たとえば、子や孫など複数人に毎年110万円ずつ贈与すれば、人数分の非課税枠を活用できます。

時間をかけて分散して移転できる点は、生前贈与ならではの特徴です。

不動産の相続より生前贈与が向いているケース

 

不動産は、通常は所有者が亡くなった時点で相続によって引き継がれます。

もっとも、ご家庭の事情や財産の内容によっては、相続を待たずに生前贈与を選んだほうが合理的な場合もあります。

生前贈与は、次のような条件が整っている場合に有効な選択肢の1つです。

  • 承継先が明確である
  • 家族間の合意が得られている
  • 税務面の見通しが立っている

一方で、一度名義を移すと簡単には元に戻せないというデメリットも。

相続と生前贈与のどちらが適しているかは、財産全体の状況やご家族の関係によって異なるため、よく状況を整理した上で、どちらにするのが良いかを判断しましょう。

ここでは、生前贈与が向いている4つの代表的なケースを解説します。

  • 特定の人に不動産を引き継がせたい場合
  • 相続人が複数いて分割が難しい場合
  • 相続税対策が必要な場合
  • 相続後の手続きを減らしたい場合

それぞれくわしく見ていきましょう。

特定の人に不動産を引き継がせたい場合

「この不動産は、この子に継いでほしい」という明確な希望がある場合、生前贈与は有効な方法です。

相続では、遺言がない限り、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

仮に遺言があっても、他の相続人が遺留分を主張する可能性は残ります。

その結果、思い描いたとおりに承継できないケースもあります。

たとえば、次のような場合、生前に名義を移しておけば、相続開始後にその不動産を巡って協議する必要はありません。

  • 事業用の土地建物を事業承継者に渡したい
  • 同居している子に自宅を引き継がせたい

承継先を確実に決めたい場合には、生前贈与が選択肢となります。

相続人が複数いて分割が難しい場合

不動産は、現金のように単純に分けることができません。

分割方法としては、次のような方法がありますが、共有名義は、将来の売却や建て替えの際に全員の同意が必要となる、また、売却する場合も、意見が一致しなければ進まない、などの課題があります。

  • 共有名義にする
  • 売却して現金化する
  • 物理的に分筆する

そのため、相続人が複数いる場合、不動産は遺産分割の中でも対立が生じやすい財産です。

生前贈与であらかじめ承継者を一人に定めておけば、不動産の分け方自体が論点になりません。

他の相続人には預貯金など別の財産で調整することも可能です。

結果として、遺産分割協議を円滑に進めやすくなります。

相続税対策が必要な場合

相続財産が基礎控除を大きく超える見込みがある場合、生前贈与を活用することで将来の相続税負担を抑えられる可能性があります。

たとえば、将来的に値上がりが見込まれる土地を早めに贈与しておけば、その後の価格上昇分や賃料収入は贈与を受けた側の財産になります。

結果として、親の相続財産の増加を抑える効果があります。

また、年間110万円の非課税枠(暦年贈与)を利用し、長期間にわたって少しずつ財産を移す方法も一般的です。

ただし注意が必要なのは、相続開始前の一定期間内の贈与は、相続税の計算上加算されるという点です。

2024年以降は、相続開始前7年以内の贈与のうち一定部分が相続財産に加算されます。

そのため、相続税対策として生前贈与を検討する場合は、できるだけ早い段階から計画的に進めることが重要です。

相続後の手続きを減らしたい場合

相続が発生すると、次のような相続手続きが必要になります。

  • 相続人の確定
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続登記
  • 相続税申告

不動産が複数ある場合や、遠方に所在する不動産がある場合は、相続人の負担が大きくなることがあります。

生前贈与であらかじめ名義を移しておけば、その不動産については相続後の名義変更手続きは不要です。

特に、次のような不動産の場合は、生前に整理しておくことで、相続後の負担を軽減できます。

  • 権利関係が複雑な不動産
  • 管理が難しい遠方の土地
  • 共有関係を解消しておきたい物件

もっとも、生前贈与にも契約書の作成や登記といった手続きは必要です。

ただし、それを生前のうちに終えておくことで、ご家族が相続後に慌てずに済むというメリットがあります。

相続か生前贈与で迷ったら専門家と状況を整理しよう!

 

不動産を「相続にするか」「生前贈与にするか」については、どちらが常に正しいという答えはありません。

  • 財産の総額はいくらか
  • 相続人は誰か
  • 自宅か収益物件か
  • 将来売却の予定はあるか

こうした前提条件が少し変わるだけで、適した方法も変わります。

また、税金だけを見て判断するのも適切とはいえません。

  • 名義変更の手続きの負担
  • 家族間の合意形成のしやすさ
  • 配偶者の住まいをどう守るか
  • 将来の紛争リスク

これらを総合的に考える必要があります。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産の整理を軸にしながら、税理士や弁護士、司法書士と連携し、ご家庭の状況に応じたサポートを行っています。

不動産は、単に「名義を変える」問題ではありません。市場動向や適正評価、将来の活用方法も踏まえて判断する必要があります。

「生前贈与」か、「相続」か、迷っている段階こそ、整理の始めどきです。

初回のご相談は無料です。

まずは現状の確認から、お気軽にお問い合わせください。

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相続前と相続後のどちらで不動産売却すべき?注意点から決め方まで徹底解説!

2026.03.02

不動産を売却する場合、「生前に売るべきか」「相続が発生してから売るべきか」で、かかる税金や手続きの流れは大きく変わります。

どちらが有利なのか分からず、判断に迷われる方も少なくありません。

本記事では、不動産を相続前に売却する場合と、相続後に売却する場合の違いについて、税務面や手続き面のポイントを整理しながら分かりやすく解説します。

不動産の相続前と相続後の売却、どちらが良いのか迷っている場合は、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターにご相談ください。

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記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続前に不動産売却を検討した方がよいケース

 

不動産は「いつ売るか」によって、税金や手続きの負担が大きく変わります。

相続前に売却を検討した方がよい代表的なケースは次の通りです。

  • 譲渡所得の特例を本人が使える場合
  • 判断能力が十分に保たれている場合
  • 不動産の分割で相続人間の対立が想定される場合

それぞれのケースについてくわしく解説します。

譲渡所得の特例を本人が使える場合

ご自宅や以前住んでいた家を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。

いわゆる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」です。

この特例は、あくまで「その家に住んでいた本人」が売却する場合に使える制度です。

本人名義のうちに売却すれば、譲渡所得税や住民税の負担を大きく軽減できる可能性があります。

一方で、相続後に相続人が売却する場合には、この特例をそのまま使えるとは限りません。

「将来的に売却する予定がある」「税負担をできるだけ抑えたい」という場合は、生前のうちに売却したほうが有利になるケースもあります。

具体的に特例が使えるかどうかは、居住状況や売却時期によって異なるので、事前に確認することが重要です。

判断能力が十分に保たれている場合

不動産の売買契約は、法律行為です。

民法では、契約時に意思能力(自分の行為の結果を理解できる能力)がない場合、その契約は無効とされています。

高齢になり、認知症などで判断能力が低下している状態で契約を締結した場合、後になって「契約は無効だ」と主張される可能性があるのです。

すると、売買自体が問題となり、買主との間で紛争に発展するおそれもあります。

また、判断能力が不十分になると、成年後見制度の利用が必要になり、手続きが複雑化します。

家庭裁判所の関与も必要となり、売却までに時間がかかるケースも少なくありません。

本人の判断能力が十分なうちに売却をすすめることで、次のようなメリットがあります。

  • 売却価格や条件を自ら決められる
  • 手続きをスムーズに進められる
  • 将来的な無効リスクを避けられる

実務上、司法書士や金融機関は売主の意思確認を厳格に行います。

そのため、高齢などで判断能力に心配がある場合には、相続前の売却を検討される方がスムーズです。

不動産の分割で相続人間の対立が想定される場合

不動産は、現金のようにきれいに分けることができない財産です。

相続人が複数いる場合、次の点で意見が対立することが少なくありません。

  • 誰が不動産を取得するのか
  • 評価額はいくらとするのか
  • 代償金をどう支払うのか

生前に不動産を売却し、現金化しておけば、相続時には法定相続分や遺言の内容に応じて分配しやすくなります。

結果として、遺産分割協議の負担や紛争のリスクを軽減できます。

もちろん、遺言書で分割方法を指定する方法もありますが、不動産そのものを残すよりも、売却して現金で残しておくほうが、相続人間の調整は比較的簡単です。

「相続人の関係が複雑」「将来的にもめる可能性がある」と感じる場合は、生前売却も一つの有効な選択肢といえるでしょう。

相続後に不動産売却を検討した方がよいケース

 

不動産は、必ずしも「生前に売ったほうが得」とは限りません。

相続が発生してから売却したほうが、次のように税負担を抑えられるケースもあります。

  • 相続してから売ったほうが利益が小さく計算される場合
  • 相続した空き家で3,000万円の控除が使える場合
  • 生前に売ると税金が高くなってしまう場合

それぞれの場合についてくわしく見ていきましょう。

相続してから売ったほうが利益が小さく計算される場合

不動産を相続した場合、その後に売却するときの税金(譲渡所得税)の計算には、いくつかの特例が関係します。

まず前提として、相続税の計算に用いる不動産の評価額(路線価など)と、売却時の譲渡所得の計算で使う「取得費」は、考え方が異なります。

この2つを混同しないことが大切です。

相続税の面では、「小規模宅地等の特例」により、一定の要件を満たせば土地の評価額を最大80%減額できる場合があります。

ただし、次に挙げる複数の要件を満たす必要があります。

  • 宅地の種類(居住用・事業用など)
  • 面積の上限
  • 取得する相続人の要件
  • 相続税の申告をしていること

「同居していたから必ず8割減になる」というものではありません。

さらに重要なのが、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例です。

相続税を納めた方が、相続開始から3年10か月以内にその不動産を売却した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算することができます。

取得費が増えると、譲渡所得(売却益)は小さく計算され、結果として譲渡所得税の負担を抑えられる可能性があるのです。

この特例が使える場合は、相続後に売却したほうが税負担が軽くなるケースもあります。

相続した空き家で3,000万円の控除が使える場合

被相続人が住んでいた家(いわゆる空き家)を相続し、一定の要件を満たして売却した場合には、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があるのです。

これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」といいます。

適用期間や金額には制限があり、次の要件を満たす必要があります。

  • 令和9年(2026年)12月31日までの譲渡であること
  • 売却まで事業用・賃貸用として使用していないこと

また、建物を解体して土地のみを売却する場合でも、相続から解体までの間に事業や貸付に使っていないことなど、細かな条件があります。

生前に本人が売却する場合とは異なる制度なので、「空き家特例が使えるかどうか」を確認したうえで、売却時期を検討することが大切です。

生前に売ると税金が高くなってしまう場合

譲渡所得税は、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて課税され、所有期間や所得状況によって税率が異なります。

たとえば、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡となり、税率は高くなります。

一方で、10年を超える自宅の場合は軽減税率の適用が可能ですが、それでも状況によっては負担が大きくなることがあるのです。

また、生前に不動産を売却して現金に換えた場合、相続時にはその現金が額面どおり評価されます。

不動産であれば、相続税評価は時価より低く算定されることが一般的ですし、小規模宅地等の特例が使える可能性もあります。

しかし、現金にはそのような評価減はありません。

そのため、総合的に比較すると、売却したほうが有利になる場合があります。

相続前・相続後に不動産を売却するときの注意点

 

不動産を「相続前に売るか」「相続後に売るか」を検討する際は、メリットだけでなく、次の注意点も押さえておく必要があります。

  • 売却時の税負担は、事前に概算でも試算しておく
  • 現金化すると、相続税の負担が増えることがある
  • 「売却するかどうか」で家族間の意見が割れやすい
  • 「売却」と「贈与」を取り違えると課税関係が変わる

十分に整理しないまま進めると、想定外の税負担や家族間のトラブルにつながるおそれがあります。

売却時の税負担は、事前に概算でも試算しておく

不動産を売却した場合、売却代金そのものではなく、取得費や譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」に対して、所得税・復興特別所得税・住民税が課税されます。

実務上、次のような事情があると、税負担が想定より大きくなることがあります。

  • 取得費が不明で、概算取得費(売却価格の5%)で計算される
  • 所有期間が5年以下で短期譲渡となる
  • 3,000万円特別控除などの要件を満たさない(または併用できない)

売却を決める前に、概算でもよいので税額を試算し、税理士と連携して確認することが重要です。

現金化すると、相続税の負担が増えることがある

不動産は、相続税評価(路線価等)により時価より低く評価されることが一般的です。

さらに、要件を満たす場合は小規模宅地等の特例により評価減が認められることもあります。

一方、生前に売却して現金化すると、現金は額面どおり評価されるため、相続税の課税対象額が増える結果となることがあるのです。

介護費用の確保など明確な目的がない場合は、相続税への影響も含めて検討しましょう。

「売却するかどうか」で家族間の意見が割れやすい

生前売却は本人が意思決定できますが、「残してほしい」「今売る必要があるのか」など、相続人予定者の感情面を含めて意見が割れることがあります。

相続後の売却は、相続人が複数いる場合、原則として全員の同意が必要となるため、合意形成が整わないと売却が進みません。

早い段階で説明と話し合いの場を設け、方向性を共有しておくことが望ましいです。

「売却」と「贈与」を取り違えると課税関係が変わる

親子間などで不動産を無償または著しく低い価格で移転した場合、実質的に贈与と判断され、贈与税が課される可能性があります。

また、名義だけを先に移転し、対価の授受がないまま第三者へ売却すると、譲渡所得税の負担者や売却代金の帰属が不明確になり、トラブルの原因となります。

売買契約書の作成と、対価の授受(金融機関口座を通じた送金等)により、実体関係と資金の流れを一致させることが重要です。

結局、相続前と相続後のいつ不動産売却するべき?

