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相続不動産の相談は誰にすべき?生前整理から売却まで徹底解説

2025.10.07

相続財産の中でも不動産は価値が大きく、現金のように均等に分けることが難しいため、相続人間のトラブルにつながりやすい資産です。

生前の整理から相続発生後の名義変更(相続登記)や遺産分割協議、さらには不動産の売却・活用に至る各段階で、適切な専門家へ相談しながら進めることがスムーズな相続の実現に欠かせません。

本記事では不動産相続に関する具体的な相談先や手続きの流れを整理し、トラブルを防ぐためのポイントを解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

不動産相続の相談先

不動産の相続手続きには法律や税金など複雑な知識が絡むため、内容に応じて次のように適切な専門家に相談することが重要です。

  • 司法書士
  • 弁護士
  • 税理士
  • 不動産会社

それぞれの専門家には得意分野があるため、誰に何を相談すべきかを把握しておくことで相続手続きを効率よく進められます。

以下に主要な相談先とその役割を紹介します。

司法書士

司法書士は相続登記(不動産の名義変更)手続きの専門家であり、被相続人から相続人への不動産名義変更を代理して行います。

相続登記では戸籍謄本や住民票など多数の書類収集や法務局への申請が必要ですが、自分で手続きを行うことも可能です。

ただし専門知識が要求されるため、一般的には司法書士に依頼するケースが多いです。

司法書士に依頼すれば、戸籍収集や登記申請書類の作成から申請手続きまで任せられるため、正確かつ迅速に名義変更を完了できます。

弁護士

弁護士は、不動産を巡る相続人同士の話し合いがまとまらない場合やトラブルが発生している場合に頼りになる存在です。

相続人間の感情的なしこりで協議が進まないようなケースでは、弁護士を代理人として間に入れて交渉してもらう選択肢があります。

専門家が調整することで意外とあっさり合意に至ることも少なくありません。

また、話し合いがまとまらず家庭裁判所での調停・訴訟に発展した場合、代理人になれるのは弁護士だけです。

費用はかかりますが、法的な争いが見込まれる場合は早めに弁護士へ相談し、対応を任せる方がスムーズに解決へ進むでしょう。

税理士

税理士は、相続税や不動産売却時の譲渡所得税など税金面でのサポートを担う専門家です。

相続した不動産に関する税務申告では、不動産評価額の算出方法一つで申告額が過不足となり、余計な手間や税負担増加の原因になりえます。

税理士に依頼することで、最新の税制や評価基準に基づいた正確な相続税申告が可能となり、必要書類の収集・作成も代行してもらえるため大幅に手間を削減できます。

さらに、不動産相続では適用できる特例や節税制度によって税額が大きく変わる場合があります。

要件が複雑なこれら特例の適用可否についても専門知識を持つ税理士なら的確に判断でき、各相続人の状況に合わせた節税アドバイスやシミュレーションを受けられます。

経済的な負担を軽減したい場合には、税理士へ相談しておくと安心です。

不動産会社

不動産会社は、相続した不動産を売却したい場合や賃貸として活用したい場合に重要なパートナーとなります。

不動産の市場価値を把握するため、まず不動産会社へ査定を依頼するのが出発点です。

売却を進めるには相続人全員の同意が必要となるため、全員で合意した上で査定結果を参考に売却方針を決定します。

また、不動産会社は物件の買主探しや売却活動の代行、さらには「売らずに活用する」プランの提案も行ってくれます。

たとえば、土地活用に慣れた不動産会社であれば、その土地に合った活用方法(駐車場経営や賃貸アパート建築等)の提案も可能です。

不動産会社に相談すれば、売却・賃貸いずれの場合でも査定から契約締結まで幅広くサポートしてくれるため、相続人自身が不動産取引に不慣れでも安心して進められるでしょう。

相続発生前の不動産について相談しておくべきこと

相続が発生する前に不動産について以下の項目を整理しておくことで、将来的な相続トラブルを回避できます。

  • 不動産の現状がどうなっているかについて
  • 遺言書の中の不動産に関する記載について
  • 生前贈与や名義変更について

親世代が健在なうちから財産の現状把握や遺言書の作成、生前贈与の検討などを進めておけば、相続発生後の手続きがスムーズになり、相続人間の争いを防ぐ効果が期待できます。

以下からは、生前に相談・検討しておきたい主なポイントを解説します。

不動産の現状がどうなっているかについて

まず、生前にやっておきたいのは、所有している土地・建物がどこにどれだけあり、評価額がどの程度か、といった不動産資産の現状把握です。

不動産の利用状況や市場価値をあらかじめ把握しておくことは、相続人間で公平に財産を分けるための基礎となります。

また、相続税申告や遺産分割の場面でも不動産評価額は重要な指標です。

不動産の評価額には、相続税評価の基準となる路線価、固定資産税評価額、不動産市場における実勢価格など複数の算定方法があります。

それぞれ数値が異なるため、どの評価額を基準にするかによって相続税額や分割の公平性が変わりえます。

事前に評価方法を理解し、必要に応じて不動産鑑定士や税理士に相談して正確な評価額を把握しておくと良いでしょう。

不動産評価額の算定方法

不動産評価額の算定方法は主に次の3つです。

評価方法 内容 主な利用目的
路線価評価 国税庁が公表する路線価に基づき、土地の相続税評価額を計算する方法 相続税の算出基準
固定資産税評価 市区町村から毎年送付される固定資産税評価額を基にする方法 登録免許税の算定など
実勢価格(時価) 実際の不動産取引市場で成立する可能性がある価格 売却や遺産分割の目安

各評価方法で金額に差が出る場合も多いため、相続目的に応じて最適な評価額を採用することが大切です。

遺言書の中の不動産に関する記載について

被相続人が遺言書を作成し、そこに不動産を「誰に相続させるか」指定しておくことは、相続発生後の争いを減らす有力な手段です。

遺言書で不動産の相続先を明確に指定しておけば、原則として遺産分割協議を経ずに相続手続きを進められるため、共有状態の発生や相続人間の争いを避けやすくなります。

特に不動産は分割が難しく争点になりやすいため、遺言で帰属を決めておく意義は大きいでしょう。

ただし、法定相続人全員が合意すれば遺言によらず遺産分割協議を行うことも可能な点には留意が必要です。

なお、遺言書を作成する際は公正証書遺言にしておくと安心です。

自筆証書遺言は形式不備で無効になるリスクが高いのに対し、公正証書遺言であれば公証人と証人が内容を確認した上で作成するため、遺言が無効となるリスクを大幅に減らせます。

また、遺言内容に不備がないよう作成段階で司法書士や弁護士など専門家の助言を受ければ、遺言の有効性をより高められるでしょう。

親が遺言を用意しておくことで、残された相続人に「争続」を起こさせない備えになります。

生前贈与や名義変更について

相続発生前に、所有する不動産を特定の相続人へ生前贈与して名義変更しておく方法もあります。

生前に贈与を行えば、被相続人の死後にその不動産について相続人同士で揉めるリスクを防げるほか、相続時の財産総額を減らすことで相続税対策になるメリットが挙げられます。

また、親が元気なうちに財産を整理・処分でき、煩雑な遺産分割の手間を省ける点もメリットです。

ただし一方で、生前贈与には贈与税の負担が大きいというデメリットがあります。

贈与税は相続税より税率が高く基礎控除額も少ないため、多額の不動産を生前贈与するとかえって税負担が増える可能性が高いのです。

さらに、相続開始前7年以内の贈与は「生前贈与加算」といって相続税課税対象に組み入れられる点にも注意が必要です。

このように、生前贈与と相続のどちらが有利かは一概に言えず、各種税率や控除・特例の適用条件によって異なります。

贈与税と相続税のトータルでどちらが有利かを慎重にシミュレーションし、必ず税理士に相談の上でメリット・デメリットを比較検討することが大切です。

相続発生後の不動産について相談すべきこと

被相続人が亡くなり相続が開始すると、不動産についてまず考えるべきは次の通りです。

  • 相続放棄や限定承認すべきかについて
  • 相続登記の手続きについて
  • 遺産分割協議について

不動産は現金のように簡単に分割できる資産ではなく、そのまま放置すると相続人全員の共有名義となります。

共有状態の不動産は売却や活用に相続人全員の同意が必要で、意思が合わないと何もできなくなるリスクがあります。

また2024年の法改正により相続登記が義務化され、一定期間内に登記しないと過料の可能性も生じました。

以下から、それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続放棄や限定承認すべきかについて

相続した不動産に大きな負債(担保ローン等)が残っていたり、管理困難な物件である場合、相続放棄や限定承認といった選択肢を検討する必要があります。

たとえば相続財産より負債の方が多い場合、プラスもマイナスも全て放棄する「相続放棄」を選ぶことで負債の引き継ぎを免れることができます。

ただし相続放棄をすると不動産だけでなく他の預貯金など全財産を放棄することになるため、他に価値ある資産がある場合は慎重な判断が必要です。

相続放棄は相続があったことを知ってから3か月以内(熟慮期間)に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

一方、「限定承認」はプラスの財産の範囲内で負債を支払うことを条件に、残った財産があれば相続できる制度です。

負債総額が不明な場合でも、限定承認を選べば相続人は自分が得た財産の範囲内でしか負債を負わないため、想定外の借金を背負うリスクを抑えられます。

限定承認も相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

相続放棄・限定承認はいずれも期限が短く手続きも煩雑なので、必要があれば早急に弁護士などに相談し適切な対応をとりましょう。

相続登記の手続きについて

不動産の相続登記(名義変更)は、2024年の法改正により義務化されています。

 令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。

相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

引用元:東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう 所有者不明土地 !~

2024年4月1日以降に相続が発生した不動産については、相続開始を知った日から3年以内に相続登記を完了しなければなりません。

相続登記とは前所有者(被相続人)名義から新たな所有者である相続人へ名義を書き換える手続きで、戸籍謄本や住民票、遺産分割協議書など必要書類を揃えて法務局に申請します。

従来は相続登記が義務ではなかったため未了のまま放置されたケースもありましたが、今後は期限内の申請が求められる点に注意が必要です。

相続登記は自分で行うことも可能です。

しかし申請書の記載や添付書類の要件など専門知識が必要なため、実務上は司法書士に依頼するのが一般的。

時間も手間も想像以上にかかる手続きなので、早めに準備に取りかかりましょう。

遺産分割協議について

相続人が複数いる場合、不動産を誰がどのように取得するか全員で話し合う遺産分割協議が必要です。

遺言で不動産の承継者が指定されていない限り、相続人全員で協議して分割方法を決め、その合意内容を書面にした「遺産分割協議書」を作成することで不動産の単独名義化など次の手続きに進めます。

不動産の分け方には主に次のような方法があります。

分け方 内容 メリット デメリット
現物分割 不動産を物理的に分筆・分割して各相続人が取得する方法 相続人が直接不動産を取得できる 均等に分けるのが困難で、価値が下がる恐れがある
代償分割 ある相続人が不動産を単独取得し、その人が他の相続人に代償金を支払う方法 不動産を手放さずに公平を保てる 代償金を用意する必要がある
換価分割 不動産を売却し、その売却代金を相続人間で分配する方法 現金に換えるため分けやすく、公平性が高い。相続税の納税資金にも充てやすい 市場の状況によって売却額が変動するリスクがある

以上の分割方法をどれにするか、相続人全員の合意が不可欠です。

遺産分割協議には相続人全員が参加し、全員の同意をもって初めて成立します。

一人でも反対する相続人がいれば協議はまとまらず、不動産の単独処分ができません。

このため話合いが難航する場合には、司法書士や弁護士など専門家のサポートを受けて協議内容の調整や提案をしてもらうことも有効です。

専門家を交えることで見落としがちなポイントへの助言が得られ、トラブル防止につながります。

共有名義不動産のリスクに注意!

遺産分割協議で結論が出ないまま時間が経過すると、不動産は相続人全員の共有名義となった状態で取り残されてしまいます。

共有名義の不動産は後々トラブルにつながりやすい点に注意が必要です。

たとえば、不動産を売却したり賃貸に出したりするには共有者である相続人全員の同意が必要で、一人でも反対すれば自分の意志だけで勝手に処分を進めることはできません。

自分の持分だけ第三者に売却する方法もありますが、そのような一部分の権利のみ購入してくれる相手を見つけるのは困難です。

さらに共有のまま次の世代(共有者の相続)が始まると、所有者の人数が増えて権利関係が複雑化し、事態は一層厄介になります。

このように共有名義にはデメリットが多いため、早めに遺産分割協議をまとめて単独名義化するか、後述する換価分割(売却現金化)で整理するのが望ましいでしょう。

不動産の売却・活用方法について

遺産分割協議の結果、不動産を売却して現金化することになった場合や、次のように相続人がその不動産を 活用(賃貸等)するケースも考えられます。

  • 自分や家族が居住する
  • 賃貸として活用する
  • 売却して現金化(換価分割)する

どちらを選ぶかは、各相続人の生活状況や不動産の収支バランス、税負担など総合的に判断する必要があります。

以下からは、それぞれのポイントを解説します。

自分や家族が居住する

相続した不動産を自分や家族の住居として利用することは、一つの有効な選択肢です。

もともと実家に同居していた相続人であればそのまま住み続けるケースが多く、遠方に住んでいた人でも相続を機に移り住むことがあります。

居住用にするメリットは、まず住宅費を削減できる点です。

新たに家を購入・賃借する費用が不要になり、生活コストを抑えられます。

また、被相続人が住んでいた宅地を相続人が引き続き居住用に利用する場合、小規模宅地等の特例が適用できるケースがあります。

この特例に該当すれば、たとえば亡くなった親が住んでいた土地(特定居住用宅地等)について相続税評価額が最大80%減額される措置が受けられます。

他にも、居住して一定要件を満たすと住宅ローン控除など税制優遇が受けられる場合もあります。

ただし注意点として、古い家屋を引き継ぐ場合は修繕費や維持費がかかることです。

築年数次第ではリフォーム費用が嵩むケースもありますし、固定資産税や日々の光熱費等も自己負担となります。

立地・建物の状態によっては建替えを検討した方が良い場合もあります。

総合的に判断して、居住するメリットが大きいかどうか検討しましょう。

賃貸として活用する

自分で利用しない不動産は、賃貸に出して収益を得る方法もあります。

賃貸運用すれば毎月の家賃収入が入るため、固定資産税や維持管理費を賄える可能性があります。

特に、将来的に売却する予定がない場合でも不動産を遊ばせておくのはもったいないため、一時的にでも貸し出してお金を生む資産に変える意義は大きいでしょう。

ただし賃貸経営には空室リスクや管理の手間が伴います。

相続した実家が比較的新築で綺麗な状態ならそのまま貸し出せますが、多くの場合リフォームが必要になります。

たとえば賃貸用に数百万円規模のリフォーム代がかかった場合、家賃収入でそれを回収するには相当の年数が必要です(リフォーム300万円・家賃5万円なら回収に最低5年)。

また、物件の立地や間取りによって家賃相場は大きく異なるため、その不動産が賃貸に向いているかどうか、不動産会社に市場性を相談するのがおすすめです。

さらに賃貸中は定期的な建物メンテナンス対応や、入居者との契約・トラブル対応なども発生します。

こうした管理業務は不動産会社の賃貸管理サービスに委託することも可能なので、必要に応じて検討してください。

総じて、賃貸活用は収益を得つつ資産を保持できる点が魅力ですが、手間とリスクも考慮して判断しましょう。

売却して現金化(換価分割)する

不動産を売却して現金化し、相続人で分配する方法は、相続人間の公平性があり、トラブルを防ぎやすい選択肢です。

複数の相続人で不動産を共有して持ち続けると前述のように意思調整が難しくなるため、思い切って売却してしまえば各自が納得できる額の現金を取得でき、後腐れが少なくなります。

不動産の換価分割は、特に相続人同士に遺産分割の対立がある場合や、他に分ける現預金が少なく代償金の工面が難しい場合に有効です。

もっとも、売却を選択する際にはいくつか注意点もあります。

一つは、売却によって相続税の納税資金を確保する必要があるケースです。

相続税は原則として相続開始後10か月以内に現金で納付しなければなりませんが、不動産しか財産がない場合、売却で現金化しないと納税が難しいことがあります。

幸い相続税の申告期限までに売却がまとまれば、取得費加算の特例(相続税額を譲渡所得計算上、取得費に加算できる制度)によって譲渡益の課税を幾分抑えることも可能です。

もう一点は、売却に伴う譲渡所得税への対策です。

後述するように、不動産売却益には約20%(長期譲渡の場合)の所得税・住民税が課税されますが、適用できる特例を使えば税負担を大きく減らせる場合があります。

これら税金面も考慮しつつ、相続人全員が合意できるなら売却による現金化は有力な整理方法。

なお、売却するか賃貸するか判断に迷う場合、各相続人の今後の生活設計や不動産の収支シミュレーション、将来の不動産価値見通しなどを総合的に比較検討することが大切です。

必要に応じて不動産会社や税理士にシミュレーションを依頼し、ベストな活用策を見つけましょう。

以下からは、不動産を売却する場合の具体的な手順や留意したいポイントについて説明します。

売却のために必要な前提手続き

相続した不動産を売却するには、相続人全員の合意と相続登記の完了という2つの前提手続きが不可欠です。

まず相続人が複数いる場合、誰か一人の判断で勝手に売却することはできません。

土地や建物は遺産分割が終わるまでは相続人全員の共有財産と見なされるため、一部の共有者でも反対すれば不動産全体を処分することは法律上できないのです。

従って売却を進めるには、「その不動産を誰が相続するか」もしくは「売却して現金を全員で分ける」という方針を相続人全員で協議し、合意しておく必要があります。

この合意内容を明確にするため、通常は遺産分割協議書に「当該不動産は売却し、代金を●●と●●で●対●の割合で分配する」等と取り決めを記載します。

次に、売却に先立ち不動産の名義を相続人に変更しておく必要があります(相続登記が未了だと買主への所有権移転登記ができません)。

相続人代表の単独名義にする場合も、一度相続人全員で法定持分の共有登記を経てからでないと売却できないため、いずれにせよ相続登記を完了させておくことが求められます。

相続登記は前述のように司法書士に依頼するのが一般的で、売却する前提として早めに手配しておきましょう。

以上の合意形成と登記完了という前提条件を満たして初めて、市場での売却活動に移ることができます。

なお、意見がまとまらない相続人がいる場合は、家庭裁判所での調停・審判により売却実施を図る(遺産分割調停や共有物分割訴訟を提起する)方法もあります。

しかし裁判になると時間も費用もかかるため、専門家の仲介のもとできる限り話し合いで全員合意を目指すのが現実的です。

相続不動産売却の流れ

相続した不動産を売却する際の一般的な流れは、査定依頼→相続登記→売買契約→決済・引渡し、となります。

それぞれの段階で必要な対応とポイントを見てみましょう。

1.不動産会社へ査定依頼(相続人全員の同意が必要)

まずは不動産の市場価値を把握するため、不動産会社に売却査定を依頼します。

誰も住む予定がない物件であれば売却も一つの方法ですが、売却には相続人全員の同意が前提となるため、査定依頼前に一度相続人間で売却方針について概ね合意しておくことが望ましいです。

査定は複数社に依頼するとより客観的な価格帯が分かります。

不動産会社から提示された査定額を参考に、売却するかどうか最終判断しましょう。

なお査定の段階では相続登記が済んでいなくても進められますが、正式に売却を進める際には次のステップで述べる登記完了が必要です。

2.相続登記の完了(司法書士に依頼するケースが多い)

売却を決めたら、相続登記を完了させます。

被相続人名義のままでは不動産を売却できないため、売主である相続人名義への変更登記が必須です。

既に遺産分割協議で特定の相続人が不動産を取得することになっている場合は、その人の単独名義に登記し直します。

協議中で法定相続分どおり共有名義になっている場合でも、一旦共有名義のまま全員が売主となって売却し、決済時に各自の持分割合で代金を受領する形をとることが可能です。

いずれにせよ登記申請には専門知識が要るため、通常は司法書士に依頼します。

司法書士がいれば必要書類の準備から法務局への申請まで代行してもらえるため、相続人は印鑑証明書の取得や書類への押印等、最低限の対応で済みます。

速やかに相続登記を済ませ、買主に提示できる権利関係を整えておきましょう。

3.不動産売買契約の締結

買主が見つかったら、売買条件の最終交渉を経て不動産売買契約を締結します。

契約の売主当事者は原則として相続登記された名義人となりますが、相続人が複数で共有名義の場合は相続人全員が売主として契約書に署名押印します。

一人でも不同意の相続人がいれば契約は成立せず、一部の相続人だけで勝手に売却契約を結ぶことはできません。

契約書には物件概要や代金額、手付金、引渡日、契約不適合責任の範囲、違約時の対応など法的拘束力を持つ事項が盛り込まれます。

後日の紛争防止のため、相続人全員で内容を十分に確認し、理解・納得した上で署名押印しましょう。

また売買契約の場には仲介の不動産会社担当者が立ち会い、重要事項説明を買主に実施します。

相続人側も不明点は遠慮なく質問し、必要に応じて税理士や弁護士にも確認した上で契約してください。

4.決済・引渡し(相続人で代金を分配)

売買契約締結後、通常1~2か月程度で決済・物件引渡しの日を迎えます。

決済当日は買主から残代金を受け取り、同時に司法書士による所有権移転登記の申請手続きが行われます。

相続不動産の場合、売却代金は事前の協議や契約書の定めに従い相続人間で分配します。

たとえば法定相続分に応じて均等に分ける、特定の相続人が多めに取得する代わりに他の人の相続税を負担する、といった取り決めが考えられます。

分配割合について明確な合意がないとトラブルになりかねないため、遺産分割協議書等でしっかり決めておきましょう。

決済後は買主へ物件の鍵を引き渡し、売却完了となります。

受け取った代金は各相続人がそれぞれの相続分として取得しますが、多額の現金を得た場合には譲渡所得税の納税資金として一定額を確保しておく必要がある点にも注意してください。

売却にかかる税金と特例制度

不動産を売却して利益(譲渡益)が出た場合、原則として譲渡所得税(所得税+住民税)がかかります。

相続により取得した不動産を売却した場合でも例外ではなく、取得費や譲渡経費を差し引いた譲渡所得に対して税率(所有期間が5年超なら20.315%、5年以内なら39.63%※復興税含む)が適用されます。

ただし、譲渡益が発生する場合でも適用できる特例制度があれば税負担を大幅に軽減できる可能性があります。

代表的なものに「相続空き家特例」と「居住用財産の3,000万円特別控除」の2つがあります。

特例制度 内容 主な要件 控除額 留意点
相続空き家特例 相続または遺贈で取得した家屋を売却した際に適用できる特別控除 ・被相続人が一人暮らしだったこと
・昭和56年5月31日以前に建築
・区分所有建物でないこと など
譲渡所得から最大3,000万円控除 ・適用期限あり
・多くのケースで譲渡所得税をゼロにできる強力な減税措置
居住用財産の3,000万円特別控除 自分が住んでいたマイホームを売却した際に適用できる特別控除 ・本人が居住していた住宅
・相続で取得した住宅を一定期間自分が居住用として利用した後に売却する場合も可
譲渡所得から最大3,000万円控除 ・相続以外でも利用可能
・適用要件は細かく確認が必要

特例の適用には細かな条件や必要書類があります。

したがって実際に売却する際は、税理士に相談して自分が該当するか確認してください。

適用可能であれば数百万円規模の税金が軽減されることも珍しくありません。

なお、相続開始から3年以内に売却した場合には前述の「取得費加算の特例」が使えて相続税相当額を取得費にプラスできるといった制度もあります。

不動産売却時にはこうした優遇策を最大限活用し、余計な税負担を減らせるよう準備しましょう。

相続した不動産を空き家として放置するとリスクが伴うので注意!