 

相続に関係する不動産は、「いつ売るか」によって税金や手続きの負担が大きく変わります。

ただし、どちらが必ず有利とはいえません。

ご家族の関係、財産の内容、借入の有無などによって最適な時期は異なります。

判断にあたっては、次の視点から順に整理していくことが重要です。

  • 手元にいくら残るのか
  • 家族間のトラブルを避けられるか
  • 本人が安全に意思決定できるか
  • ローンを完済できるか
  • 共有者全員の同意が得られるか
  • 法律上すぐに売却できる不動産か

それぞれの視点について解説します。

不動産相続に心配がある場合は、私たち「静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター」にご相談ください。

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手元にいくら残るのか

売却後に実際に残る金額は、概ね次のように計算できます。

売却代金 − 取得費 − 譲渡費用 − 税金

相続前に売却する場合は、次の点がポイントになります。

  • 3,000万円特別控除が使えるか
  • 軽減税率の対象になるか

相続後に売却する場合は、下記の特例や控除などが使える可能性があります。

  • 取得費加算の特例
  • 空き家の3,000万円控除

さらに、相続税の評価や小規模宅地等の特例の有無によって、相続税額も変わります。

重要なのは、「どの制度が使えるか」を具体的に確認し、概算でもよいので数字で比較することです。

感覚ではなく、試算に基づいて判断することが失敗を防ぐポイントです。

家族間のトラブルを避けられるか

売却時期によって、家族の関わり方も変わります。

生前に売却する場合は、所有者本人が意思決定できます。

そのため、相続人間での遺産分割協議は不要になります。

もっとも、「なぜ今売るのか」「残してほしかった」など、家族間で意見が分かれることもあります。

一方、相続後に売却する場合は、相続人全員の同意が必要です。

一人でも反対すれば、不動産全体の売却はできません。

ご家族の関係性や将来の見通しを踏まえ、どちらが円滑に進められるかを考えることが重要です。

本人が安全に意思決定できるか

不動産の売却は法律行為です。

契約時に意思能力がなければ、その契約は無効となる可能性があります。

高齢で判断能力の低下が疑われる場合には、慎重な検討が必要です。

次に、判断能力が不十分な場合に生じるリスクや必要な手当について解説します。

  • 判断能力が不十分な場合に生じる法的リスク
  • 判断能力が不十分な場合に必要となる法的手当

ここから、それぞれ詳しく解説します。

判断能力が不十分な場合に生じる法的リスク

判断能力が不十分な状態で売買契約を締結すると、次のような問題が生じます。

  • 契約が無効と主張される
  • 家族間で責任問題になる
  • 買主との間で訴訟に発展する

契約が無効となれば、売却自体がなかったことになる可能性もあります。

関与した家族が損害賠償を求められるケースも考えられます。

判断能力が不十分な場合に必要となる法的手当

判断能力に不安がある場合は、成年後見制度の利用を検討します。

成年後見人が選任されると、本人に代わって財産管理や契約行為を行うことができます。

特に、本人が居住していた不動産を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要です。

適切な法的手続きを経ずに売却すると、無効となるおそれがあります。

安全な取引を行うためには、契約前に法的な枠組みを整えておくことが重要です。

ローンを完済できるか

住宅ローンが残っている不動産には、通常、金融機関の抵当権が設定されています。

原則として、ローンを完済しなければ抵当権は抹消できません。

そのため、売却代金で残債を完済できるかどうかを事前に確認する必要があります。

売却価格が残債を下回る場合は、次の対応が必要になります。

  • 自己資金で不足分を補う
  • 任意売却を検討する

まずは、想定売却価格とローン残高を比較することが出発点です。

共有者全員の同意が得られるか

共有名義の不動産を「全体として」売却するには、共有者全員の同意が必要です。

持分がわずかであっても、反対する共有者がいれば全体売却はできません。

各共有者は自分の持分のみを売却することは可能ですが、持分売却は買い手が限られるため、実務上は容易ではありません。

共有者間で合意が得られるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。

法律上すぐに売却できる不動産か

すべての土地が自由に売却できるわけではありません。

たとえば、次のようなケースが挙げられます。

  • 農地の場合は農地法の許可が必要
  • 市街化調整区域内の土地は建築や用途に制限がある

農地転用の許可を得ずに売買した場合、契約が無効となる可能性もあります。

また、許可取得までに相当の期間を要することもあります。

宅地以外の土地を売却する場合は、事前に自治体や農業委員会への確認が必要です。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターで不動産売却タイミングを相談できる!

 

不動産をいつ売却するかは、単に「高く売れるかどうか」だけで決められる問題ではありません。

  • 次のような複数の要素が関係します。
  • 売却後、実際にいくら手元に残るのか
  • 家族全員の合意が得られるか
  • ご本人の判断能力に問題はないか
  • 相続後の手続き負担はどの程度か
  • ローンや共有関係、農地などの法的制限はないか

判断の順番としては、「売却できる前提が整っているか」→「相続前後での手取りの差」→「家族関係と判断力のリスク」で整理することをおすすめします。

売却のつもりが、実質的に贈与と評価されてしまうと、課税関係が大きく変わります。

名義変更の方法や対価の授受の仕方によっては、想定外の税負担が生じることもあるのです。

そのため、不動産の名義を動かす前の段階から、しっかりと事実関係を整理しておくことが重要です。

不動産を相続前、相続後、どちらで売った方が得になるのか迷ったら、「静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター」へご相談ください。

司法書士や税理士など、相続に関わる専門家への相談も視野に入れながら、相続前後の整理や売却時期のご提案をさせていただきます。

まずは、お気軽にご相談ください。

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未登記建物を相続したら何をする?手続きの流れから注意点まで網羅解説

2026.03.02

未登記建物を相続すると、登記簿に建物が登録されていないため通常の相続とは違った対応を進めなければなりません。

相続人が登記の順序や必要な資料を誤ると、建物が売れなかったり、担保に入れられなかったり、相続人同士で争いが起こったりするといった不利益が生じます。

この記事では、未登記建物を相続した際に知っておくべき知識から具体的な手続き、注意点までを解説します。

未登記建物の相続に関しては静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターまでご相談ください。

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記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

未登記建物を相続する際の手続きの流れ

 

未登記建物の相続では、いきなり登記申請をすることはできません。

事実関係の確認から始め、順序どおりに手続きを進めることが重要です。

大まかな流れは、次の通りです。

  1. 必要な情報を揃える
  2. 未登記建物を相続する人を決める
  3. 遺産分割協議の内容を確定させる
  4. 建物の表題登記を行う
  5. 所有権保存登記を行う

順を追って未登記建物を相続する手続きの流れを確認していきましょう。

1.必要な情報を揃える

まず行うべきことは、「その建物がどのような建物なのか」を正確に把握することです。

具体的には、次のような事項を確認します。

  • 所在地
  • 種類(居宅・倉庫など)
  • 構造(木造・鉄骨造など)
  • 床面積
  • 建築年月

建築当時の図面や建築確認通知書が残っていれば理想的ですが、古い建物では資料が見当たらないケースも少なくありません。

その場合は、固定資産税の納税通知書や評価証明書、現地の状況などから情報を整理します。

資料が不足している場合には、土地家屋調査士による現地測量が必要になることもあります。

この段階で情報を正確に整理しておくことが、その後の登記手続きをスムーズに進めるポイントです。

2.未登記建物を相続する人を決める

未登記建物には登記簿がないため、相続が発生しても名義の移転という手続きはできません。

そのため、まず「誰がこの建物を取得するのか」を相続人の間で決める必要があります。

相続人が複数いる場合、取得者が確定しなければ、その後の表題登記や所有権保存登記に進むことができません。

したがって、遺産分割協議の前提として、建物を単独で取得するのか、共有にするのかを明確にしておきましょう。

3.遺産分割協議の内容を確定させる

建物の取得者が決まったら、他の相続財産も含めて遺産分割協議を行います。

未登記建物であっても、遺産分割協議書には次の事項を具体的に記載します。

  • 建物の所在地
  • 種類・構造・床面積(可能な限り特定できる内容)
  • 取得する相続人の氏名

なお、建物を特定できる表現で記載することが重要です。

相続人全員が署名押印した遺産分割協議書は、後の所有権保存登記の際に必要となります。

4.建物の表題登記を行う

未登記建物の場合、最初に行う登記は「表題登記」です。

表題登記とは、「この場所に、このような建物が存在します」と公的に登録する手続きです。

この手続きは土地家屋調査士が担当します。

  • 建物の現況を調査
  • 床面積などを測量
  • 図面を作成
  • 法務局へ申請

登録免許税はかかりませんが、測量や図面作成を依頼する費用が必要です。

なお、増改築が行われている場合など、現況と資料が一致しないケースもあります。

そのままでは登記できないため、現況を正確に反映させることが大切です。

5.所有権保存登記を行う

表題登記が完了すると、登記簿が新たに作成されます。

そのうえで行うのが「所有権保存登記」です。

これは、「この建物の所有者は誰か」を公的に示すための登記です。

相続による所有権保存登記では、主に次の書類を添付します。

  • 被相続人の戸籍関係書類
  • 相続人の戸籍・住民票
  • 遺産分割協議書
  • 固定資産評価証明書

登録免許税は、原則として固定資産評価額の0.4%です。

ただし、一定の要件を満たす住宅用家屋については、租税特別措置法第72条の2により、税率が0.15%に軽減される特例があります(令和9年3月31日までの適用)。

第72条の2(住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減)

第七十二条の二 個人が、昭和五十九年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に住宅用の家屋で政令で定めるもの(以下第七十五条までにおいて「住宅用家屋」という。)を新築し、又は建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得し、当該個人の居住の用に供した場合には、当該住宅用家屋の所有権の保存の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところにより当該住宅用家屋の新築又は取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、千分の一・五とする。

引用元:租税特別措置法 | 第72条の2

この登記が完了して初めて、相続人が法律上の所有者として公的に認められます。

売却や担保設定(抵当権の設定)などを行うためには、この所有権保存登記が不可欠です。

未登記建物の相続にかかる費用の目安

 

未登記建物の相続では、一般的な相続に比べて次のように追加で費用がかかるケースが多いです。

依頼内容や依頼を受ける側の料金体系にもよるため、費用相場は一概には言えませんが、主に次のような費用がかかってきます。

区分 内容 費用の目安 備考
土地家屋調査士報酬 表題登記(建物の調査・測量・図面作成・申請) 約8万円~(※) 建物の規模・資料の有無により変動
司法書士報酬 所有権保存登記(相続書類作成・申請) 約3万円~(※) 相続人の人数や戸籍の量により変動
登録免許税 所有権保存登記にかかる税金 固定資産評価額 × 0.4% 例:評価額1,000万円 → 4万円
戸籍等取得費用 戸籍・除籍・改製原戸籍など 数千円程度 通数により変動
住民票・評価証明書 相続人の住民票、固定資産評価証明書など 数百円~数千円 自治体により異なる

※依頼先の料金体系や行う内容によって金額が変わります。

なお、建物の資料が残っていない場合や、増改築がある場合には、測量や調査の手間が増え、その分費用が加算されることがあります。

費用は建物の状況や相続関係によって変わるので、見積もりを確認しておくことが重要です。

未登記建物を相続する際のチェックポイント

 

未登記建物を相続した場合、「とりあえず登記をすればよい」と思われがちですが、実際にはそれ以外にも確認しておくべき重要な点がいくつかあります。

後から問題が生じないよう、次のポイントを順番に確認していきましょう。

  • 登記に必要な資料が揃っているか確認する
  • 土地と建物の名義が一致しているか確認する
  • 境界が確定しているか事前に確認する
  • 違法増築がないか確認する
  • 固定資産税の軽減措置が適用されるか確認する
  • 相続後の固定資産税の変動に注意する
  • 相続登記の申請義務を守る

それぞれくわしく解説します。

登記に必要な資料が揃っているか確認する

未登記建物、とくに築年数の古い建物では、建築確認通知書や図面などの資料が残っていないケースが少なくありません。

登記を行うためには、建物の所在・構造・床面積などを客観的に確認できる資料が必要になります。

資料が不足している場合には、以下のような対応が必要になります。

  • 現地調査
  • 関係者への聞き取り
  • 補完資料の収集

資料が完全に揃っていなくても表題登記ができる場合はありますが、調査や測量に時間と費用がかかることがあるのです。

「書類が見当たらない」と分かった時点で、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

土地と建物の名義が一致しているか確認する

建物を相続しても、土地の名義が被相続人ではない場合があります。

たとえば、以下のようなケースです。

  • 土地は親名義のまま
  • 共有持分が整理されていない
  • 別の相続が未処理

土地と建物の名義が一致していないと、売却や建替え、解体、担保設定といった手続きが進まないことがあるので、注意が必要です。

遺産分割を行う際には、建物だけでなく土地も含めて整理する必要があります。

名義関係は早めに確認しておきましょう。

境界が確定しているか事前に確認する

隣地との境界があいまいなまま解体や建替えを進めると、工事中にトラブルになることがあります。

たとえば、フェンスの位置や境界杭の有無、塀の所有権などをめぐって紛争になることがあります。

境界が未確定の場合は、土地家屋調査士に依頼して境界確認を行うのが一般的です。

費用は状況によりますが、一定の負担が生じます。

ただし、工事が止まったり、紛争になったりするリスクを考えれば、事前の確認は重要です。

違法増築がないか確認する

建物の一部を増築しているにもかかわらず、建築確認を受けていない場合、その部分が建築基準法に適合していない可能性があります。

建築基準法第6条では、一定規模の建築や増築については事前に確認を受けることが義務付けられています。

第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)

第六条 建築主は、第一号若しくは第二号に掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号又は第二号に規定する規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第三号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事又は建築副主事(以下「建築主事等」という。)の確認(建築副主事の確認にあつては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。以下この項において同じ。)を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号若しくは第二号に掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号又は第二号に規定する規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第三号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

引用元:建築基準法 | 第6条

違法増築があると表題登記や所有権保存登記ができないだけでなく、火災保険や住宅ローンの利用が難しくなることもあるのです。

違法状態のままでは新たな建築確認が下りず、解体や建替えが進みません。

増築を行った場合は速やかに建築確認と登記を済ませ、違法状態を解消することが重要です。

固定資産税の軽減措置が適用されるか確認する

住宅が建っている土地については、地方税法により固定資産税の課税標準が軽減される特例があります。

しかし、未登記建物が建つ土地については、土地が住宅用と認識されないため固定資産税の軽減措置を受けられないことがあります。

第349条 3の2(住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)

第三百四十九条の三の二 専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(前条(第十一項を除く。)の規定の適用を受けるもの並びに空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)第十三条第二項の規定により所有者等(同法第五条に規定する所有者等をいう。以下この項において同じ。)に対し勧告がされた同法第十三条第一項に規定する管理不全空家等及び同法第二十二条第二項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第二条第二項に規定する特定空家等の敷地の用に供されている土地を除く。以下この条、次条第一項、第三百五十二条の二第一項及び第三項並びに第三百八十四条において「住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条及び前条第十一項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の三分の一の額とする。

引用元:地方税法 | 第349条 3の2

しかし、未登記建物の場合、自治体が住宅として把握できていないことがあります。

その結果、「住宅が建っているのに更地として課税される」というケースが生じることがあるのです。

その場合、本来よりも税額が高くなってしまう可能性があります。

登記後に軽減措置が適用されることもあるため、課税明細書の内容を確認しましょう。

相続後の固定資産税の変動に注意する

固定資産税は法律に基づき、毎年1月1日現在の状況で課税されます。

第359条 (固定資産税の賦課期日)

第三百五十九条 固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。

引用元:地方税法 | 第359条

未登記建物について表題登記を行うと、建物の構造や床面積などが課税台帳に反映され、固定資産税の評価額が増減する場合があります。

また、1月1日時点で住宅として認識されていない場合、その年は軽減措置が適用されないこともあります。

第349条 3の2(住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)

第三百四十九条の三の二 専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(前条(第十一項を除く。)の規定の適用を受けるもの並びに空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)第十三条第二項の規定により所有者等(同法第五条に規定する所有者等をいう。以下この項において同じ。)に対し勧告がされた同法第十三条第一項に規定する管理不全空家等及び同法第二十二条第二項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第二条第二項に規定する特定空家等の敷地の用に供されている土地を除く。以下この条、次条第一項、第三百五十二条の二第一項及び第三項並びに第三百八十四条において「住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条及び前条第十一項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の三分の一の額とする。

引用元:地方税法 | 第349条 3の2

相続後は、翌年度の課税明細を確認し、不明点があれば市区町村へ問い合わせることが重要です。

相続登記の申請義務を守る

令和6年4月1日に施行された法改正により、相続によって取得した土地・建物については、相続開始を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

第76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請)

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

引用元:不動産登記法 | 第76条の2

また、正当な理由なく期限内に申請しない場合は10万円以下の過料を科される可能性があると法律で定められています。

第164条(過料)

第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

引用元:不動産登記法 | 第164条

過去に発生した相続でまだ名義変更をしていない不動産も相続登記義務の対象です。

ただし、施行前の相続については経過措置(猶予期間)が設けられており、概ね令和9年(2027年)3月31日までの対応が呼びかけられています。

(Q3)相続登記の義務化は、いつから始まったのですか?

(A3)

相続登記の義務化は、令和6年4月1日から始まりました。

ただし、令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になります。

(Q4)いつまでに相続登記をすればいいですか?

(A4)

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があります。

また、令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、相続登記がされていないものについては、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。

引用元: 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A

未登記建物についても相続登記義務は同様に適用されるため、早めに手続きを進めましょう。

未登記建物の相続手続きは専門家に相談して確実に進めよう

 

未登記建物の相続では、登記や税務、保険、建築確認など複数の分野が絡みます。

自己判断で進めると資料不足や違法増築の指摘で手続きが停滞したり、過料を負担することになりかねません。

土地家屋調査士、司法書士、建築士、税理士などの専門家に早めに相談すれば、建物の現状調査や必要書類の準備、遺産分割協議のアドバイスを受けることができ、スムーズな登記申請につながります。

また、保険会社への名義変更や火災保険の継続など、専門家が関与することでトラブルを避けられるのもメリットです。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、未登記建物の相続に関する相談を受け付けています。

安心して相続手続きを進めるためにも、早めにご相談ください。

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親が死亡したときの家の名義変更|親から子への相続手続きをわかりやすく解説

2026.01.14

親が亡くなって家を相続した場合、不動産の相続登記(名義変更)は法律で義務化されており、原則として相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に完了させる必要があります。

第76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請)

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

引用元:不動産登記法 | 第76条の2

相続登記を放置すると法律上の義務に違反するだけでなく、いざ家を売却したり担保に入れたりしようとしても名義が親のままでは進められません。

さらに、2024年以降は期限内に相続登記をしなければ10万円以下の過料(罰則)が科される可能性もあるため注意が必要です。

第164条(過料)

第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

引用元:不動産登記法 | 第164条

一方、相続登記の期限と相続税の申告期限(10か月以内)は別物なので、登記を後回しにしても相続税の納付期限が延びることはありません。

相続税は、相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、申告・納税が必要になります。

そのため、登記を後回しにしても相続税の納付期限が延びることはないのです。

こうした背景から、家の名義変更には早めの着手と確実な手続きが何より大切です。

この記事では、親が死亡したときの家の名義変更や、親から子への相続手続きをわかりやすく解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

死亡に伴う親から子への家の名義変更を進める前に確認すべき相続関係

 

親名義の家を相続するにあたり、最初に「誰が相続人になるのか」をきちんと整理しておく必要があります。

名義変更の前提となる相続関係を把握しておかなければ、後から「実は他に相続人がいた」と判明して手続きがやり直しになる可能性があります。

相続人の状況によって、名義変更に必要な合意形成の範囲や準備すべき書類が変わるため、まず相続人や遺言書の有無など全体像を確認しましょう。

具体的には次のポイントをチェックします。

  • 自分以外に法定相続人がいるかどうか
  • 遺言書があるかどうか

ここからは、それぞれのポイントで確認すべき点を詳しく解説します。

自分以外に法定相続人がいるかどうか

家を相続するにあたり、自分以外に相続人となる人がいるかどうか最初に確認しましょう。

相続人が自分一人ではなく複数いる場合、誰が家を引き継ぐかについて全員で話し合う必要が生じるためです。

法定相続人の範囲は民法で定められており、被相続人(親)の配偶者は常に相続人となり、子ども・親・兄弟姉妹が続く順位で配偶者とともに相続人になります。

第887条(子及びその代襲者等の相続権)

第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。

2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

引用元:民法 | 第887条

自分以外に相続人がいる場合は、後述するように相続人全員の合意形成や書類への署名・押印が欠かせません。

早めに相続人の範囲を確定させ、誰が家を相続するか方針を共有しておくことが重要です。

ここからは、想定される相続人の状況について見ていきましょう。

  • 存命している配偶者がいる場合:配偶者(母)も法定相続人となり、家の相続権があります
  • 子(兄弟)が複数いる場合:自分と兄弟姉妹全員が共同相続人となります
  • 異母兄弟・異父兄弟がいる場合:父母の一方が異なる兄弟姉妹も相続人に含まれます
  • 養子がいる場合:養子も実子と同様に相続人に含まれます

以下から、それぞれ詳しく解説します。

存命している配偶者がいる場合

親の配偶者(あなたの母など)が存命であれば、その配偶者も必ず法定相続人になります。

つまり相続人は「あなた+配偶者(母)」となり、配偶者にも家を相続する権利が発生します。

家を誰が引き継ぐか決める際には配偶者の意向も踏まえることが必要です。

たとえば、「子である自分が家を相続し名義を単独にする」場合には配偶者の同意を得ておくことが欠かせません。

法律上、配偶者と子が共に相続人の場合、法定相続分は配偶者・子がそれぞれ1/2です。

第900条(法定相続分)

第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

引用元:民法 | 第900条

いずれにせよ、配偶者を含め相続人全員で家をどう扱うか話し合っておくことが大切です。

子(兄弟)が複数いる場合

相続人が自分以外に複数(兄弟姉妹など)がいる場合、その家を誰が相続するか相続人全員で話し合って決める必要があります。

遺言書がない状態で相続人が複数いるケースでは、民法が定める法定相続分どおりに相続すると各人が持分を共有する形で家の名義を引き継ぐことになります。

共有状態では不動産の管理や処分が複雑になるため、可能であれば誰か1人が単独で相続することをおすすめします。

たとえば、長男である自分が家を相続する代わりに、他の兄弟には預貯金を多めに渡す・代償金を支払うといった形で調整し、早めに意見をまとめておくことが重要です。

その上で、全員の合意内容を遺産分割協議書にまとめておけば、相続登記の申請時にその家を単独名義にすることが可能になります。

異母兄弟・異父兄弟がいる場合

父または母が異なる兄弟姉妹がいる場合でも、血の繋がりがあれば法定相続人として扱われます。

親の再婚などにより腹違いの兄弟姉妹がいるケースでは、「自分に異母兄弟がいることを最近まで知らなかった」という事例も珍しくありません。

後になって「異母兄弟の存在を知らずに名義変更を進めてしまった」といったトラブルにならないよう、戸籍をたどって異母兄弟・異父兄弟の有無を早めに確認しておくことが大切です。

もし相続人に異母兄弟が含まれる場合は、その人物の現在の住所を戸籍の附票などで調べ、連絡を取って遺産分割協議に参加してもらう必要があります(会ったことがないからといって無視することはできません)。

連絡先が分からない場合でも、専門家に相談すれば所在調査や連絡の仲介をしてもらえます。

いずれにせよ、異母兄弟を含む全員の同意がなければ名義変更は進められない点に注意しましょう。

養子がいる場合

養子も法律上は実子と同じ第1順位の法定相続人になります。

血の繋がりがなくても相続人として扱われるため、親が生前に養子縁組をしていた場合はその養子も家の相続権を持つことになります。

家族構成を正確に把握し、養子を含めた相続人全員で話し合える状況を整えておくことが重要です。

特に亡くなった親に実子がおらず養子だけがいるようなケースでは、養子が単独で家を相続する可能性が高くなります。

また、養子が2人以上いる場合でも相続分は原則平等に扱われます(実子がいる場合、相続税の控除計算上は養子の人数に一定の制限がありますが、法律上の権利は同等です)。

いずれにしても、名義変更の前提として養子を含む相続人全員の合意形成が必要になる点は他の場合と変わりません。

遺言書があるかどうか

遺言書の有無も相続手続きに影響します。

親が遺言書で「この家は○○(子の名前)に相続させる」と指定している場合、基本的にはその指示に従って家の名義変更手続きを進めます。

遺言書がある場合には法定相続とは異なる結果になることも多く、相続人間の話し合いより遺言の内容が優先される点に注意が必要です。

ただし、遺言書によって家を特定の子に相続させると書かれていても、他の相続人には遺留分(一定の最低限取り分)が認められています。

他の兄弟姉妹などが遺留分を侵害されたと感じた場合、遺留分侵害額請求によって金銭補償を求められる可能性があります。

そのため、遺言内容を実現する際も他の相続人の理解を得ながら進めることが大切です。

なお、遺言書にはいくつか種類があります。

公正証書遺言(公証人が作成したもの)であれば家庭裁判所の検認手続き(内容を確認する手続き)が不要で、すぐに遺言書の指示通り相続登記を申請できます。

一方、自筆証書遺言(本人が書いた遺言書)が見つかった場合は、開封せずに家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません。

なお、自筆遺言書と秘密証書遺言書は、家庭裁判所で手続きの上で開封する必要があります。

誤って開封してしまうと、5万円以下の過料が科されるおそれがあるため注意しましょう。

検認とは相続人全員に遺言の存在を知らせた上でその内容を確認する手続きです。

検認を経ないと自筆の遺言書は法的にすぐ使えません(ただし、法務局の遺言書保管制度を利用して預けられた自筆遺言書であれば検認は不要です)。

このように、遺言書があるかどうか、ある場合は種類によって進め方が異なるため、必ず相続開始後に遺言書の有無を確認しましょう。

死亡に伴う親から子への家の名義変更を行う流れ

 

ここからは、親の死亡から家の名義を書き換える相続登記が完了するまでの一連の手続きの流れを順を追って解説します。

何をどの段階で行うべきか把握しておくこと、名義変更の段取りが立てやすくなります。

一般的な手順は以下のとおりです。

  1. STEP1:親の死亡を証明する書類をそろえる
  2. STEP2:戸籍を集めて法定相続人を確定する
  3. STEP3:家の登記情報と固定資産評価額を確認する
  4. STEP4:遺言書の有無を確認する
  5. STEP5:遺産分割協議を行う
  6. STEP6:相続登記に必要な書類を集める
  7. STEP7:法務局で相続登記を申請する
  8. STEP8:名義変更後の手続きをする

以下から、それぞれ詳しく解説します。

STEP1:親の死亡を証明する書類をそろえる

相続登記の手続きを始めるにあたり、まず親が亡くなった事実を証明するための書類を用意しましょう。

具体的には、親の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)や除籍謄本を取得し、死亡の記載があるものを準備します。

戸籍には被相続人が死亡した日付が記録されるため、公的な死亡証明として機能します。

また、市区町村役場で被相続人の住民票の除票も取得しましょう。

住民票の除票とは、死亡によって住民登録が除かれたことを示す書類で、最終住所や死亡年月日が記載されています。

住民票の除票は、後の相続登記で登記簿上の住所と被相続人本人を結び付ける証拠として重要です。

なお、登記事項証明書には住所が記載されますが、戸籍には住所がありません。

そこで、死亡時の住所は住民票の除票で補い、登記名義人と被相続人が同一であることを証明します。

STEP2:戸籍を集めて法定相続人を確定する

次に、相続人調査のため被相続人(親)の戸籍を徹底的に集めます。

親が生まれてから亡くなるまでに所属していたすべての戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など)を漏れなく取り寄せ、結婚や離婚・子どもの有無など家族関係の変遷を確認します。

戸籍は本籍地の市区町村で取得できるものの、親が転籍(本籍を変更)している場合は過去の本籍地ごとに請求が必要です。

この作業により、法定相続人が誰かを確定させることができます。

相続人を正確に確定しておかないと、後で「知らない相続人が見つかった」となって遺産分割協議をやり直す羽目になるリスクが高まります。

兄弟姉妹や認知された子などが絡む場合は戸籍が多数に及ぶこともありますが、相続人調査は相続手続きの基盤となる重要な工程のため、地道に進めましょう。

なお、法務局で「法定相続情報一覧図」という書類を発行してもらえば、戸籍の代わりに相続関係を証明する書面として利用できます(一覧図の取得には戸籍一式の提出が必要ですが、一度取得すれば金融機関手続き等でも使い回せて便利です)。

また、被相続人だけでなく相続人全員の現在の戸籍謄本も用意します。

特に兄弟姉妹が相続人の場合など、戸籍を確認することで本当に相続人資格があるか(代襲相続が発生していないか等)証明する必要があるためです。

STEP3:家の登記情報と固定資産評価額を確認する

相続する家について、登記簿の情報(登記事項証明書)と固定資産評価額を確認します。

まず法務局で家(土地・建物)の登記事項証明書を取得し、現在の所有者名義や権利関係を調べます。

登記事項証明書を見れば、家が本当に亡くなった親の単独名義か、それとも親と他の人の共有名義になっていないか、あるいは金融機関の抵当権(担保)が設定されていないかといった点が明らかになるからです。

また、市区町村役場でその家の固定資産評価証明書(固定資産税評価額の証明書)を取得し、評価額も確認しましょう。

固定資産評価額は相続登記の際に納める登録免許税(税金)を計算する基準になります。

相続登記の登録免許税は評価額の0.4%と定められているため、評価証明書に記載の金額によって税額が決まります。

評価証明書は家屋ごと・土地ごとに発行され、各市区町村の資産税課で取得できます。

なお、登記事項証明書に記載の所在地と日常使っている住所表記が異なる場合がある点に注意しましょう。

たとえば、住居表示実施地域では、登記簿上は「○○市大字△△123番地」のような地番表記ですが、普段の住所は「○○市△△町1-2-3」のように異なる場合があります。

評価証明書の物件所在地も日常の住所(住居表示)で記載されることがあるため、登記簿の地番と評価証明書の住所が同じ場所を指すか必ず照合してください。

STEP4:遺言書の有無を確認する

相続人・財産の状況を確認したら、親が遺言書を残していないか最終チェックします。

もしまだ遺言書の所在を確認していない場合は、自宅の金庫や預貯金口座の書類と一緒に保管されていないか探したり、公証役場に遺言公正証書の有無を問い合わせたりしましょう。

遺言書が見つからなかった場合、または遺言に家の記載がない場合は相続人全員で誰が家を相続するか、話し合いが必要です。

遺言書が見つかった場合は、その内容に従って相続手続きを進めます(詳しくは前述「遺言書がある場合」の項目を参照)。

公正証書遺言であればそのまま家の相続登記申請に使えます。

一方、自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所での検認が必要です。

検認が終わったら、遺言書に従い家を相続する人が決まるため、基本的には遺産分割協議は不要となります。

STEP5:遺産分割協議を行う

遺言書がなく相続人が複数いる場合、家を誰が引き継ぐか相続人全員で話し合う(遺産分割協議をする)ことになります。

遺産分割協議とは、被相続人が残した財産について相続人全員で分け方を決める話し合いです。

特に不動産の場合、法定相続分のままだと相続人全員の共有名義になってしまうため、家については「誰が相続するか」を協議で明確に決めることが望ましいです。

協議がまとまれば、法律上、取得割合は必ずしも法定相続分に従う必要はなく自由に決められます。

たとえば、「家は長男が相続し、次男・長女にはその代わりに金融資産を多めに配分する」といった取り決めも可能です。

話し合いがまとまったら、合意内容を文書に整理した「遺産分割協議書」を作成します。

協議書には相続人全員(成年後見人等がいれば代理人も含む)が実印で署名押印し、各人の印鑑証明書を添付します。

協議書は後日の相続登記申請時に提出する際に重要です。

協議書に全員の実印が押されていることと印鑑証明書の添付によって、「相続人全員の真正な合意」であることを法務局に証明するわけです。

万一、相続人同士の話し合いで家の承継者について意見が折り合わない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることになります。

調停では調停委員(第三者)が仲介し、合意点を見出せるようサポートしてくれます。

それでも調停が不成立となった場合は、自動的に家庭裁判所の審判手続き(裁判官による決定)に移行し、最終的には裁判所が家の帰属を決めることになります。

調停が成立した場合は調停調書という書面が作成され、それをもとに相続登記を申請できます。

話し合いに時間がかかると相続登記の法定期限(3年以内)に間に合わなくなる恐れもあるため、早めに合意形成を図ることが大切です。

STEP6:相続登記に必要な書類を集める

遺産分割協議書がまとまったら、いよいよ相続登記の申請書類の一式をそろえます。

相続登記の必要書類一覧(遺産分割協議ありの場合)は以下のようになります。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 相続人(新所有者)の住民票
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書(年度最新版)
  • 相続関係説明図(任意だが添付推奨)
  • 相続登記申請書