相続したものの使い道が決まらず空き家のまま放置している不動産には、さまざまなリスクが伴います。

まず、建物は人が住まなくなると急速に傷みやすく、定期的な換気や清掃、害虫対策など管理を怠ると周囲に悪影響を及ぼす恐れがあります。

実際、倒壊の危険や景観の悪化など周辺に害を及ぼす恐れのある放置住宅は自治体から「特定空家」に指定されることがあります。

特定空家に指定されると、たとえ建物が建っていても住宅用地の特例が外され、固定資産税が更地同様に最大で従来の6倍にまで跳ね上がるケースがあります。

税負担が増すだけでなく、行政から改善の指導・勧告を受けても放置を続けると最終的には強制的に撤去される可能性すらあります。

また、空き家の放置は火災や不法侵入など治安・防災面のリスクも高めます。

こうした事態を避けるため、相続後に使う予定がない不動産はできるだけ早期に売却や賃貸活用など次の手を打つことが肝心です。

自治体によっては空き家バンクでの登録支援や、解体・リフォーム費用の補助制度を設けている場合もあります。

したがって、活用しない空き家を抱えている方は行政や専門業者に相談して適切な対処を検討してください。

不動産相続をスムーズに進めるには、早期相談と専門家の力が不可欠

以上見てきたように、不動産の相続手続きを円滑に進めるには各分野の専門知識が必要であり、相続人だけで全てを完結させるのは容易ではありません。

相続登記、遺産分割協議、売却手続き、税金対策それぞれの段階で司法書士・弁護士・税理士・不動産会社など専門家の力を借りることで、手続きの漏れやミスを防ぎスピーディーに進めることができます。

相続の状況によっては複雑で自身では手に負えないこともあるでしょう。

そこで、トラブルのない円満な相続を実現するためには早い段階で相談を開始することが大切です。

生前のうちからでも遠慮なく専門家に相談し、相続発生後も適宜プロのサポートを得ながら進めることで、不動産相続は格段にスムーズになります。

なお、私たち静岡鉄道グループの「静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター」のように、不動産会社と司法書士・税理士・弁護士とが連携してワンストップで相続相談に対応してくれる窓口もあります。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、不動産の相続から活用・売却に伴う手続きを各分野のプロフェッショナルと協力して安心・確実にサポートしており、初回の相談は無料となっています。

相続に関する不安や疑問をお持ちの方は、ぜひ早めに専門家へ相談してみてください。

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相続放棄の相談はどこにすれば良い?専門家の選び方から費用・注意点まで解説

2025.10.07

親が亡くなり遺産を相続することになったものの、「多額の借金が残されているかもしれない」「相続人同士の関係が複雑で手続きに関わりたくない」といった理由から、相続放棄を検討している方もいるのではないでしょうか。

実際、遺産を一切相続しない「相続放棄」の申立件数は年々増加しており、2023年には全国で約28.3万件(前年より9%増)と過去最多を更新しています。

しかし、いざ相続放棄しようと思っても「誰に相談すればいいのか」「費用はどれくらいかかるのか」「手続きの期限はあるのか」など次々と疑問が湧いて、不安な気持ちでいっぱいになるかもしれません。

相続放棄は、民法により一度手続きをすると原則取り消せないとされている重要な選択です。

第919条(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)

第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。

2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。

3 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。

4 第二項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

引用元:民法 | 第919条

だからこそ後悔しないためにも、専門家の力を借りることが不可欠といえます。

この記事では、相談先ごとの特徴や失敗しない選び方、費用、手続きを進める上での注意点まで、知っておくべきポイントを網羅的に解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

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司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続放棄の相談をするためにはゴール設定が重要

相続放棄の相談に臨む前に、まず自分のゴールを明確にしておくことが大切です。

すなわち、「相続放棄を確実に進めたい」のか、「相続放棄も含め他の選択肢と比較検討したい」のか、あるいは「とにかく期限管理だけ急ぎたい」のか、といった目的を整理しましょう。

ゴール設定ができていると、相談時に決めることと持ち帰って検討することの切り分けがスムーズになります。

たとえば、相続放棄するか迷っている場合には、専門家に相談して相続放棄がベストな選択かどうかアドバイスを受けるのが有効です。

弁護士であれば、被相続人(亡くなった方)の財産や借金の状況を見ながら、本当に放棄すべきかどうか助言してくれます。

期限の短さや心理的負担から焦って判断を誤るリスクもあります。

しかし、専門家に相談すればより冷静で適切な判断につなげられるもの。

一方、相続放棄をすることを既に決めている場合は、手続きを確実かつ期限内に進めることがゴールになります。

相談では必要書類の準備や家庭裁判所への申述手続きの具体的な段取りを確認し、手続き代行の依頼も検討します。

また、まず期限だけ延長したい場合(熟慮期間の延長申立てを検討している場合)には、そのために必要な事実関係や書類を確認するといった目的にフォーカスして相談しましょう。

このように最初に目的を定めておくことで、相談の場で何を決め、何を持ち帰って検討すべきかが明確になります。

限られた相談時間を有効に使うためにも、「今回の相談でどの結論まで出したいのか」を意識して臨んでください。

相続放棄の相談で確認される事実関係

専門家に相続放棄の相談をすると、放棄が可能かどうかや進め方を判断するために以下のような事項を質問されます。

事前に自分でも、次のことを整理しておくと相談がスムーズです。

確認事項 内容
相続が発生した日とその事実を知った日 相続放棄の申述期限である「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」か確認する
自分と被相続人の続柄や法定相続人の範囲 誰が相続人になるか、他に相続人が何人いるかを確認する
遺産と負債のおおまかな内訳と金額 プラスの財産とマイナスの財産の状況次第で放棄すべきか判断する
被相続人の預貯金の入出金履歴やクレジットカード利用の有無 死亡後に預金を引き出したりクレジットカードを使っていないかを確認。そうした行為は財産の処分=相続承認とみなされる可能性がある
被相続人が保証人・連帯保証人になっていた債務の有無 見落としがちな負債も含め、放棄すれば責任を免れる負債範囲を確認する
遺産の一部でも使用・処分した事実があるか 預金引き出し、家財処分、借金返済などを既に行っている場合、相続を承認したと見なされ放棄が認められないことがある
遺言書の有無とその保管状況 遺言がある場合でも放棄は可能だが、内容の把握が必要
不動産の有無と現況 空き家などの不動産があるかどうかを確認。放棄後の管理責任の問題も関わるため重要

こうした事項について、嘘や不確かな情報を伝えるのは厳禁です。

相談内容は守秘義務で守られますので正直に状況を話しましょう。

専門家に事実を正確に伝えないと、判断を誤ったり不要なトラブルに発展する恐れがあります。

質問されたことには正確に答え、心配事や経緯もできるだけ詳しく説明するようにしてください。

相続放棄の相談時に持参すべきもの

初回相談時は手ぶらでも対応してもらえますが、次のような書類が揃っていると状況の把握が速く正確に行われます。

持参する書類・準備物 内容
被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本・除籍謄本の一式 出生から死亡まで繋がる戸籍。相続人の確定に必要
被相続人の住民票除票(または戸籍の附票) 被相続人の最後の住所地を証明する書類。家庭裁判所への申立てに添付
預貯金通帳や借入金の明細、債権者からの督促状などの写し 遺産と負債の内容を把握できる資料
不動産の登記事項証明書や固定資産税の納税通知書 不動産の所在や評価額がわかる資料
生命保険や死亡退職金の案内書面の写し 相続財産に含まれる保険金・給付金の有無を確認
相談者(相続人)の本人確認書類 専門家に正式依頼する場合に備えて身分確認用
事前に整理した質問リスト 限られた相談時間を有効に使うため。時間超過は追加費用が発生する場合もあるため注意

特に質問リストには、「相続放棄前に遺産を〇〇しても大丈夫か」といった疑問点も書き出しておきましょう。

たとえば、「預金を葬儀費用に充てても問題ないか?」など、放棄手続き前に何をして良くて何をしてはいけないのか不明な点は必ず確認します。

相続放棄を検討している段階では、遺産の処分行為は厳禁です。

不用意な行動で単純承認とみなされ放棄できなくなるリスクがあるため、些細なことでも専門家に確認しながら進めることが大切です。

目的別!相続放棄の相談先

相続放棄しようと決意したものの、「誰に相談すれば良いのか」で迷う方は少なくありません。

相談先には次のように、さまざまあります。

  • 弁護士:手続きの代行から債権者との交渉まで
  • 司法書士:費用を抑えて書類作成
  • 市役所や法テラス:無料相談で一般的な話を聞きたい場合

それぞれ対応できる範囲や費用が異なるため、自身の目的や状況に合った適切な専門家を選ぶことが重要です。

以下では代表的な相談先ごとの特徴を比較しながら解説します。

弁護士:手続きの代行から債権者との交渉まで

弁護士は相続放棄に関するあらゆる法的手続きの代理権限を持つ唯一の専門家です。

家庭裁判所への申述手続きはもちろん、必要書類の収集や申述書の作成、裁判所とのやり取りまで一切を任せることができます。

また万一、他の相続人とのトラブルが生じている場合や、金融機関など債権者から支払い請求の督促が来ている場合でも、弁護士なら代理人として全面的に対応が可能です。

たとえば弁護士に依頼すると、すぐに各債権者へ「受任通知」を発送して以降の直接の取り立て連絡を止めてもらえるため、ご自身が督促に悩まされる心配もなくなります。

特に他の相続人と感情的なトラブルになっているケースでは、弁護士が間に入ることで法的ルールに則った冷静な話し合いが可能となり、当事者同士では難しい紛争の防止にもつながります。

さらに、相続放棄の熟慮期間(3ヶ月)を過ぎてしまった後でも一度落ち着いてみてください。

専門知識を活かして裁判所に事情を説明することで放棄を認めてもらえる可能性を探るなど、弁護士だからこそできる工夫も期待できます(※絶対に認められるわけではありません。しかしながら専門家の最大限のサポートが受けられます)。

費用面では「弁護士は高いのでは」と心配になるかもしれませんが、事務所によっては初回相談を無料で受け付けているところもあります。

有料の場合でも30分~1時間程度の相談料は5,000円ほどが相場です。

実際に相続放棄の手続き代行を依頼した場合、その費用相場は総額で5~10万円程度とされています。

この中には財産調査や戸籍収集、申述書の作成提出、裁判所とのやり取り、照会書(家庭裁判所からの質問状)への回答書作成、受理証明書の取得、そして債権者対応まですべて含まれています。

複雑な手続きから終了後のフォローまで何もかも任せられる心強さを考えると、弁護士に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。

司法書士:費用を抑えて書類作成

司法書士も法律の専門家であり、相続放棄の相談に対応しています。

司法書士は主に家庭裁判所に提出する書類の作成代行を業務としており、相続放棄の申述書や必要書類の収集・作成を依頼することができます。

手続きそのものは自分で行う必要がありますが、面倒な書類準備をプロに任せられるため、特に相続人間で争いもなく手続きだけサポートしてほしいケースでは適した選択肢です。

ただし司法書士が対応できる範囲には制限があります。

たとえば、家庭裁判所から申述人に送付される「照会書」(質問状)への回答書作成・返送は本人が行わねばならず代理できません。

また万一手続きがこじれて訴訟に発展した場合、司法書士は代理人として裁判に臨むことはできません(簡易裁判所管轄程度の訴訟代理権は一部ありますが、相続放棄に関する複雑な訴訟には対応不可です)。

このように対応できる範囲が弁護士より限定的である点には注意が必要です。

しかし、裏を返せば「相続人間の揉め事や債権者対応の心配がなく、純粋に手続きサポートだけしてほしい」場合には十分頼れる存在です。

費用は弁護士より安めになる傾向があります。

司法書士事務所でも初回無料相談を実施しているところがあり、有料でも1時間あたり5,000円ほどが相談料の相場です。

申述書の作成代行や戸籍収集など一連の手続きを依頼した場合の費用相場は概ね3~5万円程度とされています。

弁護士報酬より比較的リーズナブルなので費用重視の方には検討しやすいでしょう。

ただし前述のように対応範囲が限定されるため、相続人同士の利害調整や債務整理が絡むケースでは司法書士だけでは不十分なこともあります。

その場合は潔く弁護士への依頼を検討しましょう。

市役所や法テラス:無料相談で一般的な話を聞きたい場合

いきなり弁護士や司法書士に依頼する前に、「まずは無料で概要だけでも専門家に聞いてみたい」という場合は、公的機関の無料相談を活用する方法もあります。

代表的なのは各自治体(市区町村役場)が開催する無料法律相談と、国が設置した法的トラブル解決支援センターである法テラスです。

地方自治体の無料相談は、多くの場合市役所などに設置された法律相談窓口で地域の弁護士・司法書士が担当し、一定時間(30分程度)無料で相談に応じてくれるものです。

相続放棄に限らず相続全般の相談もできます。

ただし事前予約制であることが多く、希望してもすぐ日程が取れない場合があります。

また相談時間も限られるため、相続放棄の熟慮期間が既に進行しているようなケースでは、のんびり予約を待っていられない可能性もあります。

期限が迫っている場合は無料相談にこだわらず、即対応可能な専門家を直接訪ねる方が安全。

法テラス(日本司法支援センター)は、収入や資産が一定以下の方であれば無料で法律相談(同一案件で3回まで)を受けられる公的サービスです。

電話やメールでの相談も誰でも匿名で可能です。

相続放棄についても相談できますが、無料相談を受けるには利用条件を満たす必要があります。

条件を満たさない場合でも情報提供自体は受けられるので、まずは法テラスの窓口に問い合わせてみると良いでしょう。

同じ問題で3度まで相談しても解決に至らない場合は、法テラス経由で弁護士・司法書士を紹介してもらい正式に依頼することも可能です。

無料相談のメリットは費用負担がないこと。

しかしデメリットとして継続的・具体的なサポートまでは受けられない点が。

あくまで「一般的なアドバイスを聞く場」と割り切り、実際に手続きを進める際には最終的に弁護士や司法書士に正式依頼する必要が出てくることを念頭に置きましょう。

また無料相談だからといって時間無制限ではありません。

短時間で要点のみの相談になりますので、事前に聞きたいことを整理して臨むとともに、「具体的な依頼が必要と感じたら早めに有料でも専門家に依頼する」決断も大切です。

相続放棄の相談に必要な費用は5万~10万円

専門家に相続放棄の手続きを依頼した場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。

事前に相場観を把握しておくことで相談時の心構えができ、費用面の不安を和らげることができます。

一般的には、前述した通り弁護士または司法書士に相続放棄手続きを依頼した場合の費用総額は5~10万円程度が一つの目安になります。

この中には、相談料のほか実際の手続き代行にかかる報酬が含まれます。

  • 被相続人の財産・負債の調査(銀行や信用情報機関への照会等)
  • 必要書類(戸籍謄本や住民票除票など)の取得代行
  • 相続放棄申述書の作成および家庭裁判所への提出
  • 家庭裁判所からの照会に対する回答書作成・提出
  • 相続放棄受理通知書・受理証明書の取得と依頼者への交付
  • 債権者からの連絡・督促への対応(受任通知の発送や支払い要求への法的対応)

司法書士に依頼した場合も、基本的には書類作成と提出サポートに対する報酬が中心。

相場の3~5万円前後に上記の一部業務(戸籍収集や申述書作成など)の費用が含まれるイメージです。

ただし、こうした金額はあくまで目安である点に注意が必要です。

事案の複雑さや依頼する地域・事務所によって費用は増減します。

たとえば他の相続人との交渉や調整まで依頼する場合、弁護士の報酬が上乗せされることがあります。

また東京や大阪など大都市と地方都市でも報酬基準に多少の差があることがあります。

相談前に各事務所の料金体系をホームページや電話などで確認し、見積もりを出してもらうと安心です。

初回相談時に「正式依頼すると費用はどのくらいになりますか?」と率直に質問してみるのも良いでしょう。

相場観を知っていれば、その提示額が適切か判断しやすくなります。

相続放棄の相談に関するよくある質問

最後に、相続放棄を検討する方が相談の場でよく尋ねる、次の質問と回答をQ&A形式で紹介します。

  • 故人の借金額がわからなくても調査を依頼できる?
  • 海外に財産・債務があるみたいだけど相談できる?
  • 未成年相続人・行方不明相続人がいるけど相談できる?

以下から、ひとつひとつに解答していきます。

故人の借金額がわからなくても調査を依頼できる?

できます。

被相続人に借金があるか不明な場合や、債務の総額が全く把握できない場合でも、遠慮なく専門家に相談してください。

弁護士や司法書士は、必要に応じて信用情報機関への情報開示請求を行うなど様々な方法で故人の負債状況を調査できます。

信用情報機関(たとえば全国銀行個人信用情報センター、CIC、JICCなど)に照会すれば、故人名義の借入やクレジット利用履歴を確認することが可能です。

加えて、郵便物のチェックや遺品(通帳や請求書類)の調査によっても債務の手がかりを探ります。

相続放棄の手続きをとるか判断するには、プラスの財産とマイナスの財産の内容を正確に把握する必要があります。

しかし、自分で金融機関や債権者に問い合わせるのは難しいもの。

専門家に依頼すれば、こうした借金調査も含めて任せることができます。

借金が判明してから改めて相続放棄するかどうか考えたいという場合でも、まずは早めに相談して調査だけでも依頼することをおすすめします。

海外に財産・債務があるみたいだけど相談できる?

相談自体はできます。

日本国内の相続放棄手続きは、被相続人の最後の住所地が日本にあれば日本の家庭裁判所で行うことが可能です。

したがって、たとえ故人の財産の一部が海外にあったり、相続人が海外在住であったりしても、相続放棄そのものは日本の家庭裁判所に申述できます。

実際に相続放棄が受理されれば、日本国内における相続については負債も含め一切の権利義務を放棄できます。

ただし、海外にある不動産や預貯金などについてはその国の法律が絡む点に注意が必要です。

日本で相続放棄が認められたからといって、それだけで外国にある財産に対する相続権放棄が自動的に有効になるとは限りません(国によって相続法が異なるためです)。

このため、海外資産・債務の処理については現地の法律専門家(弁護士など)との連携が必要になるケースが多いです。

具体的には、海外の資産について現地で相続放棄に相当する手続きを行ったり、名義変更や清算手続きが別途求められます。

まとめると、相続放棄の相談自体は国内の専門家に可能です。

しかし、その後の対応は「国内の相続放棄手続き」と「海外資産の相続処理」に切り分けて考える必要があります。

まずは日本で速やかに相続放棄の可否を判断・実行し、並行して海外資産については現地専門家に相談するという流れになります。

国際相続に強い弁護士事務所であれば海外の弁護士と提携していることも。

したがって、心当たりがある場合はその旨を最初の相談時に伝えるとよいでしょう。

未成年相続人・行方不明相続人がいるけど相談できる?

もちろんできます。

相続人の中に未成年者や所在不明の方がいる場合、相続放棄手続きには通常より追加の手続きや配慮が必要です。

しかし、事前に専門家に相談しておけば適切に対応できます。

まず未成年の相続人についてです。

未成年者は単独では法律行為ができないため、親権者など法定代理人が代わって相続放棄の申述を行うことになります。

しかし、親権者である父母も同じ相続の当事者(共同相続人)である場合、その親が子の代理人を務めると利益相反の問題が生じます。

具体的には、親が自分は相続を承認して子どもだけ放棄させるようなケースでは、子に不利になる恐れがあるため許されません。

このように親と子で利害が対立する場合、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらい、その特別代理人が未成年者を代理して相続放棄の手続きを行います。

親権者が相続放棄する場合や、未成年者が複数いる場合の手続きの順序なども関係してくるため、専門家のサポートのもと事前に必要書類の整合や申立て順序を整えておくことが重要です。

次に行方不明の相続人がいる場合です。

行方不明の方を抜きに遺産分割協議などは進められません。

同様に相続放棄についても、その方自身がいずれ相続放棄するかどうか判断する権利を持っています。

行方不明だからといって自動的にその人の相続放棄が認められるわけではありません。

対応策としては、家庭裁判所に申立てをして「不在者財産管理人」を選任してもらい、その管理人が失踪者(行方不明者)の財産を管理・代理する方法があります。

また長期間消息がつかめない場合には、失踪宣告の手続きを経て法律上亡くなったものとみなすことも考えられます(ただし失踪宣告には7年以上の不在期間など要件があります)。

いずれにせよ専門家に相談すれば、状況に応じた適切な法的手続きが案内されるもの。

このように未成年者・行方不明者が相続人に含まれるケースは少し複雑ですが、専門家にとっては想定内の事案です。

特に相続放棄をする順番や必要書類の整備で注意点がありますので、自己判断せず弁護士や司法書士に早めに相談してください。

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相続手続き代行とは?生前整理から不動産売却まで丸ごと任せる方法を解説

2025.10.07

相続は人生で何度も経験するものではなく、多くの人にとって初めて向き合う複雑な手続きです。

被相続人(故人)の出生から死亡までの全ての戸籍謄本類や相続人全員の戸籍収集、相続人の確定と調査、遺産分割協議、不動産の相続登記、さらには相続税申告まで、やるべきことが膨大にあります。

相続手続き全てを自分で正確に行うには相当な労力と専門知識が必要となり、手続きの一部には期限が設けられているものもあります(たとえば相続放棄は相続開始を知った日から3か月以内、相続税申告は死亡を知った日の翌日から10か月以内など)。

こうした負担を軽減し、ミスなく確実に進めるために役立つのが「相続手続き代行」サービスです。

専門家に依頼すれば、必要書類の収集・作成や財産の調査、各種申請手続きを代行してもらえるため、自分で奔走する必要がなくなり、手続き漏れや期限超過の心配も減ります。

本記事では、相続手続きを代行できる専門家の種類とその役割、代行可能な手続き範囲、費用相場、依頼の流れや注意点を詳しく解説します。

相続のプロの力を上手に活用し、安心して相続に臨むためのポイントを確認していきましょう。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続手続きを代行できる専門家の種類と役割

 

相続手続きを代行できる専門家には主に以下の5種類です。

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 弁護士
  • 税理士
  • 不動産業者

それぞれ担当できる範囲や得意分野が異なります。

対応できる相続業務 税理士 弁護士 司法書士 行政書士 △について備考
相続人の調査 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
相続財産の調査 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
相続放棄 × ⚪︎ ⚪︎ ×
遺産分割協議の作成 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ 相続税申告がある場合のみ
相続税の申告 ⚪︎ × × 整理し登録のある弁護士
不動産の名義変更 × ⚪︎ × ほぼ司法書士に依頼
預貯金の解約払い戻し ⚪︎ ⚪︎ ⚫︎ 相続税申告がある場合のみ
有価証券の名義変更 ⚪︎ ⚪︎ ⚫︎ 相続税申告がある場合のみ
自動車の名義変更 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ 相続税申告がある場合のみ
相続人同士の紛争解決 × ⚪︎ × 家庭裁判所提出書類のみ

※⚫︎は財産管理業務は不可

相続手続きは法律・税務・不動産といった多岐にわたる分野が絡むため、通常は複数の専門家が連携して対応することがほとんどです。

たとえば、不動産の相続登記を担う司法書士、役所提出書類の作成を担う行政書士、相続人間の争いを解決する弁護士、相続税の申告を扱う税理士、そして遺産に含まれる不動産の査定・売却を行う不動産業者など、それぞれが専門分野を活かして役割を果たします。