書類が出そろったら不備がないか最終チェックしましょう。

特に戸籍の漏れや署名押印の不備、日付の矛盾などがあると申請が受理されません。

不安な場合は法務局の窓口で事前相談するか、司法書士に書類一式を点検してもらうと安心です。

STEP7:法務局で相続登記を申請する

必要書類がすべて整ったら、いよいよ法務局に相続登記の申請を行います。

家の所在地を管轄する法務局の窓口へ書類一式を提出し、相続登記の申請書に登録免許税(収入印紙)を貼付します。

相続登記の登録免許税は先述のとおり不動産評価額の0.4%で、たとえば固定資産評価額が1,000万円なら4万円の税金を収める形です。

申請方法は、窓口持参のほか郵送申請やオンライン申請にも対応しています。

遠方の場合や忙しい場合は郵送で送付することも可能です。

オンライン申請は事前に電子証明書の取得や専用ソフトのインストールが必要なため、ハードルはやや高めです。

法務局に申請書類が受理されると、登記官による審査が行われます。

特段問題がなければ申請から登記完了まで通常1〜2週間程度です。

登記が完了すると、家の所有者名義が正式に親から子へ書き換えられます。

完了後、申請時に希望していれば新しい登記簿謄本(登記事項証明書)の取得が可能です。

オンライン申請の場合はPDFで受け取ることもできます。

登記完了時には、従来の「権利証」に代わり登記識別情報通知が発行されます。

登記識別情報通知は今後その不動産を売却したりする際に本人確認として使う大切な情報のため、通知書を受け取ったら大切に保管してください。

STEP8:名義変更後の手続きをする

家の相続登記が完了し、名義が正式に子であるあなたに移ったら、不動産に関連する各種名義変更や手続きを進めましょう。

まず、市町村役場で固定資産税の納税通知書の送付先変更を届け出ます。

相続登記の完了後でも、自分の名義に確実に切り替わるよう早めに届出をしておくと安心です。

次に、家に関する公共料金やライフラインの名義変更を行います。

電気・ガス・水道・電話・インターネットなどの契約が親の名義になっている場合は、新しい所有者(利用者)であるあなたの名義に変更しましょう。

死亡による名義変更は戸籍や登記簿の写しが不要なこともあります。

さらに、火災保険や地震保険などの契約も忘れずに名義変更を行います。

所有者が変わったまま放置すると、万一のときに保険金が支払われないおそれがあるためです。

住宅ローンが残っている場合は、金融機関と今後の返済方法を確認します。

団体信用生命保険によって完済された場合は、抵当権抹消手続きを行いましょう。

このように、相続登記の完了後も各種手続きを漏れなく済ませておくことで、新しい名義で安心して家を管理・利用できるようになります。

死亡に伴う親から子への家の名義変更にかかる費用

 

家の名義変更に際して必要となる、次の費用も事前に把握しておきましょう。

  • 登録免許税
  • 司法書士への依頼

以下から、それぞれ詳しく解説します。

登録免許税

相続登記の際には、登録免許税という税金を支払う必要があります。

登録免許税は登記申請時にかかる手数料のようなもので、相続による不動産取得の場合は不動産の固定資産評価額に対して一律0.4%の税率が課されます。

たとえば、固定資産評価額が2,000万円の家なら、登録免許税は以下の通りです。

2,000万円×0.4%=8万円

土地と建物がある場合はそれぞれの評価額に0.4%を掛け、合計した額を収入印紙で納めます。

評価額は毎年見直され、市町村から送付される固定資産税納税通知書などで確認できます(評価額=課税標準額が記載されています)。

なお、登録免許税の最低額は1件につき1,000円と決められており、評価額が極端に低い場合でも1,000円は納めなければなりません。

司法書士への依頼

戸籍収集から書類作成・申請まで負担が大きいと感じたら、司法書士に依頼しましょう。

司法書士に相続登記を依頼した場合の報酬(手数料)は、物件の数や相続人の人数、難易度によって幅があるものの、おおむね数万円〜十数万円程度が相場となります。

一般的な家屋と土地1筆の相続登記で、特段問題がなければ5万〜10万円前後(+消費税)という事務所が多いようです。

複雑な事案(相続人が多い、未登記物件がある等)では報酬が加算される場合もあります。

司法書士に依頼すれば、戸籍収集や書類作成、法務局への申請手続きを代行してもらえるのがメリットです。

なお、司法書士報酬とは別に実費として先述の登録免許税や戸籍取得費用などがかかります。

こうした費用は依頼者負担(後日精算)となるため、見積りの際に含まれているか確認してください。

死亡に伴う親から子への家の名義変更時に困りがちなこと

 

実際に名義変更の手続きを進める中で、つまずきやすいポイントとして次があります。

  • 相続人の一人と連絡が取れない
  • 相続放棄した人がいる
  • 話し合いで合意できない
  • 権利証や登記情報が見つからない
  • 相続人に認知症の人がいる
  • 相続人が海外に住んでいる
  • 親名義の住宅ローン・抵当権が残っている
  • 敷地に通行権などの地役権が設定されている
  • 家が親と他の人との共有名義になっている
  • 建物だけ親名義で土地が別人名義になっている
  • 家の敷地が農地扱いになっている
  • 相続する家が未登記・古い名義のまま
  • 火災などで家がほぼ残っていない
  • 名義変更を放置してしまう

以下から、それぞれ詳しく解説します。

相続人の一人と連絡が取れない

相続人の中に連絡が取れない方がいると、遺産分割協議を進めることができず名義変更の手続きが止まってしまいます。

このような場合は、まず戸籍の附票(住所履歴の記載された書類)を取り寄せて所在を調べることが効果的です。

戸籍の附票から現在の住民票上の住所が判明すれば、その住所宛てに手紙を書いたり電話帳で連絡先を探したりしてアプローチします。

それでも所在がつかめない場合や、手段が尽きても協力が得られない場合は、司法書士や弁護士など専門家に相談しましょう。

司法書士は所在調査や必要書類の収集についてアドバイスしてくれ、弁護士であれば最終的に法的手段(失踪宣告など)も視野に入れて対応を検討してくれます。

専門家に依頼しても物理的に所在が判明しない場合は、家庭裁判所に申し立てを行い不在者財産管理人という代理人を選任してもらう方法があります。

不在者財産管理人は行方不明の相続人の代わりに財産管理や手続きを行う人で、選任された管理人がいればその人を交えて遺産分割協議を成立させることが可能です。

不在者財産管理人の選任には裁判所の許可と時間が必要になりますが、相続人の一人と全く連絡が取れない場合の最終手段として覚えておきましょう。

相続放棄した人がいる

家族の中に「自分は相続放棄する」と表明している人がいる場合、その人の扱いに注意が必要です。

相続放棄は口頭で宣言しただけでは法律上効力がなく、家庭裁判所への正式な申述が受理されて初めて成立する手続きです。

したがって、手続きが完了していない状態では、その人は依然として法定相続人に含まれたまま扱われます。

相続放棄が家庭裁判所で受理されるとその人は初めから相続人ではなかったものとみなされ、遺産分割協議や相続登記に関与する必要はありません。

問題は、家の名義変更手続きを進める際に相続放棄の有無を誤って把握するケースです。

たとえば、兄が「放棄するつもりだ」と言っていたので最初から協議に入れなかったところ、実は正式な放棄手続きがなされておらず相続人のままだった、というようなケースが起こりえます。

この場合、協議書にその兄の署名押印がないと無効になってしまい、法務局から補正(やり直し)を求められることになります。

こうした事態を避けるため、相続放棄をした人がいる場合は本当に放棄が成立しているか確認しましょう。

具体的には、家庭裁判所から発行される相続放棄申述受理通知書という書面を見せてもらうのが確実です。

すると、正式に受理されたことが確認できます。

話し合いで合意できない

相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で家を誰が相続するかについて意見が一致しない状況が続くと、名義変更に必要な全員の合意が整わず、手続きが進められません。

こうした場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、第三者を交えて解決を図る方法があります。

遺産分割調停では、調停委員会(調停委員2名+裁判官1名)が仲介役となり、各相続人の主張を整理しながら合意点を探ります。

家の分割方法について当事者だけでは難しい妥協案も、調停委員の提案によって解決の糸口が見えることがあるのです。

調停は非公開の場で話し合えるため、感情的になりにくい利点です。

ただし、一人でも合意しない相続人がいれば調停は成立しないため、全員が納得できる着地点を見つけることが重要です。

調停によって話し合いがまとまれば、調停調書が作成されます。

調停調書は確定判決と同じ効力を持ち、家の相続登記申請時には遺産分割協議書の代わりに提出できる書類です。

仮に調停でも合意できなかった場合は、調停不成立となり、そのまま審判手続きに移行します。

審判では家庭裁判所が法律や公平の観点から家の帰属を決定し、その内容に従って名義変更を行うことになります。

いずれにせよ、話し合いで解決が難しいと感じたら早めに家庭裁判所の手続きを検討しましょう。

権利証や登記情報が見つからない

相続する家の権利証(登記済証)や過去の登記関係書類が見当たらなくても、支障なく相続登記を進めることができます。

権利証とは、不動産の所有者が登記名義人であることを証明する書類です。

相続による名義変更の場合、登記名義人であった親は既に亡くなっているため権利証の提出は不要です。

権利証の代わりに、戸籍や遺産分割協議書によって新所有者への相続を証明する形になるからです。

もし「親の権利証が見当たらないけど大丈夫だろうか?」と不安になった場合は、法務局で登記簿を確認することで解決します。

権利証がなくても登記情報で代替できるため、紛失の説明や再発行の手続きは不要です(権利証の再発行制度はありません)。

ただし、権利証とは別に親の不動産契約書やローン契約書などが見当たらない場合は取得経緯や担保内容が把握しづらくなることがあります。

名義変更自体は可能なものの、今後のために重要書類は遺品整理の際に確認しておくと安心です。

万一、家自体が法務局に未登記で登記簿が存在しない場合(古い建物で登記されていない、または登記記録が失われている)は、まず建物表題登記(物理的な建物の登記)を行う必要があります。

土地家屋調査士という別の専門家の管轄になり、建物の所在や構造を登録した後に相続登記手続きを進めることになります。

相続人に認知症の人がいる

相続人の中に認知症など判断能力が不十分な人がいる場合、そのままでは適法に遺産分割協議を成立させることができません。

相続手続きでは各相続人が自己の判断で合意し署名押印する必要がありますが、認知症の方は法律行為の意思表示ができない可能性があるためです。

このような場合は、家庭裁判所に申立てて成年後見人を選任し、その後見人が認知症の相続人に代わって遺産分割協議や相続登記の手続きを行います。

後見人には親族が就任したり、専門職(弁護士・司法書士等)が選ばれたりすることもあります。

成年後見人が選任されたら、後見人が他の相続人と協議を行い合意を形成するのが一般的な流れです。

ただし、後見人は被後見人(認知症の相続人)の利益を代弁する立場のため、遺産分割の内容によっては家庭裁判所の許可が必要になる場合があります(例:被後見人の取り分が法定相続分を下回るような協議)。