ここからは、それぞれの専門家が相続代行で担う主な役割について解説します。

司法書士

司法書士は登記のプロフェッショナルであり、相続手続きにおいて中心的な存在です。

特に不動産が遺産に含まれる場合には不可欠な専門家で、被相続人名義の不動産を相続人名義へ変更する相続登記(不動産の名義変更)を代行します。

相続登記に必要な資料の収集や書類作成は、司法書士が担います。

遺産に不動産が含まれるケースでは、名義変更手続きを正確に行うため司法書士への依頼が無難でしょう。

なお、司法書士事務所によっては他士業(弁護士・税理士等)と提携して遺産承継業務(相続財産の管理・処分を含む一括代行サービス)に対応しているところもあります。

行政書士

行政書士は役所提出書類作成の専門家で、相続手続きの準備段階で活躍します。

相続人調査のために必要な被相続人や相続人の戸籍謄本を役所で取得する代行や、相続財産目録の作成補助、遺産分割協議書の作成支援など、書類作成に関わる手続きをサポートしてくれる存在です。

たとえば行政書士に依頼すれば、戸籍謄本や住民票などの収集をスムーズに代行してもらうことができます。

また遺産分割協議書の文案作成も専門分野の一つであり、法的に有効な形で相続人全員の合意内容を文書化するのを手伝ってくれます。

行政書士は税務申告や登記申請そのものは扱えませんが、必要書類一式を揃える局面で頼りになる存在です。

相続人間に争いがなく、遺産に不動産が含まれないケースで費用を抑えて代行を利用したい場合、行政書士への相談は有力な選択肢と言えるでしょう。

弁護士

弁護士は相続人間の対立やトラブル解決に欠かせない専門家です。

遺産分割でもめそうな場合や、遺留分侵害額請求(取り分を侵された相続人の請求)など法的トラブルがある場合は、代理人として交渉や調停・訴訟を行えるのは弁護士だけです。

弁護士に依頼すれば、他の相続人との遺産分割協議の代理交渉から家庭裁判所での調停申立て、訴訟対応まで一任できます。

不動産の名義変更や預金解約等の基本的な手続きも弁護士は代理権を持って行えるため、相続に関するほぼ全ての手続きを幅広くカバーできる点が強みです。

ただし、登記は司法書士に依頼するのが実務上一般的です。

特に争続(相続を巡る紛争)に発展する恐れがある場合には、初めから弁護士に相談しておくと安心でしょう。

弁護士は税務にも精通していることが多く、必要に応じて税理士や司法書士とも連携しながら総合的にサポートしてくれます。

税理士

税理士は相続税の申告や節税対策を扱う税務の専門家です。

相続財産の評価額を算出し、基礎控除額や各種特例の適用を踏まえて適正な相続税額を計算し、税務署への申告書作成・提出まで一貫して代行します。

特に土地や非上場株式など評価の難しい資産が含まれる場合、税理士の専門知識が不可欠です。

税理士に依頼すれば、小規模宅地の特例(一定の要件を満たせば評価額80%減)や配偶者控除(配偶者の相続分は1億6千万まで非課税)など節税につながる特例の適用可否を判断して適切に活用し、正確な申告書を作成してくれます。

相続税申告が必要なケースでは税理士への依頼は必須です。

なお税理士は税務署等への提出書類に関してのみ戸籍類の取り寄せが可能なため、相続人調査や財産目録作成についても一定のサポートを受けられる場合があります。

不動産業者

不動産業者(宅地建物取引業者)は、相続財産の中で多くを占める不動産の活用や売却に携わる専門家です。

相続した不動産を現金化したい場合には、不動産会社が物件を査定して適正価格を算出し、売却の仲介を行います。

買主探しから契約手続き、物件の引き渡しまで一連の売却プロセスをサポートしてくれるため、不動産をスムーズに処分することが可能です。

また、不動産会社は地域の市場動向に詳しく、必要に応じて賃貸による活用や有効活用の提案を行うこともあります。

司法書士や税理士とも連携し、売却後の名義変更手続きや譲渡所得税の申告なども含めて円滑に進むよう調整してくれる点も心強いところです。

特に地元密着型の企業で実績のある不動産業者であれば、相続した不動産の管理・運用・処分まで安心して任せることができるでしょう。

相続手続きを代行できる範囲

 

相続手続き代行の対象範囲は、以下の4つです。

  • 生前の準備
  • 相続発生後の手続き
  • 不動産に関する手続き
  • 相続税の申告

専門家に依頼できる内容は場面ごとに異なります。

それぞれの局面でどのようなサポートが受けられるのかを理解しておくことで、効率的かつ安心な相続につなげることが可能です。

ここからは相続手続きを代行できる範囲について解説します。

生前の準備

相続が発生する前から専門家のサポートを受けておくことで、相続発生後のトラブルを防ぎ、手続きを円滑に進められます。

いわゆる生前対策や生前整理と呼ばれる段階で、以下のような準備をしておくことが可能です。

  • 財産や権利関係の整理
  • 遺言書作成
  • 財産目録の作成・不動産名義の確認

ここからは相続手続き代行の生前の準備について解説します。

財産や権利関係の整理

生前に自身の財産や権利関係を整理し、把握しておくことは、将来の相続に備える第一歩です。

具体的には、銀行口座・不動産・株式・保険などあらゆる資産がどこにどれだけあるのかを明確に洗い出し一覧表(財産目録)にまとめます。

一覧表にまとめることにより、相続が発生した際にご家族がスムーズに遺産を把握し、手続きを進められるようになります。

また、不動産については権利証や登記簿を確認して名義が正しく自分になっているか、共有名義になっていないかをチェックしておきましょう。

生前に財産を整理しておけば、相続人同士の誤解や思わぬ遺産漏れを防ぐことができ、相続手続き全体が円滑になります。

遺言書作成

自分の意思に沿った遺産分配を実現し、相続人間の紛争を防ぐためには、遺言書を作成しておくことが有効です。

専門家に相談すれば、遺言に盛り込みたい内容の整理から、法律に則った形式の遺言書を作るためのアドバイスを受けることができます。

遺言書によって「誰に何を相続させるか」のルールが明確になるため、残された家族が遺産分割でもめるリスクを大きく減らせます。

遺言書は自筆証書遺言であれば全文を自書しなければなりませんが、行政書士や弁護士に文案のチェックを依頼したり、公正証書遺言であれば公証人と連携して作成したりすることで、安全確実な遺言書作成が可能です(公正証書遺言の場合、専門家が証人となることもできます)。

生前対策として遺言書を作成しておくことは、「相続争いを防ぐ最後のプレゼント」とも言われます。

専門家の助言を得ながら早めに準備しておくと良いでしょう。

財産目録の作成・不動産名義の確認

上記の財産整理と関連しますが、財産目録(資産一覧表)を作成しておくことも重要です。

専門家に依頼すれば、所有する財産の種類や所在を詳しく調査し、一覧表にまとめる作業を代行・サポートしてもらえます。

特に不動産については、登記簿上の名義や権利関係を事前に確認しておくことが大切です。

過去の相続登記が未了で先代の名義のまま放置されている土地建物がないか、共有状態の不動産がないか、といった点を洗い出しておくことで、いざ相続が始まった際に手続きが滞るのを防げます。

財産目録が整備され、不動産の名義も確認済みであれば、ご家族は余計な労力を割かずに手続きを進めることができるでしょう。

相続発生後の手続き

相続が発生すると、限られた期間内にやらなければならない手続きが一気に押し寄せます。

葬儀や法要で忙しい中、相続手続きまで短期間で対応するのは大変ですが、代行サービスを利用することで大幅に負担を軽減できます。

以下は、相続開始後に専門家へ依頼できる主な手続きです。

  • 戸籍収集や相続人調査
  • 相続関係説明図の作成
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預貯金や株式の名義変更
  • 保険金や年金の請求
  • 遺品整理
  • 相続放棄や限定承認の対応
  • 海外財産や国外相続人が関わる場合の対応

ここからは相続発生後に専門家に依頼できる手続きを解説します。

戸籍収集や相続人調査

まず着手すべきなのは、相続人の確定です。

被相続人にどんな相続人がいるかを調べるために、戸籍一式の収集が必要になります。

具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍一式と、相続人全員の現在の戸籍謄本です。
一つの戸籍で済むケースはほとんどなく、明治時代の戸籍まで遡ることもしばしばあります。

戸籍謄本類の取り寄せは、被相続人の本籍地だけでなく転籍先や相続人各自の本籍地など複数の役所に問い合わせ・請求を行う必要があり、大きな負担です。

行政書士や司法書士に依頼すれば、役所への戸籍請求を代理で行い、必要な戸籍一式を漏れなく集めてくれます。

専門家による相続人調査を利用することで、自分で戸籍の束を追う手間や戸籍の見落としによる相続人漏れを防ぐことができます。

相続関係説明図の作成

集めた戸籍謄本類の情報をもとに、相続関係説明図を作成することも可能です。

相続関係説明図は、被相続人と全相続人の続柄を家系図のような形で図示した書面で、相続手続きの各所で役立ちます。

専門家に依頼すれば戸籍収集からこの図面の作成まで代行してもらうことが可能です。

相続関係説明図を作成して法務局で交付を受けておけば(法定相続情報証明制度の利用)、金融機関や法務局に戸籍一式を提出する代わりにこの図の写しを提出することで手続きを進められるため、何度も戸籍の束を提出する手間が省けます。

司法書士や行政書士にとって馴染みのある業務ですので、戸籍集めから一括して依頼し、作成してもらうと良いでしょう。

遺産分割協議書の作成

相続人が複数いる場合、遺産分割協議によって「誰がどの財産を相続するか」を全員で話し合い、合意内容を文書化する必要があります。

遺産分割協議で話し合った合意内容を文書化してあるのが遺産分割協議書です。

専門家は、この協議書の案文作成や形式チェックをサポートしてくれます。

行政書士や司法書士であれば法律にしたがった体裁の協議書を作成してくれますし、内容について弁護士のチェックを受けることで一層安心です。

遺産分割協議書には相続人全員の署名・実印押印が必要であり、法的に有効な形で作成しないと後々無効主張される恐れもあります。

行政書士に依頼すれば遺産分割協議書の作成支援をしてもらえますので、不安な場合は専門家の力を借りましょう。

出来あがった協議書は不動産の相続登記や預貯金の払い戻し手続きなど様々な場面で提出する重要書類ですので、正確に作成することが肝心です。

預貯金や株式の名義変更

故人名義の銀行預金や証券口座(株式等)についても、相続発生後は相続人への名義変更または解約払戻しの手続きが必要です。

銀行や証券会社ごとに提出書類や手順が異なり、相続人全員の署名押印が必要なケースも多いため、自分で各金融機関とやり取りするのは手間です。

行政書士は銀行や証券会社などの金融機関での名義変更手続きについて、委任状等を備えて代行するサービスも提供しています。

遺産分割協議書が整っていれば、その内容に従って専門家が銀行口座の解約払戻請求を行い、残高を相続人に分配するサポートをしてくれます。

また証券会社に対しては、株式等の相続手続き書類の作成提出を代行し、名義を書き換えたり売却して現金化したりする支援を行ってもらうことが可能です。

行政書士や司法書士はこうした預貯金・有価証券の解約手続きもまとめて扱ってくれることが多く、1件あたり数万円程度の費用で依頼できるのが一般的です。

保険金や年金の請求

被相続人が生命保険に加入していた場合、死亡保険金の請求手続きを行う必要があります。

また、故人が受給していた年金については支給停止の手続きや、場合によっては未支給年金(死亡月までの未払い年金)の請求手続きが必要です。

保険金や年金は基本的には相続人自身で行う手続きですが、希望すれば行政書士等が書類作成をサポートしてくれる場合があります。

保険金請求では保険会社所定の請求書に戸籍や住民票、医師の死亡診断書などを添付して提出しますが、書類不備なく速やかに請求することで受取までの時間を短縮できます。

専門家に相談すれば、必要書類の案内や記入方法の指導を受けられるでしょう。

未支給年金の請求も、年金事務所への提出書類作成を手伝ってもらうことが可能です。

いずれも請求期限があります(保険金は契約によるが3年程度、未支給年金は5年以内など)ので、早めに対処しましょう。

遺品整理

相続手続きとは直接関係しませんが、遺品整理も残されたご家族にとって大きな負担となる作業です。

故人の衣類や生活用品、家具や家財道具などを整理し、形見分けするものと処分するものに分けたり、不用品を処分したりしなくてはなりません。

特にご家族に高齢者が多い場合や、故人の住居が遠方にある場合などは、遺品整理専門の業者に依頼するケースも増えています。

遺品整理業者に依頼すれば、一軒家丸ごとであっても複数人で短期間のうちに片付けを行ってくれます。

「生前整理をしておくと良い」と言われるのは、相続発生後の遺品整理が遺族にとって精神的・肉体的に大変な作業だからです。

専門業者や便利屋と提携している士業事務所もありますので、遺品の整理や処分に困った際は紹介してもらうと安心です。

遺品整理まで含めてサポートしてくれる「相続まるごと代行サービス」も存在し、残された家族の負担軽減に一役買っています。

相続放棄や限定承認の対応

相続財産の中に借金などマイナスの財産が多い場合、相続放棄または限定承認という選択肢があります。

相続放棄とは最初から相続人でなかったことにする手続き、限定承認とはプラスの財産の範囲内で負債を清算する手続きです。

相続放棄や限定承認はいずれも家庭裁判所への申述により行いますが、期限は相続開始を知った時から3か月以内とシビアです。

専門家に依頼すれば、戸籍や財産状況の確認を踏まえた上で相続放棄すべきかアドバイスを受けられ、放棄申述書の作成から裁判所への提出まで代行してもらえます。

司法書士や弁護士は家庭裁判所に提出する放棄申述書類の作成代理も業務範囲です。

また、複数の相続人がいる場合に誰が放棄するか戦略的に判断する必要があるケースもあり、そうした相談にも応じてもらえます。

限定承認は相続人全員の共同申述が必要で手続きも複雑なため、弁護士に依頼するのが一般的です。

いずれにせよ、期限内に正確に手続きするため専門家のサポートを受けることをおすすめします。

海外財産や国外相続人が関わる場合の対応

相続財産や相続人が海外に関係する場合、手続きはさらに煩雑になります。

たとえば、被相続人が海外に銀行口座や不動産を持っていた場合、その国の法律に従った相続手続きを踏まえなければなりません。

海外の財産について現地の相続手続き(たとえば不動産のプロベート〈検認手続〉など)が必要となるケースでは、現地の弁護士や専門業者と連携する必要が出てきます。

また、戸籍や遺産分割協議書等を外国で使うには翻訳・公証・領事認証といったプロセスを経なくてはなりません。

たとえば国外の不動産を相続登記するには、現地の言語に翻訳された宣誓供述書や死亡証明書、遺産分割協議書の翻訳文などが要求されるケースがあります。

専門家に依頼すれば、こうした翻訳手配や各種証明取得も含めてサポートが受けられます。

海外在住の相続人がいる場合も、委任状の取り交わしや在留証明の取得など手続きが必要になるため、国際相続に明るい専門家に相談すると安心です。

国内だけでは完結しない相続案件では、経験豊富な専門家の助力によってスムーズに進められるでしょう。

不動産に関する手続き

不動産は相続財産の中でも特に手続きが多岐にわたり、専門家の支援が欠かせない分野です。

不動産の相続登記は2024年(令和6年)4月1日の法改正により義務化され、迅速な対応が求められるようになりました。

第七十六条の二(相続等による所有権の移転の登記の申請)

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

引用元:不動産登記法 | 第76条の2

また、相続した不動産をどう分けるか・処分するかは相続人にとって大きな問題です。

不動産に関する手続きで、相続手続きを代行してもらえるのは以下の3つです。

  • 相続登記(不動産の名義変更)
  • 不動産の査定・売却代行
  • 共有不動産の処理(売却・分割・賃貸活用)

ここでは、不動産に関する主な相続代行サービスの内容を確認します。

相続登記(不動産の名義変更)

相続によって取得した不動産の名義変更(所有権移転登記)は、2024年の法改正により義務化されました。

相続人が不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければならず、怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

この相続登記手続きは司法書士の専門分野であり、必要書類も多く複雑になりがちなため、ほとんどのケースで司法書士に依頼するのが一般的です。

司法書士に依頼すれば、戸籍・住民票・固定資産評価証明書などの必要書類を確認・収集し、遺産分割協議書に従った登記申請書を作成して提出まで代行してくれます。

不動産の数が多かったり相続人が多数いたりする場合でも、専門家が漏れなく手続きを進めてくれるため安心です。

なお、義務化に伴い相続登記を怠ると不動産の売却や担保設定が困難になるだけでなく、所有者不明土地の一因となり得るため注意が必要です。

相続登記は早めに司法書士へ相談し、期限内に完了させましょう。

不動産の査定・売却代行

相続した不動産を手放して現金化したい場合、不動産会社による査定・売却代行サービスを利用できます。

遺産に占める不動産の評価額は大きいことが多く、適正価格で売却するには専門的な査定が欠かせません。

不動産業者に依頼すれば、物件の現地調査や市場動向の分析を行い、妥当な査定価格を提示してくれます。

その上で、不動産仲介のプロとして広告掲載から買主探し、内覧対応、価格交渉、売買契約の締結、物件の引き渡しまで一連の売却手続きをサポートしてもらうことが可能です。

司法書士とも連携し、売却後の所有権移転登記(買主への名義変更)も滞りなく進めます。

不動産を売却して得た代金は遺産分割協議で定めた割合に応じて各相続人に分配されます。

専門家の助けを借りれば、市場に精通した適切な売却戦略のもと、相続不動産を円滑に現金化することが可能です。

不動産の種類(戸建てかマンションか土地のみか)や状態によっては、売却ではなく賃貸に出すことで継続収入を得る選択肢もあります。

こうした活用方法についても不動産会社と相談しながら決めると良いでしょう。

共有不動産の処理(売却・分割・賃貸活用)

相続によって不動産を共有名義で取得するケースも少なくありません(例:兄弟で父の家を共有相続した等)。

共有不動産は、相続人全員の合意がないと扱いが難しいものです。

専門家の助けを借りながら次のような解決策を検討できます。

  • 共同売却
  • 持分売却
  • 現物分割
  • 代償分割
  • 賃貸活用

このように共有不動産の処理方法はいくつかありますが、いずれにせよ相続人全員の合意形成が重要です。

専門家は法律面・税務面から各方法のメリット・デメリットを説明し、相続人間の話し合いをサポートしてくれます。

どうしても話し合いで解決できない場合は、弁護士を通じて共有物分割請求訴訟(裁判所で強制的に共有関係を解消する手続き)を行うことも考えられます。

共有不動産の問題は専門家の知恵を借りながら、相続人間で最善の落とし所を見つけることが大切です。

共同売却

共有者全員で協力して不動産全体を売却し、売却代金を持分に応じて分配する方法です。

共有者間で「売却して現金化する」意思が一致すれば、不動産業者が買主を探し契約まで進めてくれます(この際、全員の同意が必要)。

共有者全員での売却が成立すれば、遺産分割を実質的に完了できます。

持分売却

どうしても共有者の一人が不動産を手放したくない場合、自分の持分だけを他の共有者または第三者に売却することも可能です。

ただし第三者に持分を売却すると引き続き共有関係が残るため、新たなトラブルを生む可能性があります。

共有持分の買取業者なども存在しますが、できれば他の共有者に買い取ってもらうのが円満でしょう。

現物分割

不動産を物理的に分割できる場合は、筆を分けて各相続人の単独所有にする方法です。

土地であれば分筆し、建物であれば区分所有や床面積按分で分割することが考えられます。

ただし現実には土地の形状や法規制上、綺麗に分けられない場合も多いです。

代償分割

共有状態を解消するため、一人が不動産を単独取得し、他の相続人には代償金(持分に相当する金銭)を支払う方法です。

相続人の一人に資力があれば有力な手段で、不動産は単独所有になるため後々の管理処分が容易になります。

賃貸活用

共有のまま賃貸物件として第三者に貸し出し、得られた家賃収入を相続人間で配分する方法です。

売却せず資産として保有しつつ、収益を分け合う形ですが、物件管理の合意や収入配分で揉めないよう事前にルールを決めておく必要があります。

相続税の申告

相続税が発生する場合(基礎控除額※を超える遺産がある場合)は、相続の開始があったことを知った日の翌日(通常は被相続人の死亡日の翌日)から10か月以内に税務署へ申告・納税しなければなりません。

申告期限があるうえ、専門的な税知識が要求されるため、税理士のサポートが重要になります。

相続税申告において専門家が代行できる主な業務は以下の4つです。

  • 相続財産の評価
  • 相続税の計算
  • 各種特例の適用判断
  • 税務署への申告書提出

ここからは相続税申告において専門家が代行できる主な業務について解説します。

※基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数。遺産がこの額以下なら申告不要です。

相続財産の評価

税理士は、相続財産の種類ごとに適正な評価額を算出します。

現預金のように額面がはっきりしているものはともかく、問題は不動産や株式など評価が複雑な資産です。

不動産の場合、国税庁の路線価等を用いて評価額を計算しますが、土地の形状や利用区分によって細かい調整が必要です。

税理士は専門知識を駆使してこうした不動産評価を行い、適切な評価額を導き出します。

また、非上場株式についても会社の純資産価値等から評価額を計算します。

財産評価を誤ると税額も狂ってしまうため、税理士のチェックは欠かせません。

相続税の手続きが必要な方は、迷わず税理士へ相談してください。

とくに不動産評価や準確定申告がある場合は、専門的な助言が役立ちます。

相続税の計算

財産評価が定まったら、各相続人の取得財産に基づいて相続税額の計算を行います。

税理士は税法に基づき、基礎控除や各種非課税枠(生命保険金の非課税枠など)を適用した課税遺産総額を計算し、法定相続分に応ずる税額を算出します。

その上で、実際の遺産分割に従った配分での納付税額を計算する流れです。

この過程は税率構造が累進的であるため複雑です。

さらに、配偶者の取得分については配偶者控除として1億6,000万円まで非課税になる特例があるため、多くの場合で配偶者に相続させた方が節税になります。

税理士は配偶者控除などを踏まえて分割シミュレーションを行い、節税できる分割案の提案まで行ってくれることがあります。

こうして計算された相続税額に基づき、相続人ごとの納付額も決定することで相続税の計算は完了です。

相続税は基本的に現金一括納付ですが、納税資金が足りない場合は物納や延納の検討も必要です。

税理士は延納申請手続き等についても助言してくれるでしょう。

各種特例の適用判断

相続税には、要件を満たせば税額が大きく減る各種特例制度があります。

代表的なものが、被相続人の居住用宅地等の評価を最大80%減額できる小規模宅地等の特例や、配偶者には配偶者が実際に取得した財産のうち、①1億6千万円 または ②法定相続分 のどちらか多い額までは非課税になる配偶者控除です。

そのほか、農地を相続した場合の納税猶予制度や、一定の事業用資産を相続した場合の特別控除など、数多くの特例があります。

税理士は被相続人や相続人の状況、財産の内訳を精査し、適用できる控除や特例を漏れなく適用してくれます。

特例は要件を一つでも満たさないと適用できません。

自分では気づかないものもあるため、専門家の目でチェックしてもらう価値が大いにあります。

特例の適用によって相続税が大幅に減額・免除されるケースもあり、税理士に依頼するメリットの一つとなっています。

税務署への申告書提出

税理士は最終的に相続税申告書を作成し、提出代行します。

相続税申告書は主税局所定の様式に従い、各種明細書や添付書類(戸籍、遺産分割協議書写し、不動産評価明細、生命保険金支払証明書など)を添えて管轄の税務署に提出します。