許可が下り、適切に協議書が作成されれば、協議書に基づいて相続登記を進めることができます。

手間と時間がかかるため早めの対応が望ましいです。

ぜひ、専門家への相談も検討してみてください。

遺産相続おまかせパック

相続人が海外に住んでいる

相続人の中に海外在住者がいる場合も、手続き上いくつか注意点があります。

基本的には国外にいる相続人も日本国内の相続人と同じ立場で遺産分割協議や名義変更に参加してもらわなければなりません。

しかし、印鑑証明書や住民票といった日本国内の書類を用意できないため、代わりに在外公館(日本大使館・領事館)の発行する書類を使って本人確認を行います。

署名証明書は、その人が目の前で書いたサインが本人のものであることを領事が証明する書類です。

遺産分割協議書にその相続人のサインと署名証明書を添付すれば、日本の実印+印鑑証明と同等の効力を認めてもらえます。

署名証明を得るには日本の在外公館に予約訪問し、現地でパスポート等を提示の上、所定の書類にサインが必要です。

相続人が複数国にまたがっている場合、それぞれの国の日本大使館・領事館で同様の手続きを踏んでもらうことになります。

時間と手間がかかるため、海外在住の相続人には早めに署名証明の取得を依頼しましょう。

また、相続登記申請自体は日本国内で行う必要があります。

海外在住者が直接オンライン申請することも不可能ではないものの、日本のマイナンバーカード等がないと難しいため、多くは日本にいる共同相続人に委任する形を取ります。

この場合、委任状にも署名証明書を付けてもらえば代理申請が可能です。

親名義の住宅ローン・抵当権が残っている

親の家に住宅ローンの残債があり、金融機関の抵当権(担保権)が設定されたまま相続が発生するケースです。

抵当権とは家や土地を担保にお金を貸す際に設定される権利で、ローンを完済しない限り不動産に消えずに残ります。

相続が起きたからといって抵当権が自動的に外れるわけではないため、名義を子に書き換える際にも抵当権付きの状態で相続登記を行うことになります。

まず、ローン債務そのものは相続人が引き継ぐのが原則です(団体信用生命保険によって返済が免除される場合を除く)。

相続人が引き続き返済を続ける場合、金融機関へ連絡して今後の返済方法や名義変更について相談する必要があります。

銀行によっては相続登記が終わったタイミングで抵当権者(銀行)宛の住所氏名変更登記を求めてくることもあります。

また、連帯保証人の変更など手続きが発生することも覚えておきましょう。

一方、相続を機にローンを一括返済してしまう場合は、金融機関から抵当権抹消書類(解除証書や署名届など)を受け取り、相続登記とは別に抵当権抹消登記の申請を行います。

抵当権抹消登記は登録免許税が不動産1件につき1,000円かかりますが、自分で手続きも可能です。

相続登記と同時でも、後日落ち着いてから行うこともできます。

重要なのは、抵当権が残っている状態では家を自由に売却処分できない点です。

買主が抵当権付きの不動産を嫌がり、二次相続が発生すると権利関係がさらに複雑になります。

したがって、可能であれば相続を機にローンを完済し、抵当権を抹消しておくことが望ましいです。

難しい場合でも、金融機関と密に連絡を取り適切な対応策(たとえば借り換えや保証人変更等)を講じることが大切です。

敷地に通行権などの地役権が設定されている

相続の対象となる家の敷地(土地)に、他人のための地役権(通行地役権・上下水道管の埋設権など)が設定されていることがあります。

地役権とは他人の土地を一定の目的で使用できる権利で、たとえば隣接地の住人が通行するための道になっている場合などが典型例です。

地役権は土地の所有者が変わっても存続するため、親から子に土地を相続して名義を書き換えた後も、地役権が消えることはありません。

ただし、新しく土地を取得した相続人にとっては「どの範囲まで自由に使える土地なのか」を正しく理解しておく必要があります。

たとえば、敷地内に他人が通行する権利がある場合、勝手に塀を建てて通路を塞ぐことはできません。

土地の上に建物を建てる際も、地役権部分を避けるかときに地役権者の承諾を得る必要もあります。

相続人がこうした負担(制約)に気付かず名義変更を進めてしまうと、後で計画が頓挫する恐れもあります。

対策としては、事前に登記簿や権利証などで地役権の内容を把握することです。

登記事項証明書の権利部には地役権が設定されている旨が記載されています。

どこを通行する権利なのか、期限や条件はあるのかなどを確認しましょう。

不明点があれば司法書士や土地家屋調査士に相談し、権利関係を整理してもらうと安心です。

家が親と他の人との共有名義になっている

登記簿を確認した際、家や敷地が親と他の人物の共有名義になっているケースもあります。

たとえば、父と母がそれぞれ1/2ずつ持分登記している場合や、親と祖父が共有している場合などです。

この場合、相続の対象となるのは亡くなった親の持分のみで、他の共有者の持分には影響しません。

たとえば、父と母が共有名義で家を所有していて父が亡くなった場合、父の持分(1/2など)が相続財産となり、母の持分(残り1/2)はそのまま母のものです。

結果として、相続後は母と子が共有する形になります。

共有状態になると、家の売却や建て替えなどの際に共有者全員の同意が必要になります。

単独名義の不動産に比べて意思決定が複雑になるため、可能であれば共有状態を解消しておくことが望ましいでしょう。

解消方法としては、以下の手段があります。

  • 相続の段階で母が持分を放棄し、子がすべて取得する(代償金を支払う)
  • 一旦共有状態で相続登記を行い、後に子が母の持分を買い取る

ただし、代償金の支払いには贈与税が発生する可能性もあるため、専門家に相談のうえで慎重に進める必要があります。

いずれにせよ、親が共有者であった不動産を相続する場合は、他の共有者の権利がそのまま残る点を理解しておきましょう。

相続登記では親の持分部分だけを名義変更し、他の共有者と今後の管理方針を話し合っておくことが大切です。

建物だけ親名義で土地が別人名義になっている

家の建物は親名義だが、その敷地である土地が別の人の名義になっている場合があります。

たとえば、「建物は父の名義だが、土地は祖父の名義のまま」「建物は親の所有だが、土地は他人から借りている(借地権)」といったケースです。

建物と土地はそれぞれ独立した不動産であり、相続や権利関係も別々に扱われます。

建物は親の相続登記によって子に名義変更できますが、土地が親名義でない場合は相続の対象になりません。

土地が祖父名義で祖父もすでに亡くなっている場合は、祖父→父への相続登記が未了の状態です。

このときは、今回の父から子への相続登記の前に、祖父から父への登記をさかのぼって行う必要があります。

手間はかかりますが、名義を整理するために避けられない手続きです。

一方、土地が他人の所有で親が借地権を持っていた場合、その借地権も相続の対象になります。

子は借地権付き建物を相続し、引き続き地主に地代を支払って土地を利用します。

この場合は、地主に相続があったことを知らせ、借地契約の名義変更などの対応を行いましょう。

借主が親から子に変わるため、今後の契約関係を明確にしておくことが大切です。

放置すると、将来的に土地の権利関係が複雑化し、最悪の場合は建物の移転や除却を求められるおそれもあります。

家の敷地が農地扱いになっている

相続した家の敷地が、市街化調整区域など農地法上の「農地」に該当する場合は、通常の宅地とは異なる手続きが必要です。

農地は農地法によって売買や権利移動に制限があり、相続による所有者変更でも農業委員会への届出が義務付けられています。

相続人は、相続発生からおおむね10か月以内に管轄の農業委員会へ届出を行う必要があります。

第3条の3(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)

第三条の三 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

引用元:農地法 | 第3条の3

届出を怠ると、10万円以下の過料が科される場合があります。

第69条

第六十九条 第三条の三の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。

引用元:農地法 | 第69条

また、家が建っていて実際には宅地として利用されている場合でも、登記簿上や課税明細上の地目が「田」「畑」などの農地になっていることがあります。

このような場合も届出は必要ですが、実態が宅地であれば農地転用許可は不要です(既に許可を得て建てられているケースが多いため)。

ただし、相続後に売却や他用途に転用する場合は、改めて農地転用許可(農地→宅地)を取得する必要があります。

そのため、まず登記簿や課税明細で敷地の地目を確認し、農地であれば相続登記とは別に農業委員会への届出を行いましょう。

届出は市町村の農業委員会窓口で、所定の用紙に必要事項を記入するだけで完了します。

農地関連の手続きは相続登記とは別制度のため忘れやすく、また対応する専門家も異なります。

農地が関係する場合は、事前に農業委員会や行政書士に相談して進めるのが確実です。

相続する家が未登記・古い名義のまま

相続した家が法務局に未登記だった場合や、親より前の世代(祖父母など)の名義のまま放置されていた場合、通常より手続きが煩雑になります。

未登記の家屋については、まず土地家屋調査士による建物表題登記を行って登記簿を作成した上で、改めて相続登記を進めます。

一方、古い名義のままというのは、前回相続時に名義変更されず先代名義が残ってしまっているケースです。

この場合、今回の相続人だけでなく過去の相続関係までさかのぼって相続人を特定し、その全員の合意を得る必要が生じます。

たとえば、祖父名義のまま父がその家に住んでいたケースでは、まず祖父から父への相続登記を行い、その後父から子への相続登記をする流れになります。

祖父の相続人(あなたの父含む兄弟姉妹など)が他にいれば、その人たちとも遺産分割協議を行わなければなりません。

時が経っていれば、相続人の中には既に亡くなっている方もいて、さらにその相続へと連鎖的に手続き範囲が広がることもあります。

このように手続きに時間と労力がかかるため、未登記・旧名義の不動産の相続登記手続きは、ほとんどの場合司法書士など専門家に依頼するケースが多いです。

専門家であれば、戸籍の読み解きや利害関係者との連絡調整も代行してくれます。

特に先代名義が絡む場合は、不動産を取得しない遠縁の相続人にも協議書に署名捺印してもらう必要があるため、専門家のサポートなしに個人で行うのは大変です。

「名義人が自分の親ではなかった」という場合は、早めに信頼できる司法書士事務所などに相談し、段取りを組んでもらうことをおすすめします。

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火災などで家がほぼ残っていない

相続の対象となる家屋が、火災や地震などで損壊し、事実上住めない状態になっている場合も考えられます。

建物がほぼ焼失・倒壊している場合、そのまま所有権移転の相続登記をすることも可能ですが、状況によっては相続登記の前に建物滅失登記を行う方が適切です。

建物滅失登記とは、建物が取り壊されたり滅失した際に登記簿を閉鎖する手続きです。

相続時点で建物がほとんど残っていない場合、実体のない建物の相続登記を行う意味は乏しく、先に滅失登記をする方が合理的です。

滅失登記を行えば登記簿が閉鎖され、以後は固定資産税も課税されません。

再建の予定がなく更地にするのであれば、相続登記を飛ばして滅失登記する方が手続きが簡素です。

一方、建物が半壊程度で再建や補修を検討している場合は、とりあえず相続登記をしておいて問題ありません。

ただし、被害状況によっては固定資産税の減免措置などを受けられる可能性があるため、市町村に相談しましょう。

また、火災保険に加入していた場合は、名義変更前でも保険金の請求が可能です。

ただし、支払い時に相続人へ受取人変更が必要な場合があるため、保険会社へ確認してください。

名義変更に加え、こうした支援制度の活用も検討しましょう。

名義変更を放置してしまう

相続登記(名義変更)を長期間放置すると、さまざまな問題が生じます。

まず、年月が経つ間に相続人の数がどんどん増えて権利関係が複雑になる可能性があります。

相続登記をしないまま次の世代の相続が発生すると、前の相続と合わせて関係者が雪だるま式に増えていき、遺産分割協議をまとめることが困難です。

また、名義変更を怠っていると思わぬ不利益を被ることもあります。

たとえば、名義人が亡くなったままだと、その人宛てに権利関係の通知が届いたり、空き家対策の行政指導が及びにくく適切な管理が困難になったりします。

さらに2024年4月1日以降は相続登記が義務化されたため、正当な理由なく放置すれば過料の制裁を受けるリスクもあります。

第164条(過料)

第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

引用元:不動産登記法 | 第164条

加えて、将来家を売却したいと思った時に名義が先代のままだと、買主との契約以前に相続手続きを完了させねばならず、売却のタイミングを逃す恐れもあります。

買い手から見ても「登記名義人と売主が違う」物件は敬遠されます。

以上の観点から、名義変更(相続登記)はできるだけ早い段階で完了させておくことが重要です。

死亡に伴う親から子への家の名義変更は、早めの準備と正確な手続きが大切!

 

親が亡くなった後の家の名義変更(相続登記)は、期限内に確実に終わらせることが大切な手続きです。

3年という申請期限は意外と短く、戸籍集めや相続人間の調整などに思いのほか時間を要する場合もあります。

「そのうちやろう」と先延ばしにせず、早めに準備に着手しましょう。

本記事で解説してきたように、まずは相続関係を整理し、必要書類を集め、順を追って手続きを進めれば、特別な知識がなくても名義変更自体は十分に完了させることが可能です。

もちろん途中で困ったことがあれば、専門家に助けてもらうべきです。

名義変更が無事終われば、法律上もあなたが正式な所有者となり、今後は安心して家を守っていくことができます。

親から受け継いだ大事な我が家ですから、早めの対応と正確な手続きでスムーズに名義を引き継ぎ、新しい生活を安心して送れるようにしましょう。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、「遺産相続おまかせパック」という相続手続きのすべてをおまかせいただけるサービスを提供しております。

必要なときには、このように遠慮なく専門家に相談しつつ、計画的に進めてみてください。

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共有名義不動産の片方が死亡したときの相続の進め方と注意点

2026.01.14

共有名義で不動産を所有している場合、片方の所有者が亡くなると「持分はどうなるのか」「今後どのように相続手続きを進めればよいのか」という不安が起こりがちです。

相続人が複数いると共有者が増え持分が細かく分かれてしまい、将来のトラブルにつながるおそれもあります。

この記事では、共有名義不動産の片方が死亡したときの相続の具体的な進め方や注意点について解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

「共有名義不動産で片方が死亡したとき」の相続ルール

 

共有名義の不動産で一方の所有者が亡くなった場合、その亡くなった人の持分が誰のものになるかという基本的な仕組みを押さえておきましょう。

遺言の有無によって持分の行き先が法定相続とは異なることもあるため、まずは以下のポイントを理解することが重要です。

  • 死亡した共有者の持分は相続人のものになる
  • 遺言がある場合は持分の取得者(承継先)が変わることがある

以下から、それぞれ詳しく解説します。

死亡した共有者の持分は相続人のものになる

共有名義不動産では、片方の所有者が死亡すると、その人が持っていた不動産の共有持分は原則としてその人の法定相続人の遺産分割協議を経て、取得者を決定します。

たとえば、夫婦で共同所有していた場合、夫が亡くなれば夫の持分は妻や子どもなど相続人が引き継ぐことになります。

残された共有者(妻)が自動的に全てを取得するわけではありません。

相続人が複数いれば、遺産分割協議の内容によっては持分が細分化されることがあります。

この結果、共有者が増えた不動産では重要な意思決定に全員の同意が必要となり、話し合いが難航してしまう可能性が高まります。

実際、共有名義の不動産を売却などの処分を行う際には、原則として共有者全員の同意が必要です。

一方で、賃貸などについては契約内容や期間によって必要な同意の範囲が異なるため、事前に確認しておく必要があります。

第252条 (共有物の管理)

共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

引用元:民法 | 第252条

一人でも反対すれば利用や処分が進まなくなるため、共有者間で意見が割れるとトラブルに発展しやすいのです。

私たちは不動産を主軸とする立場から、相続後の使い方や整理の方向性まで見据えてご相談を受けています。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

遺言がある場合は持分の取得者(承継先)が変わることがある

死亡した共有者が遺言を残していた場合は、その内容によって持分を誰が取得するか(承継先)や取得割合が、法定相続分と異なる形で決まることがあります。

遺言が有効であれば、原則として遺言の指定どおりに持分を承継します。

たとえば、「自分の共有持分は○○に相続させる(または遺贈する)」と定めていれば、持分を特定の人に集約でき、相続による共有者の増加や持分の細分化を避けやすいです。

なお、遺言の内容が他の相続人の遺留分を侵害する場合は、遺留分侵害額請求が問題となる可能性がありますが、遺言を適切に活用することで共有状態の複雑化を防ぐ効果が期待できます。

「共有名義不動産で片方が死亡したとき」の相続の流れ

 

共有者の一方が亡くなった場合、相続手続きはどのような順番で進めればよいのでしょうか。

相続の方向性を決めるために必要な確認事項から、最終的に所有権を確定させる手続きまで、相続全体の一般的な流れは次の通りです。

  • 遺言書の有無と内容を確認する
  • 相続人を確定する
  • 不動産を含む相続財産の全体像を把握する
  • 遺産分割協議で、どう合意するか話し合う
  • 相続税が必要な場合、期限までに申告・納付する
  • 遺産分割合意内容に基づいて相続登記を行う

以下からは、それぞれ相続手続きをどのように進めていくか、詳しく見ていきましょう。

遺言書の有無と内容を確認する

共有名義人が亡くなった際は、まず遺言書の有無を調べることが重要です。

遺言書が見つかった場合、原則その遺言どおりに相続手続きを進めなければなりません。

遺産分割協議で決めた後に遺言書が後から見つかると、手続きを一からやり直す必要が生じることもあるためです。

なお、遺言書の種類によっては手続き上の注意も必要です。

たとえば、自筆証書遺言(故人が自筆で書いた遺言)の場合、相続登記を申請する前に家庭裁判所で「検認」という手続きを経る必要があります。

検認とは、家庭裁判所が遺言書の形状や内容を確認し、偽造・変造を防ぐための手続きです。

ただし、法務局で保管されていた自筆証書遺言は、検認を経ずに手続きが可能です。

いずれにせよ、有効な遺言書がある場合はその内容を最優先に相続手続きを進めます。

相続人を確定する

遺産分割協議を進めるには、相続人を確定させることが不可欠です。

そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得し、婚姻歴や子の有無を確認します。

こうした作業により法定相続人(配偶者や子ども、場合によっては親や兄弟姉妹)が確定し、遺産分割協議に参加すべき相続人が明らかになります。

相続人調査を怠ると、本来協議に加わるべき人が抜け落ちて後から合意が無効になる恐れもあるため、戸籍収集など専門的な調査を経て確実に相続人を確定させましょう。

不動産を含む相続財産の全体像を把握する

相続人が確定したら、相続財産の内容を調査して全体像を把握します。

遺産は不動産の持分だけでなく、預貯金や有価証券、自動車、さらには負債まで多岐にわたります。

どのような遺産がどれだけ存在するのかを正確に洗い出すことが、公平な遺産分割の前提条件です。

特に不動産については、評価額の見積もりや物件の状態の確認が重要になります。

たとえば、不動産の市場価値を不動産業者や不動産鑑定士に算出してもらったり、現地の利用状況を確認したりして、遺産分割協議の材料とします。

不動産の価値や処遇によって他の遺産の分け方も変わり得るため、相続財産をリストアップしたうえで各財産の評価を把握することが大切です。

相続財産の中でも不動産は評価や状態の把握が難しくなりがちです。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産の状況整理を起点に全体像を確認しています。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

遺産分割協議で、どう合意するか話し合う

相続人全員が参加して、遺産の分け方について合意するための話し合い(遺産分割協議)を行います。

共有名義不動産の持分を誰が取得するか、共有状態のままにするのか、それとも処分して現金化するのかなど、重要なポイントを決定します。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。

共有状態を解消するために一人の相続人が持分を引き継ぎ、代わりに他の相続人が預貯金など別の財産を多めに取得するケースや、不動産自体を売却して売却代金を相続人間で分配するケース(換価分割)なども取られています。

仮に遺言書があって特定の人に持分を集約する指定がされていても、当事者全員が合意できる場合は、遺言内容と異なる形で調整できることもあります。

協議で決まった内容は「遺産分割協議書」に書面化し、のちの相続登記や税申告の際の証拠とします。

誰がどの財産を取得するのか明確にし、不動産の共有持分についても今後の扱いをはっきり決めておくことが重要です。

相続税が必要な場合、期限までに申告・納付する

相続財産の総額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告と納付が必要になります。

基礎控除額=「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

不動産を含む遺産全体の評価額を算出し、課税対象かどうかを早めに判断しましょう。

相続税の申告・納付は被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内と法律で定められており、期限内に行わないと無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生するおそれがあります。

第27条(相続税の申告書)

第二十七条 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

引用元:相続税法 | 第27条

不動産が主な財産の場合、納税資金の確保のために不動産の売却を検討しなければならないケースもあるため、税額の見積りと資金計画も含めて早めに対策を講じることが大切です。

相続税の計算は複雑で、土地には「小規模宅地等の特例」など評価額を減額できる制度もあります。

適用要件や対象となる面積等で取扱いが分かれるため、注意が必要です。

必要に応じて税理士など専門家の助言を得ながら、期限内に正確に申告・納付しましょう。

相続税が関係するかどうかの判断は早めに行う必要があります。

私たち静鉄不動産は税理士と連携し、不動産を含めた相続全体を見たうえで整理を進めています。

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遺産分割合意内容に基づいて相続登記を行う

遺産分割協議で不動産の持分の行き先が決まったら、その合意内容に従って相続登記(名義変更)を行います。

相続登記とは、不動産の登記名義人を亡くなった共有者から新たにその持分を取得した相続人へと変更する手続きです。

2024年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請しなければならなくなりました。

第76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請)

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

引用元:不動産登記法 | 第76条の2

正当な理由なくこの期限を過ぎると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

第164条(過料)

第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

引用元:不動産登記法 | 第164条

名義が故人のままでは、売却や担保提供ができません。

将来の相続で権利関係も複雑化し、合意形成はさらに難しくなります。

そうならないよう、できるだけ早めに名義変更の登記を済ませておくことが重要です。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、相続登記後の不動産の扱いまで見据えて、流れを整理しています。

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共有名義の不動産で片方死亡時に起こりやすいトラブルの例

 

基本ルールに従って相続手続きを進めても、共有名義不動産では相続後にさまざまなトラブルが生じやすい点に注意が必要です。

特に相続人が複数いて持分が細分化された場合、今後の不動産の扱いを巡って利害の対立が表面化しやすくなります。

共有名義不動産で片方が死亡した後に起こりがちな典型的なトラブルとして、次が挙げられます。

  • 相続時点で共有者が増えて意思決定が難しくなる
  • 相続後に税金や修繕費など負担の調整で揉める
  • 将来的に共有者の一人が第三者へ持分を売却し関係者が増える

以下から、それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続時点で共有者が増えて意思決定が難しくなる

相続によって共有者の数が増えると、不動産に関する重要な変更行為(売却や建替えなど)を行う際に共有者全員の同意が必要になるため、意思決定が格段に難しくなります。

たとえば、「売却して現金化し分けたい」という方と「愛着があるから持ち続けたい」という方が共有者に含まれる場合、意見が食い違って話し合いが平行線になることが多々あります。

法律上、一人でも反対の共有者がいれば不動産の処分は進められないため、結局何も決められないまま時間だけが経過してしまうことも少なくありません。

第251条(共有物の変更)

第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

引用元:民法 | 第251条

実際に、共有名義の実家について公平に資産を分配したい兄と生活の拠点を失いたくない弟で意見が割れ、協議が複雑化した例があります。

このように、共有者が増えると合意形成が難航し、不動産の活用が滞るリスクが高まります。

相続後に税金や修繕費など負担の調整で揉める

共有状態の不動産には、毎年の固定資産税や建物の修繕費など維持管理コストの負担という問題も付きまといます。

相続で突然共有者になった親族同士の場合、こうした費用を「誰がどの程度負担するか」を決めていなかったために不公平感が生じ、金銭面の揉め事に発展するケースがしばしば見られるのです。

法律上では「各共有者はその持分に応じて管理費用その他の負担を負う」と定められています。

第253条(共有物に関する負担)

第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

引用元:民法 | 第253条

実務では代表者に納付書が送付されるため、一人の共有者がとりあえず税金を立て替え、後から他の共有者に請求してもうやむやになるというパターンが多いのです。

本来なら共有者全員で公平に負担すべき維持費用をめぐり、事前の取り決めがないとトラブルの火種になりやすいのです。

将来的に共有者の一人が第三者へ持分を売却し関係者が増える

さらに厄介なのは、共有者の一人が自分の持分を第三者に売却してしまうケースです。

共有持分は法律により他の共有者の同意がなくても自由に処分(譲渡)できる権利とされているため、ある日突然、見ず知らずの赤の他人が共有者として登場する可能性があります。

第249条(共有物の使用)

第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。

引用元:民法 | 第249条

実際にあった事例でも、実家を兄弟で相続して共有していたところ弟が兄に無断で自分の持分を第三者(不動産業者)に売ってしまい、登記簿上まったく関係のない業者が新たな共有者になって兄が困惑したというケースがありました。

このように共有者の持分が第三者へ渡ってしまう事態は珍しくありません。

特にその相手が「共有持分の買取業者」のような収益目的のプロである場合、事態はより深刻化しがちです。

業者は利益を上げるために、共有物分割請求訴訟を提起して強制的に競売に持ち込むなどの手段を取ることもあります。

結果として当初は親族内だけの問題だった共有不動産に、全く関係のない第三者や法的手続きが絡み、解決が一層困難になる恐れが高まります。

「共有名義不動産で片方が死亡したとき」の相続の注意点・回避策

 

共有名義不動産の相続には、トラブルの種が多いことが分かりました。

そうした事態を避けるために、相続の前後で次のような対策ができることも知っておきましょう。

  • 【相続人が複数いる場合】早い段階で共有者間の方針を決めておく
  • 固定資産税・修繕費などの負担割合を決めておく
  • 将来のトラブルに備えて遺言や共有契約を作る
  • 持分買取や共有解消を早めに検討する
  • 専門家を入れて協議を進める

以下からは、それぞれの方法について詳しく解説します。

【相続人が複数いる場合】早い段階で共有者間の方針を決めておく

共有名義の不動産について「いずれ相続人が複数人で共有する可能性がある」場合には、できるだけ早い段階から共有者間で将来の方針を話し合っておくことが重要です。

被相続人が健在なうちに家族会議を開き、「誰がどの不動産を単独で相続するのか」あるいは「どんな条件で共有を続けるのか」といった点を明確にしておくだけでも、多くのトラブルを回避できます。

最善策は、遺言書を作成しておくことです。

また、遺言書までは用意しなくとも、前もって共有者同士である程度の意思すり合わせ(生前の口約束でも構いません)をしておくことも効果的とされています。

事前に方針を決めておくことで、相続開始後の意思決定が進まなくなるリスクを軽減できます。

固定資産税・修繕費などの負担割合を決めておく

共有名義の不動産を維持するにあたって避けられない固定資産税や修繕費等については、あらかじめ費用負担のルールを共有者間で取り決め、文書化しておくことが望ましいです。

共有名義にするときにしっかりと負担割合を明確に決めて合意しておけば、仮に特定の共有者が費用を支払わない事態になっても、事前の取り決めを根拠に支払いを請求しやすくなります。

たとえば、「固定資産税や維持費は各自の持分割合に応じて負担する」あるいは「共有者数で均等に割って負担する」などのルールを契約書や覚書という形で残しておくなどです。

こうした対策により、後で「自分ばかり負担が多い」といった不満が出にくくなり、費用面のトラブルを未然に防ぐことができます。

特に共有者が多い場合や、実際に不動産を利用する人とそうでない人がいる場合は、負担の不公平感が大きな争いに発展しがちなので、必ず事前に明文化しましょう。

将来のトラブルに備えて遺言や共有契約を作る

共有名義の不動産は、代が進むほど共有者の数が増えて権利関係が複雑化します。

現世代で二人共有でも、次の相続でさらに人数が増える可能性があるため、被相続人の遺言や共有者間の契約によって、将来の持分の行方を事前に決めておくことが効果的です。

たとえば、被相続人が遺言書で「自分の持分は○○(特定の一人)に相続させる」と指定しておけば、他の相続人に遺留分さえ配慮すればその人に持分を集中させることができます。

また、現共有者間で「もし自分が亡くなったら自分の持分は他の共有者が買い取る」といった共有契約を結んでおく方法も考えられます(いわゆる「共有者間優先取得の特約」などと呼ばれるもの)。

将来の混乱やトラブルを防ぐため、遺言や契約による「ルール作り」を検討しましょう。

持分買取や共有解消を早めに検討する

共有状態が続くほど利害関係が複雑化しトラブルが増える傾向にあるため、できるだけ早期に共有関係そのものを整理(解消)することも視野に入れるべきです。

相続後に共有者が増えてしまった場合、持分の買取や共有物分割によって単独所有に戻す方法があります。

具体的には、以下の方法です。

  • 他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう(他の共有者にとっては「持分を買い増して単独名義にする」ことになる)
  • 不動産自体を売却して現金を相続人間で分ける(換価分割)
  • 特定の相続人が不動産を取得して代償金を他の相続人に払う(代償分割)
  • 土地であれば分筆して物理的に分ける(現物分割)

こうした手段により、不動産を現金や単独所有の財産に置き換えておけば、共有関係による制約や争いをなくすことができます。

共有者同士の話し合いによる買取や売却の合意が難しい場合は、最終的に家庭裁判所に「共有物分割請求」の調停や訴訟を申し立てて強制的に共有状態を解消する法的手段もあります。

いずれにせよ、「いずれ共有状態を解消する」という共通認識を早めに持ち、具体的な方法を検討しておくことが肝心です。

専門家を入れて協議を進める

話し合いによる解決が難しいと感じたら、専門家を介入させることも効果的です。

感情的なしがらみがある親族同士だけでは議論が平行線になりがちですが、第三者の専門家が入ることで中立的な視点から整理と調整が進みやすくなります。

たとえば、相続手続き全般や訴訟対応については弁護士、相続登記の実行については司法書士といったように、それぞれのプロに相談するとスムーズです。

相続関係の手続きは専門知識がないと正しく進めるのが難しいうえ、各種期限に間に合わないリスクもあるため、早めに専門家のサポートを受けましょう。

また弁護士や司法書士であれば、各家庭それぞれの共有状態や相続関係に応じた適切なアドバイスを提供してくれるので安心です。

どうしても共有者間で合意がまとまらない場合は、弁護士を代理人として調停・訴訟に臨むことや、専門の買取業者に共有持分を売却して問題から離れることも視野に入れましょう。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、司法書士や弁護士と連携し、状況に応じた協議を支えています。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

片方死亡時の共有名義不動産の相続でも、事前準備と早めの相談でトラブルを防げる!

 

共有名義不動産の相続は、誰にでも起こり得る身近な問題です。

しかし、早めの準備と正しい手順を知っておくだけで、ほとんどのトラブルは防げます。

特に生前のうちに対応策を講じておけば、相続開始後に「共有者が増えてしまった…どうしよう」と慌てずに済むのです。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、共有名義不動産の相続について、全体の状況を整理したうえで、不動産・法律・税務の視点を踏まえた進め方を一緒に考えています。

静岡という地域で長年積み重ねてきた実績と、司法書士や税理士、弁護士との連携を活かし、相続後の不動産の管理や整理まで見据えた対応を行っています。

共有名義の相続で迷いがある場合は、早い段階で状況を整理する窓口としてご相談いただけます。

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相続登記の委任状を初めて作る相続人が知っておくべきポイントと書き方を完全解説!

2026.01.14

相続登記を行う際に、相続人が自分で手続きを行えない場合に必要となるのが委任状です。

しかし、初めて作成する人にとっては、何をどのように書けばよいのか、またどのようなケースで必要になるのかが分かりにくいものです。

実際、相続登記や委任状は、書き方の前に「そもそも何が必要なのか」という整理の段階で迷われる方が少なくありません。

この記事では、相続登記で使う委任状について、その仕組みや書き方などを分かりやすく整理します。

私たち静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続が始まった直後の状況整理から、不動産を含めた全体像の確認までを一緒に行っています。

初めての相続手続きで何を準備すべきか迷われている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続登記における委任状の役割

 

相続登記に必要な委任状とは、相続人が代理人に対して相続登記申請などの手続きを委任したことを証明する書類です。

相続登記の申請は本来、名義を受け継ぐ相続人自身が行うのが原則です。

しかし、仕事や体調などの事情で自分で行えない場合に第三者に代理を依頼できます。

その際に提出を求められるのが委任状であり、法務局や関係機関において正式な代理権限を証明する重要書類となります。

委任状が適切に用意されていることで、代理人は相続人に代わって登記手続きを進めることが可能です。

ただし、内容に不備があると法務局で受理されず手続きが滞ってしまいます。

委任状は「誰(委任者)が、誰(受任者)に、どの不動産について、どのような登記手続きを委任するか」を明確に示す必要があり、相続人全員の意思を形式的に示す意味でも欠かせない書類です。

正しく作成・提出することで、代理人による円滑な相続登記手続きを支える役割を果たします。

相続登記で委任状が必要なケース

 

相続登記で委任状が必要となるのは、相続人本人以外の人物が登記申請を行う場合です。

具体的には、次の表のようなケースでは委任状の提出が求められます。

ケース 委任状が必要な理由・ポイント 補足・具体例
司法書士や弁護士に依頼する場合 ・相続登記の手続きを専門家(司法書士・弁護士)に代理してもらう際は、必ず委任状が必要
・資格者であっても相続人本人ではない第三者が申請するため、法務局に対し正式な権限証明が必要
例:司法書士に相続登記を依頼する際、委任者(相続人)→司法書士あての委任状を添付
親族や友人などが代理人となる場合 ・相続人の配偶者・子・兄弟姉妹・友人などが代理で手続きを行う場合も委任状が必要
・家族であっても法定代理人でない限り、委任状がなければ法務局は手続きを受理しない
例:高齢の親の代わりに子どもが申請する場合など
共同相続人のうち1人が代表して手続きを行う場合 複数の相続人の中で1人が他の相続人全員を代表して登記申請する場合、他の相続人から代表者への委任状が必要 例:遺産分割協議で「長男が代表して登記を行う」と決まった場合、他の相続人全員が長男宛に委任状を作成
任意後見人や財産管理人に依頼する場合 ・任意後見人や財産管理人は法定代理人ではなく契約による代理人
・そのため、相続人本人が委任の意思を示した書面(委任状)が必要
例:高齢の相続人が任意後見契約を結び、後見人が登記申請を代行するケース
未成年の相続人がいる場合 ・未成年の相続人がいる場合は、原則として親権者(法定代理人)が手続きを行う
・戸籍謄本の添付で親権者を証明する
・委任者欄:未成年本人の氏名を記載
・署名欄:「法定代理人〇〇(親権者名)」と署名
・両親が揃っている場合や片親の場合を問わず、親権者を確認

親権者による未成年者の代理について誤った形式で委任状を作成すると、委任状自体が無効となり相続登記が進みません。

未成年が相続人となる場合は、事前に戸籍等で親権者を確認し、正しい方法で委任状を用意することが不可欠です。

なお、司法書士や親族に登記手続きを任せる場合でも、「このケースで本当に委任状が必要なのか」「どこまで任せられるのか」と判断に迷う場面があります。

当社では、相続人の状況や不動産の内容を踏まえたうえで、委任状が必要なケースかどうかの確認からご相談をお受けしています。

専門的な判断が難しい場合も、お気軽にお問い合わせください。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