申告期限は死亡後10か月以内のため、専門家と契約する際は余裕を持って依頼することが重要です。

税理士による申告代行では、提出用の書類一式が綴じられた状態で用意されるため、相続人は最終内容を確認して署名押印するだけで済みます。

提出も税理士が代理送付または窓口提出します。

申告後、納税については金融機関での振込や現金納付となりますが、その段取りも税理士が案内してくれるため安心です。

こうして申告と納税が完了すれば、税務上の相続手続きは終了です。

なお、相続税申告の税理士報酬は一般に遺産総額の0.5〜1.0%程度が相場と言われています。

たとえば遺産総額1億円なら50万〜100万円前後、5,000万円なら25万〜50万円程度が目安です。

事前に複数の税理士から見積もりを取り、報酬額とサービス内容のバランスを比較して選ぶとよいでしょう。

相続手続き代行の費用相場

 

相続手続き代行の費用は、依頼内容や依頼先の専門家によって大きく異なります。

一部分の手続きのみを頼むのか、全てまとめて依頼するのかでも費用感は変わるものです。

以下に主なサービスの費用相場を示します(※あくまで目安です)。

  • 戸籍収集・相続人調査、金融機関手続き代行
  • 相続登記(不動産名義変更)
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続手続きまるごと代行
  • 相続税申告の税理士報酬

ここからは相続手続き代行のサービスごとの費用相場を解説します。

戸籍収集・相続人調査、金融機関手続き代行

戸籍一式の収集代行は数万円程度、預貯金口座の解約代行は1件あたり2~3万円程度が一般的です。

たとえば行政書士に依頼した場合、遺産分割協議書の作成支援が2~3万円程度、銀行預金の払戻手続き1件につき2~3万円程度、車の名義変更も2~3万円程度と比較的リーズナブルな設定が多いようです。

必要書類の実費(戸籍発行手数料や郵送費など)は別途負担となります。

相続登記(不動産名義変更)

司法書士に不動産登記を依頼する場合の費用相場は、1件あたり5~6万円前後です。

不動産の個数や評価額、相続人の人数によって報酬が加算されていき、物件が複数ある場合はその分費用も増えます。

登録免許税(固定資産評価額の0.4%)などの実費も必要です。

近年義務化されたこともあり、司法書士事務所によって相続登記パックのような定額プランを用意しているところもあります。

遺産分割協議書の作成

専門家に協議書の作成を依頼する場合、3~5万円程度が一般的な相場です(行政書士に依頼した場合の報酬額)。

相続人の人数や相続財産の種類が多い場合はもう少し費用がかかることもあります。

弁護士に内容チェックまで依頼する場合はさらに費用が加算されるでしょう。

公証役場で遺産分割協議証明書を作成する(全員で署名した協議書を公証人に認証してもらう)場合は、別途公証人手数料が数万円かかります。

相続手続きまるごと代行

司法書士事務所等が提供する相続登記フルプラン(相続人調査から不動産登記・預金名義変更までまとめて代行)の場合、費用相場は20~50万円程度とされています。

手続き内容の複雑さや相続人の数が多いと追加費用が発生し、50万円を超えることも。

反対に、不動産が無く書類作成代行が中心の場合は20万円以下で収まることもあります。

銀行や信託銀行が提供する「相続手続き一括代行サービス」では、遺産額に応じて数十万円+遺産額の数%といった料金体系になっていることもありますので、依頼前に内訳まで確認しましょう。

相続税申告の税理士報酬

前述の通り、遺産総額の0.5~1.0%が目安です。

たとえば遺産総額1億円なら50万~100万円、5,000万円なら25万~50万円ほどとなります。

ただし土地が多数ある・非上場株がある等で評価に手間がかかる場合や、申告期限まで時間がない場合などは報酬が割増しになる場合もあります。

逆に遺産額が小さい場合は最低報酬額が設定されていることも。

税理士法人の中には定額プランを掲げている所もありますが、多くは遺産額や相続人の数に応じた料率で報酬を算定します。

契約前に見積もりをもらい、報酬に何が含まれるか(書面添付費用や戸籍収集代行費用が含まれるか等)も確認しましょう。

相続手続き代行を依頼する流れ

 

相続手続き代行を依頼するときは、初回の相談から契約締結、そして実際の手続き遂行、最後に完了報告まで一連の流れがあります。

各ステップをあらかじめ知っておけば、依頼中も安心して状況を把握できます。

相続手続き代行を依頼する流れは以下の通りです。

  1. 初回相談・ヒアリング
  2. 必要書類の確認・収集
  3. 委任契約の締結
  4. 相続手続きの実施
  5. 完了報告・引き渡し

ここからは相続手続き代行を依頼する流れについて解説します。

1.初回相談・ヒアリング

まずは専門家に連絡し、相続手続き代行サービスを利用したい旨を相談します。

多くの事務所では初回相談を無料で実施中です。

この相談で、相続人の続柄や人数、遺産の概要(不動産の有無・預貯金額・負債の有無など)、遺言書の有無、相続人同士の関係性(揉めているかどうか)などをヒアリングされます。

こちらからは、どの範囲を代行してほしいのか希望を伝えます(例:「戸籍集めと登記だけお願いしたい」「すべて任せたい」等)。

専門家は話を伺った上で、想定される手続きや必要書類、だいたいの費用感などを教えてくれることがほとんどです。

相続登記フルプラン等の具体的なサービス内容もここで説明されるでしょう。

疑問や不安があれば遠慮なく質問します。

相談後、正式に依頼するかどうかを検討します。

他の事務所の意見も聞いてみたい場合は、この段階でセカンドオピニオンを求めるのもよいでしょう。

2.必要書類の確認・収集

依頼することを決めたら、手続きに必要な書類を確認します。

すでに手元にある書類(被相続人の出生から死亡までの戸籍、預金通帳、不動産権利証、遺言書など)は専門家に提示し、不足している書類があればどちらが集めるか打ち合わせます。

戸籍類や住民票、印鑑証明書などは専門家が代行取得可能です。

金融機関の残高証明書や不動産の評価証明書が必要な場合もありますので、この段階でリストアップします。

専門家が書類収集を代行する場合、後ほど実費(役所手数料や郵送代等)を請求されますので了承しておきます。

必要に応じて、相続人全員の署名押印が求められる書類(委任状や遺産分割協議書)があるため、専門家からフォーマットを用意してもらい、各相続人に案内・回付する流れも確認しましょう。

3.委任契約の締結

正式に依頼する内容と費用が決まったら、委任契約を締結します。

契約書には、専門家が代行する手続きの範囲や報酬額、実費の精算方法、支払い時期などが明記される仕組みです。

合わせて、専門家が代理人として各種手続きを行うための委任状や、金融機関への届出用書類などにも署名押印します。

このとき、専門家からプライバシーポリシーや守秘義務についての説明もあるでしょう。

費用の支払いについては、契約時に着手金を支払う場合と、完了時にまとめて支払う場合があります。

どのタイミングでいくら支払うかも契約時に確認しておきます。

契約書にサインしたら正式な依頼関係が成立し、いよいよ相続手続き代行業務がスタートです。

4.相続手続きの実施

契約内容に従って、専門家が具体的な相続手続きを進めます。

司法書士であれば戸籍収集~相続関係説明図作成~登記申請を行い、行政書士であれば役所から必要書類を取り寄せて遺産分割協議書等の作成を行う流れです。

税理士には財産資料を提供し、相続税申告書の作成に着手してもらいます。

多岐にわたる場合は各分野の専門家が分担して同時並行で進めることもあります。

たとえば不動産登記の準備と並行して銀行手続きを進め、税申告も進める、といった具合です。

相続まるごと代行サービスの場合、司法書士事務所などが窓口となり、提携の税理士・弁護士・不動産会社と協力しながらワンストップで手続きを進めます。

適宜、進捗状況の報告を受けながら、不明点があれば連絡を取り合います。

相続人自身で対応すべき事項(たとえば生命保険金の受取など専門家が代理できないもの)が残っている場合は、その対応方法の指示を受けることも。

紛争が発生した場合は、弁護士が代理人として交渉・調停に臨みます。

基本的には専門家に任せつつ、要所要所で書類への署名や本人確認などの協力をする形になります。

5.完了報告・引き渡し

全ての手続きが完了したら、専門家から完了報告を受けます。

具体的には、不動産の相続登記が完了した場合は新しい権利証(登記識別情報通知)や登記事項証明書、預貯金の払戻しが完了した場合は口座残高がゼロになった通帳や解約証明書、相続税の申告が完了した場合は申告書控え一式、といった具合に成果物となる書類が手元に戻ってきます。

司法書士からは相続登記完了証や法定相続情報一覧図の写し、行政書士からは作成した遺産分割協議書、税理士からは相続税申告書の控えと領収証書(納税証明)等を受け取る流れです。

専門家から受け取った書類を相続人間で確認し、問題がなければ専門家への報酬を支払います(着手金を除く残額の支払い)。

最後に、今回の相続手続きで取得・整理した書類一式を受け取ります。

戸籍の束や分割協議書の原本、各種完了書類などは将来のため大切に保管しましょう。

以上で一連の相続手続き代行サービスの利用は終了です。

専門家によっては、「今後名義変更した不動産を売却するときもサポートできます」「確定申告が必要な場合は別途相談ください」などとアフターフォローの案内がある場合もあります。

相続手続き代行を依頼する際に確かめておきたいこと

 

相続手続き代行を依頼する際には、「誰に依頼するか」「費用は適正か」「ワンストップ対応か」など、事前にいくつか確認しておきたいポイントがあります。

信頼できる専門家を選ぶことで、安心して任せることができます。

以下はチェックすべき項目です。

  • 専門家の得意分野は何か
  • 費用体系がわかりやすいか
  • ワンストップ対応が可能か
  • トラブル対応力があるか
  • 実績があり評判が良いか

ここからは相続手続き代行を依頼する際に確かめておきたいことについて解説します。

専門家の得意分野は何か

まず、依頼しようとしているその専門家(または事務所)が何を得意としているかを把握しましょう。

相続手続きと言っても、主に登記を扱う司法書士なのか、税務専門の税理士なのか、法律トラブルに強い弁護士なのかでサービス内容が変わります。

たとえば、「遺産に不動産が含まれるので登記を任せたい」「相続税の申告が必要なので税理士にお願いしたい」「書類収集や作成が中心だから行政書士で十分そうだ」といった具合に、自分の状況に合った専門家を選ぶことが重要です。

最近は司法書士と税理士が共同で運営する相続専門の相談窓口もあり、そのような所では登記も税申告も一括対応してもらえます。

反対に、相続人同士の争いが懸念される場合は最初から弁護士を窓口にした方がスムーズなこともあります。

各士業の業務範囲と強みを理解した上で、適材適所で依頼先を選びましょう。

費用体系がわかりやすいか

費用については不明瞭な点がないかを必ず確認します。

見積もりをもらったら、「どの業務にいくらかかって、合計いくら」なのか内訳まで理解しましょう。

特に「相続まるごとパック○○万円」など一括料金の場合、含まれる範囲(戸籍収集や不動産登記申請の登録免許税、税理士報酬などが含まれるか否か)を確認します。

不動産の個数増加や相続人追加で別途加算があるか、遺産額によって報酬率が変動するか、といった追加費用条件もチェックしましょう。

料金体系が明確で、高額すぎないかどうかは重要な判断基準です。

複数の事務所を比較する際は、提示された金額だけでなくサービス内容と費用のバランスを考慮します。

なお、信託銀行などでは遺産額比例の手数料を課す場合があり、士業事務所より割高になるケースも見られます。

費用に関する疑問点は契約前にすべて質問し、納得してから依頼するようにしましょう。

ワンストップ対応が可能か

相続手続きには複数分野の専門知識が関わるため、ワンストップで対応可能かどうかもポイントです。

ワンストップ対応とは、一つの窓口で相談すれば、必要に応じて他分野の専門家とも連携して全て処理してくれる体制を指します。

たとえば司法書士事務所で税理士や弁護士と提携している場合、依頼者はその事務所とだけやり取りすれば、登記も税申告もトラブル対応も一括して進めてもらえます。

これは依頼者にとって便利で安心です。

逆にワンストップ体制が無い場合、自分で別々に専門家を探して依頼・連絡調整する手間が生じます。

最近では、地方銀行や信託銀行でも各士業とネットワークを組んで相続ワンストップサービスを実施しているところがあります。

依頼先を選ぶ際には、「この事務所に任せれば自分の相続手続きの範囲全部をカバーしてくれるか?」を確認しましょう。

ワンストップ対応だと安心感は高いですが、その分費用がやや高くなる傾向もありますので、その点も踏まえて検討します。

トラブル対応力があるか

相続人間で意見の対立が起きたり、法的な争いに発展する可能性が少しでもあるなら、トラブル対応力のある事務所を選ぶことが大切です。

具体的には、弁護士と連携できるか(または弁護士資格者が在籍しているか)がポイントです。

司法書士や行政書士は基本的に交渉や裁判の代理はできませんので、いざ揉めた時は弁護士にバトンタッチする必要があります。

その際、最初から提携弁護士がいる事務所であればスムーズです。

「もし相続人同士でもめたら弁護士を紹介してもらえるのか?」と事前に聞いておくと安心でしょう。

事務所によっては、弁護士・税理士・司法書士がチームを組んでいるところもあります。

たとえば税理士法人内に弁護士が所属していたり、司法書士事務所が弁護士事務所と協力関係にあるケースです。

そうした体制なら、紛争が起きても途切れなくサポートが続きます。

また、遺産整理業務(遺産を預かって分配まで管理する業務)まで対応している事務所であれば、財産管理の観点からも頼りになります。

相続は感情的なトラブルに発展しやすいため、万一の対応力も事前に考慮しておきましょう。

実績があり評判が良いか

最後に、その専門家(事務所)が相続案件の取扱実績を豊富に持ち、信頼に足る人物かどうかを見極めます。

相続分野が得意で解決実績が豊富なところであれば、ノウハウが十分蓄積されており、複雑な案件でも適切に処理してもらえることが期待できます。

各事務所のホームページに実績件数や過去の事例紹介が載っている場合もあるのでチェックしてみましょう。

また、実際に相談してみての印象や、口コミ・評判も参考になります。

相談時にこちらの話を親身に聞いてくれるか、説明がわかりやすいかといった対応姿勢も重要な判断材料です。

相続手続きは数ヶ月にわたることも多いので、相性も大切です。

疑問に丁寧に答えてくれて信頼できると感じられる専門家を選びましょう。

逆に経験が浅かったりコミュニケーションに不安を感じる相手だと、手続きに時間がかかったりトラブルを招くおそれもあります。

大切な相続を任せるパートナーですから、実績と人柄両面で納得のいく専門家を選ぶことが重要です。

相続手続き代行を上手に活用して安心の相続を

 

相続手続きは煩雑で専門知識が不可欠ですが、代行サービスを上手に利用することで大幅に負担を減らし、ミスなく円滑に進めることができます。

生前準備の段階から専門家に相談しておけば、相続発生後の対応もスムーズです。

自分の状況に合った専門家を見極め、依頼する範囲や費用を事前に確認しておくことが成功の鍵となります。

特に費用面では内訳を明確にし、不明点を残さないようにしましょう。

また、一箇所で全て任せられるワンストップ対応のサービスを選べば、複数の専門家への橋渡しも不要で安心です。

代行サービスを上手に活用し、トラブルのない安心できる相続を実現しましょう。

静岡県で相続相談先をお探しの場合、静鉄不動産と各専門士業が連携する「静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンター」では初回相談無料で相続手続きの代行について相談を受け付けています。

不動産会社と司法書士・税理士・弁護士ら専門家がチームを組んでワンストップで対応しています。

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専門家選びに迷ったら、このような実績あるサポート窓口に問い合わせてみるのも良いでしょう。

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相続した土地を売却するにはどうすれば良い?流れや注意点を解説

2025.09.05

相続財産のなかで扱いが難しいものとして、不動産が挙げられます。

「親から土地を相続したが使い道がなく困っている」「管理にも手間がかかるし売却したいが、どこから手をつければ良いか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

土地の売却には複雑な手続きも多いため、プロに相談するのもひとつの方法です。

この記事では相続した土地を売却するときの流れや、注意したいポイントについて詳しく解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続した土地は相続登記が完了していないと売却できない

 

相続した土地を売却するには、相続登記が完了していないと手続きを進めることができません。

さらに「複数の相続人がいる場合は全員の同意が必要」という要件も満たす必要があります。

ここからは、なぜ相続人全員の同意が必要なのか詳しく解説します。

複数の相続人がいる場合は全員の同意が必要

相続した土地を売却するのにあたり、相続人が複数いる場合は全員の同意が必要です。

土地は共有財産として扱われるため、一部の相続人が単独で売却を進めることはできません。

売却するには土地を誰が相続するか、もしくは売却して現金で分けるかを相続人全員で協議して決定する旨が法律で定められています。

第251条(共有物の変更)

各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

引用元:民法 | 251条

売却を選択する場合は、相続登記で相続人名義に変更したうえで、全員の合意を確認する手順を踏まなければなりません。

意見がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や裁判に発展することもあります。

相続人の人間関係や財産の状況によっては、専門家を介して協議を進めたほうがスムーズに進むケースも多くみられます。

相続した土地を売却するまでの4ステップ

 

相続した土地を売却するには、以下の4ステップを経る必要があります。

  • ステップ1:相続登記を行う
  • ステップ2:土地の状況を調査する
  • ステップ3:不動産会社に査定を依頼する
  • ステップ4:媒介契約を結んで売りに出す

ここからは、それぞれの項目について詳しくみていきましょう。

ステップ1:相続登記を行う

被相続人(亡くなった人)の名義のまま、土地の売買契約を締結することはできません。

そのため、まずは相続登記を完了させ、相続人名義に変更することから始めましょう。

相続人が複数いる場合は、誰かが土地を取得したうえで売却手続きに移ることになります。

相続登記には以下のような書類が必要です。

必要書類 取得場所 期間
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで記載されたもの) 本籍地の市町村の役所 窓口:即日交付
郵送:1週間~10日程度
被相続人の住民票の除票 居住地の市町村の役所 窓口:即日交付
郵送:1週間~10日程度
(死亡届受理後1週間程度)
不動産を取得する人の住民票 居住地の市町村の役所(※) 窓口:即日交付
郵送:1週間~10日程度
相続人全員の印鑑証明
(遺言書がある場合は不要)
居住地の市町村の役所(※) 印鑑登録証を持っていれば即日発行
相続人全員の戸籍謄本 本籍地もしくは居住地の市町村の役所(※) 窓口:即日交付
郵送:1週間~10日程度

※マイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアでも取得可能

2024年4月から、相続登記が法律により相続登記が義務化されました。

相続開始から3年以内に手続きをしないと、過料が科される可能性があります。

第七十六条の二(相続等による所有権の移転の登記の申請)

所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

3 前二項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

引用元:民法 | 76条の2

なお、自筆遺言書・秘密証書遺言書がある場合は、家庭裁判所での検認・開封が必要です。

違反した場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。

売却の有無にかかわらず、相続登記は早めに取りかかりましょう。

ステップ2:土地の状況を調査する

土地の売却にあたり、現状の調査を行います。

  • 境界が不明確な部分はないか
  • 登記されていない建物や把握していない残置物はないか
  • 県有地などが含まれていないか

以下のような点を調査していきます。

土地の範囲や権利関係を確認するためには、以下のような書類を取り寄せると良いでしょう。

必要書類 取得場所 期間
登記事項証明書 不動産所在地の法務局(窓口・郵送・オンライン) 窓口受け取りで3~4時間
郵送受け取りで1~3日
固定資産評価証明書 不動産所在地の役所 即日発行

隣地との境界がはっきりしていない場合など、専門的な調査が必要な場合は土地家屋調査士に依頼するのもひとつの方法です。

ステップ3:不動産会社に査定を依頼する

書類の準備や調査と並行して、不動産会社に査定を依頼します。

不動産会社によって得意なエリアや、取り扱い実績はさまざまです。

相続不動産の売却に強い会社を選ぶことが大切ですが、場合によっては複数の会社に相談することも検討しましょう。

この時点で相続登記が済んでいなくても、査定や相談を進めることは可能です。

ただし、売買契約時に相続登記が完了していないと契約を締結することができないので注意が必要です。

ステップ4:媒介契約を結んで売りに出す

依頼する不動産会社を絞ったら、媒介契約を結んで正式に売却活動を開始します。

媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があり、それぞれ活動範囲や報告義務が異なります。

契約の種類 契約できる会社の数 直接取引 報告義務
専属専任媒介 1社のみ 不可 1週間に1度以上
専任媒介 1社のみ 2週間に1度以上
一般媒介 複数 報告義務なし

契約を結ぶ際は、仲介手数料や広告方針、販売戦略について具体的に確認しておくことが重要です。

地域の事情に精通しており、売却経験が豊富な会社に依頼するのが望ましいでしょう。

相続した土地を売却したときにかかる費用について知っておきたいこと

 

相続した土地を売却する際にかかる費用について知っておきたいのは、以下の4点です。

  • 譲渡所得税の計算方法
  • 登録免許税や印紙税などの諸費用
  • 所有期間による税率の違い
  • 3,000万円特別控除の適用要件

ここからはそれぞれについて詳しくみていきましょう。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税とは、土地を売却した際に発生する税金です。

譲渡所得は売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて算出されます。

計算式は以下の通りです。

譲渡所得=譲渡価格 -(取得費+譲渡費用)-特別控除額

取得費として含まれるのは、以下のような費用です。

  • 土地の購入費用
  • 登録免許税、不動産取得税、印紙税
  • 立ち退き料
  • 造成費用
  • 測量費用
  • 所有権確保等に要した訴訟費用
  • 建物の取り壊し費用
  • 土地購入のための借入資金の利子(使用開始までの部分のみ)
  • 別の不動産の購入契約を解除して不動産を取得した場合の違約金

(1)土地や建物を購入(贈与、相続または遺贈による取得も含みます。)したときに納めた登録免許税(登記費用も含みます。)、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税

なお、業務の用に供される資産の場合には、これらの税金は取得費に含まれません。

(2)借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料

(3)土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用

(4)土地の取得に際して支払った土地の測量費

(5)所有権などを確保するために要した訴訟費用

これは、例えば所有者について争いのある土地を購入した後、紛争を解決して土地を自分のものにした場合に、それまでにかかった訴訟費用のことをいいます。

なお、相続財産である土地を遺産分割するためにかかった訴訟費用等は、取得費になりません。

(6)建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用

(7)土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子

(8)既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

引用元:国税庁「No.3252取得費となるもの」

相続した土地では取得費が不明な場合が多く、その場合は売却額の5%を概算取得費として扱う制度が適用されます。

譲渡所得税は所得税と住民税を合わせて課税され、所有期間によって税率が変わります。

登録免許税や印紙税などの諸費用

土地を売却する際は譲渡所得税にも、登録免許税や印紙税などの諸費用が発生します。

相続登記を行う際は、固定資産税評価額に0.4%を掛けた登録免許税が必要です。

売買契約書に貼る印紙の税額は契約金額に応じて、以下のように定められています。(※軽減措置適用済)

  • 1,000万円以下:5,000円
  • 5,000万円以下:10,000円
  • 1億円以下:30,000円
  • 5億円以下:60,000円

司法書士報酬、測量費用、場合によっては残置物の撤去費なども諸費用に含まれます。

諸費用は事前に見積もりを取り、売却益から差し引いて考えるようにしましょう。

所有期間による税率の違い

譲渡所得税の税率は、不動産を保有していた年数によって異なります。

所有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得として扱われ、所得税率は30%です。

これに対し、5年を超えて保有していた場合は長期譲渡所得となり、所得税率は15%と短期より低く設定されています。

不動産を売却して得た利益には、事業所得や給与所得とは別に計算される「分離課税」が適用されます。

売却によって利益が発生した場合、その金額は譲渡所得として扱われ、所得税と住民税の対象になります。

3,000万円特別控除の適用要件

相続した土地に建物があり、一定の条件を満たす場合には3,000万円特別控除が適用されることがあります。

特に「被相続人が一人暮らしで住んでいた住宅」を売却する場合に認められるケースが多いです。

ただし、売却前に居住していた人がいない、または相続開始後に誰かが住んでしまった場合は適用されないなどの条件が、法律により細かく決められています。

(1)特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。)をいいます。

イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。

ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。

ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

引用元:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

制度を利用できるかどうか、事前に専門家に相談することをおすすめします。

相続から3年以内に使える節税特例

相続税が課された不動産を3年10か月以内に土地を売却すると、取得費加算の特例を使えることがあります。

相続税の一部を取得費に加算できるため、譲渡所得を圧縮し税額を抑える効果が期待できます。

また、条件を満たす市街化区域内の低未利用地では、100万円の特別控除を受けられる制度もあります。

これらの特例は期限や要件が細かく決められているため、売却のスケジュールを立てる段階からしっかり確認しておくようにしましょう。

どうしても相続した土地の売却が難しい場合はどうすれば良い?