相続登記で委任状が不要なケース

 

次のようなケースでは、相続登記に委任状が不要です。

ケース 委任状が不要な理由・ポイント 補足・具体例
相続人本人が自分で手続きする場合 ・相続登記は原則として相続人自身が申請可能
・本人が直接手続きする場合は、他者に委任する必要がないため委任状は不要
相続人本人が自ら法務局に登記申請書と必要書類を提出する場合
未成年後見人や成年後見人などの法定代理人が申請する場合 ・法定代理人には法律上の代理権があるため、委任状を別途作る必要はない
・親権者や成年後見人が本人に代わって登記を行える
・相続人が未成年 → 親権者が戸籍謄本を添付して申請(委任状不要)
・相続人が成年被後見人 → 成年後見人が「後見登記等に関する登記事項証明書」を添付して申請(委任状不要)
共同相続人全員が法定相続分どおりに登記申請する場合 遺産分割をせずに相続人全員が法定相続分どおりに登記を行う場合は、全員が共同申請人となるため委任関係が発生しない ・相続人全員が法定相続分で共有登記を申請する場合
※代表者がまとめて提出しても「代理」ではなく「共同申請」扱い
※ただし代表者以外には登記識別情報が交付されないため、便宜上委任状を作成するケースもある

ただし不要な場合であっても、添付書類として戸籍謄本や後見登記の証明書など代理権限を証明する資料は別途提出しなければならない点に注意しましょう。

また、実務上は「手続き上本当に委任状が不要か」迷うことも多いため、不安な場合は専門家に確認することをおすすめします。

相続登記の委任状に記載すべき項目

 

相続登記で提出する委任状には、決まった書式はありません。

必要な情報が揃っていれば、役所指定の用紙でなくとも相続登記の申請に使えます。

市販のテンプレートや依頼した司法書士が用意する様式を使っても構いませんが、形式より内容の正確さが重視されます。

相続登記の委任状に必ず記載すべき主な項目は、次の通りです。

  • 相続登記申請を委任する旨
  • 委任者(相続人)の情報
  • 代理人の情報
  • 登記の目的
  • 登記の原因
  • 不動産の表示
  • 委任者(相続人)の署名・押印

以下からは、各項目について具体的にどのように書けばよいかを詳しく解説します。

相続登記申請を委任する旨

まず委任状の本文で「登記申請を委任する」旨を明記することになります。

通常、委任状のタイトル(「委任状」)を記載した後、代理人となる人の住所・氏名を記載し、続けて次のような文言を記載します。

「私は、上記の者を代理人と定め、次の登記申請に関わる一切の権限を委任する」

この一文によって、相続登記の申請手続きを代理人に一任する意思を表明します。

言い回しは上記のような定型で問題ありません。

ポイントは、誰にどの範囲の手続き権限を与えるのかが明確に伝わることです。

委任者(相続人)の情報

委任状には委任者となる相続人自身の情報も正確に記載しましょう。

具体的には、相続人の住所と氏名です。

住所は住民票の表記どおりに記載する必要があります。

氏名も戸籍や住民票のとおり正式に記載しましょう(※婚姻等で登記名義人の氏名が被相続人と異なる場合は、別途氏名変更登記が必要になる場合があります)。

なお、共同相続で複数の相続人がそれぞれ不動産を取得する場合には、各相続人の持分(相続割合)を記載することが必要です。

一般的な委任状の書式では、被相続人の氏名を冒頭に記載し、次行以降に「相続人○○(住所)持分○分の○」という形で相続人ごとの住所・氏名と持分を一覧で記載します。

相続人が一人で不動産全部を相続する場合は持分欄は「全部」などとします。

代理人の情報

次に代理人(受任者)の情報を記載することになります。

委任状では、誰に代理を依頼するのかを明示しなければなりません。

そのため、受任者となる人物の住所と氏名を正確に書きます。

受任者の住所も基本的に住民票等の公的記録どおりに記載し、ハイフン等で区切っても構いません。

受任者が司法書士や弁護士などの場合は、氏名の後ろに「○○司法書士」「○○弁護士」など資格を明記しておくと親切です。

個人の親族等であれば単に氏名を書くだけで問題ありません。

大切なのは、法務局が「誰が代理人として手続きを行うのか」を一見して把握できるようにすることです。

登記の目的

登記の目的の欄には、相続によって不動産の所有権や持分をどのように移転するのかを記載することになります。

被相続人がその不動産を単独で所有していた場合、登記の目的は「所有権移転」と記載します。

相続によって所有権そのものが被相続人から相続人に移転することを意味するものです。

一方、被相続人が不動産を共有していた場合(たとえば被相続人が1/2持分を持っていたなど)、登記の目的は「○○(被相続人の氏名)持分全部移転」と記載することになります。

共有持分の全部を相続で移転するケースを示す記載です。

共有持分の一部のみを移転する場合(たとえば持分のうち一部だけある相続人が取得するような特殊ケース)には「持分一部移転」とすることもあるものの、通常の相続登記では遺産分割の結果として持分全部移転となることが多いです。

いずれの場合も、登記の目的は登記事項証明書(登記簿謄本)上の権利関係に対応した記載にする必要があります。

不明な場合は事前に登記事項証明書を取得して確認してから記載しましょう。

登記の原因

登記の原因の欄には、当該不動産について権利が移転することになった原因(事実や法律行為)とその発生日を記載します。

相続登記の場合、被相続人の死亡によって権利が移転するため、原因は「令和○年○月○日相続」という形で記載します。

日付は被相続人が亡くなった日(相続が開始した日)を和暦で記入するのが一般的です。

たとえば被相続人が令和5年4月1日に亡くなった場合、「登記原因令和5年4月1日相続」となります。

「相続」は原因事象、令和5年4月1日はその効力が発生した日付です。

日付は戸籍謄本や除籍謄本で確認できるため、正確に間違いなく記載しましょう。

なお、相続登記では登記原因証明情報として被相続人の死亡の事実を証する戸籍や除籍謄本等を添付します。

登記の原因の日付と戸籍の記載日が一致しているかも審査されるため、一字一句ミスのないよう記載することが重要です。

不動産の表示

不動産の表示には、相続登記の対象となる不動産の内容を記載します。

基本的には登記事項証明書(不動産登記簿)の「表題部」に記載されている情報を写します。

具体的には、以下のような項目です。

不動産の種類 主な記載項目
土地の場合 ・所在(〇〇市〇〇町)
・地番・地目(宅地・畑など)
・地積(○○平方メートル)
建物の場合 ・所在(〇〇市〇〇町〇番地〇)
・家屋番号・種類(居宅、店舗など)
・構造(木造瓦葺2階建など)
・床面積(○○㎡)
区分建物(マンションの一室など)の場合 ・一棟の建物の表示(所在・建物名など)
・専有部分の家屋番号
・建物の名称
・種類
・構造
・床面積
・敷地権の目的たる土地の表示
・敷地権の割合

ただし、法務局では、委任状については土地なら「所在・地番」、建物なら「所在・家屋番号」程度の記載でも問題ないとしています。

たとえば「○○市○○町1番2の土地」や「○○市○○町1番地2家屋番号1番2の建物」という簡略な表記でも受理されています。

とはいえ、対象不動産を特定できるよう正確に記載する必要がある点は変わりません。

不動産の所在地や地番を誤って記入すると全く別の土地の話になってしまうため、手元の権利証(登記済証)や固定資産税納税通知書の課税明細書などを参照しながら慎重に記載しましょう。

もし相続財産に多数の不動産が含まれており、一枚の委任状に収まりきらない場合は次の「注意点」の項で述べるように複数ページにまたがって記載することも可能です。

その場合でも各不動産の表示は上記の要領で漏れなく記載してください。

委任者(相続人)の署名・押印

委任状の末尾には、作成日付を記入し、委任者の住所・氏名を記載したうえで、署名(自署)または記名押印を行います。

署名・押印については、不動産登記の委任状では実印でなく認印でも問題ありません。

一般的に役所提出書類は実印が望ましいイメージがありますが、登記申請の委任状で重要なのは「本人の意思による委任」であることであり、印鑑の種類は問われません。

市区町村に登録した実印でなく、いわゆる認印やシャチハタ以外のスタンプ印でも有効です。

なお、法令上は「署名(自署)した場合は押印不要」とされており、反対にパソコン等で氏名を印字した場合(記名)は押印が必要です。

実務では相続人本人が自署し、念のため認印を押すケースも多く見られます。

いずれにせよ、記名のみで押印がない委任状や、署名も押印もない委任状は無効となるため注意しましょう(本人が内容を承認したと認められず、代理権が証明できません)。

相続登記の委任状に添付する書類

 

相続登記で代理人による申請を行う場合、委任状そのものに加えて次のいくつかの書類を併せて提出する必要があります。

  • 本人確認書類
  • 代理人に関する資料
  • その他(法務局で求められる可能性がある)

ここからは、委任状とともに法務局から提出を求められる主な書類を詳しく紹介します。

本人確認書類

代理人が相続登記を申請する場合に、法務局へ提出する必須書類は「委任状(代理権限証明情報)」であり、原則として委任者本人の本人確認書類の提出は求められません。

ただし、司法書士などの専門家に相続登記を依頼する場合や、法定相続人情報の提供依頼などの関連手続を代理で行う場合には、委任者本人の意思確認・本人確認のために、本人確認書類の提示や写しの提出を求められることがあります。

この本人確認は、法務局の申請要件というよりも、司法書士の職務上の義務(犯収法対応等)や、手続内容に応じた確認として行われるものです。

主に次のような書類が、本人確認書類として使われます。

  • 運転免許証のコピー(表面と裏面を両面提出)
  • マイナンバーカード(個人番号カード)のコピー(顔写真付きの表面。裏面の個人番号は不要)
  • 住民票の写し(発行後3か月以内のもの)
  • 健康保険証のコピー(氏名・住所が記載されている面)

委任状と本人確認書類の住所が違う場合の対処

委任状に記載した委任者の住所と、提出する本人確認書類に記載の住所が一致しないケースでは注意が必要です。

たとえば転居後に運転免許証の住所変更をしていない場合や、住民票と免許証で住所表記が異なる場合などです。

法務局は委任状の住所と本人確認資料の住所が異なると、代理権の証明が不十分と判断することがあります。

そのようなときは、次のような対応を行うことになります。

想定される状況 対応方法 補足・具体例
本人確認書類が旧住所のままの場合 現住所が確認できる補助書類を併せて提出する 住民票の写し、現住所宛の郵便物(公共料金の請求書など)
委任状の住所と本人確認書類の住所が不一致の場合 委任状は住民票に基づく現住所で記載し、併せて「住所が相違する理由書」を作成・添付する 「引越し直後で運転免許証の住所変更が未了であるため」などの説明文
免許証の住所変更漏れがある場合 住民票の写しを同時に提出し、同一人物であることを補完的に証明する 免許証+住民票をセットで提出することで本人確認が円滑になる

委任状と本人確認資料の住所がやむを得ず不一致になる場合にはそのまま提出せず、必ず補助的な証明資料を付け加えましょう。

住所相違を放置して提出してしまうと、登記官から追加資料の提出を求められたり、最悪の場合申請が補正・却下となることもあります。

せっかく申請した手続きが遅延しないよう、提出前に住所の整合性を確認しておきましょう。

代理人に関する資料

代理人が登記申請を行う場合、代理権限および代理人の身元を証明する資料も必要になります。

代理人の立場や資格によって提出すべき書類は異なります。

主な書類は、以下のとおりです。

代理人の区分 提出が求められる主な資料 補足・具体例
司法書士・弁護士が代理人の場合 資格証明書(資格証明情報) 司法書士名簿の登載事項証明書など
※資格者代理人として申請できる立場であることを証明するために添付する
※弁護士の場合も同様の取り扱い
任意後見人・財産管理人が代理人の場合 契約書や審判書の写し 任意後見契約公正証書、家庭裁判所による任意後見監督人選任の審判書など
※任意後見が正式に開始し、代理権が発生していることを示す資料が必要

また、家族信託などで財産管理を委任されている人が代理を務める場合も、当該契約書の写し等で権限を示すことが必要です。

その他(法務局で求められる可能性がある)

法務局は登記申請の内容を審査する過程で、提出された情報だけでは判断が難しい場合や不明点がある場合に、追加の資料提出を求めることがあります。

相続登記の委任状提出に関連して、代表的に求められることがある補足資料は次のとおりです。

項目 内容 具体例・補足
戸籍謄本の追加提出 相続関係に不明点がある場合、すでに提出した戸籍とは別に、追加の戸籍謄本の提出を求められることがある。 代襲相続(被相続人より先に子が死亡し、孫が相続人となるケース)がある場合、その親子関係を補足する戸籍が必要になることがある
相続関係説明図の訂正・追加 登記申請時に添付した相続関係説明図に不明点や誤りがある場合、訂正や補足を求められることがある。 法務局の指示に従い、続柄の修正や相続人の追加、補足資料の提出を行う
遺産分割協議書の写し 申請情報だけでは相続人全員の合意内容が確認できない場合、遺産分割協議書のコピーの提出を求められることがある。 特に、相続人間で取得する財産に偏りがあるケースでは、全員の合意を確認するため提出が必要となることがある
不動産の登記事項証明書 登記内容の事前確認のため、対象不動産の最新の登記事項証明書(登記簿謄本)の提出を求められることがある。 通常は申請前に確認しているが、法務局から要請があった場合は提出する
委任状の再提出・補正 提出した委任状に記載漏れ、誤記、押印漏れなどの不備があった場合、再提出や補正を求められることがある。 押印漏れ箇所への追加押印、新たに作成し直した委任状の提出など

相続人に改めて署名押印を依頼しなければならないケースもあるため、提出前のチェックが重要です。

委任状と遺産分割協議書の関係

相続登記で委任状を作成する際は、遺産分割協議書の内容との整合性に十分注意する必要があります。

遺産分割協議書には誰がどの財産を取得するかが全相続人の合意のもと記されています。

その内容に基づいて登記申請を行うため、委任状の記載内容も協議書と矛盾しないようにしなければなりません。

たとえば、遺産分割協議書で「不動産Aは長男Xが相続し、登記手続きは長男Xが代表して行う」旨が書かれているとします。

この場合、もし長男X自身が申請せず司法書士に依頼するなら、他の相続人全員から司法書士への委任状が必要です。

あるいは長男Xが代表して自分で申請する場合でも、協議書に記載のない別の親族Yが代理人として申請することはできません。

協議書の取り決めと異なる委任状が出されると、法務局は代理権の根拠が不十分と判断し、申請を受理しない可能性があります。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産の名義変更(相続登記)を見据えて、司法書士など士業と情報共有しながら遺産分割の内容と登記手続きが矛盾していないかを確認しています。

協議書段階から登記申請を念頭に置いて進めることで、後々の手続きがスムーズに進むようサポートいたします。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

相続登記の委任状を作成する際の注意点

 

相続登記の委任状は、代理人に登記申請の権限を与える重要書類です。

そのため内容に不備があると法務局で受理されず、補正や再提出が必要になる場合があります。

記載内容や署名方法、書類の扱い方に注意して作成することが大切です。

委任状を作成する際に知っておきたい主な注意点は、次の通りです。

  • 記載漏れ・誤記
  • 白紙委任状
  • 委任状が複数枚に及ぶ場合は、「契印」を押印する
  • 実印か認印を使う
  • 委任状の有効期間
  • 撤回の方法
  • 遠方の相続人に原本を郵送すると手続きが遅れやすい

以下から、それぞれ詳しく解説します。

記載漏れ・誤記

委任状の記載事項に漏れや誤りがあると、法務局で代理権が正しく認められないことがあります。

特に、以下の項目は戸籍や住民票、登記事項証明書などと照合しながら正確に記載する必要があります。

  • 相続人(委任者)や代理人(受任者)の氏名
  • 住所
  • 不動産の表示
  • 登記の目的・原因

住所に旧字体と新字体の違いがある、氏名のフリガナを誤記した、地番を記載し忘れた、といったミスでも補正の対象となります。

また、記載漏れや誤記が多い委任状は信頼性を欠くため、内容によっては再度正しく作成し直すよう指示されることもあります。

委任状を作成したら提出前に第三者の目でチェックするくらい慎重に確認しましょう。

なお、万一書き間違いを見つけた場合には、後述する訂正方法(二重線と訂正印)で対応するものの、訂正箇所が多いと見た目にも不自然になります。

重大な誤記が判明した場合は、潔く白紙から書き直すほうが結果的に早いこともあります。

白紙委任状

白紙委任状とは、本来記載しておくべき項目の一部を空欄のまま委任者が署名押印してしまった書類を指します。

たとえば代理人名や不動産の表示を空欄にして相続人が署名押印し、後から他人がその空欄を埋めるようなケースです。

白紙委任状は記入漏れの段階では本人の意思確認が不十分なうえ、後から内容を書き換えられるリスクがあります。

委任者の意図しない事項を勝手に記入されてしまうと、重大なトラブルに発展しかねません。

相続登記では、委任する範囲(対象手続きや不動産)が明確であることが重要であり、空欄がある状態の委任状は適切とはいえません。

そのため、相続人本人としても内容を確認できない白紙委任状は作成しないようにしましょう。

やむを得ず一部未定の事項がある場合でも、未定部分が決まり次第、必ず委任者自身が内容を記入してから署名押印するようにしてください。

委任状が複数枚に及ぶ場合は、「契印」を押印する

委任状の記載内容が多く1枚に収まりきらず複数ページにわたる場合、各ページのつながりを証明するために「契印」を押します。

契印とは、2枚以上の書類が正当につながった一続きの文書であることを示すためにまたがって押す印のことです。

具体的には、複数の紙を重ねてページの境目に半分ずつ印影がかかるように実印または契約印を押印します。

もし契印がないと、悪意の第三者によって後から1ページ目と2ページ目を差し替えられる余地が生じるなど、文書の真正さに疑義が生じてしまいます。

相続登記の委任状では、不動産が多数ある場合などに2枚以上になることがあるため、必ず契印を行いましょう。

契印により、提出先である法務局にも「全ページが委任者の意思で作成された連続した文書」であることが伝わり、安心です。

実印か認印を使う

前述のとおり、相続登記の委任状に使用する印鑑は実印である必要はなく、認印でも構いません。

登記申請書を本人名義でする場合は実印+印鑑証明が必要ですが、委任状の場合は代理権限の確認が主目的であるため、印鑑の種類自体は問われない取り扱いです。

「重要な書類だから念のため実印で」と感じる方は実印を押してももちろん問題ありませんが、法律上は署名(自筆サイン)していれば押印省略可でもあります。

ただし、署名せずにパソコン等で印字した場合は押印が必要です。

実務上は、本人直筆の署名+認印押印という形で作成される例が多く見られます。

いずれの場合も、相続人本人が自ら内容を確認し意思表示していることが伝われば要件は満たします。

委任状の有効期間

相続登記の委任状には、一般的に有効期限の記載は不要です。

委任状に「この委任状は〇年〇月〇日まで有効」といった期限を設ける欄はありません。

原則として、一度発行・提出した委任状は、登記手続きが完了するまで有効とみなされます。

委任契約は基本的に当事者の意思で終了させることができるため、登記申請が完了する前であれば、事情が変わった場合などに後述する方法で撤回することが可能です。

撤回の方法

いったん代理人に相続登記を委任したものの、事情が変わって委任を取りやめたい場合(委任状の撤回)には、速やかにその旨を通知する必要があります。

具体的な撤回の方法としては、法務局または代理人に対して書面で撤回の意思表示を行う形が一般的です。

以下に撤回のタイミングや内容、注意点をまとめました。

タイミング 方法 内容・注意点
登記申請後(登記完了前) 法務局への取下げ申請 ・登記申請がすでに提出されている場合でも、登記が完了するまでの間であれば、申請人はいつでも申請を取り下げることができる
・代理人経由で申請している場合でも、委任者本人が法務局に「申請意思の撤回による取下げ願」を提出することが可能
※代理人が取下げ手続きを行うには、当初の委任状に「取下げ権限」が含まれている必要があり、含まれていない場合は取下げ専用の新たな委任状が必要となる点に注意
登記申請前 代理人への通知(委任の解除) ・まだ登記申請が行われていない場合は、委任していた代理人に対し、委任契約を解除する旨を伝える
・確実な方法としては、「〇年〇月〇日付の委任状による委任を撤回します」と記載した書面(内容証明郵便など)で通知することが望ましい
・口頭でも法律上は撤回可能だが、後日のトラブル防止のため書面による通知が推奨される

なお、代理人が司法書士である場合、委任を撤回するとその司法書士は代理人として申請行為を行えなくなります。

相続登記手続き自体を続行するには、改めて別の司法書士に依頼し直さなければなりません。

一度提出した申請を途中で止めると、登録免許税の還付など手続きが煩雑になるケースもあります。

そのため、どうしてもという場合以外は、最初の委任時に慎重な検討をおすすめします。

遠方の相続人に原本を郵送すると手続きが遅れやすい

相続人が遠方に住んでいる場合でも、委任状のやり取りは郵送で行うことが可能です。

実印の押印や署名をもらうために現地に出向く必要はなく、書類を郵送して記入押印してもらい、返送してもらう方法で対応できます。

ただし、郵送でのやり取りはどうしても日数がかかるため、手続きに期限がある場合は余裕を持った準備が必要です。

また、郵送で委任状を作成する際にありがちなのが、記載内容の誤りです。

不動産の所在地や地番、登記原因の日付など、細かな項目で書き間違いが生じやすい部分があります。

遠隔地の相続人に委任状を書いてもらう場合には、あらかじめ必要情報を正確に伝えておくことが重要です。

具体的には、登記事項証明書のコピーや固定資産税通知書の写しを同封して参考にしてもらったり、記入例を作成して送りましょう。

さらに、原本の送付・返送には時間を要するため、スケジュールにも注意します。

たとえば相続登記の申請期限ギリギリに郵送で委任状を取り交わそうとすると、郵便事情によっては間に合わない恐れもあります。

なるべく早めに手配を始め、必要に応じて速達郵便や宅配便を利用するなどして遅延リスクを下げましょう。

委任状を用意できないときの代替手段

相続人が高齢で自筆署名が困難であったり、前述のように遠方でなかなか郵送のやり取りが進まなかったりする場合があるかもしれません。

そうした場合には、次のような代替策があります。

方法 内容 補足・具体例
公証役場で委任証書を作成する ・相続人本人が公証役場に出向き、代理人に相続登記を委任する旨の委任状(委任証書)を、公証人に作成してもらう方法
・公証人が本人の意思を直接確認したうえで作成するため、信用性が高く、本人確認も確実に行われる
・公正証書による委任状を用いることで、法務局での審査がスムーズに進む傾向がある
・高齢者や、意思確認をより厳格に求められるケースで有効
早めに司法書士に相談する 委任状の取り交わしが難航しそうな場合、早めに司法書士へ相談することで、状況に応じた代替案を提案してもらえることがある ・署名が困難な相続人について家庭裁判所で後見人選任を検討
・法定相続情報証明制度を活用し、提出書類を簡素化する対応

専門家と相談しながら、最適な手続きを選ぶことがおすすめです。

代理人選びがトラブルにつながりやすい

相続登記の代理人は、相続人本人に代わって重要な登記手続きを行う立場です。

そのため、信頼できる人物を選ぶことが重要です。

親族だからといって無条件に安心とは限らず、逆に司法書士など資格者であっても相性があります。

代理人選びの際は以下の点に注意しましょう。

代理人の種類・観点 注意点 補足・具体例
親族を代理人にする場合 ・親族が代理人となる場合でも、委任者本人が作成した委任状が必要
・家族であっても、本人の意思確認ができる形で作成する必要がある
・代理できる範囲は委任状に記載された内容に限定される
後々のトラブルを避けるため、委任状には対象となる不動産や手続き内容を具体的に記載し、口頭の約束もできるだけ書面に残しておくと安心
司法書士や弁護士に依頼する場合 資格者に依頼する際は、資格証明の有無や費用の見積もりを事前に確認することが重要 ・司法書士であれば司法書士会、弁護士であれば弁護士会の名簿で登録状況を確認できる
・委任状や見積書の内容を丁寧に説明してくれる相手を選ぶと安心
必要書類や手続き方法の確認 誰を代理人にするかによって、相続登記の進め方や必要書類が異なる場合がある 司法書士に依頼する場合は戸籍収集から登記申請まで任せられることが多いが、親族が代理人の場合は戸籍の取り寄せを相続人本人が行うなど役割分担が生じることがある
※事前に「誰が何を行うか」を明確にしておくとよい。

誰を代理人に選ぶかによって、相続登記の手続きの進み具合や安心感は変わります。

当社は、不動産の相続手続きを円滑に進めるため、実績のある司法書士や税理士と日常的に連携しております。

相続人様の状況に応じて、最適な進め方や専門家をご紹介し、一括して手続きを支援できる体制を整えています。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

相続登記の委任状の提出方法

 

作成した委任状は、登記申請書とともに法務局へ提出します。

提出方法は、代理人の種類や依頼方法によって次のいずれかとなります。

提出者 提出方法 内容・補足
司法書士が代理で申請する場合 ・オンライン申請 ・書面申請 ・司法書士が必要書類一式を法務局に提出する
・委任状も他の添付書類と併せて司法書士から一括提出される
相続人本人(または代表者)が申請する場合 ・法務局の窓口提出
・郵送提出
・相続人本人が自ら書類をそろえて法務局へ申請する
・共同相続人の代表者がまとめて提出するケースもあり、その場合は代表者が一括して持ち込む
・提出後は法務局で審査が行われ、特に問題がなければ1〜2週間程度で登記が完了する

提出した委任状は、原則として登記完了後も返却されません。

必要であれば提出前にコピーを取って、控えを保管しましょう。

また、委任状が受理されると、以後は基本的に代理人とのやり取りになります。

万一内容に不備があった場合、法務局から代理人宛に連絡が行き、補正対応となります。

不安な点がある場合は、登記の専門家である司法書士などに書類チェックだけお願いしましょう。

当社では、相続登記という名義変更の手続きだけで終わらせず、その後の不動産の管理や活用まで見据えたサポート相談を承っています。

提出前の段階から全体の流れを確認し、お客様にとって最適な形で手続きを進められるようお手伝いいたします。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター

相続登記の委任状でよくある質問

 

相続登記の委任状に関して、相続人の人数が多い場合の対応や、記載を間違えたときの修正方法など、実務上よく寄せられる疑問があります。

よくある質問は、次の通りです。

  • 複数の相続人がいる場合はどうすればいいの?
  • 字を間違った場合はどうすればいいの?
  • 不備を指摘された場合はどうすればいいの?

以下から、各質問について、Q&A形式で回答していきます。

複数の相続人がいる場合はどうすればいいの?

相続人が複数いる場合、基本的には相続人一人につき一通の委任状を作成します。

それぞれの相続人が自分の意思で代理を委任する必要があるため、1枚の委任状に複数人分の署名をまとめるのではなく、個別に作成するのが一般的です。

相続人ごとに委任状を分けることで、各人の委任意思が明確に示せるからです。

なお、遺産分割協議により相続人のうち1人だけが不動産を取得し、その人が代表して自分名義の登記を行う場合があります。

このケースでは他の相続人は登記申請人とはならないため、他の相続人から代表者への委任状は不要です(協議書に全員の同意署名があることで足ります)。

字を間違った場合はどうすればいいの?

修正液や修正テープの使用は認められていません。

書き損じがあった場合は、二重線を引いてその上から訂正印(委任状に押印したものと同じ印鑑)を押して修正します。

たとえば「田中」を「佐中」と誤記した場合、「佐」の字に二本線を引き(消しすぎないよう一本線ではなく二本線)、「田中」の正しい文字を横に書き加え、「田中」の近くに訂正印を押します。

訂正印は、委任状の署名欄に押したものと同じ印鑑を用いるのが原則です。

署名のみで押印がない場合は原則修正不可となるため、その場合は書き直します。

また、訂正箇所が複数に及ぶと見づらくなるため、訂正は最小限にとどめるのが望ましいです。

特に重要事項を間違えたときは、潔く最初から作り直した方が確実でしょう。

不備を指摘された場合はどうすればいいの?

法務局から委任状の不備を指摘された場合は、指摘内容に従って不足情報を補い、必要に応じて委任状を再作成します。

法務局から指摘された際の主な対応方法は、以下の通りです。

不備の種類 対応方法 補足説明
記載漏れの補充 ・不動産の地番などを記載し忘れた場合は、追記が可能であれば追記し訂正印を押す
・追記が難しい場合は、新しい委任状を作り直す
軽微な漏れなら訂正印で対応可能だが、重要項目の場合は再作成が望ましい
押印の欠落 ・原本を返却してもらい、該当箇所に押印して再提出する
・郵送申請の場合は、一度書類を送り返してもらい押印後に再送付する
代理人経由の場合も、押印は必ず委任者本人に依頼する
登記の目的や原因の誤り たとえば「持分全部移転」とすべきところを「所有権移転」と記載した場合などは、新しい委任状を作成し直す 相続人本人の再署名・押印が必要
代理権の根幹に関わる不備 委任者や受任者の氏名・住所の誤り、親権者署名の欠落などは、正しい内容で委任状を再取得する ・代理権の証明に関わる不備は軽微訂正で済ませてはいけない
・再作成が原則

法務局からの指摘を確認し、内容に沿って補正すれば手続きは問題なく進みます。

補正が完了すれば、改めて審査がなされ登記が完了します。

重要なのは「慌てず正確に対処すること」。

疑問があれば担当登記官や依頼している司法書士に相談しましょう。

正しく委任状を作って相続登記をスムーズに進めよう

 

相続登記を代理人に依頼する場合、委任状は手続きを進めるうえで欠かせない重要書類です。

記載内容に誤りがあると補正が必要になり、手続きに時間がかかることがあります。

逆に言えば、必要事項を正確に記載し、署名・押印や作成日など基本要素をきちんと整えることで、相続登記は驚くほどスムーズに進みます。

特に遠方の相続人がいる場合や代理人を選定する際には、事前の情報共有や資料確認を丁寧に行うことで、手続きの滞りを防止できるのです。

たとえば不動産の情報は登記事項証明書を互いに確認しあう、日付や氏名の漢字は戸籍どおりかチェックする、といった基本を押さえて委任状を準備しましょう。

相続登記は単なる名義変更手続きにとどまらず、法律や税金など幅広い知識が関わる複雑な場面でもあります。

静岡で相続に直面した際は、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターにぜひご相談ください。

地域に根ざした実績と、司法書士・税理士など専門士業との強力な連携により、相続登記をはじめとする複雑な手続きを一括で支えます。

単に不動産の名義変更を代行するだけでなく、その後の管理や活用まで見据えた総合的なサポートが受けられる点も当センターの特徴です。

「委任状の書き方に不安がある」「相続全体の流れが見えず困っている」といった方は、ぜひ私たちにおまかせください。

適切な委任状を作成し、スムーズに相続登記を完了させるお手伝いをするとともに、大切な不動産の将来まで見据えた安心をご提供いたします。

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