 

相続した土地がどうしても売りづらい場合の対策として、以下の2つが挙げられます。

  • 賃貸・駐車場・太陽光発電などで収益化を目指す
  • 固定資産税対策を必ずする

ここからは、それぞれについて詳しく解説していきます。

賃貸・駐車場・太陽光発電などで収益化を目指す

相続した土地が売却しづらい場合は、賃貸や駐車場経営、太陽光発電用地として収益化を目指すという選択肢があります。

土地の形状や立地で住宅地として使いづらい土地も、駐車場の需要を見出せるケースも考えられます。

太陽光発電用地は長期的に安定した収益が期待できますが、地域の規制や設備投資、周辺住民への配慮などを総合的に考えることが必要です。

場合によっては、土地運用や法律の専門家のアドバイスを受けることも視野に入れて判断することをおすすめします。

固定資産税対策を必ずする

売却まで時間がかかる場合や、当面売れそうにない土地を所有し続ける場合は、固定資産税の負担を軽減する工夫が必要です。

特に更地は住宅用地に比べて課税額が高くなるため、放置していると固定資産税だけがかさむ結果に。

場合によっては土地を一時的に貸し出すことで住宅用地の特例が適用され、税負担を下げられるケースもあります。

固定資産税は毎年発生するため、売却が長期戦になりそうだと感じた時は節税対策も並行して行うようにしましょう。

相続した土地の売却で起きやすいトラブル

 

相続した土地の売却で起きやすいトラブルとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 相続人の意見や利害が対立している
  • 売却価格に納得できない相続人がいる
  • 土地の境界や権利関係が複雑で調査が難航する

以下からは、それぞれについて詳しくみていきましょう。

相続人の意見や利害が対立している

相続した土地をどのように扱うか、相続人のあいだで意見が対立するケースは非常に多くみられます。

一部の相続人は現金化を希望しているが、他の相続人が土地を維持したいと考えているなど意見が割れている場合、当事者だけで協議を完結させるのは難しいでしょう。

こうした対立は感情的な諍いに発展しやすいため、早い段階で専門家を交えた遺産分割協議を行うのがベストです。

専門家からのアドバイスを受けられるという点にくわえて、中立的な第三者がいることでお互い冷静になれるというのもメリットのひとつです。

売却価格に納得できない相続人がいる

査定結果や売却価格に不満を持つ相続人がいると、売買契約の締結が遅れたり、協議が難航する原因になります。

特に相場感が共有されていないと「安く売りすぎではないか」「自分以外の誰かが得をしているのではないか」という不信感が生じやすくなります。

複数の不動産会社から査定を取り、客観的な相場観を共有するようにしましょう。

第三者である不動産会社から説明を受けることで、相続人間の感情的な対立を和らげる効果もあります。

土地の境界や権利関係が複雑で調査が難航する

土地の境界や権利関係が不明確なままでは、売却時に買主とのトラブルが起きる可能性があります。

古い土地や農地は登記簿と実際の土地利用状況が一致しないまま、長年経過しているケースも少なくありません。

隣家や都道府県とのやり取りが必要になることもあるので、土地の調査には早めに着手することをおすすめします。

相続した土地の売却について専門家に相談した方が良いケース

 

相続した土地の売却について、専門家に相談したほうが良いのは、以下のようなケースです。

  • 共有名義の整理が必要なケース
  • 相続税などの節税対策が必要なケース
  • 無道路地や農地など買い手がつきづらい土地の場合

ここからは、それぞれのケースについて詳しく解説していきます。

共有名義の整理が必要なケース

相続した土地が複数の相続人による共有名義になっている場合、売却前に名義整理を行う必要があります。

共有名義では全員の合意がない限り契約が成立しないため、手続きが煩雑になります。

このようなケースでは相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が土地を取得するかを決定するか、または売却して現金で分配するかを話し合うことになります。

話し合いが難しい場合、連絡が取れない相続人がいる場合は専門家を介することも検討しましょう。

相続税などの節税対策が必要なケース

相続した土地に対して相続税が発生している場合は、売却と並行して節税対策を行いましょう。

相続から3年10か月以内に売却することで適用される取得費加算の特例など、期限が区切られているものも少なくありません。

小規模宅地等の特例や、3,000万円特別控除の適用条件も確認が必要です。

こうした特例は要件が細かく定められているので、税理士に相談しながら進めると安心です。

無道路地や農地など買い手がつきづらい土地の場合

無道路地や農地、市街化調整区域にある土地は、一般の住宅用地と比べて買い手が見つかりにくいのが実情です。

こうした土地を売却する場合は利用方法を工夫したり、地元の事情に詳しい不動産会社に依頼しましょう。

農地の場合は農地法の許可が必要になることもあるため、売却手続きが通常より複雑になります。

売却活動に時間がかかることを見越して、早めに準備を始めることが重要です。

相続した土地の売却でよくある質問

 

相続した土地の売却でよくある質問は以下の通りです。

  • 相続した土地はすぐ売るべき?
  • 税金の申告はいつまでにすれば良い?
  • 売却に失敗したらどうなる?

ここからは、それぞれの質問に回答していきます。

相続した土地はすぐ売るべき?

相続税の申告期限や固定資産税の負担を考えると、早めに売却を検討するメリットは大きいでしょう。

特に相続税を納める必要がある場合、現金化を急ぐことで納税資金を確保しやすくなります。

ただし、価格を焦って決めると相場より安く売却してしまうリスクもあるため、準備と調査は慎重に進めることが大切です。

税金の申告はいつまでにすれば良い?

相続した土地を売却した場合の譲渡所得税は、売却した年の翌年の確定申告で申告します。

相続税を納めている場合、取得費加算の特例を適用するためにも期限を守ることが重要です。

相続税の申告は相続開始から10か月以内、譲渡所得の申告は売却した年の翌年の3月15日までと法律で定められています。

No.4205 相続税の申告と納税「申告の期限と方法」

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。

引用元:国税庁「相続税の申告と納税」

なお、相続税の申告・納税義務は、相続財産が基礎控除額を超える場合に生じます。

基礎控除額は法定相続人の数等に応じて計算されます。

売却に失敗したらどうなる?

買い手がつかず売却が長引いた場合でも、固定資産税や管理費用は発生し続けます。

長期間売れない場合は、価格を見直すか、土地の活用方法を考えるなどの方向転換を求められることも。

いずれの場合も固定資産税や維持費用を節約する対策は、早めに取り組むことをおすすめします。

相続した土地の売却はプロにおまかせください

 

相続した土地をどのように売却するかは、相続人にとって悩ましい問題です。

故人から託された大切な土地を適正価格で売却するなら、地元で数多くの販売実績を積んできた静鉄不動産におまかせください。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは相続開始から土地活用、売却まで一括で支援する「相続ワンストップサポート」を提供しています。

各分野の専門家が連携し、安心・確実な相続を実現します。

相続でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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不動産の相続で起こりやすいトラブルとは?事例をもとに対策を解説

2025.09.05

遺産相続にまつわるトラブルで、相続財産に不動産が含まれているケースがよくみられます。

相続人同士の意見の食い違いや利害の対立が起きてしまい、どのように対処すれば良いかお困りの方も多いのではないでしょうか。

不動産は資産価値が高いだけでなく相続手続きも複雑なため、自分たちだけでトラブルを解決しようとすると、逆に長引いてしまうことも珍しくありません。

この記事では不動産相続におけるトラブル事例や、トラブルを回避するために知っておきたいポイントについて詳しく解説しています。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

不動産相続でトラブルが起きやすい理由

 

不動産は現金や預貯金と異なり、相続財産のなかでも平等に分けづらい部類に入ります。

評価方法には固定資産税評価額、路線価、実勢価格など複数の基準があります。

どれを基準に考えるかは人によって異なるため、相続人全員が納得できる評価にならないことも珍しくありません。

不動産は長年住み慣れた実家や家業の拠点など、感情的な要素が絡みやすい財産でもあります。

「大切な思い出を残しておきたい」という気持ちも「資産として適切に分割したい」という気持ちも、相続人として当然のものです。

しかしこういった意見の相違を抱えたまま話し合いを進めると、相続人同士の関係が悪化してしまうことも。

また、不動産相続では法律や税務の専門知識が必要になります。

誤った知識のままで進めると問題が長期化するだけでなく、登記の未了や権利関係で行き詰ってしまい、売却や活用が進まないケースもあるのです。

遺産分割の難しさと感情的な問題、手続きの複雑さが重なることで、他の相続財産に比べてトラブルが起きやすいといえるでしょう。

不動産相続でよく起きるトラブル

 

不動産相続においてよく起きるトラブルとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 評価額の認識違い
  • 不動産分割方法に対する方針の違い
  • 共有名義や未登記による権利関係の複雑化
  • 特定の相続人への不満や対立
  • 相続税支払いに対する認識違いや準備不足
  • 海外在住の相続人がいることによる連絡・手続き難航化

ここからは、それぞれについて詳しく解説していきます。

評価額の認識違い

固定資産税評価額、路線価、実勢価格のどれを参考にするかで評価額が変わるため、相続人の間で価値に対する認識が一致しないことがあります。

特に市場価格と固定資産税評価額に差がある場合、どちらを基準にするかで意見が割れるケースが多くみられます。

不動産分割方法に対する方針の違い

現物のまま共有にするのか、売却して現金化するのか、あるいは代償分割で調整するのかなど、分割方法の選択は意見が割れやすいポイントです。

例えば「これまで通り自分が住み続けたい」という相続人と、「早く売却して資金化したい」という相続人がいる場合、利害が対立して話し合いが拗れがちです。

共有名義にして分割したとしても、物件の利用や管理を巡って新たなトラブルが発生する事例も多くみられます。

共有名義や未登記による権利関係の複雑化

共有名義になっている土地や、登記がされていない不動産は、権利関係が複雑になっており整理が困難です。

未登記のまま代を重ねている土地は、相続が細分化されて法定相続人が大人数になっています。

こういった場合でも、相続人全員の同意を取って権利関係を整理しないと手続きを進めることができません。

相続人の確定や連絡だけでかなりの時間を要してしまい、肝心の遺産分割をなかなか始められないというトラブルも多くみられます。

特定の相続人への不満や対立

相続でよくみられるのが介護や家業への貢献、被相続人との関係性によって「自分は他の相続人より多くもらうべきだ」という主張です。

実際のところ、裁判等で生前の貢献が相続に反映された事例はさほど多くありませんが、

金額の大小ではなく感情的な問題は客観論で解決しづらいものです。

話し合いが感情論に流れてしまうと、当事者のみで円満に解決するのは難しいでしょう。

相続税支払いに対する認識違いや準備不足

相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に現金で一括納付する必要があります。

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。

引用元:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税「申告の期限と方法」

そのため、納税資金の準備が間に合わず、相続税の支払いが問題になるケースもあります。

なお、相続税の申告・納税義務は、相続財産が基礎控除額を超える場合に生じるもの。

基礎控除額は法定相続人の数等に応じて計算されます。

代償分割で調整する場合も、誰が納税資金を負担するか、どの評価額を基準にするかなどで意見が食い違い、協議がこじれるケースがあります。

海外在住の相続人がいることによる連絡・手続き難航化

相続人に海外在住者が含まれると、通常よりも相続手続きに時間がかかります。

相続登記等に必要な印鑑証明書は日本国内でしか取得できないため、現地大使館で署名証明書を作成しなければなりません。

委任状や同意書に公証を受けて郵送する手間や現地との時差で、書類を揃えるのに数か月かかるケースも珍しくありません。

売却や名義変更の手続きは相続人全員の同意が必要なため、一人でも承認が遅れると手続き全体が止まってしまいます。

こうした状況が長引くと、他の相続人が不満を募らせ関係が悪化したり、固定資産税や維持費の負担だけが続いて経済的な損失が出る可能性も。

海外に相続人がいる場合は、早い段階で必要な書類や手続きを確認し、情報を共有しておくことをおすすめします。

場合によっては海外の手続きに強い専門家に相談することも視野に入れましょう。

トラブルが起こりやすい相続不動産の特徴

 

トラブルが起こりやすい相続不動産の特徴には、以下のようなものがあります。

  • 共有名義や利用目的の異なる不動産
  • 再建築不可、借地権付きなど売却が難しい不動産
  • 管理されていない地方の空き家や放置物件
  • 相続人が多すぎたり、人間関係がこじれている不動産
  • 資産価値が高い不動産

以下からは、それぞれについて詳しく解説していきます。

共有名義や利用目的の異なる不動産

共有名義にした土地や建物は、土地活用や売却に関して意見が分かれやすい資産です。

共有者全員の同意がなければ売却や活用ができないため、一人でも反対すると手続きが進みません。

また、誰かが自宅として使いたい場合と、売却したい相続人がいる場合も利害が一致しにくく、協議が長期化することがあります。

再建築不可、借地権付きなど売却が難しい不動産

建築基準法上の制約で再建築ができない土地や、借地権が付いている不動産は、相続後の活用や売却が難しい部類に入ります。

需要が限られるので評価額が低くなり「本当に売る意味があるのか」「もっと高値で売れるのではないか」など意見が割れやすくなる傾向も。

特に借地権付きの土地では、地権者との交渉がトラブルに発展するおそれもあります。

管理されていない地方の空き家や放置物件

地方にある空き家や長期間管理されていない放置物件は、相続後も活用の見込みが立たず、トラブルが頻発しています。

市町村長が「特定空家等」に対して助言・指導・勧告・命令を行い、命令に従わない場合には行政代執行(強制撤去など)を実施できると定められています。

第14条 空家等の管理に関する民法の特例

2 市町村長は、空家等(敷地を除く。)につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、民法第二百六十四条の八第一項の規定による命令の請求をすることができる。

引用元:空家等対策の推進に関する特別措置法 | 第十四条

放置された空き家は固定資産税がかかるだけでなく、倒壊の危険や犯罪の温床になるなど、近隣にも影響が及ぶ問題へ発展するおそれがあります。

相続人が多すぎたり、人間関係がこじれている不動産

法定相続人の数が多いと意見のすり合わせが難しく、それだけで遺産分割協議の難易度が上がります。

特にもともとあまり仲が良くない親族同士の場合、感情面での対立が原因で話し合いが進まず大きなトラブルになることも。

こうしたケースでは専門家や法的手段を用いるなど、第三者を介したほうがスムーズに解決する可能性もあります。

資産価値が高い不動産

市街地にある土地や収益が期待できる賃貸物件など資産価値が高い不動産は、相続人のあいだで取り合いになってしまう傾向があります。

また、評価額が大きいほど分割方法に対する意見も割れやすく、代償分割や売却益の配分を巡ってトラブルに発展するケースが目立ちます。

不動産相続におけるトラブルと解決例

 

不動産相続におけるトラブルには、以下のようなものがあります。

  • 共有名義で意見が分かれ売却が進められない
  • 評価額の認識が異なり、代償金額で争いが起きた
  • 遺産分割協議書が無効とされ、遺産分割がやり直しになった
  • 土地建物を平等に分割できず、相続人から不満が出た
  • 不動産を占拠している相続人がいる

ここからは、トラブル事例と解決策について詳しくみていきましょう。

共有名義で意見が分かれ売却が進められない

相続した不動産を共有名義にした結果、売却や活用の方針が合わず手続きが止まってしまうことがあります。

共有名義の不動産を処分するには全員の同意が必要なので、一人でも反対者がいると売却できなくなってしまいます。

解決策として、遺産分割協議で単独所有に変更するか、家庭裁判所の調停を利用して全員の合意を取り付けるなどの対策が必要でしょう。

評価額の認識が異なり、代償金額で争いが起きた

不動産の評価基準をめぐって相続人間で金額が一致せず、トラブルへ発展する事例も少なくありません。

こういった場合、複数の不動産鑑定や路線価を用いて客観的な評価額を出し、互いに折り合いをつける解決法がとられます。

それぞれの主観ではなく客観的な数字を共有したうえで、評価方法を統一することが大切です。

遺産分割協議書が無効とされ、遺産分割がやり直しになった

協議書の形式不備や相続人の署名漏れ、協議に参加していない相続人がいると、遺産分割協議書が無効になる可能性があります。

この場合、はじめから遺産分割協議をやり直すことになるため、二度手間になってしまいます。

正確に手続を行うには、司法書士や弁護士に書類の収集や作成代行を依頼するのもひとつの方法です。

土地建物を平等に分割できず、相続人から不満が出た

不動産は物理的に分けることができないので、相続財産のなかでも不公平感が生じやすい部類といえます。

平等に分配することを目指すのであれば、売却して現金化するか、代償分割で調整するのが一般的です。

相続人全員が納得できるよう、司法書士など専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

不動産を占拠している相続人がいる

相続財産である家に相続人が住み続け、他の相続人と協議が進まない例もあります。

相続人による占拠は明け渡しの請求が難しいため、話し合いで解決できなければいつまでも占拠されたままになってしまいます。

早めに専門家に相談して、法律に則った対応を進めることをおすすめします。

不動産相続でのトラブルを未然に防ぐために知っておきたいポイント

 

不動産相続のトラブルを未然に防ぐためには、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。

  • 遺言書を作成する
  • 相続人同士のコミュニケーションを密にする
  • 生前贈与や家族信託の活用

ここからは、それぞれについて詳しく解説していきます。

遺言書を作成する

遺言書は被相続人(亡くなった方)の遺志を明記したもので、相続において最も効力が強い書類です。

第902条 遺言による相続分の指定

被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる

引用元:民法 | 民法第902条

なお、自筆遺言書・秘密証書遺言書がある場合は、家庭裁判所での検認・開封が必要です。

違反した場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。

遺言書に相続財産の分け方や受け取る人を明確に記載しておくことで、相続人同士の争いを大幅に減らす効果が期待できます。

特に不動産は価値や利用方法を巡って意見が割れやすいので、事前に方向性を示しておくことは非常に重要だといえるでしょう。

相続人同士のコミュニケーションを密にする

相続人同士でコミュニケーションを取りお互いの考え方を知っておくのは、トラブルを防ぐうえで非常に大切なことです。

亡くなる前から相続のことを話すのは不謹慎ですが、日頃の会話などからいずれ相続する不動産に対してどういった考えを持っているのか知ることもできるでしょう。

特に不動産は複雑な感情が絡むものなので、相続人同士の意見やスタンスを早めに把握しておくことをおすすめします。

生前贈与や家族信託の活用

不動産のように平等に分配することが難しい財産は、生前贈与や家族信託で管理や承継方法を早い段階で決めておくと安心です。

生前贈与は税負担を分散できるメリットが、家族信託には認知症など将来的なリスクに対応できるというメリットがあります。

被相続人から財産分配の意向を直接聞けるので、相続人にわだかまりが残りにくいというのも共通のメリットといえるでしょう。

不動産相続トラブルが起きたときの相談先

 

不動産相続トラブルが起きたら、どのようなところに相談すれば良いのでしょうか?

  • 司法書士や弁護士など法律のプロに相談する
  • 場合によっては調停や裁判も検討する

ここからは、それぞれについて詳しく解説していきます。

司法書士や弁護士など法律のプロに相談する

不動産相続では登記や権利関係の整理、協議書の作成など慣れない手続きが多数必要になります。

司法書士は登記や書類作成の専門家として、相続初期から相続登記まで幅広く相談することができます。

法的トラブルに発展しそうなときは、弁護士に相談すると良いでしょう。

問題が複雑化する前に専門家へ相談することで、解決までの時間や負担を大幅に減らすことができます。

場合によっては調停や裁判も検討する

話し合いがどうしてもまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を利用して第三者の仲介を受ける方法があります。

調停で解決しない場合は、裁判で法的な判断を仰ぐことになります。

調停や裁判というと怯んでしまう方も多いと思いますが、いったん拗れてしまった話し合いを当事者だけで円満にまとめるのは困難です。

専門家のサポートを受けつつ、法的な手段で解決することも検討してみましょう。

不動産相続にまつわるトラブルはプロに相談しましょう

 

故人の遺した不動産を適正に相続したいというのは、相続人誰しもに共通する願いです。

それだけに意見や利害の不一致から、深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターが提供する「相続ワンストップサポート」は、不動産相続に直面したお客様のお困りごとを解決するサービスとして、多くのお客様から高いご支持をいただいています。

不動産相続にお困りの方は、どうぞお気軽に当社までご相談ください。

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相続した土地を現金で分割する際の分け方を解説!評価額の算出方法や注意点なども紹介

2025.09.05

「相続した土地を現金化して公平に分割したいものの、どうしたら公平な分割ができるのかよくわからない」土地の相続において、このような悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

土地や不動産は物理的に分割できないため、公平な相続を考える上で悩みどころでもあります。

具体的には、ビルなど一つの建物を公平に分割するのは現実的に不可能と言っても良いでしょう。

土地を現金化して分割する場合の選択肢は、基本的に換価分割と代償分割、現物分割の3つです。

この記事では、土地を現金化して分割する方法や、評価額の算出方法、注意点などを詳しく説明しています。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続した土地や現金の分け方3つ!メリット・デメリットも解説

 

相続した土地を現金にして分割する方法は次の3つです。

  • 換価分割
  • 代償分割
  • 現物分割

それぞれの分割方法について詳しく説明します。

換価分割

換価分割とは相続した不動産や株式などを売却し、得られた現金を相続人同士で分け合う遺産分割方法です。

分割しにくい財産を公平に分ける際に用いられます。

メリット

換価分割の最大のメリットは、公平な遺産分割が実現しやすい点にあります。

不動産など分割が難しい財産を現金化することで、1円単位で正確に分配できるようになり、相続人間での評価を巡る争いを回避できるようになります。

また、相続税の納税資金を確保できるため、手元に現金がない場合の納税にも対応可能です。

換価分割は相続トラブルのリスクを大幅に軽減し、円満な相続に繋げることができます。

デメリット

売却するために思い入れのある実家や土地を手放さざるを得ない点が挙げられます。

また、売却には不動産会社の仲介手数料や印紙税、測量費などの諸経費がかかるため手取り額が減少します。

売却益が出れば譲渡所得税によって、税負担が増える(例外的に、取得加算税の特例によって勢負担が軽減できることもあります)ことも考慮しておかなければいけません。

不動産の売却には通常、3ヶ月から1年程度の時間がかかることも要注意ポイントです。

売却には相続人全員の協力が必要なため、意見の対立があると手続きが滞る可能性もあります。

手続きの流れ

換価分割を進めるには、遺産分割協議で土地売却による換価分割の旨を合意のうえ、遺産分割協議書を作成しなければいけません。

次に、被相続人名義の土地を相続人の名義へ変更する「相続登記」を行います。

その後、不動産会社を選定して土地の売却活動を進め、買主と売買契約を締結します。

最終的に売却代金を受け取り、そこから諸経費を差し引いた残額を、遺産分割協議書に定められた割合で相続人全員に分配して完了です。

代償分割

代償分割とは、特定の相続人が不動産などの現物財産を単独で取得する代わりに、他の相続人に対して、相続分に応じた現金を支払うことで、公平に遺産を分ける方法です。

メリット

代償分割の大きなメリットは、不動産などの現物財産を売却することなく残せることにあります。

先祖代々受け継いできた土地や、事業で使用している不動産などを維持したい場合は代償分割が有効です。

特定の相続人が実家を相続して住み続けたい場合も、代償分割が適しています。

その他には、公平な遺産分割が実現しやすい点もメリットです。

分割が難しい現物財産についても、代償金を支払うことで各相続人の相続分を調整し、金銭的に公平な分配ができます。

デメリット

代償分割は、代償金を支払う相続人に相当の資金力が必要です。

不動産は高額なことが多く代償金も多額になるため、手元に十分な現金がない場合はローンを組むなどの金銭的な負担が生じます。

土地の評価額を巡って、相続人同士でトラブルになりやすい点もデメリットです。

代償金の算出には土地の評価が必要ですが、評価方法によって評価額が大きく変わります。

取得したい側は低く、代償金を受け取りたい側は高く評価したい、という思惑の対立が生じる可能性は認識しておいた方が良いでしょう。

手続きの流れ

代償分割では相続人全員で遺産分割協議を行い、特定の相続人が現物財産を取得し、他の相続人に代償金を支払うことの合意が必要です。

遺産分割協議の際に、土地などの評価額や代償金の金額、支払い方法、期限などを明確に定めます。

話がまとまったら合意内容を記載した遺産分割協議書を作成し、署名・捺印します。

最終的には、代償金を受け取る相続人へ決められた期日までに代償金を支払い、必要に応じて不動産の相続登記を行って完了です。

現物分割

現物分割とは、土地、建物、預貯金などの相続財産を、そのままの形で各相続人に分配する分割方法です。例えば「土地は長男に、預金は長女に」といった分け方や、土地を分筆して複数人で分ける場合も現物分割です。

メリット

現物分割は、手続きが比較的シンプルで手間がかかりません。

換価分割や代償分割とは異なり、名義変更などの手続きのみで済むことが多く、費用も抑えられます。

現物分割は相続人が希望する財産をそのまま受け取れるため、故人の思い出の品や事業用資産を維持することも可能です。

相続人間での感情的な対立を避けられる点も大きなメリットの一つです。

デメリット

現物分割は、不公平な分割になりやすい傾向があります。

各財産の評価額が異なるため、相続人それぞれに同等の価値の財産を割り振れないケースが多いです。

結果的に価値の高い財産を受け取った相続人と、そうでない相続人との間で不満が生じてしまいます。

また、土地を分筆して分割する場合、分筆によって土地の価値が下がったり、建築基準を満たせなくなったりするリスクがあります。

物理的に分割が難しい建物など、現物分割ができない財産があることも考慮しておきたいポイントです。

手続きの流れ

まず相続人全員で遺産分割協議を行い、どの相続人がどの財産を相続するか具体的に決定します。

話がまとまったら、現物分割の合意内容を明記した遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・捺印します。

その後、遺産分割協議書に基づき、不動産であれば相続登記、預貯金であれば金融機関での名義変更や払い戻し手続きなど、各財産に応じた名義変更手続きを行って手続きは完了です。

相続した土地を現金で公平な分け方をするうえでの評価額算出方法

 

相続した土地を現金で分割する際の、評価額算出方法は次の3つです。

  • 相続税評価額で算出する
  • 時価で算出する
  • 相続人の主観的評価を考慮して算出する

それぞれの算出方法について、詳しく説明します。

相続税評価額で算出する

相続税評価額は、相続税や贈与税を計算するために国税庁が定めた土地の評価基準です。

主に「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。

路線価方式は、道路ごとに定められた1平方メートルあたりの「路線価」に補正率を掛けて算出します。

路線価は、毎年7月頃に国税庁のウェブサイトで公開される路線価図で確認できます。

倍率方式は、路線価が設定されていない地域で用いられる方法です。

固定資産税評価額に地域ごとの「評価倍率」を掛けて算出します。

評価倍率は国税庁のウェブサイトで確認可能です。

相続税評価額は、実際の市場価格の80%程度で設定されていることが多いです。

公平な算出のポイント

公平な算出には、客観性と正確性の確保が大切です。

路線価や固定資産税評価額といった公的な評価基準に基づき算出し、その計算根拠を明確にします。

評価の客観性を保つことができれば、相続人全員の納得感を得ることができます。

土地の形状や利用状況に応じた各種補正を適切に適用することも忘れてはいけません。

補正により、画一的な評価では見落とされがちな土地の状況が考慮され、より実態に近い評価額となります。

時価で算出する

土地の時価とは、市場で実際に取引される可能性がある価格のことをいいます。

主な算出方法は次の3点です。

  1. 不動産鑑定士による鑑定評価
  2. 不動産会社の査定
  3. 公的価格からの逆算

不動産鑑定士による鑑定評価では、土地の個別的な要因や、周辺の取引事例、収益性などを多角的に分析し、最も客観的で信頼性の高い時価を算出します。

不動産会社の査定では、類似物件の成約事例や現在の売り出し状況、市場の動向などを基に査定額が算出されます。

公示価格からの逆算は、公示価格や相続税評価額、固定資産税評価額などを参考に、市場価格との乖離率を考慮して概算を算出する方法です。

公示価格からの逆算はあくまでも目安であり、実際の取引価格と異なるケースがあります。

公平な算出のポイント

時価での算出においても、ポイントとなるのは客観性と透明性の確保です。

相続人全員が納得できる信頼性の高い評価方法を算出しなければいけません。

最も客観性が高いのは、国家資格を持つ不動産鑑定士による鑑定評価です。

複数の情報源を参考にするのも忘れてはいけません。

不動産会社の査定も参考になりますが、会社によって査定額にばらつきがあるため、複数社に依頼して比較検討すると良いでしょう。

相続人の主観的評価を考慮して算出する

相続税評価額や時価を参考にした算出方法の他には、相続人それぞれがもつ主観的な評価額を参考にする方法もあります。

相続人によって、不動産に対する思い入れや重要度が異なるため、それぞれの感情的な価値を慮る(おもんばかる)ことも大切です。

不動産に対する思い入れを無視して一般的な事例通りの金額で処理しようとすると、不満や対立が起きる可能性が高まります。

公平な算出のポイント

主観的評価を考慮するうえでは、関係者全員の納得を得るための感情への理解と対話による合意形成が必要です。

不動産鑑定士による第三者評価をベースに、主観的な評価を加味します。

最終的には、心理的な納得感で話をまとめることを目指します。

相続した土地を現金で分けるための評価方法を選ぶ際の注意ポイント

 

円満な相続のポイントは、相続人全員の完全な合意を得る事に尽きます。

法律で決められているわけではないため、どの評価額を採用するかで揉めるケースは多いです。

特に、換価分割や代償分割のように金銭のやり取りが発生する場合、評価額が直接、各相続人の受取額に影響するため、公平性が強く求められます。

相続税評価額は税金計算には使えますが、実際の市場価格とは異なるため、代償分割などでは不公平感が生じやすいです。

一方、時価は客観性が高いですが、費用がかかります。

いずれの方法を選ぶにしても忘れてはいけないのが、評価方法と根拠を明確にし、事前に相続人全員で十分に話し合う事です。

納得したうえで合意形成を図ることができれば、無用な揉め事のリスクを抑えることができます。

相続した土地の現金での分け方で揉める前にできる法的・実務的手段

 

相続した土地を現金で分ける際に有効な法的・実務的手段は次のとおりです。

  • 生前対策
  • 遺産分割協議
  • 専門家への依頼

それぞれの手段について詳しく説明します。

生前対策

生前対策は、相続発生後のトラブルや手続きの負担を軽減するために有効です。

主な生前対策として、次の3点が挙げられます。

  1. 遺言書の作成
  2. 生前贈与
  3. 家族信託の活用

遺言書は、あらかじめ自分の意思を明確にしておくことで、相続発生時のトラブルを未然に防ぎます。

換価分割や代償分割など分割方法が指定されていれば、相続発生後の話し合いもスムーズです。

生前贈与は、生前に現金や他の財産を贈与することを言います。

前もって贈与しておくことで、相続財産全体のバランスを調整し、土地に偏りがちな相続財産を現金化しやすい状況に整理できます。

年間110万円までの非課税枠を活用した暦年贈与や、特定の目的に対する贈与特例の利用がポイントです。

よく利用される暦年贈与には、教育資金贈与や住宅取得資金の贈与があります。

家族信託は、土地の所有者が元気なうちに、信頼できる家族に財産の管理・処分を任せる制度です。

家族信託を利用すると、所有者が認知症などで判断能力を失った後も、現金化して分割する際の障害を取り除くことができます。

遺産分割協議

遺産分割協議では、被相続人の遺産をどのように分けるかを話し合います。

相続した土地を現金で分割する際には、換価分割や代償分割といった具体的な方法を決定する重要な場となります。

円満な相続を目指すには、全員の合意が大切です。

合意形成できれば、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

合意内容は、後の証拠となるように遺産分割協議書として書面に残しておきます。

専門家への依頼

土地や不動産の相続に強い専門家は次のとおりです。

  • 弁護士
  • 税理士
  • 司法書士
  • 不動産鑑定士

専門家と依頼のタイミングについて詳しく説明します。

弁護士

弁護士は、相続人の代理人として遺産分割協議に参加します。

法的な観点から公平な分割案を提案したり、相続人の主張を法的に裏付けて交渉を進める立場です。

感情的になりがちな話し合いの場で、冷静かつ客観的な視点を提供し、合意形成をサポートします。

弁護士へ依頼を検討するタイミングは次のとおりです。

  • 相続人同士の意見が対立し、自力での解決が困難な場合
  • 特定の相続人が遺産を独占しようとしている、あるいは話し合いに応じない場合
  • 遺言書の内容に疑問がある場合
  • 他の相続人から不当な要求を受けていると感じる場合

トラブルが深刻化する前に、無理せず相談するのがポイントです。

税理士

税理士は、相続財産の正確な評価を行い、相続税の計算と申告書の作成を代行します。

相続税は計算方法が複雑です。

土地の評価一つとっても、評価方法によって税額が大きく変わる場合があります。

税理士は小規模宅地等の特例や配偶者控除など、適用可能な税制優遇措置を最大限に活用し、適法な範囲で相続税の負担を軽減するアドバイスを提供します。

税理士へ依頼を検討するタイミングは次のとおりです。

  • 遺産の総額が相続税の基礎控除額を超える可能性がある場合
  • 土地や非上場株式など、評価が難しい財産が含まれている場合
  • 相続税の特例を適用したいが、手続きが複雑で分からない場合
  • 節税対策について具体的なアドバイスを受けたい場合

相続税は申告漏れや計算間違いがあると追徴課税の対象になります。

自分での対処が難しいと感じたら、無理せずに専門家である税理士へ依頼しましょう。

司法書士

司法書士は不動産の相続登記の専門家です。

相続した土地を現金で分割する際、換価分割するにしても、代償分割にしても、一度は被相続人から相続人への名義変更が必要となります。

司法書士は必要書類の収集、遺産分割協議書の作成支援、法務局への申請まで一貫してサポートしてくれる心強い存在です。

司法書士へ依頼を検討するタイミングは次のとおりです。

  • 相続財産に不動産が含まれている場合
  • 相続登記の手続きが複雑で、自分で行うのが難しいと感じる場合
  • 遺産分割協議の内容を法的な遺産分割協議書として残したい場合
  • 相続放棄を検討している場合
  • 期限内に相続登記の手続きを完了させたい場合

義務化された相続登記の期限を守るためにも、早めに司法書士への相談を検討することをおすすめします。

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、不動産の適正な経済的価値を客観的に評価する専門家です。

相続した土地を現金で分割する際、特に代償分割においては、土地の評価額が代償金の額に直結するため、公平な評価が求められます。

不動産鑑定士は、周辺の取引事例、収益性、土地の形状、立地条件など、多岐にわたる要素を分析し、客観的な根拠に基づいた鑑定評価書を作成します。

不動産鑑定士に依頼を検討するタイミングは次のとおりです。

  • 代償分割における土地の評価額を巡って、相続人同士の意見が対立している場合
  • 相続財産に、不整形地、広大地、借地権など評価が難しい特殊な土地が含まれている場合
  • 相続税の申告で、土地の評価の根拠を明確にしたい場合
  • 相続人間の公平性を重視し、誰からも異論が出ないような客観的な土地の評価額を知りたい場合

不動産の評価は専門的な知識が必要です。

相続で揉める原因になりそうな不動産があれば、早めに不動産鑑定士へ依頼した方が良いでしょう。

相続した土地の現金での分け方についてよくある質問

 

相続した土地を現金で分割する際によくある質問を4つピックアップしました。

  • 相続した土地を売却して、売却代金を相続人全員で分けることはできますか?
  • 特定の相続人が土地を相続し、その代わりに他の相続人に現金を渡すことはできますか?
  • 相続した土地を共有名義にするとどのようなトラブルが発生しますか?
  • 複数の相続人の間で話がまとまらない場合はどうしたら良いですか?

それぞれの質問について詳しく回答します。

相続した土地を売却して、売却代金を相続人全員で分けることはできますか?

換価分割を使えば、売却代金を相続人で分割できます。

換価分割では遺産分割協議で土地を売却して現金で分けることに合意した後に、不動産会社を通じて土地を売却します。

諸経費を差し引いた売却代金をみんなで分割する方法です。

特定の相続人が土地を相続し、その代わりに他の相続人に現金を渡すことはできますか?

代償分割という方法によって実現可能です。

代償分割では、1人の相続人が土地や不動産を取得する代わりに、相当の評価額を他の相続人へ分配します。

公平性を確保できる方法ですが、ある程度まとまった資金を用意しなければいけません。

相続した土地を共有名義にするとどのようなトラブルが発生しますか?

安易に土地を共有名義にしてしまうと、後々トラブルの元となりかねません。

過去の事例から、想定されるトラブルを3つピックアップしました。

  • 土地に関する重要な意思決定をする際に、共有者全員の同意が必要となる
  • 固定資産税や維持管理費などの負担割合で揉める可能性がある
  • 持ち分が次の相続人に引き継がれ、共有者が雪だるま式に増えていく

事情によって共有名義を選択せざるを得ない場合は、想定されるトラブルをあらかじめ認識しておきましょう。

複数の相続人の間で話がまとまらない場合はどうしたら良いですか?

遺産分割協議で話がまとまらない場合は、段階的に解決を目指します。

一般的な段階は次の3つです。

  1. 弁護士への相談
  2. 遺産分割調停の申し立て
  3. 遺産分割審判への移行

まずは円満解決のために、弁護士へ仲介を依頼します。

弁護士による交渉でも合意に至らない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。

遺産分割調停は、裁判官と調停委員が仲介に入って、最適な解決策をアドバイスしてくれる制度です。

調停で合意に至らなかった場合は、自動的に「遺産分割審判」へ移行します。

最後は裁判所の判断によって遺産分割が決定されます。

相続した土地の現金での分け方に迷っている方は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへご相談ください

 

相続人が多い場合、土地の分割は簡単ではありません。

相続人それぞれの思いが交錯するため、合意形成ができずに泥沼化する可能性もあります。

相続した土地を現金化して分割するには、換価分割や代償分割、現物分割がありますが、評価額や売却額などを巡って争いに発展するケースも多いです。

公平な土地の相続手続きが難しいと感じたら、無理せずに専門家への依頼をおすすめします。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターでは、相続に特化したワンストップサポートでお客さまの課題を解決しています。

窓口が一元化されるため、手続きに奔走する必要がありません。

長年の実績とノウハウに裏付けされた、迅速丁寧な解決とサポートを心がけております。

相続にお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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未登記建物の相続はどうしたら良い?放置のリスクや相続登記の手順を紹介

2025.08.28

「亡くなった親の家を相続したら、未登記建物だった!」という事態に陥ったことはありませんか。

こうした状況に直面している方の中には「この家はどうなってしまうのか」「何から手をつけたら良いのかわからない」など、不安と混乱に苛まれている方もおられるのではないでしょうか。

未登記の建物は、複雑さ故に手続きを後回しにしてしまうケースが少なくありません。

しかし、放置すると将来の売却や活用が困難になるだけでなく、子や孫の世代にまで大きな負担を遺すことになります。

この記事では、未登記建物の相続で直面するであろう疑問や不安を解消し、スムーズに手続きを進めるための具体的なステップをわかりやすく解説していきます。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続における未登記建物はなぜ複雑なのか?

 

未登記建物の相続はなぜ複雑なのでしょうか。

考えられる要因を3つピックアップしました。

  • 法的に整理されていないから
  • 登記の手続きが相続時に集中するから
  • 相続登記が義務化されたから

それぞれの要因について詳しく説明します。

法的に整理されていないから

未登記建物が複雑な理由の一つに、法的な所有者が明確でないことが挙げられます。

登記簿が存在しないため、誰が所有者なのか、建物がいつ建てられたのかといった情報が公的に証明できません。

未登記建物は遺産分割協議で揉めやすくなったり、将来的な売買や担保設定が困難になったりするなど多くの問題を孕んでいます。

相続において、登記で所有権を明確にすることは必要不可欠です。

登記の手続きが相続時に集中するから

本来、建物が完成した際にすべき登記がされていないと、相続手続きと同時に「建物表題登記」と「相続登記」の両方を行わなければいけません。

未登記建物の存在によって、相続人全員の協力が必要になったり、古い書類の探索や専門家への依頼が一度に重なったりするため、手続きが煩雑になり、手間と費用が増大します。

相続登記が義務化されたから

2024年の法改正により、登記済み不動産については相続登記が義務化されました。

(相続等による所有権の移転の登記の申請)

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

引用元:民法 | 第76条の2

ただし、相続登記の義務化は「登記済みの不動産」が対象であり、未登記建物そのものには直接は当てはまりません。

しかし、未登記建物を放置しておくと、相続時に「建物表題登記」と「相続登記」を同時に行う必要があるため手続きが複雑化します。

そのため、法的義務の対象ではない場合でも、早めに登記を済ませておくことが重要です

未登記建物の相続でまず確認したいポイント

 

未登記建物の相続で確認したいポイントは次のとおりです。

  • 本当に未登記なのかを確認する
  • 誰が建物を建てたのかを確認する

それぞれのポイントを詳しく説明します。

本当に未登記なのかを確認する

毎年送付される固定資産税の納税通知書は、重要な手がかりとなります。

通常、課税対象となる建物には「家屋番号」が付与されています。

家屋番号が記載されている場合、その建物は少なくとも「表題登記」が完了している可能性が高いです。

家屋番号をもとに、建物所在地を管轄する法務局で「登記事項証明書」を取得できます。

登記事項証明書に建物の情報が記載されていれば、登記が完了していることが確認できるでしょう。

一方で、家屋番号が記載されていない場合は、法務局で「固定資産評価証明書」などを提出し、建物情報を調べてもらう必要があります。

その結果、登記が見つからなければ未登記の可能性が高いといえます。

誰が建物を建てたのかを確認する

原始取得者が誰なのかを確認します。

原始取得者の確認は、相続手続きにおける所有権の証明に不可欠な情報です。

もし被相続人が建物を建てたのであれば、相続人は被相続人から建物を相続したとして手続きを進めることができます。

一方で、もし被相続人のさらに前の世代が建物を建て、そのまま未登記で被相続人が相続していた場合、まず被相続人の親から被相続人へ、そして被相続人から現在の相続人へと、二段階の相続を証明しなければいけません。

建築確認申請書や工事請負契約書などの書類があれば、誰が建てたかを特定する証拠となります。

古い建物では建築に関する書類がないことも多いため、固定資産課税台帳や住民票の除票などを通じて確認します。

原始取得者の確認を怠ると、手続きが複雑化し時間や費用が余計にかかるため、しっかり確認しておきましょう。

未登記建物を相続登記する時の流れ

 

未登記建物を相続登記する時の流れは次のとおりです。

  • ステップ1:建物表題登記
  • ステップ2:所有権保存登記・相続登記

手続きごとの詳細を説明します。

ステップ1:建物表題登記

建物表題登記は、まだ登記されていない建物について、所在、種類、構造、床面積など、建物の物理的な現況と所有者を初めて登記簿に記録する手続きです。

建物表題登記によって、建物が公的に存在することを証明できます。

手続きの概要と必要書類

建物表題登記の申請には、建物の所有者であることと、建物の物理的な状況を証明する書類が必要です。

具体的な必要書類は次の4点です。

  • 申請書
  • 所有者の住民票や印鑑証明書
  • 建物の情報を証明するための建物図面・各階平面図
  • 建築確認済証や検査済証、工事完了引渡証明書など

建物表題登記の申請先は建物の所在地を管轄する法務局です。

申請は専門知識が必要になるため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

ステップ2:所有権保存登記・相続登記

建物表題登記が完了し、建物に不動産番号が付与されたら、次に所有権保存登記と相続登記を行います。

所有権保存登記は、建物表題登記後に所有権を初めて登記することを指します。

相続登記は、その所有権を相続によって取得したことを記録するものです。

手続きの概要と必要書類

手続きに必要な書類は次のとおりです。

  • 登記申請書
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本と住民票
  • 遺産分割協議書(遺言書がある場合は遺言書)

相続関係を証明する書類一式が必要となります。

また、固定資産税評価証明書も登録免許税算出の際に必要です。

所有権保存登記・相続登記も建物の所在地を管轄する法務局に登記申請書と必要書類一式を提出して申請します。

通常は専門家である司法書士へ依頼するのが一般的です。

未登記建物の相続登記で知っておいたほうが良いこと

 

未登記建物の相続登記について知っておいた方が良いことを6つピックアップしました。

  • 時間と手間がかかる
  • 費用がかかる
  • 書類収集が難しい場合がある
  • 相続放棄と未登記建物の関係性
  • 相続登記を放置するとリスクがある
  • 専門家に相談すべきタイミング・判断基準

それぞれのポイントについて詳しく説明します。

時間と手間がかかる

未登記建物の相続登記は、2段階の手続きが必要となるため、通常の手続きよりも時間がかかります。

相続登記の前に、まずは建物の物理的な存在と所有者を公的に証明する、建物表題登記を行う必要があります。

建物表題登記には、古い書類の探索や、土地家屋調査士による現地調査、図面作成などが必要です。

場合によっては数週間から数ヶ月程度の時間がかかる可能性があります。

所有権を相続人へ移転させる所有権保存登記・相続登記ができるようになるのは、建物表題登記が完了し、登記簿が作成されてからです。

所有権保存登記・相続登記の手続きも、相続関係を証明する戸籍謄本などの収集や、遺産分割協議の調整などのために、ある程度の時間がかかります。

費用がかかる

未登記建物の相続登記には、先述の建物表題登記が必要になるため、余計に費用がかかります。

建物表題登記は専門性が高いことから、専門家である土地家屋調査士に現地調査や図面作成を依頼するのが一般的です。

費用は建物の規模や形状によって異なりますが、一般的に数十万円程度かかります。

他には、所有権の移転を登記する所有権保存登記・相続登記のために、司法書士への報酬が発生します。

また、登記の際の登録免許税も必要です。

書類収集が難しい場合がある

未登記建物が古い場合、必要な書類の収集が難しいケースがあります。

建物の物理的な情報を登記する建物表題登記に必要な、建築確認済証や検査済証、工事請負契約書がないパターンはよくあるケースです。

以上の書類がない場合は、固定資産税の納税通知書や近隣住民の証明書など、代替書類を探し出して法務局に個別に相談しなければいけません。

相続放棄と未登記建物の関係性

未登記建物を相続放棄した場合、その物件は次の順位の相続人に引き継がれます。

もし誰も相続人がいない場合、最終的には相続財産管理人が選任され、未登記建物を含む遺産全体が管理・処分されます。

相続放棄をしても、次の相続人が見つかるまで管理義務が残る可能性がある点には要注意です。

安易な放置は、近隣トラブルや損害賠償問題に発展するリスクがあります。

相続登記を放置するとリスクがある

相続登記を放置すると法的な権利者を第三者へ立証することができないため、売却や担保設定が困難になります。

いざ建物を売ろうと思っても、登記が完了していないため買主が見つかりにくく、手続きも大幅に遅れがちです。

また、未登記のまま次の相続が発生すると権利関係がさらに複雑化します。

相続人の一人である親が亡くなった場合、その子である孫たちも新たな相続人になります。

世代を超えることで権利者が増えていき、時間が経過するほど全員の合意形成は難しくなるでしょう。

専門家に相談すべきタイミング・判断基準

未登記建物の存在を把握した時点で「何から手をつけたら良いのかわからない」と感じたら、専門家への相談を検討した方が良いでしょう。

未登記建物は、通常の相続とは異なる複雑な手続きが必要となるため、自己判断で進めるとかえって事態を悪化させてしまいます。

特に、相続人同士の意見がまとまらない場合や、古い書類が全く見つからない場合、法律的な知識が必要な局面では、早急に相談すべきです。

具体的な相談先は、建物の物理的な登記手続きを専門とする土地家屋調査士、相続登記や遺産分割協議書の作成を専門とする司法書士です。

また、相続人同士の紛争がある場合は弁護士への相談を検討します。

未登記建物の相続でよくあるトラブル

 

未登記建物の相続について、よくあるトラブル事例を2つ紹介します。

  • 共有名義人の死亡
  • 境界線の紛争や隣地トラブル

トラブル事例について詳しく説明します。

共有名義人の死亡

未登記建物は、複数の相続人の共有名義になっているケースが少なくありません。

共有名義の状態で登記をせずに放置していると、共有名義人の一人が亡くなった際、その持分がさらに次の相続人に細かく分かれてしまいます。

時間の経過によって複雑化した権利関係の元では、円滑な合意形成はかなり難しいです。

建物の売却と改修において、大きな障害となるでしょう。

未登記建物の共有名義人の死亡は、将来の売却や活用の妨げとなるだけでなく、子や孫の世代にまで大きな負担を遺す原因となります。

境界線の紛争や隣地トラブル

登記されていない建物は、土地の登記情報と建物の情報が一致しないことが多く、建物の正確な位置や敷地の境界線が不明確なまま放置されているケースが多いです。

相続の発生後、いざ建物の売却や取り壊しを進めようとした時に、隣接する土地の所有者との間で、境界線の認識に食い違いが生じ、紛争に発展することがあります。

特に古い建物の場合、塀や擁壁が境界線と認識されていたとしても、測量するとずれているケースがよくあります。

境界線トラブルを避けるには、相続時に土地家屋調査士に依頼して正確な測量を行い、境界線を確定させておきましょう。

未登記建物の相続でよくある質問

 

未登記建物の相続についてよくある質問を4つピックアップしました。

  • 未登記でも固定資産税はかかりますか?
  • 未登記建物の売却は可能ですか?
  • 未登記建物を担保にしてお金を借りられますか?
  • 他の相続人が協力してくれない場合はどうしたらいいですか?

それぞれの質問について詳しく説明します。

未登記でも固定資産税はかかりますか?

未登記であっても、固定資産税はかかります。

固定資産税は、登記の有無にかかわらず、市町村が管理する固定資産課税台帳に登録されている建物に対して課税されます。

根拠となっている法律は以下の通りです。

第三百四十三条 固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。

引用元:民法 | 第343条

市町村の職員による現地調査の結果、建物の存在が確認されれば、建物の所有者と判断された人物(相続人など)に納税義務が発生します。

未登記だからと言って、税金の支払い義務が免除されることはありません。

未登記建物の売却は可能ですか?

未登記建物の売却は、事実上難しいと言わざるを得ません。

法的な所有者が明確でないため、買主は所有権を取得したことの証明ができず、安心して取引ができないためです。

多くの買主は、所有権が法的に確定していない物件の購入を避けます。

また、金融機関も未登記建物を担保として評価しないため、住宅ローンを利用できません。

未登記建物を売却するには、まず建物表題登記と所有権保存登記を完了させ、所有権を明確にすることが必要です。

未登記建物を担保にしてお金を借りられますか?

未登記建物を担保にお金を借りることは、原則としてできません。

金融機関は不動産を担保として融資する際に、その不動産に抵当権を設定します。

しかし、登記されていない建物は、公的に所有権が証明されていないため、抵当権を設定することができません。

未登記建物は担保としての価値が認められず、融資の対象とならないのが一般的です。

未登記建物を担保に融資を受けたい場合は、事前に建物表題登記と所有権保存登記を完了させる必要があります。

他の相続人が協力してくれない場合はどうしたらいいですか?

他の相続人が協力的でない場合は、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てる方法を検討します。

遺産分割調停は、調停委員が当事者間の話し合いを仲介し、合意形成を目指す手続きです。

調停でも解決しない場合は、遺産分割審判に移行した後に裁判官が判断を下すことになります。

建物表題登記を単独の相続人から申請できる場合がありますが、所有権保存登記は原則として全員の協力が必要なため、いずれにしろ話し合いや法的な手続きは必要です。

未登記建物の相続にお悩みの方は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへご相談ください

 

未登記建物の放置は、新たな法改正によって、法的に責任を問われるようになりました。

多少の手間はかかるものの、早めに対処しておけば相続登記に漕ぎ着けるのも難しくありません。

しかし、数世代に渡って放置され続けてきた未登記建物を相続登記するのは大変です。

相続人が多い場合や共有名義となっている場合は、より困難を極めるでしょう。

相続登記がされていないと、処分さえできません。

静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターは、それぞれの士業との連携によって、お客さまの課題をワンストップで解決しています。

複雑な未登記建物の登記に悩まされている方は、ぜひ一度ご相談ください。

数多くの事例から、最善と思える解決策を提案させていただきます。

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はじめての不動産相続で税理士に相談するのはあり?注意点や必要書類を解説

2025.07.29

相続で財産を引き継いだ際に、多くの方が悩むのが不動産に関する取り扱いです。

不動産は評価や税務処理、申告に複雑な部分が多いため、手続きに手間や時間がかかります。

また、申告を誤ると二度手間になるだけでなく、税負担が増加するというリスクも。

この記事では、税理士に相談するメリットや注意点をわかりやすく解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

不動産相続を税理士に依頼するメリット

不動産相続を税理士に依頼するメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 正確に相続税の申告ができる
  • 節税につながる特例などのアドバイスを受けられる
  • 税務署での手続代行など進行がスムーズになる
  • 二次相続などの相談ができる
  • 生前対策ができる

ここからは、それぞれについて詳しくみていきましょう。

正確に相続税の申告ができる

相続税の申告は、不動産評価額をもとに行います。

根拠にした評価額自体が誤っていると過少申告や過大申告になってしまい、追加の手続きに時間や手間を要することに。

税理士に依頼すれば、最新の税制や評価基準に基づいて正確な申告が行えるため、安心して手続きを進められます。

必要書類の収集や書類作成、記載内容のチェックも代行してもらえるので、時間や手間を大幅に節約できるのもメリットといえるでしょう。

節税につながる特例などのアドバイスを受けられる

不動産相続では「どのような土地を」「誰が相続するか」によって、利用できる制度や特例が大きく異なります。

不動産は財産のなかでも価値が高いものが多く、制度や特例を利用できるかによって税額が大きく変わることも珍しくありません。

しかし特例や制度を利用する要件には複雑なものも多いため、専門知識を持つ税理士の判断を仰ぐのがベストです。

相続人や財産の状況、今後の不動産活用など、それぞれの事情に合わせた節税対策についてサポートしてもらうことで、税負担や手続きを軽減する効果が期待できます。

税務署での手続代行など進行がスムーズになる

税理士からは税務署からの問い合わせへの返答や、いつ申告を行えば良いかなどのタイミング調整などのアドバイスが受けられます。

相続登記に必要な書類収集や整理に、各種手続のスケジュール管理にも対応してくれるので、相続登記がスムーズに進められます。

平日は仕事で動けないという方や、相続する不動産が複数ある場合などは、特に大きなメリットになるでしょう。

二次相続などの相談ができる

二次相続とは、一次相続で相続人になった配偶者が亡くなった際に発生する二度目の相続のことです。

一例を挙げると、父親が亡くなって母親と子どもが相続人になるのが一次相続で、その後に母親が亡くなった際に発生するのが二次相続です。

この場合で相続人になるのは子どもですが、一時相続時に適用できた「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」が使えなくなるため、課税対象となる財産の割合が増え、結果として相続税の負担が大きくなる可能性があります。

これから発生するであろう相続も見越したうえで相続対策を行うなら、専門家評価誤差による長期的な計画が欠かせません。

今後のリスクを考慮した財産の分割方法や、生前贈与の活用法など家族構成や財産の状況に合わせたサポートを受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。

生前対策ができる

亡くなったあと、遺された人たちに迷惑をかけないよう生前対策を考える方は少なくありません。

税理士に相談することで生前贈与や不動産信託といった、相続対策にも早めに取り組むことができるでしょう。

特に不動産は、相続トラブルの原因になりやすいという側面もあります。

不動産の権利を特定の相続人に譲渡してトラブルを未然に防いだり、年間110万円まで非課税となる暦年課税制度を活用して、数年にわたり贈与を分散させることで、贈与税の負担を抑えながら資産を移転する計画も立てられます。

贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から暦年課税に係る基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。

引用元:国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」

不動産相続を税理士に依頼するデメリット

 

不動産相続を税理士に依頼するには、次のようなデメリットも把握しておく必要があります。

  • 税理士報酬がかかる
  • 税理士によって得意分野やスキルが異なる

ここからは、それぞれについて詳しくみていきましょう。

税理士報酬がかかる

税理士への依頼には、報酬を支払う必要があります。

報酬の相場は相続財産の額に応じて変動しますが、複雑な案件ほど高額になる傾向があります。

節税効果や時間と手間を節約するという意味では、結果的にプラスになるという考え方もできますが、まずは事前に見積もりを取って費用感を掴むのも大切です。

どういったサポートをしてもらえるのか、費用はいくらかかるのかをしっかり把握したうえで依頼しましょう。

税理士によって得意分野やスキルが異なる

税理士にはそれぞれ得意分野があり、すべての税理士が不動産相続を得意としているわけではありません。

不動産相続は土地や建物の評価、適用できる特例や制度など高度な専門知識が求められます。

実務経験の浅い税理士に依頼した場合、節税できるポイントを見落としたり、思ったようなサポートを受けられない可能性もあるので、過去の事例や得意分野を調べてから相談に臨むことも大切です。

不動産相続に関する税理士を選ぶ際にチェックしたいポイント

 

不動産相続を税理士に依頼する際、どういった基準で選べば良いのでしょうか。

ここでは、税理士を選ぶ際にチェックしたいポイントを次の3点に絞って解説します。

  • 不動産相続を得意としているか
  • サポート体制は充実しているか
  • 費用体系は明瞭か

各ポイントを、詳しく見ていきましょう。

不動産相続を得意としているか

税理士にもそれぞれ得意としている分野があります。

不動産相続に関する実務経験を積んでいる税理士は、最新法令をきちんと把握しているだけでなく、さまざまな情報やノウハウを蓄積しています。

税理士事務所の公式サイトで経歴や過去の事例を確認したうえで、無料相談などで直接話をして見極めることが大切です。

サポート体制は充実しているか

不動産相続は書類の準備や申告手続きなど、多くの作業が発生します。

スムーズに手続きを進めるうえで、問い合わせへのスピーディーな対応や連絡手段の選択肢は大切なポイントです。

次のような項目は相談時にチェックしておきましょう。

  • メールやLINEで相談できるか
  • 対応受付時間は明記されているか
  • 質問に対する回答が的確か
  • 必要な手続きや費用、書類について丁寧に説明してくれるか

費用体系は明瞭か

税理士報酬の計算方法は、事務所ごとに異なります。

着手金、成功報酬、固定報酬のいずれかが一般的ですが、事務所によってはこれらを組み合わせた費用体系になっていることも。

費用のことを面と向かって聞くのは気が引けるという方も多いと思います。

トラブルを回避するには依頼前に見積書を作成してもらい、追加費用の有無や費用発生のタイミングを事前にしっかり確認しておくことが大切です。

費用に関する質問にきちんと答えてくれるかという点も、税理士を選ぶうえで大きなポイントになります。

不動産相続を税理士に依頼した際の費用相場の試算方法

 

不動産相続を税理士に依頼する際の報酬は、相続財産の総額から算出されるケースが一般的です。

「相続財産の総額×1%」や「基本料金+加算報酬」のように計算されますが、実際には「遺産総額〇〇万円までは〇〇万円」というふうに、段階を分けて報酬を設定しているところが多いようです。

簡易な申告であれば20万円前後で済むこともありますが、土地や建物の評価が複雑な場合は、50万円を超える可能性もあります。

相続人の人数や不動産の数、申告期限までの残り日数なども加算報酬として計算されるため、相談の前に情報を整理しておくことも大切です。

報酬額が相場より高くなるケース

相続不動産の評価に複数回の現地調査が必要な場合、期限直前の対応などが含まれると、報酬が高額になる傾向があります。

また、名義変更や登記関連業務の一部を司法書士と連携して代行するケースでは、別途費用が発生することもあります。

総額だけにこだわらず、依頼した内容と対応範囲から報酬が妥当かを考える視点も必要だといえるでしょう。

不動産相続で税理士に依頼したほうが良いケース

 

不動産相続を税理士に依頼したほうが良いケースとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 相続不動産が複数ある場合
  • 土地が共有名義になっているとき
  • 相続を巡って争いが生じている場合
  • 土地や建物の評価が複雑なとき
  • 賃貸物件の引き継ぎがあるとき
  • 税務調査や二次相続の心配があるとき

ここからは、それぞれについて詳しくみていきましょう。

相続不動産が複数ある場合

複数の土地や建物を相続する場合、それぞれの評価方法が異なるため、かなりの手間と時間を要します。

立地や形状、道路との接続をそれぞれ確認し、特例や制度を利用できるのか物件ごとに確認していかなければなりません。

誤った評価のまま相続税を申告してしまうと、過少申告や払い過ぎが発生する可能性も。

特に相続で初めて不動産評価に触れるという方は、最初からプロの税理士に依頼することをおすすめします。

土地が共有名義になっているとき

共有名義の土地は、共有名義人の相続人が引き継ぐことになっています。

すぐに処分する予定がない不動産でも、共有名義のまま放置していると相続によって共有名義人が増えるなど、トラブルの原因になることも。

相続をきっかけに共有名義を解消する場合、売却や分筆といった方法が考えられますが、他の共有名義人との交渉が必要になるケースも少なくありません。

税理士であれば、状況に応じた最適な手段を提案してくれるだけでなく、共有名義人とのやり取りについても相談することができます。

さらに、税金対策にも対応してもらえるため、トラブルや損失を防ぐという観点からも、税理士に依頼することをおすすめします。

相続を巡って争いが生じている場合

相続人間で意見が対立している場合、税務処理だけでなく相続手続そのものがストップしてしまう可能性があります。

相続税の申告期限は原則として相続開始から10か月以内と定められており、場合によっては期限に間に合わなくなってしまうことも。

プロの税理士があいだに入ることで、専門家の立場から財産の評価や税額の見積もりを行えます。

専門家の意見が入ることで、感情的な対立をクールダウンさせるという副次的な効果も。

必要に応じて部分的な申告などの提案を行うことで、手続を停滞させず進めていけるという効果も期待できます。

土地や建物の評価が複雑なとき

傾斜地や無道路地、市街化調整区域内の土地、建物付きの物件などは評価が難しく、場合によっては評価誤差が数百万円に及ぶこともあります。

たとえば無道路地は道路に面していないため価値が下がる傾向があり、市街化調整区域内の土地は建築制限があるため、一般の宅地よりも低い評価になります

こうしたケースでは路線価や倍率表にくわえて、補正率や個別事情を加味した評価が必要です。

税理士はこのような特例的な評価方法についての実務経験を積んでいるので、自分たちでは手に負えないような複雑な不動産評価にも対応してもらえます。

賃貸物件の引き継ぎがあるとき

収益物件を相続する場合、相続前後の家賃収入の扱いや管理費・修繕積立金の取り扱いが問題になります。

  • 相続手続中に発生した家賃は誰の収入として申告するか
  • 敷金や保証金の処理をどうするか
  • 相続人が会社員の場合、どのように家賃収入を取り扱うか

他にも確認しなければならない事項が、次々と出てくるでしょう。

相続に関わる税務や申告は、税理士の専門とする分野です。

賃貸物件の相続は今後の税金や申告にも大きく関わってくる問題なので、早めに専門家に相談することが大切です。

税務調査や二次相続の心配があるとき

相続税を申告したあと、内容の不備や疑義があると税務調査が行われることがあります。

不動産評価や申告のミスを最大限防ぎ、税務調査のリスクを下げるには税理士のサポートを受けるほうが良いでしょう。

また、一次相続の内容が二次相続に大きく影響するため、長期的な視点からの節税対策も必要です。

専門知識豊富な税理士に、現在だけでなく遺される家族のことも考えた相続プランを立ててもらうことをおすすめします。

不動産相続で税理士に依頼する際の必要書類

 

不動産相続を税理士へ相談する際は、相続人や相続財産に関する書類をあらかじめ用意しておくとスムーズです。

一般的に必要とされる書類は、以下の通りです。

  • 相談者の本人確認書類(マイナンバーカード等)
  • 被相続人(なくなった人)の出生から死亡まで記載された戸籍謄本
  • 法定相続情報一覧図
  • 遺言書(あれば)のコピー
  • 遺産分割協議書のコピー
  • 相続する不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)
  • 固定資産税課税明細書
  • 賃貸借契約書(あれば)
  • 建物図面(あれば)

依頼する税理士や不動産の種類、状況によって必要な書類は異なります。

ここに挙げた書類は原則として必要になることが多いものなので、税理士に相談する前に必要書類についても確認しておくことをおすすめします。

相続不動産に関する申告ミスや特例適用は、プロに任せるとスムーズ!

 

不動産の相続は何度も経験することではないうえ、耳慣れない用語も多いものです。

また、相続財産のなかでも資産価値が高いことが多いため、相続税額に直接影響を与えることも少なくありません。

静鉄不動産は地域に根差した不動産会社として、地元のお客様に寄り添ったサービスを提供してきました。

このたび相続全般のサポートに特化したサービスとして「相続ワンストップサポート」を開始いたしました。

税理士や司法書士をはじめとする相続のプロと連携し、オーダーメイドの相続対策をご提案いたします。

どうぞお気軽にご相談ください。

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不動産の相続を弁護士に依頼すべきシーンとは?メリットやタイミングと相場などを解説

2025.07.29

不動産相続において、弁護士は士業の中で最も多くの項目を対応することができます。

しかし、実際は不動産相続において最初から弁護士に依頼することは少なく、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士に、相続税の申告は税理士に、遺産分割において親族間で揉めてしまった場合に弁護士に依頼することが多いです。

なぜなら、遺産分割において発生したトラブルに介在できるのは士業の中でも弁護士だけだからです。

この記事では、不動産相続を弁護士へ依頼すべきシーンや、依頼するメリット、依頼費用の相場などをくわしく解説します。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

不動産相続における揉め事に介在できるのは弁護士だけ

不動産相続において、各士業が対応できる項目は次表の通りです。

業務
弁護士
司法書士
行政書士
税理士
相続登記の申請代理(不動産の名義変更) × ×
遺産分割の交渉代理(当事者間の代理交渉) × × ×
遺産分割の調停・審判の代理(家庭裁判所) × × ×
遺産分割協議書の作成 △(※1)
相続放棄申述書など「家庭裁判所」提出書類の作成 〇(※2) × ×
相続税の申告・税務相談 △(※3) × ×
遺言書作成サポート(自筆/公正証書の文案・公証役場手配等) △(※4)

※1:税理士は税務観点からの助言は可能だが、法的紛争の代理や裁判所手続は不可。

※2:司法書士は「裁判所提出書類の作成」は可(代理人としての出廷・訴訟代理は不可)。

※3:弁護士が税理士資格を併有する場合は相続税申告も可。通常は税務申告は税理士の業務。

※4:税理士は税務面の助言は可。文案作成・手配は対応可否が事務所によって分かれる。

遺産分割の調停・審判の代理(家庭裁判所)や遺産分割の調停・審判の代理(家庭裁判所)など、不動産相続において親族間で揉め事が発生した場合に対応できるのは弁護士だけです。

【大前提】弁護士は依頼した方の味方

弁護士は第三者的かつ中立なイメージがある方が多いと思いますが、大前提として弁護士は依頼した方の味方です。

相続人同士でトラブルが発生した場合に、相続人全員が合意の上で弁護士に依頼した場合は、第三者的かつ中立的な立ち位置で揉め事を解決してくれますが、全員の同意がない場合、弁護士は依頼された相続人の味方となります。

たとえば、揉めている相手が弁護士を雇った場合、「向こうが弁護士を依頼してくれたから、この揉め事も中立的に話がまとまるだろう」と考えるのは大間違いです。

依頼した相続人がスムーズに話を進められるように弁護士は動くので、他の相続人も弁護士に依頼して進めるなどの対応が必要になります。

一方で、相続人の中に厄介な方がいて揉めている場合は、弁護士に依頼することで厄介な交渉の窓口になってくれるだけではなく、その後の調停から審判まで一括して引き受けてくれるため、自身で交渉するよりも心理的な負担が少なく、終局的な解決につながります。

不動産相続を弁護士へ依頼するメリット

不動産相続を弁護士へ依頼する場合、相続人全員が合意して弁護士に依頼した場合と、相続人の一部が全員の合意なしに依頼した場合でメリットが変わってきます。

相続人全員が合意して弁護士に依頼するメリット

不動産相続で相続人同士で揉めていて、「このままでは埒が明かない」「協議がまとまらない」という理由で相続人全員が合意して弁護士に依頼した場合、中立的な立場から法的に妥当な解決策を示し、話し合いをスムーズに進めてもらうことができます。

具体的なメリットは次の3つです。

  • 相続手続きが円滑に進む
  • 中立的な法的助言を受けられる
  • 相続人同士の合意形成をサポートしてもらえる

相続人同士だと私的な感情が出てしまい、話し合いが一向に進まなかったり、冷静に物事を考えられなくなってしまいます。

弁護士という第三者が間に入ることにより、冷静かつ中立的な目線でそれをまとめることができるのが最大のメリットと言えるでしょう。

相続人の一部が全員の合意なしに依頼するメリット

不動産相続で相続人同士が揉めていて、相続人の一部が弁護士に依頼した場合は、依頼者の味方として弁護士は動きます。

この場合の主なメリットは次の4つです。

  • 自分の権利をしっかりと主張できる
  • 紛争の早期解決ができる
  • 法的リスクを軽減できる
  • 心理的な負荷が少ない

基本的には弁護士が交渉の窓口となり、揉めている相続人と話を進めてくれるので、法律的に不利になりにくく、かつ紛争の早期解決が期待できます。

また、揉め事に巻き込まれると精神的にも大きな負担がかかります。

中には「言いたいことがあるが、争いの雰囲気に飲まれてしまってなかなか言い出せない」という方もいらっしゃるでしょう。

弁護士が窓口となることで「自分の代わりに自分の意見を主張してくれる味方がいる」という安心感があり、相続人同士の感情的な衝突に一人で立ち向かわずにすみます。

不動産相続で弁護士に依頼を検討すべきタイミング

不動産相続において、弁護士へ依頼を検討すべきタイミングは「揉め事が発生した時」と「揉め事が発生しそうな時」の大きく2つです。

揉め事が発生した時

すでに相続人同士で揉め事が発生してしまった場合には、解決できるのは弁護士しかいません。

次のような場合は、できるだけ早く弁護士に依頼すべきです。

  • 相続分や不動産の扱いを巡って話し合いが平行線の状態になっている
  • 一部の相続人が強硬に権利を主張している
  • 感情的な言い争いになり、相続人同士では冷静な話し合いが困難になっている

このような状況を相続人同士で解決しようとすると、人間関係がさらに悪化し、泥沼化してしまう可能性があります。

「このままでは話がまとまらないので、弁護士を立てて冷静に話合いましょう」と相続人全員が合意の上で弁護士に依頼するのが最も中立的でベストな解決策ですが、それが叶わない場合には相続人の一部で弁護士を立てるのがベターです。

揉め事が発生しそうな時

まだ揉め事にはなっていないものの、将来的に争いに発展する可能性がある場合も、弁護士への相談を検討すべきタイミングです。

次のような段階で弁護士に相談しておけば、争いに発展することなく解決できる場合があります。

  • 不動産の分割方法について相続人同士で意見が食い違っている
  • 特定の相続人が主導権を握って話を進めており、不公平感が出てきている
  • 相続人同士に感情的な溝が生じつつあり、関係が悪化しそうな兆候がある

「このままでは揉め事に発展してしまいそうなので、弁護士を立てて冷静に話し合いましょう」と全員が合意の上で弁護士に依頼することがこちらもベストではありますが、それが叶わない場合には相続人の一部で弁護士を立てるなどを検討しましょう。

不動産相続で弁護士が行う主なサポート

実際に不動産相続で弁護士に依頼した場合に弁護士が提供するサポート内容は主に次の3つです。

  • 法律的なアドバイスの提供
  • 遺産分割協議のサポート・代理
  • 紛争・訴訟対応

相続登記や、相続放棄・限定承認などの相続手続き支援や税務面での相談なども弁護士は対応できますが、不動産相続手続きの支援であれば司法書士、税務面での相談であれば税理士に依頼するのが一般的です。

「揉め事が発生しそう・した時」に弁護士に依頼するのが一般的です。

法律的なアドバイスの提供

不動産相続に関する法律は複雑で、相続人の数や不動産の種類によって手続きも変わります。

たとえば、遺言書が存在しない場合や、遺産分割協議が難航している場合など、依頼に基づき法律的なアドバイスをしてもらえます。

ただし、依頼者が相続人全員である場合には中立的なアドバイスをしてくれますが、依頼者が相続人の一部である場合は依頼者の味方として法律的なアドバイスを提供するという点には注意しましょう。

遺産分割協議のサポート・代理

弁護士は遺産分割協議も法律的な見解でサポート・代理が可能です。

相続人全員で依頼した場合には、遺産分割協議を法律的な見解に基づき解決案などを出してくれますが、相続人の一部が依頼した場合には、依頼者の主張に対して相続人同士の合意が得られるようにアドバイスを行ったり、調整、代理人としての交渉を行ってもらえます。

紛争・訴訟対応

遺産分割協議が難航したり、相続人間での対立が激しくなると、最終的には裁判に発展することもあります。

こういった裁判に関する訴訟手続きや、訴訟中の交渉など裁判に関する一連の対応を依頼者に代わり、代理人として円滑に進めることが可能です。

不動産相続について弁護士に依頼する際に抑えておきたいポイント

不動産相続を弁護士へ依頼する際に、抑えておきたいポイントは次の5点です。

  • 事前準備
  • 不動産相続の経験の有無と内容
  • コミュニケーションの取りやすさ
  • 報酬体系の明確さ
  • 初回相談無料の有無

それぞれのポイントについて詳しく説明します。

事前準備

弁護士へ依頼する前に、あらかじめ事前準備をしておくと、その後の手続きもスムーズです。

依頼前に用意しておくと良いものは次のとおりです。

  • 被相続人(亡くなった方)の戸籍や遺言書
  • 不動産の登記簿や固定資産税の書類
  • 家族の関係図(だれが相続人なのか)
  • トラブルになっている内容のメモ

必要書類と経緯のメモや相続関係図などを用意しておくと、弁護士はすぐに必要な手続きに取り掛かることができます。

不動産相続の経験の有無と内容

弁護士を選ぶ際は、不動産相続の経験の有無を確認します。

不動産は評価や分割が複雑な上、相続人間でトラブルになりやすいため、専門知識と解決実績を持つ弁護士の方が、良い結果が得やすいです。

依頼を検討する際は、最初に事務所のサイトで実績を確認しましょう。

初回相談時に具体的な事例について質問すると、経験の有無を推し量ることもできます。

コミュニケーションの取りやすさ

実務とは無関係のように思えますが、コミュニケーションの取りやすさは意外と重要です。

不動産相続は複雑で、デリケートな問題も含まれるため、不安な点や疑問を気軽に質問できる関係性が求められます。

弁護士の話し方や説明の分かりやすさ、レスポンスの速さなどもチェックポイントです。

信頼できる弁護士であれば、精神的な負担を感じることなく、安心して手続きを進められます。

報酬体系の明確さ

報酬体系の明確さは、安心して依頼するために見逃せないポイントです。

相談料、着手金、成功報酬、実費、日当など、費用の種類や算出方法が事前に明確に提示されているか確認しましょう。

後から予期せぬ追加費用が発生しないよう、書面での見積もりを求めることも大切です。

不明点は納得いくまで質問して解消しましょう。

不明点をなくすことで費用の不安を解消できます。

初回相談無料の有無

弁護士へ依頼するときは、初回相談をうまく活用したいところです。

多くの法律事務所では、初回無料相談を実施しています。

初回相談無料があれば、費用を気にせず、複数の弁護士に相続の状況を説明し、専門的なアドバイスを受けることができます。

弁護士の対応や人柄、説明の分かりやすさを直接確認できる点も大きなメリットです。

不動産相続を弁護士へ依頼する際の相場

弁護士へ不動産相続を依頼する際に必要な費用は次のとおりです。

  • 法律相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • 実費と日当

それぞれの費用の相場について詳しく説明します。

法律相談料

不動産相続における弁護士の法律相談料の相場は、30分あたり5,000円〜10,000円程度が一般的です。

しかし、初回相談を無料としている法律事務所も多くあります。

最初は無料相談を活用し、相続の状況を伝え、弁護士の対応や説明のわかりやすさ、費用体系などをチェックしましょう。

初回無料相談を活用できれば、複数の事務所の比較検討も容易です。

着手金

不動産相続を弁護士へ依頼する際の着手金は、一般的には20万円〜50万円程度が相場です。

着手金は案件の複雑さや遺産総額によって変動します。

着手金は弁護士が業務に着手する際に支払う費用で、結果の成否にかかわらず返還されません。

遺産分割協議の代理交渉などでは、遺産や経済的利益の額に応じて旧弁護士会報酬基準を参考に算定されることが多く、高額な遺産ほど着手金も高くなる傾向にあります。

報酬金

不動産相続における弁護士の報酬金の相場は、案件を解決に導いた後に、依頼者が得る経済的利益の10%〜16%程度が目安です。

報酬金の相場は、旧日本弁護士連合会報酬等基準を参考にしていることが多いです。

経済的利益の額が大きくなるほど料率は下がります。

たとえば、1億円の遺産から5,000万円を確保できた場合、その経済的利益に対して報酬金が計算されます。

具体的な金額は、依頼内容や解決内容によって大きく変動するため、契約前に確認が必要です。

実費と日当

主な実費は、戸籍謄本や不動産登記事項証明書の取得費用、郵便切手代、交通費、収入印紙代など、手続きに必要な諸経費のことです。

実費の相場は、必要書類の枚数にもよりますが、おおむね数千円〜数万円程度が相場です。

日当は弁護士が遠方への出張や裁判所出廷などの際に発生する費用のことをいいます。

半日で3万円〜5万円、1日で5万円〜10万円程度が相場です。

不動産相続のお困りごとは静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへご相談ください

不動産の相続は複雑かつ専門性を要する手続きが必要です。

親族間の揉め事などが絡んでくると、専門的な法律の知識なしでは対処が難しいでしょう。

特に、すでにトラブルが発生している場合には、弁護士へ依頼するのが一般的です。

一方、揉め事もなくスムーズな不動産相続が見込める場合は、司法書士への依頼が一般的。

登記や分割協議の書類作成も専門分野の司法書士ならスムーズに進みます。

静鉄不動産の相続サポートセンターは、相続に関するトラブルやお悩み事を包括的に解決しています。

相続に関する悩み事を抱えている方は、お気軽にご相談ください。

司法書士を始めとした、弁護士など専門士業との連携によって、ワンストップで課題の解決に取り組みます。

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相続した土地を3年以内に売却した方がいい理由とは?特例や所有と売却のメリットなども解説

2025.07.29

相続した土地の扱いに困っている方の中には、売却のタイミングがわからないという方も多いのではないでしょうか。
ある程度の譲渡益が見込まれる場合は、相続税の取得費加算の特例が適用される3年以内の売却がお得です。
特例によって取得費を加算できるため、譲渡益を圧縮することができます。
この記事では、相続税の取得加算の特例や、売却方法、気を付けるポイントなどを詳しく解説しています。

記事監修者

司法書士 川上直也

司法書士 川上直也

当センターの受付を担当しております。

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで約10年間介護職に従事しておりました。そこで法律に悩む高齢者の声に触れ、「気軽に相談できる法律の専門家の必要性」を感じ、司法書士を志しました。

ご相談には丁寧に耳を傾け、安心して話せる環境づくりを大切にしています。相続などでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

相続した土地を3年以内に売却することが重要な理由とは?相続税の特例を解説

なぜ相続した土地は3年以内に売却した方が良いのでしょうか。

  • 相続税の取得費加算の特例
  • 特例の適用条件
  • 3年以内に関する税制上の注意点

以上3つのポイントにて詳細を説明します。

相続税の取得費加算の特例

相続税の取得費加算の特例とは、相続や遺贈で得た不動産などを、「相続の事実を知った日から3年後の12月31日まで」に売却した場合、相続税の一部を取得費に加算できる制度です。

取得費加算の特例によって譲渡所得が減り、譲渡所得税を抑えることができます。

特例の適用条件

特例の適用条件は次のとおりです。

  • 相続または遺贈によって取得している
  • 財産を取得した人が相続税を納税している
  • 相続の事実を知った日の翌日から3年後の12月31日までに売却している

以上の条件を満たしつつ確定申告を行うことで特例が適用されます。

特例が適用されると取得費をより多く計上できるため、結果として譲渡所得税を抑えられる仕組みです。

3年以内に関する税制上の注意点

相続税の取得費加算の特例では、確定申告が必須です。

特例を適用し税金がゼロになっても、確定申告をしなければいけません。

申告しないと特例が適用されず、本来不要な税金を請求される可能性があるため申告が必要です。

これは税法上の義務でもあります。

取得費加算の特例と「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除」は併用できないため注意が必要です。

どちらの特例を使うべきか、慎重に検討しなければいけません。

遺産分割協議は、特例期限までに完了させる必要があります。

取得費が不明な場合は、売却価格の5%が取得費と見なされるため、特例を使っても税負担が大きくなる可能性があるため要注意です。

相続した土地を3年以内に売却する場合の注意点

 

売却の際の注意点は、次の4点です。

  • 相続した土地が市街化調整区域にある場合、3年以内の売却をしづらいことがある
  • 不動産を売却するうえで発生する税金がある
  • 地目変更が必要な相続土地を3年以内に売却することは難しい
  • 相続登記が済んでいないと、売却そのものができない

それぞれについて詳しく説明します。

相続した土地が市街化調整区域にある場合、3年以内の売却をしづらいことがある

市街化調整区域の土地の売却は注意が必要です。

市街化調整区域は原則として新たな建物の建築が制限されており、開発行為も厳しく規制されています。

そのため、買主を見つけるのは簡単なことではありません。

売却に時間がかかる傾向があります。

特例の適用期限までに、買い手が見つからないと、せっかくの税制優遇を受けられません。

売却価格も市街化区域の土地に比べて低くなることが多く、希望通りの価格で売却できない可能性もあります。

不動産を売却するうえで発生する税金がある

相続税の取得費加算の特例を使っても、不動産の売却に伴う税金がゼロになるわけではありません。

特例では取得費の加算にとどまるので、譲渡所得が残れば課税されます。

また、不動産の所有期間によって税率が大きく異なります。

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超なら長期譲渡所得(税率約20%)、5年以下なら短期譲渡所得(税率約39%)となり、短期譲渡所得だと税負担が大幅に増える可能性があります。

所有期間の計算は、被相続人の取得日から引き継がれることをよく覚えておきましょう。

地目変更が必要な相続土地を3年以内に売却することは難しい

地目変更が必要な土地の売却は時間がかかるため、特例適用には難易度が高いです。

「農地」から「宅地」などへの地目変更は、農業委員会の許可や農地転用手続きが必要です。

少なくとも数ヶ月、場合によっては1年以上かかることもあります。

市街化調整区域の農地ではさらに難しく、許可が得られない可能性も考えられます。

特例の期限内にこれらの手続きを終え、買主を見つけ、売買を完了させるのは時間的にかなりタイトになるでしょう。

相続登記が済んでいないと、売却そのものができない

相続税の取得費加算の特例を利用するには、相続登記が完了している必要があります。

被相続人名義のままでは売却できません。

2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内の相続登記が義務付けられました。

相続登記をせずにそのままにしておくと、罰則のリスクも生じます。

特例の期限を考えると、相続登記の手続きに要する時間を考慮し、余裕を持って進める必要があります。

手続きがよくわからない方は、司法書士に相談して速やかに登記を完了させた方が良いです。

相続した土地を3年以内に売却するまでの5ステップ

 

不動産を売却するまでの手順は次の5ステップです。

  • ステップ1:売却の準備と情報収集
  • ステップ2:信頼できる不動産会社を選ぶ
  • ステップ3:売却活動のスタート
  • ステップ4:売買契約の締結と決済・引き渡し
  • ステップ5:売却後の確定申告

それぞれの手順について詳しく説明します。

ステップ1:売却の準備と情報収集

相続した土地を売却する第一歩は、売却の準備と情報収集です。

具体的には、まず境界が不明確でないか、越境物がないかなど現況を確認します。

次に、登記簿謄本、固定資産評価証明書、地積測量図など、必要書類を揃えます。

最後に売却価格の相場調査を行い、土地の適正な価値を把握できたらステップ1は完了です。

最初の準備を早めに行うことで、後の手続きがスムーズになり、特例の期限にも間に合いやすくなります。

ステップ2:信頼できる不動産会社を選ぶ

相続した土地を高値で、かつスムーズに売却するためには、信頼できる不動産会社選びが鍵となります。

査定は複数の不動産会社に依頼します。

チェックポイントは査定額だけではありません。

査定額の根拠を明確に説明してくれるか、地域の土地事情や相続物件の売却実績が豊富かを確認しましょう。

担当者の対応の丁寧さや、売却に向けた販売戦略の提案も見極めたいところです。

一括査定サイトなどを活用して、複数の会社の比較検討をおすすめします。

ステップ3:売却活動のスタート

不動産会社と媒介契約を結ぶと、いよいよ売却活動のスタートです。

不動産会社は、ウェブサイトへの物件情報掲載や広告、オープンハウス開催などを通じて、購入希望者を探します。

売却活動期間は、買主からの問い合わせや内覧の申し込みが入ります。

いつでも内覧に応じられるよう、物件を常にきれいに保つことが大切です。

不動産会社と密に連携を取りながら、売却の成功を目指しましょう。

ステップ4:売買契約の締結と決済・引き渡し

買い手との話がまとまると、売却価格や引き渡し日などの条件を調整し、売買契約を締結します。

買主から手付金を受け取った後は、司法書士に依頼して所有権移転登記の準備を進め、残金を受け取る「決済」へと進みます。

決済日に鍵の引き渡しを行い、不動産を正式に買主に引き渡した時点で売却の完了です。

ステップ5:売却後の確定申告

不動産の売却完了後は、翌年の確定申告期間(通常2月16日〜3月15日)に譲渡所得税の申告と納税が必要です。

特例を適用して税金がゼロになる場合でも、必ず申告しなければなりません。

売却でかかった費用や相続税の取得費加算の特例などを活用し、正確な譲渡所得を計算します。

申告を怠ると、追徴課税などのペナルティが科されます。

難しい場合は税理士に相談するなどして、忘れずに手続きを行いましょう。

相続した土地を3年以内に高値で売却するために抑えておきたいポイント

 

不動産を高値で売却するために抑えておきたいポイントは次の4点です。

  • 不動産会社選びと価格設定
  • 物件をよりよく見せてのアピール
  • 入念な事前準備
  • 自分だけでは難しいと感じた場合の、専門家への相談

それぞれについて詳しく説明します。

不動産会社選びと価格設定

不動産を高値で売却するために重要なのは、まず適正な価格設定です。

相場を無視して高く設定してしまうといつまでたっても買い手がつきません。

逆に相場よりも安い価格で売る羽目になることもあります。

複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額の根拠を比較して、適正価格の「ストライクゾーン」を見極めましょう。

信頼できる不動産会社選びも不可欠です。

査定額が高いだけでなく、販売戦略や担当者の対応力、地域に詳しいかなどを総合的に判断します。

複数社を比較検討のうえ、最も信頼できるパートナーを見つけることが、高値売却への第一歩となります。

物件をよりよく見せてのアピール

不動産を高値で売却するには、購入希望者に良い印象を与えなければいけません。

内覧前には、家全体を徹底的に清掃し、整理整頓しましょう。

特に水回り(キッチン、浴室、トイレ)を綺麗にしておくと、印象が良くなります。

内覧する人のイメージをサポートするためにも、余計な家財道具はおかずに生活感を無くした方が良いでしょう。

カーテンを開けて部屋を明るく見せることも効果的です。

簡易なリフォームや修繕で見た目の印象が大きく向上する場合もあるため、不動産会社に相談してみるのも良いでしょう。

入念な事前準備

不動産を高値で売却するには、入念な事前準備が欠かせません。

本格的な売却活動に入る前に、登記簿謄本や固定資産評価証明書などの必要書類を早めに揃えましょう。

周到な準備によって、売却手続きがスムーズに進みます。

土地の境界線や越境物の有無など、物件の状況を正確に把握しておくことも大切です。

事前準備を怠ると、売却活動中に問題が発覚するなどして、最悪の場合は売買が破談になったりするリスクが高まります。

自分だけでは難しいと感じた場合の、専門家への相談

相続した土地は、税金や法律、登記など専門的な知識が複雑に絡み合います。

自分だけで手に負えないと感じた時は、速やかに税理士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家へ相談しましょう。

専門家の力を借りることで、特例を最大限に活用したり、法的なトラブルを未然に防いだりすることができます。

無理に自分で頑張るよりも専門家へ依頼した方が、結果的に安全かつ有利に売却できるケースも多いです。

相続した土地を3年以内に売却することに関するよくある質問

 

不動産の売却について、よくある質問を8つピックアップしました。

  • 「3年以内」っていつから数えるんですか?
  • 3年を過ぎるとどうなりますか?
  • 売却益が出ない場合でも3年以内に売る意味はありますか?
  • 空き家でない土地でも特例は使えますか?
  • 特例を適用した後の譲渡所得税はいくらですか?
  • 売却時にかかる諸費用は総額でいくらかかりますか?
  • 複数人で相続を進める場合はどうしたらいいですか?
  • 古い家屋の解体は必要ですか?

それぞれの質問について、詳しく説明します。

「3年以内」っていつから数えるんですか?

「3年以内」とは、正確には「相続があったことを知った日の翌日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」を指します。

たとえば、相続の事実を知り得た日が2021年5月とすると、3年以内の期限は2024年12月31日ということになります。

満3年ではなく、3年目の12月31日が期限です。

3年を過ぎるとどうなりますか?

3年を過ぎると、相続税の取得費加算の特例は適用できません。

売却益に対する譲渡所得税の負担が増えてしまい、税金面でのメリットが失われてしまいます。

特例の有無で数十万円の差が生じることもあるため、期限を忘れないようにしたいところです。

売却益が出ない場合でも3年以内に売る意味はありますか?

売却益が出ない場合は、特例のメリットはありません。

将来、不動産の価値が下がるリスクや固定資産税の負担を回避する意味では、早めの売却はおすすめできます。

空き家でない土地でも特例は使えますか?

相続税の取得費加算の特例は、相続した不動産全般に適用されるため、空き家でも利用できます。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除」とは併用できないので注意が必要です。

特例を適用した後の譲渡所得税はいくらですか?

特例適用後の税額は次のとおりです。

(売却価格 – 取得費 – 譲渡費用 – 特例で加算された相続税額)×税率

税率は所有期間5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%です。

譲渡益が出なければ税金はかかりません。

売却時にかかる諸費用は総額でいくらかかりますか?

不動産売却の諸費用は、売却価格によって大きく変動します。

総額の目安は、売却価格の4%~6%程度です。

主な内訳は、仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税)、印紙税、登記費用、測量費などです。

概算ですが、2,000万円の土地なら80万円~120万円ほどかかる可能性があります。

複数人で相続を進める場合はどうしたらいいですか?

複数人で相続する場合は、まず遺産分割協議が必要です。

誰がどの財産を相続するか全員で話し合って決めます。

話し合いの内容を遺産分割協議書にまとめ、全員の署名と実印を押印します。

話をまとめないと不動産の売却や相続登記ができません。

古い家屋の解体は必要ですか?

相続税の取得費加算の特例の利用では、家屋の解体は必須ではありません。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除」を利用する場合は、原則として古い家屋の解体、もしくは耐震改修が必要です。

2つの特例は併用できないため、どちらかを選ぶ必要があります。

相続した土地を3年以内に売却する上で迷っている方は静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへご相談ください

 

相続した土地を持て余している方は、3年以内の売却がおすすめです。

3年以内の売却では相続税の取得費加算の特例が受けられます。

特例には3年の期限が設けられているため、売りにくい物件など特殊な事情が伴う場合は、早めの準備とスムーズな売却手続きが必要です。

相続した土地の売却に困っている方は、静鉄不動産と専門士業の相続サポートセンターへご相談ください。

弊社では、司法書士などさまざまな士業との連携によって、お客さまの課題をワンストップで解決しています。

些細なことでもご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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